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第一三章 「善し悪しなんて、言葉だけじゃ計り知れないってこと」

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 Ⅰ

 ――アチラは目の前の光景に、口元をヒクつかせていた。

 ようやくカズネの仕事の件が片付き、出張からも帰ってきて、すべての大騒動に終止符を打つことができたと思っていた矢先に、これである。
 ちなみに、カズネの二丁拳銃は、アチラが綺麗に修復した。パーツごとバラバラにしておいたため、戻すのはさすがに簡単だった。アチラが綺麗に直して手元に戻した時、カズネはそれはもう大変喜んだものであった。
 また、出張先から送られてきた謝礼の品についてもなんとかした。訪問したくはなかったものの、再度足を運び話をまとめることに成功した。

 大事はすべて終わった。

 そう思っていたのだが――。

 ……ここのところ、俺にばかり厄介ごとが回ってくる気がする。え、俺、疫病神だったのか……?    通称が「死神」だから……?
 ここのところの出来事を思い出して、アチラはぐるぐると答えのでない問答を繰り広げている。

 ――アチラは今、本気で自身の身を案じていた。

 先に言っておくと、自身の身に危険が迫っているわけではない。五体満足であるし、心身ともに正常である。体調不良なども一切なく、良好であった。

 ならば、なぜアチラがそんなことを考えているかと言えば――。

 ――目の前にいる二人が、原因であり、答えであった。

 現在、アチラがいるのは転生局の応接室である。アチラですら、ほとんど入ったことのない部屋に、彼は運びたくもない足を運んだのであった。
 目の前にいるのは、今回の来客で。その来客は、本来なら局長であるレイが対応するはずであった。だが、生憎の多忙であるため、急遽別の者が対応することになったのである。その白羽の矢が、アチラに当たった、というわけであった。
 嬉しくねえ……。
 心底そう思いつつも、レイがアチラに任せたのは、アチラにしかできないと踏んでいるからなのだろう。その信頼は嬉しいものの、現在対応している仕事はまったく嬉しいものではなかった。

 なぜなら――。

 ――現在いる応接室という場が、殺伐とした空気で満たされているからであった。

 ソファに腰掛け、机を挟んで向かい合っている二人はバチバチと火花を散らしながら口を開く。
「相も変わらずよのう、貴様は」
「その言葉、そっくりそのままお返しさせていただきますわ」
 一言返すだけで、火花が散る。しかも、その量はだんだんと増していっているのだ。
 アチラはそれを眺めつつ、面倒くせえと内心毒づく。アチラは二人の間にあるソファに座っているため、二人を第三者視点から見ることができるのだ。「お誕生日席」を思い浮かべて貰えれば、アチラの座っている席が想像しやすいだろう。


