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第一六章 新パーティ任務開始前日の日
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Ⅰ
葵羽たちは、宿で一通り会話を済ませ、互いのことをよく理解した。そして、今日はそのまま休むことにする。
全員で外で食事を取り、その後各々部屋で過ごそうとしたが、部屋に入る前にスカーレットが呼び止めた。
「二人はもう寝るのか?」
「そうだな、そうすることもねえし。スカーレットが起きるのは夕方だろ? その間に、カイルと買い物を済ませておこうと考えていたから、早めに寝るつもりではいるが」
「そうだねー。任務受けに行くのは、スカーレットが起きてからのがいいだろうしね。冒険者ギルドに行くのは、夕方だろうねー。俺も買いたい物あったし、昼間に買い物に行ってくるよ。欲しいものがあったら、先に聞いとくけど。……そういえば、話は変わるけど、この宿には大浴場があるってさ」
葵羽に続けて、カイルが話す。その際、思い出したとばかりに、人差し指を立てながら嬉しそうにこの宿にある大浴場のことを告げた。
その言葉に、葵羽が短く「おっ」と声を上げ、スカーレットはこくこくと何度か頷いた。
カイルも満足気に頷く。
「大浴場なんて、中々ないし、俺も入ってみたいんだよねー。一応、部屋にはシャワールームがあるけどさ」
シャワールームが完備されていて、さらに大浴場もある。
俺の世界もこんな感じだったな……。世界観とか、建物の感じとかは違うが……。
葵羽はぼんやりと考えた。それから、カイルに同意するように言葉を紡いだ。
「俺も大浴場は結構好きなんだよな。温泉とかも好きだしさ」
葵羽がいた世界では、大浴場のついている旅館は多かった。ホテルでも、まれに大浴場がついていることもあり、よく葵羽は家族で旅行に行くたびに大浴場に入りに行っていた。家族が好きだったのもあり、旅行の際は必ず大浴場があるところを選んで宿泊していた。
正直に言えば、大浴場には惹かれている。長旅で、ゆっくりと湯船に浸かれなかったから、浸かりたい気持ちはある。
だが――。
「……まあ、今日はやめておくかな。シークやセレストを洗ってやりたいし」
旅が長すぎて、あまり自分も綺麗にできていないが、シークやセレストたちも同じであった。さすがに、彼らを大浴場に連れていくことはできないし、元々連れていくつもりもなかった。他の客が大騒ぎすることが、目に見えている。セレストたちも、行ったところで、落ち着かないだろう。
そう考えて、葵羽は結論だけを口にした。内心、残念なのは、表情にも、口にも出さない。
すると、その言葉を聞いたスカーレットが、しょんぼりと肩を落としていた。
葵羽はそんな彼女に問いかける。
「どうした、スカーレット」
「いや、葵羽は行かないのだな、と思って……」
葵羽はそれに対して、目をぱちくりとした。それから、少しだけ口角を上げる。
「……なんだ、俺と入りたいのか?」
「ちっ、違っ……! も、もういい、私は部屋に入る!」
葵羽の言葉に、耳まで真っ赤に染め上げたスカーレットは、半ば叫ぶように告げると、部屋へ逃げ込むように中に入っていく。その後ろ姿に、葵羽は「おやすみ」と声をかけた。
それを見届け、自身も自分の部屋に入る。続けて、カイルが部屋に入り、セレストが中に入る。腰にいた冬景色と、葵羽の肩に乗っていたシークは、すでに部屋の中にいた。セレストが入ったことを確認して、葵羽は扉を閉める。
部屋に足を踏み入れたカイルは盛大にため息をついた。
その姿に珍しいな、と思いつつ、セレストを撫でながら、葵羽は声をかける。
「どうした、カイル。悩みごとか?」
「……いや、葵羽って絶対狙ってやってるよね、と思って」
「何がだ?」
「スカーレットとの会話」
「ああ、あれか。別に、ちょっとした冗談だろ?」
「あれが!?」
カイルが目を見開いて驚く中、葵羽は気にすることなく頷く。カイルはそれを見て、思わず頭を抱えた。
葵羽はそれには触れずに、ぽつりと呟く。
「しかしなあ、大浴場はやはり惹かれるものがあるよな。滞在期間中に、一回ぐらいは行けるといいんだがな」
「……葵羽はやめたほうがいいと思うよ。なんか、大惨事になりそうだから」
「は? 何故だ?」
「……葵羽、入るなら女湯だよね?」
「そうじゃなきゃ、俺が捕まるだろ」
「いや、どっちでも俺は危ないと思うよ」
「カイル、てめえ……。どういう意味で言ってるんだ」
「葵羽がイケメンすぎて、女性の方々が大騒ぎするって言ってんの!」
まったく理解してくれない、かっこよすぎる女性に、カイルは焦れったくて最終的に叫んでしまった。理解出来てない葵羽は、カイルの言葉を別の意味で受け取ったようで、怒りを顕にしている。怒りたいのはこっちだ、と吐き出したい言葉を無理矢理飲み込んだ。
カイルの言葉を冷静に受け取っていた葵羽は、目をぱちくりと瞬いた。それから、首を傾げた。
「何故俺が行くと、大騒ぎするんだよ?」
「……もう、葵羽は行くの禁止! 行くんだったら、宿の人に頼んで貸切にしてもらって! お願いだから! スカーレットも、心が持たないよ!」
「貸切、か……。それはいいかもな。そしたら、セレストやシークも入れるか? 入れるといいな」
葵羽は見当違いなことを言っている。それを聞いて喜んでいるのは、二匹の魔物だけだ。
カイルは頭を抱える。蹲りたいのを、必死に我慢した。
ダメだ、これは……!
