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第一三章 ストーカー問題、再来
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Ⅰ
スカーレットと名乗ったヴァンパイアの女性と別れて、早四日。
葵羽たちはようやく次の街へ到着した。
葵羽とカイルは街の中をゆっくりと歩く。葵羽の肩にはシークがいて、腰に控えるのは冬景色、横ではセレストが歩いている。
目立つ一行なわけで、街の人からは不思議そうに視線が向けられる。
シークも、セレストも街の住人に威嚇することはないが、視線を受けて不思議そうに首を動かしていた。
「……目立ってるな」
「あー、まあねー。タイニードラゴンに、パックフェンリル、それに葵羽がいれば、ね」
「俺は普通の人間なんだが」
「そういうことじゃあ、ないんだけどね……」
カイルは街に着いたというのに、地図を見ている。街の中は、地図に乗っていないが、どの街に着いたのか、カイルは説明してくれた。
この街は、今まで立ち寄った街より小さいらしく、シオクラ街というらしい。なんでも、雲海が見えるらしい。ごく稀に見れるとのことで、雲海を見れた者は、この一年幸運に恵まれると言われているようだ。観光目的で訪れた者も、必ず見られたわけではないらしい。
「雲海、か……」
葵羽も見たことはない。それは、この世界での話だけではない。葵羽のいた世界でも、見たことはなかった。
幸運、ね……。
――何か、気になることでもあるのか。
気になったのか、冬景色が葵羽に問いかけてくる。
葵羽は小さく首を振った。そのまま、胸中で呟く。
言い伝えなんぞに興味はない。自分で幸運は引き寄せるつもりだ。だが、気になる、という点では、別のことが気になっているな……。
葵羽は後方をちらりと見る。壁の影に隠れている人物の視線が自分に向けられていることに、気がついていた。
その言葉に、冬景色が感心するように返答する。
――ほう、気がついていたか。
さすがにそろそろ気がつくようにはなるだろ。
最近、人の気配やら、視線やら、何となく分かるようになってきていた。カイルの時はまだ、気配だのなんだのはよく分からず、全然気が付かなかった。なんだかんだとこの世界で過ごすうちに、気が抜けない状況になるたびに、少しずつ感じ取れるようになったらしい。
「……あー、仕方ねえな」
「葵羽? どうしたの?」
カイルが不思議そうに声をかけてくる。葵羽は少しカイルに近づくと、こそりと耳打ちする。
「……カイル、逃げるぞ」
「へ? 何から?」
「セレスト、カイルを背に乗せて走れ」
葵羽がセレストに指示を出せば、セレストは返事をするようにひと鳴きする。セレストはカイルを背に乗っけると、荒々しく乗せられた彼は「うわあっ!?」と大声を上げて騒いでいる。そのまま、セレストは走り出した。
それを見届けた葵羽は、今度はシークに声をかける。
「シーク、しっかり掴まってろよ」
シークも嬉しそうにひと鳴きした。葵羽は足に力を入れる。すぐに魔法を発動した。
「――加速」
葵羽は一気に加速する。街の人々に当たらないように、「跳躍」の魔法を駆使して、避けていく。セレストに追いついた葵羽は、セレストを追い越して角を曲がる。
「セレスト、こっちだ」
セレストを呼べば、セレストは「分かった」と言わんばかりにひと鳴きした。それから、葵羽の後をついてくる。セレストの背に乗っているカイルは、あわあわしながら、振り落とされないようにしっかりとしがみついている。
裏の路地をしばらく走る。後ろから、足音が近づいてきているのを、察知した。
しばらく走った後、角を曲がってすぐに足を止める。葵羽の背後に、セレストは回った。
相手が追いかけてきて、角を曲がったところで、鉢合わせする。
葵羽は相手と対峙した。
Ⅱ
葵羽は相手を見据えて、声をかける。相手の顔は、フードに隠れていて、見えていない。
「……アンタは、誰だ?」
葵羽の問いかけに、相手は答えない。だが、葵羽は相手の予想がついていた。
「アンタだろ? スカーレット」
今まで目を回していたカイルが、急にはっと我に返る。
「へっ!? スカーレットさん!? というか、葵羽、俺だいぶというかかなりやばかったんだけど! ねえ、どういうこと!? というか、なんだっていうの!?」
