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第四章 装備と邂逅
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Ⅰ
予想以上の収入が入り、懐が一気に暖かくなった。とりあえず、宿を探し、宿が確定したところで装備を買いに再度街へ繰り出した。
まずは、服と武器、だろうな。
とにかく、制服から変更したい。昼間の出来事の際も、動きにくいと内心でため息をついていたところだった。蹴ることも跳ぶこともしにくいし、これが走るとかになればさらに動きずらいと感じるだろう。それに、男装のほうがやはり楽だ。スカートから解放されたい。
そこに届くは、刀の声。妙に不満げである。
――武器は不要だろう。私がいる。
葵羽はその言葉を胸中で否定した。
いや、小刀とか苦無のような小ぶりの武器が欲しい。今後の役に立つだろうし、お前と組み合わせて使うことが出来る。持っといて損はないはずだ。あとは、旅の道具一式買い揃えておこう。
――私だけで十分だ。
だから、その対抗意識はなんなんだよ。
葵羽の言葉を、つんと無視する冬景色。葵羽はなんだかなあ、と一つ息をついた。
冬景色のことは置いといて、目的地を探し始める。ふと、今更ながらに思ったことがあった。自分でも今頃かとは思う。
胸中で冬景色に話しかけた。名前は呼ばないが、おそらく反応するだろうと予想する。
そういや、俺の言葉、伝わるんだな。記載だって、何も変えてなかったのに。
そうなのだ、異世界と言う割には、簡単に言葉が通じていた。あまりに普通に接してくれるため、違和感を覚えることもなかった。登録書類にも、漢字で記載した。なのに、内容は相手に伝わっていたし、不備もないと言われたのだ。ここまで、一切の苦労を感じていない。
それができるのは、今この場にいる、話し相手ぐらいだろう。
――それは、そうだろう。私がそのようにしといたのだから。
やはりか。
葵羽はそう返したが、内心は疑問が湧いてくるばかりだ。
不思議なのである、この刀は。呪いの刀だと言う割には親切に対応しているし、自分を乗っ取ると言った割にはまだ一度もそんな素振りはない。元々の技を聞いた時は、呪いの刀と呼ばれるに相応しいと思ったが、その刀身は逆刃になっていて、簡単に人が殺せるわけではない。
……こいつは、何者なんだろうか。人ではねえけど。
葵羽はそれを聞こうとはしなかった。冬景色には筒抜けな気もするが、刀も何も言わなかった。
やっと見つけた、「武器・防具店」を見つけ、葵羽は店に入る。大きな店主が葵羽を迎えてくれた。
「いらっしゃい!」
元気な声がビシビシと葵羽にぶつかってくる。ほんの一瞬、店が壊れないか不安になった。
気を取り直して、店主に話しかける。
「すまない。武器と装備を探している。出来れば、服も欲しいんだが、あるか」
「服、ねえ……。嬢ちゃんに合いそうな服はないと思うぜ」
葵羽を見ながら、店主は顎に手をやりつつ、考える。女物の服のことだろうと予想をつけた葵羽は、いや、と首を振った。
「そういうんじゃねえから。男物でいい。動きやすくて、目立たねえやつ。あとは、羽織るものが欲しい」
店主はふむと頷いて、店の奥へと一度引っ込んだ。その間に、葵羽は店の中をぐるりと見渡す。
ゲーム内で見たことがある武器が、店の中をずらりと覆っている。周囲を敵に囲まれているようで、落ち着かない。だが、目的の武器を探すために、視線をゆっくりとずらしていく。
大きいものはいらない。小型な武器……。
無言で見ていれば、店主が戻ってきた。黒一色で染まった服一式を、葵羽の目の前で広げる。
「こんなんでいいのか?」
「ああ、助かる」
値段もそんなに高くなく、手持ちの金はまだ余裕があった。ついでに、帯刀ベルトと晒も購入する。
試着室があると教えてくれ、そこを借りて早速着替えた。黒一色に染まった葵羽は、なんだか落ち着いた気がした。スキニーのようなパンツと、インナーらしきもの。この世界でどう呼ばれているのかは分からないが、葵羽の世界ではそう呼ばれていたものが近いと思う。動きやすくて良い。葵羽はたいそう気に入った。
元々、暗めの色を好む葵羽は、私服は普段から黒や紺が多かった。店主が出してくれた服が黒でありがたい。
羽織るもの、と伝えて出てきたものは、マントや外套に近い。フードがあるので、外套と言うほうが近い気がした。
部屋から出てきた葵羽を見て、店主は珍しいとばかりに彼女を見た。
「ほー、男にしか見えねえな」
「これでいい。あとは――」
厚底のブーツを購入し、ローファーから履き替える。残りの金額を確認して、残金を決めて武器と旅道具一式を購入することにした。
先に旅道具一式を購入し、残りの金額で武器を購入することにする。
「なんか小さな武器はないか。小刀とか、苦無とかそういうものがいい」
「そうだなあ……。まあ、この辺だろうな」
店主がずらりと見せてくれたのは、小刀や苦無、針のようなものもあって数が多い。一個ずつ丁寧に確認して、やはり苦無が最適かと考える。
「嬢ちゃん、獲物は」
「刀なんだ。だが、逆刃刀でな」
「あー。魔物討伐には向いてねえかもな」
「ああ。人を殺すつもりは無いから、これでいいんだが、魔物を倒すのには面倒だ」