 アチラから見て向かって左側のソファに腰かけている人物。堂々とした佇まいに、鋭い眼光を放つ体格の良い男。

 ――地獄の統率者、通称「地獄の王」。

 対する、アチラから見て向かって右側のソファに腰かけている人物。優雅で気品があり、背中に美しき白い翼を持つ女性。

 ――天使の頂点、通称「天使長」。


 この二人、天と地をそれぞれ統べているからか、妙に仲が悪い。
 アチラはその二人を眺めやり、長々とため息をつく。
「……そろそろ、その空気やめてくれない?    言っとくけど、絶対に外に出ているからねえ、その殺伐とした空気。勘弁してよ、後で叱られるのは俺なんだよ、しかも局長から」
 アチラの口調はいつも通りである。二人の名前を知ってはいるものの、その名前を呼ぶことはない。、というのが正しいかもしれない。
 だが、アチラと彼ら二人は長い付き合いであった。口調が畏まったものではなくても、二人は気にすることはないだろう。
 案の定、地獄の王はじろりとアチラを見たものの、口調は厳しくなかった。むしろ、天使長に声をかけるよりも優しいものである。
「しかしのう、アチラよ。こやつとは分かり合えぬ」
「同感ですわ。頭の固い爺の言うことなど、聞きたくもありませんわ」
 続けて天使長が肯定するものの、アチラは呆れたように首を振った。それから、二人を交互に見て言葉を紡ぐ。
「あのさあ、二人はそれでも良いかもしれないけど、俺はこの空気の中で仕事をしたくはないの。大体にして、今日はただの話し合いの場でしょ?    殺し合いの間違いかと思うほどの空気なんだけど、重たいよ」
 アチラはソファにどかりと座った状態で、肘掛けに肘を置いてその手に頭を委ねている。二人に呆れたといった声をかける中、アチラにはまったく怒りの空気は向けられることなく。むしろ、二人はアチラにニコニコと笑いかけていた。
「無論、ただの話し合いじゃ」
「そうですわ、ただの話し合いの場です」
「どうでも良いけど、俺に良い顔するのはやめてよ。肩入れはしないからねえ」
 アチラは二人に先に忠告し、再度首を振った。

 この二人がアチラに良い顔をするのには、理由があった。
 というのも、この二人の言い合いに、アチラが過去に一度だけブチ切れたことがあったからである。
 その時も、アチラは局長に駆り出されてこの二人の前に現れた。そして、今よりももっと酷い言い合いの場を目にしたのである。
 実を言えば、この二人、過去からまったく成長していない。同じように毒を吐きまくり、しまいには実力行使に出ようとしたのである。この二人が実力行使などした暁には、転生局はあと形もなくなったことだろう。
 それをアチラが大鎌を振るって睨みを効かせ、二人の行動を抑止したのであった。そして、何とか冷静な話し合いの場へと持っていくことに成功することができたのであった。
 つまり、アチラによって転生局が救われた、ということにもなる。
 それから、アチラを怒らせてはいけないことだけは理解したのか、この二人はアチラには良い顔をするようになったのであった。

 アチラは過去のことを思い出してから、苦い顔をする。
 絶対、局長はこれを狙って俺に任せたよなあ……。
 困ったものだと、内心で悪態をつく。それから、一度気を取り直すかのように、そして場を切り替えるかのように両手をパンと高らかに鳴らした。両者に言い聞かせるかのように口を開く。
「はいはーい、いつまでもこうしていられないから、さっさと始めるよー。話し合いだからね、何度も言うけど。は、な、し、あ、い。良いねえ?」
 アチラの言葉に、両者が同時に頷く。
 アチラは内心、本当かと疑いつつも、話し合いを進めることにしたのであった。



 Ⅱ

 今回の話し合いは、もちろん、転生者についてである。というのも、毎回話し合いの場はこれについてばかりであった。内容もほとんど変わることなく、定例報告と言っても過言ではなかった。
 アチラはふむと今までのことを振り返りつつ、口を開く。
「はっきり言って、俺たちの元には判断しにくい転生者しか来ないし、基本的に審判し終わった後、二人の元に送った場合は任せているよねえ。特に、転生者が転生したくないと言った場合は、天使長には任せっきりだしねえ」
「そちらは問題ありませんわ。彼らが満喫できるように最良の案内を常に心がけております」
 天使長の言葉に、アチラは頷いてから、さらに続けた。
「逆に、地獄のほうは直結のようなものでしょ。完全に黒だって分かってる奴は、俺のところにはそうそう来ないしねえ」
「うむ。殺人や強盗に関与している者に関しては、我らが最初から担っている。お主らが審判とやらをして『奈落』に送り、一向に兆しが見えない者に関しても、我らが面倒を見ているようにしているのう」