「お前、元気になった瞬間、やかましいな、カイル」
葵羽はため息をつく。カイルは納得いかないとばかりに、反論した。
「そもそも、葵羽が急に逃げ始めたのが原因でしょ!? 言ってくれれば――」
「セレスト、街を一周してきていいぞ」
「うわあっ、ごめん、ごめん! もう嫌、勘弁して!」
面倒になった葵羽は、セレストに指示を出す。嬉しそうに走り始めるセレストを、カイルは引っ張る。これ以上、走り回されるのは勘弁してほしいらしい。
葵羽はセレストにストップを命じた。しょんぼりと尻尾を垂らしたセレストを撫でてやり、背から下りたカイルを見る。
カイルは口を尖らせていた。
「もう、葵羽ちゃんの横暴ー」
「ちゃん付けはよせ」
「で、本当にスカーレットさんなの?」
「そうだと思うぜ。別れてからずっと、視線を感じていたしな。理由はいくつかあるが」
「あれ? そうなの?」
葵羽の言葉に不思議そうに返すカイル。葵羽が頷いて見せれば、「へー」と言いながら驚いている。彼は気がついていなかったようだ。
裏の路地で日陰になっている。相手は、フードをぱさりと取った。
やはり、相手はスカーレットであった。葵羽をしっかりと見据えた。
「何故、気がついていたにもかかわらず、今まで声をかけなかった」
「スカーレットだと気がついたのは、少し前だ。昼間はずっと日陰でフード被っていたし、夜は行動範囲が広かったようだったからな。やたらと夜にガサガサと音がするから、セレストは気になって仕方がなかったようだ。ずっとうろうろしていたんだぞ」
セレストは音に敏感なようで、少しの物音でもすぐに起きてくる。ここ数日はやたらと森の中で音がしていたからか、あまり眠れなかったらしく、夜中にうろうろ、そわそわとしていた。
あまりにうろつくから、葵羽は気になってしまった。呼んでからしばらく撫で続けていれば、やっと安心したのか眠ったのである。それがここ数日続いていて、セレストは少し眠たそうであった。
セレストは少し彼女の匂いを覚えていたらしい。グルル……と少し唸った。葵羽はそれを窘める。
「こら、セレスト。女性と子どもに唸るのはよせ。あと、年配の方な」
「えー、それ俺は入らないじゃん。唸られてもやだよー」
葵羽の言葉に、カイルが不服な顔でブーイングしてくる。それに対して、葵羽は意地悪く返してやった。
「該当してるだろ」
「どれに?」
「子ども」
「酷い!」
くっくっくと笑う葵羽と、文句を言い続けているカイルに、第三者の声が届く。
「人を放っておくな、貴様ら!」
完全に置いてけぼりを食らったスカーレットが、二人に食ってかかる。
葵羽は視線を彼女に戻した。じっと見つめる。
スカーレットはその視線を受けて、言葉に詰まる。彼女の好きな視線だ。その視線が自分を見ているものと思えば、自ずと言葉に詰まってしまった。
彼女の代わりに、葵羽は言葉を紡ぐ。
「で、俺たちをつけてたんだろ? 諦めてねえってことか」
「し、仕方ないだろうっ! 葵羽を、私は気に入ったわけだし……。と言っても、少しだけだからな!」
「分かった、分かった」
葵羽はため息をついた。
正直に言えば、スカーレットが行っていることも、ストーカー行為に該当しそうである。早々にやめて欲しいが、真実を伝えれば、また怒って去ってしまうかもしれない。
カイルとは性格が違いすぎるしな……。
頭をがしがしと掻く葵羽をよそに、カイルはスカーレットに声をかけた。
Ⅲ
「ね、結局、スカーレットさんは葵羽の血が飲みたいだけ?」
「そ、れは……」
「……なんだ、違うのか?」
葵羽の予想とは反した答えが彼女から出てきて、首を傾げた。てっきり、自分の血が飲みたくて、ここまで追いかけてきたのだと思っていたのである。
だが、どうやら違うらしい。
もじもじとしている彼女を見て、カイルはふむふむと頷いた。見当がついているようだった。
「……葵羽関係かー」
「……俺?」
「鈍感な葵羽はちょっと黙っててねー。ややこしくなるだろうから」
「……セレストー」
「ちょっと、葵羽。気に入らないからって、セレストを使うのやめて!」
葵羽はカイルの言葉を聞いて、セレストを呼ぶ。何か企んでいることを悟ったカイルは、すぐに止めた。
葵羽は納得いかないと思いつつ、目の前に来たセレストをもふもふと触り始める。
……俺って、鈍感なのか?