カイルは盛大なため息をついた後、必要な物を持って、大浴場へ向かうことにする。葵羽へ一言、「一時間後ぐらいに戻るねー」と告げて、部屋を出た。部屋を出る際、彼女から了承の言葉が届いたが、それを聞き終わる前に扉を閉める。
扉に背を預け、息を吐き出していれば、隣の部屋の扉が開く。スカーレットだ。彼女もまた、大浴場へ向かうのだろう。荷物を抱えている。
カイルを見た彼女は、何かを感じ取ったらしい。一言、言葉をかけてくる。
「……お前も、大変だな」
「……お互い様、かな。分かってくれる人がいるって、すごく心強いよね」
二人は盛大にため息をついた後、大浴場へ共に向かうことにしたのだった。
Ⅱ
葵羽はカイルが戻ってくる前に、シークとセレストを洗い、自分もシャワーを浴びる。
……さすがに、カイルも気を遣ったんだろうな。
いくら葵羽が男の振る舞いをしていようが、性別はれっきとした女性である。カイルもそれを分かっていて、わざわざ戻る時間を伝えたのだろう。
だが、やはり大浴場は入りたいよな。……そんなに、俺が行くと問題なのだろうか。
葵羽は考えてみたが、最終的に答えは出ないままだった。着替えを済まして、髪を拭く。自身の髪を拭きながら、いまだに湿っているセレストの毛を拭いてやった。
セレストは狼に似ているフェンリルだからか、濡れた毛をふるふると振って水分を飛ばした。シャワールームでは、散々濡らされたものだった。自分がシャワーを浴びなくてもいいぐらいに水をかけられて、おいおいと呆れてしまったのは、つい先程のこと。
さすがに部屋では駄目だと教えこみ、セレストは忠実にそれを守ってはいるが、濡れているのが気にはなっているらしい。葵羽が拭いてやっているが、中々乾かなかった。
シークはドラゴンだからか、水分をものともせず、すっかり乾いている。鱗が綺麗になって、輝いていた。葵羽の肩に乗って、今は安心しきっている。
俺の髪も中々乾かねえし、セレストもずっと気にしているから乾かしてやりたいんだが……。ドライヤー、らしき物がねえんだよなあ。
葵羽は考え込む。部屋を散々探し回ってみたが、それらしいものはなかった。
自分の髪も中々の長さを保っているため、乾きにくい。ドライヤーで乾かせていた、自分の世界は便利だったんだな、と改めて思い知る。
いっその事、魔法でなんとかできるのか?