 ――転生局は、現代と黄泉の国の狭間にある場所。その中にさらに、通称「通るべき者」がある。

 つまり、天使長が収める天国や、地獄の王が収める地獄は、転生局のさらに奥にある場所と言えた。

 基本的には、転生局にて転生者の審判が行われ、今後の転生者の行き先が決まるようになっていた。
 一つ。転生者が転生するとなれば、転生局にてすべての手続きが行われる。
 一つ。転生者に転生の希望がない場合、天国へ行くという選択もできる。ただし、転生者にその知識がある者のみとする。つまり、「天国」の存在を信じる者のみと限定される。
 一つ。転生者の中で「奈落」に送られ、一定期間以上変化の兆しが見えない場合は、管理下を地獄へと変更することが可能となる。管理下が変更となった場合、今後の処置はすべて地獄の管理者に一任するものとする。

 存在を信じている者には、転生という手段だけではなく、死後の世界である「天国」という選択肢も、実はあった。しかし、これは転生者がどうしても転生という選択肢を選びたくないと望んだ時に限った。
 前世の生活があまりに苦痛であると、希望などないと思ってしまった転生者の中には、転生を望まない者も存在した。「あんな地獄に戻りたくない」、「苦痛でしかない世界など願わない」など、多種多様な意見があった。現代で言う「異世界」に転生することも可能であったが、それする望まないという者も存在するのだ。
 だからこそ、それ以外の選択肢もある。だが、その選択肢は「天国」という、現代ではあるかも分からないと言われた世界だ。その「天国」という世界を知らない者や信じない者に伝えたとしても、仮初の世界だとしか思われない可能性が高い。
 転生者を救えなければ、意味がないのだ。
 そのため、転生者の口から「天国はないのか」という言葉が発せられない場合、基本的には第三の選択肢である天国の存在を、アチラたちが告げることはなかった。あまりにも見かねた場合は、アチラたちから話題を振ることもあるが、それは例外中の例外である。
 反対に、地獄の存在は基本的に極秘扱いであった。というのも、これには深い理由がある。
 なぜなら、「奈落」に送られた転生者が、次に待ち構えている場所が「地獄」だと知れば、それこそ何を考えるか分かったものではない。虚偽を並べまくるかもしれないし、凶行に走るかもしれない。
 そのため、「地獄」の存在は極秘扱いとされ、見かねた転生者を個別で呼び出した後、地獄に引き渡すという手段を取っているのであった。
 このことは、転生局の中でも、極わずかの限られた者しか知らない事実であった。


 アチラは一通りのことを思い出してから、ため息混じりに告げる。
「……俺のところに来る奴も、一発で黒ってわかる奴もいることはいるけど、どちらかと言えば黒よりのグレーが多いわけ。そうなると、情報だけではなく、実際に向き合って会話をすることが重要になってくる。『奈落』で反省する奴もいるし、しない奴もいる。だからこそ、地獄の王の存在は助かっているんだよねえ」
「うむ、そうだな」
「逆に、転生者が絶望しなくて良いという話では、天使長の存在に助けられていると思っているよ」
「そうですわね」
「つまり、どちらが欠けても意味がないと俺は思うわけ。だから、どっちがどうってことは言わないよ」
 アチラがそう締めくくれば、二人は納得いかないとばかりに反論する。
「我のが役に立っているだろう」
「私ですわよね」
「なーんで、張り合うのかなあ、あんたらは」
 アチラは二人の張り合いを見て、本日何度目か分からないため息をつくのであった。