セレストを撫でながら、葵羽が思えば、それにすぐ返答してくる冬景色。
――鈍感だろうな。
黙ってろ、冬景色。
葵羽も怒りを顕に、間髪入れずに返答した。
肩に乗っていたシークをセレストの背に乗せ、二匹とも撫でる。
その間にも繰り広げられる二人の会話に、葵羽は耳を澄ました。
「スカーレットさん、やっぱり葵羽の傍にいたいんだねー」
「ち、ちがっ……! 私は、別に――」
「えー、間違ってないんでしょ? 別に、葵羽は怒んないと思うよー」
「だ、だから、違うと言って――」
「照れない、照れない」
スカーレットの言葉をまったく聞いてないカイルは、のほほんと返答している。
葵羽はそれを聞きながら、首を傾げた。
……そういうこと、なのか?
葵羽は聞いていたが、理解することはできなかった。そこまでスカーレットが、自分に気があると思っていないのである。一時の気の迷いではないのか、と本気で思っていた。
だが、これ以上仲間が必要かと言われれば、そうではない。葵羽はここまで仲間が揃ってくれて、もう満足していた。
戦闘能力でいえば、シークやセレスト、サポートに関してはカイルがいる。万能な冬景色もいて、しっかりとチーム体制が出来ていると思っていた。
……元々、仲間探しの旅ではなかったしな。
冬景色を封印する方法を探し求めて始めた旅。まだその目的は、達成するどころか、手がかりすら見つけられていない。
……それに、女性を危険な目に遭わすのもなあ。
自分が「女性」であることは、完全に忘れている。葵羽はそんなことには一切気が付かずに、考えながらセレストとシークを撫で続けた。
カイルとスカーレットの会話は一区切りついたようだが、これからどうするかと悩む。
そんな中、カイルはスカーレットへ次のことを教えていた。
「とりあえず、スカーレットさん。葵羽はストーカーが嫌いみたいだから、やめたほうがいいよ」
「……あー、カイル待て」
「? 『すとーかー』、とはなんだ?」
スカーレットも「ストーカー」を知らなかったらしい。不思議そうに聞き返している彼女へカイルは説明している。
葵羽の言葉は届かず、頭を抱えた。この後の展開が読めた気がする。
顔を真っ赤にして、涙目なスカーレットは、来た道を駆けて戻って行ってしまった。逃走してしまったのである。
カイルは「あれ?」と首を傾げて、彼女が去ったほうを呆然と見つめていた。
「どうしたんだろ? スカーレットさん」
「……お前なー、人に鈍感だなんだと言う割には、女心が分かってねえんだよ」
葵羽はため息混じりに言葉を紡いだ。カイルからは、「酷い!」と声が上がる。
葵羽は歩み始めた。その肩に、シークが飛び乗る。
「セレスト、カイルと一緒にいてくれ。カイル、宿を探しておいてくれるか」
「え? うん、分かった」
「人数、間違えんなよ」
葵羽は一度足を止め、振り返る。カイルにふっと笑って見せた。
「女性が二人に、男性が一人、ドラゴンとフェンリルが一匹ずつ、だぜ」
Ⅳ
スカーレットは無我夢中で走り続けていた。カイルに、「ストーカー」の意味を教えてもらってから、恥ずかしくて仕方がない。
私は、なんてことを……!