だんだん魔法を便利道具扱いしている感じもするが、さっさと乾かすにはそれが一番だと思った。それに、冬景色には乾かす機能なんてないし、シークだと燃える可能性が高い。
やるだけ、やってみるか……。どうにもならなかったら、次を考えよう。
葵羽は次に、魔法に適した言葉を考えることにした。
万が一にでも、宿を破壊することになっては困る。あまり強くなく、それでも乾くような言葉がいい。風が起きる魔法――。
葵羽は自身の髪に、右手を翳した。とりあえず、どうなるか分からないため、自分が実験台となることにしたのだ。セレストを傷つけることになるよりは、マシだと思った。
「――そよ風」
葵羽は魔法を発動する。すると、自身の髪に向かって風が吹いた。強くもなく、弱くもなく、ちょうどいい風は、しっかりと自分の髪を乾かしてくれた。ものの数分で終わる。
「お、これいいな」
葵羽はセレストに向けて、手を翳す。同じように魔法を発動し、セレストの毛を乾かしてやる。先程まで苦戦して拭いていたのが嘘のように、こちらも数分で乾いた。
「乾いたな。どうだ、セレスト」
確認してみれば、セレストは嬉しそうに鳴く。葵羽は口元を緩め、わしゃわしゃと撫でてやった。それを見たシークも、自分もと言うように、葵羽に擦り寄ってきた。
二匹を撫でていれば、部屋の扉が開く。カイルが戻ってきたようで、髪を拭きながら入ってきた。
「ただいまー。あれ、なんか楽しそうだね」
「おかえり。カイルも乾かしてやろうか?」
「何の話?」
それから少し会話を繰り広げた後、日頃の疲れもあってか、皆早くに就寝したのであった。
Ⅲ
結局、葵羽もカイルも、昼頃まで眠ってしまっていた。
スカーレットはヴァンパイアということもあって、まだ起きてくる気配は無い。
葵羽はカイルと共に、街に繰り出した。備品等を補充するために、買い物をして回る。途中、カイルがありとあらゆる酒を購入するため、葵羽が止めに入ったのは、余談である。
宿に戻って、日が暮れるのを待っていれば、日が沈んだ頃にスカーレットが起きてきた。葵羽たちの部屋を訪れた彼女は、大きな欠伸をしている。その姿に思わず葵羽はカイルと顔を見合せて苦笑してしまった。
全員揃ったところで、冒険者ギルドへ向かう。すでに、宿の主人から場所を聞いていたカイルが先導し、教えてもらった道をゆっくりと歩いた。
迷うことなくすんなり到着した葵羽たちは、ギルドの中へと入っていく。中はだいぶ賑やかであった。
葵羽は受付の女性に歩み寄り、声をかける。
「すまない、任務の依頼を受けたいんだが」
「分かりました。まずは登録を――」
葵羽は女性の指示通りに登録作業を行う。続けて、カイル、スカーレットが作業を行っていれば、視線が集まっていることに気がつく。視線が自分たちに刺さるため、葵羽は警戒心を強くした。セレストが足元に寄ってくる。シークは彼女の肩の上で、キョロキョロと周囲を見渡していた。
……まあ、そりゃそうか。
何せ、メンバーが濃い。ドラゴンがいて、フェンリルがいる。一見、見ただけでは分からないが、スカーレットだってヴァンパイアだ。そして、見るからに美人なため、目立ってもおかしくはない。
葵羽は一つ息をついて、足元に擦り寄ってきたセレストを撫でてやる。おそらく、落ち着かないのだろう。セレストは彼女の手にすり、と頭を擦り寄せる。
すると、そこに近づいてくる足音が聞こえてきた。
葵羽は視線を音のするほうへと向ける。見れば、何人か男が歩いてくるのが見えた。
「おもしれえ、パーティだな」
「……まあな」
話しかけられた葵羽は、短く答える。
デジャブってやつか。この世界に来て、こんな奴らばっかりだな。
体格の良い男たちばかりだ。武器を背中や腰に携えている。
……冒険者、だろうな。
葵羽が警戒しながら考えていれば、久しぶりに刀の声が頭に届く。
――気をつけろよ、葵羽。
葵羽は人目があるため、胸中で返答した。
分かっている。
男たちが少しずつ距離を詰めてくるのをじっと見つめた。彼らの視線は自分に向いていない。見ているのは、シークやセレスト、それからスカーレットであった。
すでに左手は冬景色に触れていた。親指で鍔を押す。彼らの視線を見て、舌打ちしたい気持ちを押さえ込んだ。
「そう警戒すんなって。で、あの美人な姉ちゃんは、あんたの仲間かい?」
「ドラゴンに、フェンリルまでいやがる!」
「すげえな……。これは良いぜ!」
男たちは口々に告げた。にやにやした笑いが、視界に入る。下卑た笑いだと思った。
葵羽の目は、自然と細くなる。
「葵羽、終わったぞ」
背後から、スカーレットの声が届いた。葵羽は視線を逸らすことなく、短く返答する。
「ああ」
その声に、カイルとスカーレットも何かを感じ取ったらしい。男たちの動きを、じっと見ている。緊迫した空気が、彼らを包み込んだ。
男たちはスカーレットに声をかける。すでに、近くにいる葵羽には、興味を無くしたらしい。葵羽の横を通り過ぎる。
「なあなあ、姉ちゃん。俺たちのパーティに入らねえか?」
「可愛がってやるぜー」