 Ⅲ

「あのねえ。毎回目の前で張り合われる俺の身にもなってよ。俺だって、毎回そんなの見ているの嫌だし、局内で俺が暴れたなんてなったら、それこそ局長に叱られるんだから」
「お主は相変わらずよのう」
「楽しそうですわね」
「他人事のように言いやがって。……しかも、そういう時だけ意気投合するよねえ、本当に」
 目の前でのほほんと告げている二人を見て、アチラは苛立ちが募る。
 勝手なことばかり言いやがる奴らが周囲に多すぎる、そうは思うものの、それを口に出すことはない。目の前で、もしこの二人が暴れたものなら、たまったものではないのだ。この二人の実力は計り知れない。それこそ、地獄と天国を統率している者たちなのだ、相当な手練であろうことは間違いない。
 もし、この二人が暴れて自身が止めに入るとすれば、止めること自体は簡単だろう。だが、大騒ぎになることは十中八九間違いないだろうし、局長の耳に入れば雷が落ちることは間違いなしだ。それこそ、転生局が消滅する可能性もある。
 面倒だなあ、本当に。局長の提案、突っぱねてでも断れば良かったなあ……。
 今頃そんなことを考えたところで、後の祭り。今さら思ったところで、どうしようもないことは重々承知しているのだ。ぼやくぐらい許して欲しいところである。
 まあ、後は帰ってもらうだけだし、問題ないかあ。
 アチラは気楽に考えることにした。話し合いはおおむね終わったようなものだ。後は、彼らに帰ってもらって、局長に報告をすれば終わりだろう。

 というか、そもそも――。

「……そもそも、この話し合い必要ある?    ただの定期報告会だよね、これ」
 現状を確認しておきたいだけの報告会となりつつある状況に、アチラが素直に確認する。単純な疑問を口にしてみれば、息を合わせたのかと問いかけたくなるほどに、ピッタリと揃った二人の返答が返ってきた。
「あるのう。我らの主張はしておかねばな」
「ええ、どれほど私たちが優秀かということを」
「なんの。我らのほうが――」
 また張り合いだしたのを察して、アチラはすぐに口を挟んだ。
「はーい、それ以上は他所でやってくださーい。お引き取りくださーい」
 アチラが声をかければ、「時に、」と地獄の王が言葉を紡ぐ。
 アチラは、それに眉を寄せた。
「何?    まだ、なんかあんの?」
 これ以上、面倒ごとは御免だ。そう言いたそうなアチラの口調にも、気にすることなく地獄の王は一度頷いてから言葉を続ける。
「何、それこそ単純な疑問だ。我らの元には、基本悪と言える者しか来ぬ。だが、お主たちの元には黒よりのグレーだと申したな。一言で『悪』や『善』とは言えぬものなのか?」
「何を当たり前なこと言ってるの、地獄の王」
 アチラは肩を竦める。
 アチラの言葉に、地獄の王は眉を寄せた。怪訝そうな顔で、不服だと申しているその顔に、さらに不機嫌そうな圧がかかってくる。
 だが、その圧が表に出されたところで、この場で怯む者は誰一人としていなかった。
 アチラはやれやれと首を振り、天使長は何やら微笑むだけである。
 アチラは少し考えてから、口を開いた。
「……要はさ、誰が善し悪しを決めるかって話にもなるけどさあ。地獄の王は、『正義』ってなんだと思う?」
「……なんだ、藪から棒に」
「まあ、いいから、いいから」
 アチラは地獄の王へと逆に問いかけた。怪訝そうな顔をする彼に、答えを促すかのように適当に催促する。
 地獄の王はしばし沈黙の後、やがてゆっくりと口を開いた。
「……誰もが尊敬すること、か?」
「それも一つの答え、だよねえ。ただ、『正義』なんて言葉、それこそ一つとして答えは出ないんだよ」
 アチラの言葉に、二人は黙る。アチラは気にすることなく先を続けた。
「誰かにとってはそれが『正義』でも、誰かにとってはそれが『悪』に映ることもある。それは特に、現代で広がっているSNSこそそうだと、俺は思っているんだ」
「……と、言いますと?」
 天使長が先を促す中、アチラはふむと頷いた。
「逆に聞くけど、天使長は現代のSNSを見てどう思っている?」
「……私にはよく分かりませんわ。ただ、楽しいことだけではないということだけは確かかと」
「そう、そういうこと」
「勿体ぶっていないで、さっさと答えを言え」
 アチラが天使長の言葉に頷いたのと同時に、地獄の王が口を挟む。早く答えが知りたいのだろう。
 アチラは「だからさあ、」と前置きをしてから話を続けた。
「現代のSNSが特にそうなんだよ。『正義』だと思って発言している人間が多すぎるんだ」
「……どういうことだ」
「SNSは顔を隠して本人か分からないままに発言ができてしまう。そんな中で、誰もが気軽にコメントを残すことができる。それは楽しいことで盛り上がるだけならまだ良いことだろうし、本来のSNSとして間違った使い道ではないだろうと俺は思う。……ただ、それが悪評や悪口を言う場所となってしまっているんだ、しかも、それが『正義』だと疑わずに」
「……!」
 アチラの説明に、地獄の王も、天使長も静かに息を呑んだ。アチラはそれに気がつきながらも、それについては何も言わない。自身の言葉を紡ぐだけだった。
「何が『正義』で、何が『悪』かなんて、誰にも本来分からないんだ。それが自身の信じている『正義』なら、なおさら。人を傷つけたとしても、自身の信じる『正義』だから間違っていない。発言として許される。その思いだけなんだろうとは思うんだけど……。それが悪い方向に進んでいけば、残酷な結果になるとも知らずに、ね。自身が傷つけて追い込んだとしても、それを自身のせいだとは思わない人が多いのだろう、と俺は思っている。特に、顔も名前も出ないからね」
「……」
「だから、簡単に『善か、悪か』なんて決められることではないんだよ。俺たちの審判は、転生者の第二の人生に響いてくる。情報だけじゃ、判断しかねるんだ。きちんと話を聞いて、情報と照合して、判断する。だから、善し悪しなんて、言葉だけじゃ計り知れないってこと」
 アチラは自身の思いを真剣に述べた。