スカーレットは元来た道を駆けて行く。人混みの中に戻ろうとした。
だが、曲がり角で人にぶつかってしまった。
人間の集団であった。男性が五人に、女性が二人である。あまり雰囲気の良くなさそうな彼らに、スカーレットは眉を寄せた。
短く謝罪の言葉を述べ、フードを被って離れようとする。だが、それよりも早くに男の一人に腕を掴まれた。
「! 何をする!」
「おいおい、それだけで去ろうとすんなよ」
「おー、美人。こんなところで一人か?」
「やーだ、さっさと行こうよー」
「待てって、楽しそうだろうが」
会話の内容に嫌気がさす。スカーレットは腕を振り払おうとした。ヴァンパイアの自分では、力を加減しないと、人に怪我をさせてしまう。そのため、少し加減したのだが、男の腕の力は意外と強く、振り解けない。
こんなところで、大事にしたくはない。
人の目がつきそうな場所だ。裏の路地とはいえ、大通りが近い。ヴァンパイアと知られて、何が起こるかは分からないからだ。正直に言えば、葵羽は例外なのである。
「……っ! 離せ!」
「暴れんなって、悪いようにはしねえからさー」
そんな二人の間に、一人の人物がするりと入る。男の腕をぱしっと掴んで、離さない。その人物は、スカーレットを庇うように立ちはだかった。
スカーレットは目を見開く。
「あ、おは……」
「なんだ、てめえ!」
男が大声をあげる中、葵羽は飄々と返した。
「悪いな、俺の連れなんだ。……探したぜ、帰るぞ」
「ちょっと待てや!」
葵羽は目の前の男がもう片方の手を出してくるのを避ける。それから、男の腕を掴んでいる手にぎりっと力を込めてやる。痛みで男がスカーレットの手を離す。そのまま、葵羽は投げ飛ばしてやる。
「……女に手え出す癖、やめたほうがいいぜ」
葵羽はスカーレットを連れて去ろうとする。だが、集団の中にいた女性二人が葵羽に近づいた。
「やだー、かっこいい」
「私たちと遊びましょ?」
だが、葵羽は目を細めただけであった。
「悪いが、興味ねえ」
「……! 何よ、ちょっと顔がいいからって――」
「見た目で判断するアンタたちより、こいつのが断然いいってーの」
葵羽はぎろりと睨んでやる。女たちは怯んだ。男の一人が下卑た笑いをした。
「結局、美人がいいんじゃねえか」
「想像力が乏しいな」
葵羽ははっと笑ってやる。男たちの集団はカチンときたようだ。葵羽は自分の背後にいるスカーレットをちらりと見る。彼女の視線と、交わった。
「――一途に俺を想ってくれる奴のがいいって言ってんだよ。きっかけが顔だろうが、姿だろうが、それでも気に入って一途に想ってくれる奴がいるってことは、嬉しいだろう。しかも、ちゃんと中身を見てくれてるんだ。そういう奴のが大事にしてえって思うだろ」
葵羽はスカーレットに笑いかける。
「ま、ちょっと行動力がありすぎるがな」
その言葉に、スカーレットは頬を染める。顔を俯かせる彼女を見てから、視線を男たちに戻す。
「この――!」
二人目の男が殴りかかってくるのを払い、蹴飛ばす。三人目の男が掴みかかってきた腕を逆に捕らえて、地にはっ倒す。残りの相手は、怯んで動けなくなった。
葵羽はぎろりと睨む。
「――俺の女だって言えば、満足か? さっさと去りな。それとも、まだやるか?」
葵羽は冬景色の鍔を親指で押す。刀特有の鞘と擦れる音が響く。その音に、彼らは我先にと逃げ出した。伸びていた男たちも回収されていく。
誰もいなくなったのを確認し、スカーレットに向き直る。
「大丈夫か? 怪我してねえか」
「あ、ああ……」
「カイルが宿を取ってくれている。とりあえず、向かうぞ。話はそこでな」
葵羽は歩き始めた。
呆然としていたスカーレットは、我に返ると、彼女の後を追いかけたのであった。
スカーレットと名乗ったヴァンパイアの女性と別れて、早四日。
葵羽たちはようやく次の街へ到着した。
葵羽とカイルは街の中をゆっくりと歩く。葵羽の肩にはシークがいて、腰に控えるのは冬景色、横ではセレストが歩いている。
目立つ一行なわけで、街の人からは不思議そうに視線が向けられる。