「……何を言っている、貴様ら。私は葵羽の元にいると決めたのだ」
「つれねーなあ」
スカーレットの目も細まる。今にでも獲物を狩りそうな、紅き瞳が輝いた。
だが、それよりも早くに男とスカーレットの間に葵羽が入り込む。スカーレットを隠すように、立ち塞がった。
「……悪いけど、俺の仲間に手を出すの、やめてくれねえか?」
「あ゙あ゙!?」
「てめえに用はねえんだよ!」
「そのフェンリルとドラゴンも寄越しやがれ!」
「……嫌な冒険者だな。シーク、セレスト!」
葵羽は苛立ちを覚える。言葉を吐き捨てるように言ったあと、二匹の名前を呼んだ。
男が葵羽の胸ぐらを掴もうと伸ばした手を掴み、そのまま放り投げる。
セレストに伸ばされた手は、セレストががぶりと噛み付いた。噛み付かれた男は、痛みで悲鳴をあげる。
シークは伸ばされた手を避け、盛大に火を吹いていた。また一つ、悲鳴が上がった。
葵羽は他の男たちを、舞を舞うかのように一人一人倒していく。一人を蹴りあげ、一人に手刀を下ろし、宙を舞って、最後の男にかかと落としを決める。
ものの数分で決着が着いた。
すたっと降り立った葵羽の足元に、セレストが戻ってくる。シークは、葵羽の肩に乗った。
叩きのめした男たちへ、葵羽は静かに告げる。
「一つ、忠告しておくぞ。――俺の仲間に、手え出すんじゃねえ。次は、こんなもんじゃあ済まねえぞ」
葵羽はそれから見ていた周囲の人々を、ぐるりと見渡す。その視線は鋭く、見られた人々の口からは、勝手に「ひっ」と小さく悲鳴が出てきた。
葵羽は気にせずに、鋭い視線のまま告げる。
「――てめえらもだ。全員、よく覚えておけ。ここにいる美人な女性も、優しい青年も、勇ましいドラゴンも、美しいフェンリルも、全員俺の仲間だ。手え出すんじゃねえ。その時は、――覚悟しろ」
葵羽はぎろりと睨んだ。全員が大人しくなったところで、ばさりと外套を翻す。カイルたちを連れて、依頼の張っている掲示板へと歩んで行った。
その後、いくつかの依頼を手にした彼らは、ギルドを颯爽と去っていったのであった。
Ⅳ
葵羽は苛立ったまま、歩いていた。勝手気ままに、仲間のことを語られたのが納得いかない。自分が何を言われたところでどうでもいいが、せっかくこの世界に来て出来た仲間をあれこれ言われるのは、我慢ならなかった。
そんな中、突如カイルとスカーレットの足が止まる。その音に気がついた葵羽は、振り返った。横に並んで歩いていたセレストも、同じように振り返る。シークは、葵羽の肩の上で首だけを動かした。
「どうした、二人とも」
葵羽の問いかけに、二人は答えない。葵羽は首を傾げつつ、少し戻った。二人に近づいていけば、急にカイルの口から長いため息が聞こえてくる。何事かと驚きを隠せない葵羽は、カイルをじっと見つめた。カイルはそのまましゃがみこむ。両手で顔を覆った。
よく見れば、スカーレットもしゃがみこんではいないものの、両手で顔を覆っている。
体調が悪いわけではなさそうだが、と思っていた葵羽の耳に届いたのは、カイルの力の無い声だった。
「……もうー、葵羽はー……」
「……何だよ」
「そういう所だよ、本当……」
「はあ?」
葵羽の間の抜けた声が口から出てくる。それから何も言わなくなった彼らに向かって、葵羽は一つ息をつくと言葉を紡ぎ始めた。
「……俺の仲間に手え出そうとする、奴らが悪い。それに、この世界の冒険者は、なんか柄が悪すぎる。会う奴、会う奴あんな感じで、胸糞悪いぜ。――俺の仲間に、手なんか出させるかよ。大事なんだからな、お前らのこと」
葵羽がそう言えば、カイルもスカーレットも何も言わなかった。しかし、隠せていない耳が真っ赤で、葵羽の視界にそれはしっかりと映っている。
葵羽はそれを見たら、少しだけ気分が良くなった。先程の苛立ちが緩和されていくことが分かる。思わず、くすりと笑ってしまった。
「――俺の仲間は、可愛い奴らばかりだな。自慢したくなるぜ」
そう告げれば、間髪入れずにカイルが目の前で叫んだ。覆っている顔は、そのままだったため、表情は分からなかった。
「……もう、本っ当に、そういうところおおおお!」
「……葵羽は、私を殺すつもりなのか……!」
「んなわけねえだろう。ほら、明日から任務こなすんだから、さっさと帰ろうぜ」
葵羽は二人に声をかけて、歩き出す。ふと思い出して、「飯食ってくかー」と機嫌良く続けて告げる。顔を覆っていた二人は、慌てて彼女の後を追いかけた。
明日からは、任務をこなして、全員の力量を各々が測ることになるだろう。
……まあ、こいつらとなら、大丈夫だろうな。
葵羽はそう思った。それに返すのは、あれからずっと黙っていた冬景色だ。
――葵羽。私もそろそろ暴れたいぞ。
まあ、考えておくよ。
それには、簡単に返しておく。冬景色が抗議の声を上げるが、それ以上相手にはしなかった。
背後で二人の声が響く。耳に届く心地の良い声たちに、葵羽は笑みを深くするのであった。
葵羽たちは、宿で一通り会話を済ませ、互いのことをよく理解した。そして、今日はそのまま休むことにする。