 ――本心だった。

 最近の転生者は、SNSで悩んでいる者が大半だった。それこそ、言葉に押しつぶされ、自ら命を絶ってしまった者だって中にはいたのだ。
 だからこそ、転生を望まない者だって、存在する。
「言霊」になってしまえば、それこそ追い込まれる者が続出する。
 言葉には力がありすぎてしまう。それを、どれだけの人間が理解しているのだろうか。
 それを理解しないままに、言いたいことを「自身の正義」と疑わずに発言して、人を追い込んでいることをしている者が、現代にどれだけいるのだろうか。
 だからこそ、俺たちの仕事はなくならないし、増え続けている。
 人間が使い方を間違えたままであれば、転生者の数は増え続ける一方である。
 転生局も、地獄も、天国も、いつの時代もなくなることはないのだろう。

 だからこそ――。

「――だからこそ、俺たちは真剣に向かい合って、判断を間違えないように審判する。それが、俺たちの誇りであって、転生者たちのためにもなることだから」
 アチラの蒼い瞳が強く光を放つ。
 地獄の王も、天使長も、何も言わなかったものの、その強い光を受けて重く頷くのであった。



 IV

 あれから、ほぼ実力行使したと言っても過言ではないが、来客二人を帰したアチラは、誰もいなくなった部屋にて深くため息をつく。
 やれやれ……。
「……次回からは絶対に、何が何でも局長に任せよう。うん、そうしよう」
 アチラは一人納得すると、天井を見上げた。そこには何もないが、天に準備されている楽園を思い浮かべる。次に、リズムを刻むかのように足を軽く鳴らせ、地下深くにそびえる断罪の場を思い浮かべた。それから、一人誰に聞かせるわけでもなく、口を開く。
「……地獄も、天国も、そしてこの場所も。架空であって、架空ではない場所。それがまた、味わい深いんだろうねえ」
 アチラはそう告げてから、ソファから勢いよく立ち上がる。そして、今はいない二人が座っていた場所に視線を寄越してから、フッと口元を緩めた。
「互いになくてはならない場所なんだ。これからも、よろしく頼むよ」
 アチラはそれだけ告げると、今後こそ応接室を後にした。

 ――向かうは、局長室。

 今日の話し合いという名の定期報告会の報告をするため、軽くなった足取りでリズムを刻むかのように、アチラは自身の上司の元に向かうのであった。
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