シークも、セレストも街の住人に威嚇することはないが、視線を受けて不思議そうに首を動かしていた。
「……目立ってるな」
「あー、まあねー。タイニードラゴンに、パックフェンリル、それに葵羽がいれば、ね」
「俺は普通の人間なんだが」
「そういうことじゃあ、ないんだけどね……」
カイルは街に着いたというのに、地図を見ている。街の中は、地図に乗っていないが、どの街に着いたのか、カイルは説明してくれた。
この街は、今まで立ち寄った街より小さいらしく、シオクラ街というらしい。なんでも、雲海が見えるらしい。ごく稀に見れるとのことで、雲海を見れた者は、この一年幸運に恵まれると言われているようだ。観光目的で訪れた者も、必ず見られたわけではないらしい。
「雲海、か……」
葵羽も見たことはない。それは、この世界での話だけではない。葵羽のいた世界でも、見たことはなかった。
幸運、ね……。
――何か、気になることでもあるのか。
気になったのか、冬景色が葵羽に問いかけてくる。
葵羽は小さく首を振った。そのまま、胸中で呟く。
言い伝えなんぞに興味はない。自分で幸運は引き寄せるつもりだ。だが、気になる、という点では、別のことが気になっているな……。
葵羽は後方をちらりと見る。壁の影に隠れている人物の視線が自分に向けられていることに、気がついていた。
その言葉に、冬景色が感心するように返答する。
――ほう、気がついていたか。
さすがにそろそろ気がつくようにはなるだろ。
最近、人の気配やら、視線やら、何となく分かるようになってきていた。カイルの時はまだ、気配だのなんだのはよく分からず、全然気が付かなかった。なんだかんだとこの世界で過ごすうちに、気が抜けない状況になるたびに、少しずつ感じ取れるようになったらしい。
「……あー、仕方ねえな」
「葵羽? どうしたの?」
カイルが不思議そうに声をかけてくる。葵羽は少しカイルに近づくと、こそりと耳打ちする。
「……カイル、逃げるぞ」
「へ? 何から?」
「セレスト、カイルを背に乗せて走れ」
葵羽がセレストに指示を出せば、セレストは返事をするようにひと鳴きする。セレストはカイルを背に乗っけると、荒々しく乗せられた彼は「うわあっ!?」と大声を上げて騒いでいる。そのまま、セレストは走り出した。
それを見届けた葵羽は、今度はシークに声をかける。
「シーク、しっかり掴まってろよ」
シークも嬉しそうにひと鳴きした。葵羽は足に力を入れる。すぐに魔法を発動した。
「――加速」
葵羽は一気に加速する。街の人々に当たらないように、「跳躍」の魔法を駆使して、避けていく。セレストに追いついた葵羽は、セレストを追い越して角を曲がる。
「セレスト、こっちだ」
セレストを呼べば、セレストは「分かった」と言わんばかりにひと鳴きした。それから、葵羽の後をついてくる。セレストの背に乗っているカイルは、あわあわしながら、振り落とされないようにしっかりとしがみついている。
裏の路地をしばらく走る。後ろから、足音が近づいてきているのを、察知した。
しばらく走った後、角を曲がってすぐに足を止める。葵羽の背後に、セレストは回った。
相手が追いかけてきて、角を曲がったところで、鉢合わせする。
葵羽は相手と対峙した。
Ⅱ
葵羽は相手を見据えて、声をかける。相手の顔は、フードに隠れていて、見えていない。
「……アンタは、誰だ?」
葵羽の問いかけに、相手は答えない。だが、葵羽は相手の予想がついていた。
「アンタだろ? スカーレット」
今まで目を回していたカイルが、急にはっと我に返る。
「へっ!? スカーレットさん!? というか、葵羽、俺だいぶというかかなりやばかったんだけど! ねえ、どういうこと!? というか、なんだっていうの!?」
「お前、元気になった瞬間、やかましいな、カイル」
葵羽はため息をつく。カイルは納得いかないとばかりに、反論した。
「そもそも、葵羽が急に逃げ始めたのが原因でしょ!? 言ってくれれば――」
「セレスト、街を一周してきていいぞ」