全員で外で食事を取り、その後各々部屋で過ごそうとしたが、部屋に入る前にスカーレットが呼び止めた。
「二人はもう寝るのか?」
「そうだな、そうすることもねえし。スカーレットが起きるのは夕方だろ? その間に、カイルと買い物を済ませておこうと考えていたから、早めに寝るつもりではいるが」
「そうだねー。任務受けに行くのは、スカーレットが起きてからのがいいだろうしね。冒険者ギルドに行くのは、夕方だろうねー。俺も買いたい物あったし、昼間に買い物に行ってくるよ。欲しいものがあったら、先に聞いとくけど。……そういえば、話は変わるけど、この宿には大浴場があるってさ」
葵羽に続けて、カイルが話す。その際、思い出したとばかりに、人差し指を立てながら嬉しそうにこの宿にある大浴場のことを告げた。
その言葉に、葵羽が短く「おっ」と声を上げ、スカーレットはこくこくと何度か頷いた。
カイルも満足気に頷く。
「大浴場なんて、中々ないし、俺も入ってみたいんだよねー。一応、部屋にはシャワールームがあるけどさ」
シャワールームが完備されていて、さらに大浴場もある。
俺の世界もこんな感じだったな……。世界観とか、建物の感じとかは違うが……。
葵羽はぼんやりと考えた。それから、カイルに同意するように言葉を紡いだ。
「俺も大浴場は結構好きなんだよな。温泉とかも好きだしさ」
葵羽がいた世界では、大浴場のついている旅館は多かった。ホテルでも、まれに大浴場がついていることもあり、よく葵羽は家族で旅行に行くたびに大浴場に入りに行っていた。家族が好きだったのもあり、旅行の際は必ず大浴場があるところを選んで宿泊していた。
正直に言えば、大浴場には惹かれている。長旅で、ゆっくりと湯船に浸かれなかったから、浸かりたい気持ちはある。
だが――。
「……まあ、今日はやめておくかな。シークやセレストを洗ってやりたいし」
旅が長すぎて、あまり自分も綺麗にできていないが、シークやセレストたちも同じであった。さすがに、彼らを大浴場に連れていくことはできないし、元々連れていくつもりもなかった。他の客が大騒ぎすることが、目に見えている。セレストたちも、行ったところで、落ち着かないだろう。
そう考えて、葵羽は結論だけを口にした。内心、残念なのは、表情にも、口にも出さない。
すると、その言葉を聞いたスカーレットが、しょんぼりと肩を落としていた。
葵羽はそんな彼女に問いかける。
「どうした、スカーレット」
「いや、葵羽は行かないのだな、と思って……」
葵羽はそれに対して、目をぱちくりとした。それから、少しだけ口角を上げる。
「……なんだ、俺と入りたいのか?」
「ちっ、違っ……! も、もういい、私は部屋に入る!」
葵羽の言葉に、耳まで真っ赤に染め上げたスカーレットは、半ば叫ぶように告げると、部屋へ逃げ込むように中に入っていく。その後ろ姿に、葵羽は「おやすみ」と声をかけた。
それを見届け、自身も自分の部屋に入る。続けて、カイルが部屋に入り、セレストが中に入る。腰にいた冬景色と、葵羽の肩に乗っていたシークは、すでに部屋の中にいた。セレストが入ったことを確認して、葵羽は扉を閉める。
部屋に足を踏み入れたカイルは盛大にため息をついた。
その姿に珍しいな、と思いつつ、セレストを撫でながら、葵羽は声をかける。
「どうした、カイル。悩みごとか?」
「……いや、葵羽って絶対狙ってやってるよね、と思って」
「何がだ?」
「スカーレットとの会話」
「ああ、あれか。別に、ちょっとした冗談だろ?」
「あれが!?」
カイルが目を見開いて驚く中、葵羽は気にすることなく頷く。カイルはそれを見て、思わず頭を抱えた。
葵羽はそれには触れずに、ぽつりと呟く。
「しかしなあ、大浴場はやはり惹かれるものがあるよな。滞在期間中に、一回ぐらいは行けるといいんだがな」
「……葵羽はやめたほうがいいと思うよ。なんか、大惨事になりそうだから」
「は? 何故だ?」
「……葵羽、入るなら女湯だよね?」
「そうじゃなきゃ、俺が捕まるだろ」
「いや、どっちでも俺は危ないと思うよ」
「カイル、てめえ……。どういう意味で言ってるんだ」
「葵羽がイケメンすぎて、女性の方々が大騒ぎするって言ってんの!」
まったく理解してくれない、かっこよすぎる女性に、カイルは焦れったくて最終的に叫んでしまった。理解出来てない葵羽は、カイルの言葉を別の意味で受け取ったようで、怒りを顕にしている。怒りたいのはこっちだ、と吐き出したい言葉を無理矢理飲み込んだ。
カイルの言葉を冷静に受け取っていた葵羽は、目をぱちくりと瞬いた。それから、首を傾げた。
「何故俺が行くと、大騒ぎするんだよ?」
「……もう、葵羽は行くの禁止! 行くんだったら、宿の人に頼んで貸切にしてもらって! お願いだから! スカーレットも、心が持たないよ!」
「貸切、か……。それはいいかもな。そしたら、セレストやシークも入れるか? 入れるといいな」
葵羽は見当違いなことを言っている。それを聞いて喜んでいるのは、二匹の魔物だけだ。
カイルは頭を抱える。蹲りたいのを、必死に我慢した。
ダメだ、これは……!