「うわあっ、ごめん、ごめん! もう嫌、勘弁して!」
面倒になった葵羽は、セレストに指示を出す。嬉しそうに走り始めるセレストを、カイルは引っ張る。これ以上、走り回されるのは勘弁してほしいらしい。
葵羽はセレストにストップを命じた。しょんぼりと尻尾を垂らしたセレストを撫でてやり、背から下りたカイルを見る。
カイルは口を尖らせていた。
「もう、葵羽ちゃんの横暴ー」
「ちゃん付けはよせ」
「で、本当にスカーレットさんなの?」
「そうだと思うぜ。別れてからずっと、視線を感じていたしな。理由はいくつかあるが」
「あれ? そうなの?」
葵羽の言葉に不思議そうに返すカイル。葵羽が頷いて見せれば、「へー」と言いながら驚いている。彼は気がついていなかったようだ。
裏の路地で日陰になっている。相手は、フードをぱさりと取った。
やはり、相手はスカーレットであった。葵羽をしっかりと見据えた。
「何故、気がついていたにもかかわらず、今まで声をかけなかった」
「スカーレットだと気がついたのは、少し前だ。昼間はずっと日陰でフード被っていたし、夜は行動範囲が広かったようだったからな。やたらと夜にガサガサと音がするから、セレストは気になって仕方がなかったようだ。ずっとうろうろしていたんだぞ」
セレストは音に敏感なようで、少しの物音でもすぐに起きてくる。ここ数日はやたらと森の中で音がしていたからか、あまり眠れなかったらしく、夜中にうろうろ、そわそわとしていた。
あまりにうろつくから、葵羽は気になってしまった。呼んでからしばらく撫で続けていれば、やっと安心したのか眠ったのである。それがここ数日続いていて、セレストは少し眠たそうであった。
セレストは少し彼女の匂いを覚えていたらしい。グルル……と少し唸った。葵羽はそれを窘める。
「こら、セレスト。女性と子どもに唸るのはよせ。あと、年配の方な」
「えー、それ俺は入らないじゃん。唸られてもやだよー」
葵羽の言葉に、カイルが不服な顔でブーイングしてくる。それに対して、葵羽は意地悪く返してやった。
「該当してるだろ」
「どれに?」
「子ども」
「酷い!」
くっくっくと笑う葵羽と、文句を言い続けているカイルに、第三者の声が届く。
「人を放っておくな、貴様ら!」
完全に置いてけぼりを食らったスカーレットが、二人に食ってかかる。
葵羽は視線を彼女に戻した。じっと見つめる。
スカーレットはその視線を受けて、言葉に詰まる。彼女の好きな視線だ。その視線が自分を見ているものと思えば、自ずと言葉に詰まってしまった。
彼女の代わりに、葵羽は言葉を紡ぐ。
「で、俺たちをつけてたんだろ? 諦めてねえってことか」
「し、仕方ないだろうっ! 葵羽を、私は気に入ったわけだし……。と言っても、少しだけだからな!」
「分かった、分かった」
葵羽はため息をついた。
正直に言えば、スカーレットが行っていることも、ストーカー行為に該当しそうである。早々にやめて欲しいが、真実を伝えれば、また怒って去ってしまうかもしれない。
カイルとは性格が違いすぎるしな……。
頭をがしがしと掻く葵羽をよそに、カイルはスカーレットに声をかけた。
Ⅲ
「ね、結局、スカーレットさんは葵羽の血が飲みたいだけ?」
「そ、れは……」
「……なんだ、違うのか?」
葵羽の予想とは反した答えが彼女から出てきて、首を傾げた。てっきり、自分の血が飲みたくて、ここまで追いかけてきたのだと思っていたのである。
だが、どうやら違うらしい。
もじもじとしている彼女を見て、カイルはふむふむと頷いた。見当がついているようだった。
「……葵羽関係かー」
「……俺?」
「鈍感な葵羽はちょっと黙っててねー。ややこしくなるだろうから」
「……セレストー」
「ちょっと、葵羽。気に入らないからって、セレストを使うのやめて!」
葵羽はカイルの言葉を聞いて、セレストを呼ぶ。何か企んでいることを悟ったカイルは、すぐに止めた。
葵羽は納得いかないと思いつつ、目の前に来たセレストをもふもふと触り始める。
……俺って、鈍感なのか?