カイルは盛大なため息をついた後、必要な物を持って、大浴場へ向かうことにする。葵羽へ一言、「一時間後ぐらいに戻るねー」と告げて、部屋を出た。部屋を出る際、彼女から了承の言葉が届いたが、それを聞き終わる前に扉を閉める。
扉に背を預け、息を吐き出していれば、隣の部屋の扉が開く。スカーレットだ。彼女もまた、大浴場へ向かうのだろう。荷物を抱えている。
カイルを見た彼女は、何かを感じ取ったらしい。一言、言葉をかけてくる。
「……お前も、大変だな」
「……お互い様、かな。分かってくれる人がいるって、すごく心強いよね」
二人は盛大にため息をついた後、大浴場へ共に向かうことにしたのだった。
Ⅱ
葵羽はカイルが戻ってくる前に、シークとセレストを洗い、自分もシャワーを浴びる。
……さすがに、カイルも気を遣ったんだろうな。
いくら葵羽が男の振る舞いをしていようが、性別はれっきとした女性である。カイルもそれを分かっていて、わざわざ戻る時間を伝えたのだろう。
だが、やはり大浴場は入りたいよな。……そんなに、俺が行くと問題なのだろうか。
葵羽は考えてみたが、最終的に答えは出ないままだった。着替えを済まして、髪を拭く。自身の髪を拭きながら、いまだに湿っているセレストの毛を拭いてやった。
セレストは狼に似ているフェンリルだからか、濡れた毛をふるふると振って水分を飛ばした。シャワールームでは、散々濡らされたものだった。自分がシャワーを浴びなくてもいいぐらいに水をかけられて、おいおいと呆れてしまったのは、つい先程のこと。
さすがに部屋では駄目だと教えこみ、セレストは忠実にそれを守ってはいるが、濡れているのが気にはなっているらしい。葵羽が拭いてやっているが、中々乾かなかった。
シークはドラゴンだからか、水分をものともせず、すっかり乾いている。鱗が綺麗になって、輝いていた。葵羽の肩に乗って、今は安心しきっている。
俺の髪も中々乾かねえし、セレストもずっと気にしているから乾かしてやりたいんだが……。ドライヤー、らしき物がねえんだよなあ。
葵羽は考え込む。部屋を散々探し回ってみたが、それらしいものはなかった。
自分の髪も中々の長さを保っているため、乾きにくい。ドライヤーで乾かせていた、自分の世界は便利だったんだな、と改めて思い知る。
いっその事、魔法でなんとかできるのか?
だんだん魔法を便利道具扱いしている感じもするが、さっさと乾かすにはそれが一番だと思った。それに、冬景色には乾かす機能なんてないし、シークだと燃える可能性が高い。
やるだけ、やってみるか……。どうにもならなかったら、次を考えよう。
葵羽は次に、魔法に適した言葉を考えることにした。
万が一にでも、宿を破壊することになっては困る。あまり強くなく、それでも乾くような言葉がいい。風が起きる魔法――。
葵羽は自身の髪に、右手を翳した。とりあえず、どうなるか分からないため、自分が実験台となることにしたのだ。セレストを傷つけることになるよりは、マシだと思った。
「――そよ風」
葵羽は魔法を発動する。すると、自身の髪に向かって風が吹いた。強くもなく、弱くもなく、ちょうどいい風は、しっかりと自分の髪を乾かしてくれた。ものの数分で終わる。
「お、これいいな」
葵羽はセレストに向けて、手を翳す。同じように魔法を発動し、セレストの毛を乾かしてやる。先程まで苦戦して拭いていたのが嘘のように、こちらも数分で乾いた。
「乾いたな。どうだ、セレスト」
確認してみれば、セレストは嬉しそうに鳴く。葵羽は口元を緩め、わしゃわしゃと撫でてやった。それを見たシークも、自分もと言うように、葵羽に擦り寄ってきた。
二匹を撫でていれば、部屋の扉が開く。カイルが戻ってきたようで、髪を拭きながら入ってきた。
「ただいまー。あれ、なんか楽しそうだね」
「おかえり。カイルも乾かしてやろうか?」
「何の話?」
それから少し会話を繰り広げた後、日頃の疲れもあってか、皆早くに就寝したのであった。
Ⅲ
結局、葵羽もカイルも、昼頃まで眠ってしまっていた。
スカーレットはヴァンパイアということもあって、まだ起きてくる気配は無い。
葵羽はカイルと共に、街に繰り出した。備品等を補充するために、買い物をして回る。途中、カイルがありとあらゆる酒を購入するため、葵羽が止めに入ったのは、余談である。
宿に戻って、日が暮れるのを待っていれば、日が沈んだ頃にスカーレットが起きてきた。葵羽たちの部屋を訪れた彼女は、大きな欠伸をしている。その姿に思わず葵羽はカイルと顔を見合せて苦笑してしまった。
全員揃ったところで、冒険者ギルドへ向かう。すでに、宿の主人から場所を聞いていたカイルが先導し、教えてもらった道をゆっくりと歩いた。
迷うことなくすんなり到着した葵羽たちは、ギルドの中へと入っていく。中はだいぶ賑やかであった。
葵羽は受付の女性に歩み寄り、声をかける。
「すまない、任務の依頼を受けたいんだが」
「分かりました。まずは登録を――」
葵羽は女性の指示通りに登録作業を行う。続けて、カイル、スカーレットが作業を行っていれば、視線が集まっていることに気がつく。視線が自分たちに刺さるため、葵羽は警戒心を強くした。セレストが足元に寄ってくる。シークは彼女の肩の上で、キョロキョロと周囲を見渡していた。
……まあ、そりゃそうか。
何せ、メンバーが濃い。ドラゴンがいて、フェンリルがいる。一見、見ただけでは分からないが、スカーレットだってヴァンパイアだ。そして、見るからに美人なため、目立ってもおかしくはない。
葵羽は一つ息をついて、足元に擦り寄ってきたセレストを撫でてやる。おそらく、落ち着かないのだろう。セレストは彼女の手にすり、と頭を擦り寄せる。
すると、そこに近づいてくる足音が聞こえてきた。
葵羽は視線を音のするほうへと向ける。見れば、何人か男が歩いてくるのが見えた。
「おもしれえ、パーティだな」
「……まあな」
話しかけられた葵羽は、短く答える。
デジャブってやつか。この世界に来て、こんな奴らばっかりだな。
体格の良い男たちばかりだ。武器を背中や腰に携えている。
……冒険者、だろうな。
葵羽が警戒しながら考えていれば、久しぶりに刀の声が頭に届く。
――気をつけろよ、葵羽。
葵羽は人目があるため、胸中で返答した。
分かっている。
男たちが少しずつ距離を詰めてくるのをじっと見つめた。彼らの視線は自分に向いていない。見ているのは、シークやセレスト、それからスカーレットであった。
すでに左手は冬景色に触れていた。親指で鍔を押す。彼らの視線を見て、舌打ちしたい気持ちを押さえ込んだ。
「そう警戒すんなって。で、あの美人な姉ちゃんは、あんたの仲間かい?」
「ドラゴンに、フェンリルまでいやがる!」
「すげえな……。これは良いぜ!」
男たちは口々に告げた。にやにやした笑いが、視界に入る。下卑た笑いだと思った。
葵羽の目は、自然と細くなる。
「葵羽、終わったぞ」
背後から、スカーレットの声が届いた。葵羽は視線を逸らすことなく、短く返答する。
「ああ」
その声に、カイルとスカーレットも何かを感じ取ったらしい。男たちの動きを、じっと見ている。緊迫した空気が、彼らを包み込んだ。
男たちはスカーレットに声をかける。すでに、近くにいる葵羽には、興味を無くしたらしい。葵羽の横を通り過ぎる。
「なあなあ、姉ちゃん。俺たちのパーティに入らねえか?」
「可愛がってやるぜー」