セレストを撫でながら、葵羽が思えば、それにすぐ返答してくる冬景色。
――鈍感だろうな。
黙ってろ、冬景色。
葵羽も怒りを顕に、間髪入れずに返答した。
肩に乗っていたシークをセレストの背に乗せ、二匹とも撫でる。
その間にも繰り広げられる二人の会話に、葵羽は耳を澄ました。
「スカーレットさん、やっぱり葵羽の傍にいたいんだねー」
「ち、ちがっ……! 私は、別に――」
「えー、間違ってないんでしょ? 別に、葵羽は怒んないと思うよー」
「だ、だから、違うと言って――」
「照れない、照れない」
スカーレットの言葉をまったく聞いてないカイルは、のほほんと返答している。
葵羽はそれを聞きながら、首を傾げた。
……そういうこと、なのか?
葵羽は聞いていたが、理解することはできなかった。そこまでスカーレットが、自分に気があると思っていないのである。一時の気の迷いではないのか、と本気で思っていた。
だが、これ以上仲間が必要かと言われれば、そうではない。葵羽はここまで仲間が揃ってくれて、もう満足していた。
戦闘能力でいえば、シークやセレスト、サポートに関してはカイルがいる。万能な冬景色もいて、しっかりとチーム体制が出来ていると思っていた。
……元々、仲間探しの旅ではなかったしな。
冬景色を封印する方法を探し求めて始めた旅。まだその目的は、達成するどころか、手がかりすら見つけられていない。
……それに、女性を危険な目に遭わすのもなあ。
自分が「女性」であることは、完全に忘れている。葵羽はそんなことには一切気が付かずに、考えながらセレストとシークを撫で続けた。
カイルとスカーレットの会話は一区切りついたようだが、これからどうするかと悩む。
そんな中、カイルはスカーレットへ次のことを教えていた。
「とりあえず、スカーレットさん。葵羽はストーカーが嫌いみたいだから、やめたほうがいいよ」
「……あー、カイル待て」
「? 『すとーかー』、とはなんだ?」
スカーレットも「ストーカー」を知らなかったらしい。不思議そうに聞き返している彼女へカイルは説明している。
葵羽の言葉は届かず、頭を抱えた。この後の展開が読めた気がする。
顔を真っ赤にして、涙目なスカーレットは、来た道を駆けて戻って行ってしまった。逃走してしまったのである。
カイルは「あれ?」と首を傾げて、彼女が去ったほうを呆然と見つめていた。
「どうしたんだろ? スカーレットさん」
「……お前なー、人に鈍感だなんだと言う割には、女心が分かってねえんだよ」
葵羽はため息混じりに言葉を紡いだ。カイルからは、「酷い!」と声が上がる。
葵羽は歩み始めた。その肩に、シークが飛び乗る。
「セレスト、カイルと一緒にいてくれ。カイル、宿を探しておいてくれるか」
「え? うん、分かった」
「人数、間違えんなよ」
葵羽は一度足を止め、振り返る。カイルにふっと笑って見せた。
「女性が二人に、男性が一人、ドラゴンとフェンリルが一匹ずつ、だぜ」
Ⅳ
スカーレットは無我夢中で走り続けていた。カイルに、「ストーカー」の意味を教えてもらってから、恥ずかしくて仕方がない。
私は、なんてことを……!