「……何を言っている、貴様ら。私は葵羽の元にいると決めたのだ」
「つれねーなあ」
スカーレットの目も細まる。今にでも獲物を狩りそうな、紅き瞳が輝いた。
だが、それよりも早くに男とスカーレットの間に葵羽が入り込む。スカーレットを隠すように、立ち塞がった。
「……悪いけど、俺の仲間に手を出すの、やめてくれねえか?」
「あ゙あ゙!?」
「てめえに用はねえんだよ!」
「そのフェンリルとドラゴンも寄越しやがれ!」
「……嫌な冒険者だな。シーク、セレスト!」
葵羽は苛立ちを覚える。言葉を吐き捨てるように言ったあと、二匹の名前を呼んだ。
男が葵羽の胸ぐらを掴もうと伸ばした手を掴み、そのまま放り投げる。
セレストに伸ばされた手は、セレストががぶりと噛み付いた。噛み付かれた男は、痛みで悲鳴をあげる。
シークは伸ばされた手を避け、盛大に火を吹いていた。また一つ、悲鳴が上がった。
葵羽は他の男たちを、舞を舞うかのように一人一人倒していく。一人を蹴りあげ、一人に手刀を下ろし、宙を舞って、最後の男にかかと落としを決める。
ものの数分で決着が着いた。
すたっと降り立った葵羽の足元に、セレストが戻ってくる。シークは、葵羽の肩に乗った。
叩きのめした男たちへ、葵羽は静かに告げる。
「一つ、忠告しておくぞ。――俺の仲間に、手え出すんじゃねえ。次は、こんなもんじゃあ済まねえぞ」
葵羽はそれから見ていた周囲の人々を、ぐるりと見渡す。その視線は鋭く、見られた人々の口からは、勝手に「ひっ」と小さく悲鳴が出てきた。
葵羽は気にせずに、鋭い視線のまま告げる。
「――てめえらもだ。全員、よく覚えておけ。ここにいる美人な女性も、優しい青年も、勇ましいドラゴンも、美しいフェンリルも、全員俺の仲間だ。手え出すんじゃねえ。その時は、――覚悟しろ」
葵羽はぎろりと睨んだ。全員が大人しくなったところで、ばさりと外套を翻す。カイルたちを連れて、依頼の張っている掲示板へと歩んで行った。
その後、いくつかの依頼を手にした彼らは、ギルドを颯爽と去っていったのであった。
Ⅳ
葵羽は苛立ったまま、歩いていた。勝手気ままに、仲間のことを語られたのが納得いかない。自分が何を言われたところでどうでもいいが、せっかくこの世界に来て出来た仲間をあれこれ言われるのは、我慢ならなかった。
そんな中、突如カイルとスカーレットの足が止まる。その音に気がついた葵羽は、振り返った。横に並んで歩いていたセレストも、同じように振り返る。シークは、葵羽の肩の上で首だけを動かした。
「どうした、二人とも」
葵羽の問いかけに、二人は答えない。葵羽は首を傾げつつ、少し戻った。二人に近づいていけば、急にカイルの口から長いため息が聞こえてくる。何事かと驚きを隠せない葵羽は、カイルをじっと見つめた。カイルはそのまましゃがみこむ。両手で顔を覆った。
よく見れば、スカーレットもしゃがみこんではいないものの、両手で顔を覆っている。
体調が悪いわけではなさそうだが、と思っていた葵羽の耳に届いたのは、カイルの力の無い声だった。
「……もうー、葵羽はー……」
「……何だよ」
「そういう所だよ、本当……」
「はあ?」
葵羽の間の抜けた声が口から出てくる。それから何も言わなくなった彼らに向かって、葵羽は一つ息をつくと言葉を紡ぎ始めた。
「……俺の仲間に手え出そうとする、奴らが悪い。それに、この世界の冒険者は、なんか柄が悪すぎる。会う奴、会う奴あんな感じで、胸糞悪いぜ。――俺の仲間に、手なんか出させるかよ。大事なんだからな、お前らのこと」
葵羽がそう言えば、カイルもスカーレットも何も言わなかった。しかし、隠せていない耳が真っ赤で、葵羽の視界にそれはしっかりと映っている。
葵羽はそれを見たら、少しだけ気分が良くなった。先程の苛立ちが緩和されていくことが分かる。思わず、くすりと笑ってしまった。
「――俺の仲間は、可愛い奴らばかりだな。自慢したくなるぜ」
そう告げれば、間髪入れずにカイルが目の前で叫んだ。覆っている顔は、そのままだったため、表情は分からなかった。
「……もう、本っ当に、そういうところおおおお!」
「……葵羽は、私を殺すつもりなのか……!」
「んなわけねえだろう。ほら、明日から任務こなすんだから、さっさと帰ろうぜ」
葵羽は二人に声をかけて、歩き出す。ふと思い出して、「飯食ってくかー」と機嫌良く続けて告げる。顔を覆っていた二人は、慌てて彼女の後を追いかけた。
明日からは、任務をこなして、全員の力量を各々が測ることになるだろう。
……まあ、こいつらとなら、大丈夫だろうな。
葵羽はそう思った。それに返すのは、あれからずっと黙っていた冬景色だ。
――葵羽。私もそろそろ暴れたいぞ。
まあ、考えておくよ。
それには、簡単に返しておく。冬景色が抗議の声を上げるが、それ以上相手にはしなかった。
背後で二人の声が響く。耳に届く心地の良い声たちに、葵羽は笑みを深くするのであった。
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