スカーレットは元来た道を駆けて行く。人混みの中に戻ろうとした。
だが、曲がり角で人にぶつかってしまった。
人間の集団であった。男性が五人に、女性が二人である。あまり雰囲気の良くなさそうな彼らに、スカーレットは眉を寄せた。
短く謝罪の言葉を述べ、フードを被って離れようとする。だが、それよりも早くに男の一人に腕を掴まれた。
「! 何をする!」
「おいおい、それだけで去ろうとすんなよ」
「おー、美人。こんなところで一人か?」
「やーだ、さっさと行こうよー」
「待てって、楽しそうだろうが」
会話の内容に嫌気がさす。スカーレットは腕を振り払おうとした。ヴァンパイアの自分では、力を加減しないと、人に怪我をさせてしまう。そのため、少し加減したのだが、男の腕の力は意外と強く、振り解けない。
こんなところで、大事にしたくはない。
人の目がつきそうな場所だ。裏の路地とはいえ、大通りが近い。ヴァンパイアと知られて、何が起こるかは分からないからだ。正直に言えば、葵羽は例外なのである。
「……っ! 離せ!」
「暴れんなって、悪いようにはしねえからさー」
そんな二人の間に、一人の人物がするりと入る。男の腕をぱしっと掴んで、離さない。その人物は、スカーレットを庇うように立ちはだかった。
スカーレットは目を見開く。
「あ、おは……」
「なんだ、てめえ!」
男が大声をあげる中、葵羽は飄々と返した。
「悪いな、俺の連れなんだ。……探したぜ、帰るぞ」
「ちょっと待てや!」
葵羽は目の前の男がもう片方の手を出してくるのを避ける。それから、男の腕を掴んでいる手にぎりっと力を込めてやる。痛みで男がスカーレットの手を離す。そのまま、葵羽は投げ飛ばしてやる。
「……女に手え出す癖、やめたほうがいいぜ」
葵羽はスカーレットを連れて去ろうとする。だが、集団の中にいた女性二人が葵羽に近づいた。
「やだー、かっこいい」
「私たちと遊びましょ?」
だが、葵羽は目を細めただけであった。
「悪いが、興味ねえ」
「……! 何よ、ちょっと顔がいいからって――」
「見た目で判断するアンタたちより、こいつのが断然いいってーの」
葵羽はぎろりと睨んでやる。女たちは怯んだ。男の一人が下卑た笑いをした。
「結局、美人がいいんじゃねえか」
「想像力が乏しいな」
葵羽ははっと笑ってやる。男たちの集団はカチンときたようだ。葵羽は自分の背後にいるスカーレットをちらりと見る。彼女の視線と、交わった。
「――一途に俺を想ってくれる奴のがいいって言ってんだよ。きっかけが顔だろうが、姿だろうが、それでも気に入って一途に想ってくれる奴がいるってことは、嬉しいだろう。しかも、ちゃんと中身を見てくれてるんだ。そういう奴のが大事にしてえって思うだろ」
葵羽はスカーレットに笑いかける。
「ま、ちょっと行動力がありすぎるがな」
その言葉に、スカーレットは頬を染める。顔を俯かせる彼女を見てから、視線を男たちに戻す。
「この――!」
二人目の男が殴りかかってくるのを払い、蹴飛ばす。三人目の男が掴みかかってきた腕を逆に捕らえて、地にはっ倒す。残りの相手は、怯んで動けなくなった。
葵羽はぎろりと睨む。
「――俺の女だって言えば、満足か? さっさと去りな。それとも、まだやるか?」
葵羽は冬景色の鍔を親指で押す。刀特有の鞘と擦れる音が響く。その音に、彼らは我先にと逃げ出した。伸びていた男たちも回収されていく。
誰もいなくなったのを確認し、スカーレットに向き直る。
「大丈夫か? 怪我してねえか」
「あ、ああ……」
「カイルが宿を取ってくれている。とりあえず、向かうぞ。話はそこでな」
葵羽は歩き始めた。
呆然としていたスカーレットは、我に返ると、彼女の後を追いかけたのであった。
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