店主はその言葉を聞いて、ぴくりと眉をひそめる。葵羽は呼び止められ、その声に振り向けば、妙に真剣な顔つきの店主がそこにいた。
Ⅱ
葵羽はじっと見つめて、低く声を出す。
「……なんだ」
店主は真剣な顔つきのまま、口を開いた。真剣な表情が引き立たせてしまい、さらに顔が怖く見える。
「嬢ちゃん、お前が人を殺さないと決めていても、相手は殺すつもりで来ることもある。そういう時、殺すつもりで来る方のが強えもんだ。……死ぬ気か」
店主の言葉は、低く重く葵羽に刺さる。だが、葵羽はすぐに横に首を振った。
「死ぬつもりはさらさらない。二度とごめんだ。それに、人を殺す覚悟なんて、いらねえよ」
「相手が殺すつもりでもか」
「それでも、俺は殺さない。自分が味わいたくないものを味わったって言うのに、それを他人にも味合わせるなんてことは絶対にしたくねえ。……誰に何と言われようと、そこを譲るつもりはねえ。それが俺の覚悟だ」
数時間前、冬景色にも同じようなことを言われた。まだそんなに経っていないはずなのに、もっと昔のことのように思える。
相手は殺すつもりで向かってくる。それが、この世界では普通なのかもしれない。
だが、葵羽は自分の世界で、いわゆる平和な世界で暮らしてきた。人が殺されない、そんなことはなかったが、それでも人の命を奪うことは悪いことだと教えられた。その教えの元に、彼女は生きてきた。
世界が変わろうと、その考えは彼女の中に深く根付いている。今更変えることなどできない。変えようとも思わない。
だから、相手を殺さなくていいように、自分の身を自分で守れるように強くなると決めた。この世界で生きていくために、必要なことはすると決めたのだ。
冬景色も、シークもいる。仲間が増えた。その仲間だって守りたい。
すべてを守ろうと、守りたいと思うのは、我儘なのかもしれない。それでも――。
「人を殺さなくったって、強さの証明はできる。仲間を守って、自分の身を守ることができる。それでいいと俺は思うし、それ以外いらねえとも思う。だから、俺の覚悟を他人にどうこう言われたとしても、変えるつもりはねえよ」
葵羽は店主の目を見て、静かに告げた。意思の強い瞳が、店主を貫く。
冬景色が、クスリと笑った気がした。シークは、高らかに満足気に鳴く。
小さなドラゴンの頭をゆっくりと撫でた。
しばらくすると、店主の豪快な笑いが、店内を震わす。葵羽は思わず耳を塞いだ。失礼なことだとは重々承知しているが、それ以前にこのままでは耳が壊れて使いものにならなくなってしまう。シークも驚いて、葵羽の服の中に潜り込んでしまった。店主の笑いが収まるまで、じっと耐えて待つ。
実際にはそんなに長い時間が経過していたわけではなかったが、葵羽には妙に長く感じた。ゆっくりと耳から手を外して、店主の様子を窺う。店主は苦無と小刀を何本かずつ彼女の前に出した。他の武器は片付けられ、それのみが彼女の視界に映る。何事かと目を瞬かせたのと同時に、服の中からひょこりとシークが顔を覗かせた。
「持っていけ! 餞別だ!」
「……は? いや、多すぎだろ。というか、これ商売だろ。金は払う」
「今回は餞別ということだから、そのまま持っていけ! また買いに来い。ここの常連になれよ!」
「旅に出ようとしている人間に言う言葉じゃねえだろ。戻って来いってか」
「細けえことは気にすんな!」
また豪快な笑いが店の中で響き渡る。店の外にまで聞こえていそうだ。
葵羽は口元を緩めた。
「アンタ、いい人だな」
「嬢ちゃんは面白いなあ! 気に入ったぜ!」
「どうも。じゃあ、お言葉に甘えて、ありがたくいただいていくよ。また寄らせてもらう」
「おう! 次来たら、一割引な!」
「ありがたいんだが、商売する気あんのか」
葵羽は肩を落として呆れつつ笑う。店主に礼を言うと、店を後にするのだった。
Ⅲ
宿に戻って、荷物を置き、小刀や苦無を懐等に忍び込ませる。すでに取り出せることを意識しつつ仕込めば、意外とそれ相応になった。外套がいい感じに隠してくれる。一つ息をつき、満足気に頷く。
――そんなに持たなくとも、私がいるというのに。
「なんでお前は毎回拗ねてるんだよ」
部屋の中なため、気兼ねなく冬景色と会話をする。ぶすっとした拗ねている刀の声に呆れつつ、言葉を紡ぐ。シークは武器を仕込み終わった葵羽の肩に飛び降り、静かに翼を休めていた。
支度が終わったので、夕食を食べに行くことにする。宿のみの予約としたので、夕食は外に食べに行くのだ。
「よし、行くか」
シークを肩に、冬景色を腰に葵羽は必要な資金を持って、宿から出る。外套が刀や所持品を隠してくれるため、ありがたいと思う。
ふらふらと夜の街へ繰り出せば、賑やかな声が街を彩っている。月が優しく見守っていた。
西洋のような街。着いた頃にはじっくりと見る余裕もなかったが、今は周囲を見る余裕がある。まだ見慣れない異世界に、街に来てようやく実感が湧いた気がしていた。昼間のギルドでの出来事も、先程の店主との話も、自分が違う世界にいることを、語りかけてくるようだった。
それが、楽しくもあって、寂しくもある。
だが、それでもすぐに仲間が出来たことは、幸運だった。一人で右も左も分からずに、動き回ることを考えれば、不安だっただろうし、何をしていいのか分からなかったと思う。呪いの刀だろうが、希少種のドラゴンであろうが、一人じゃないという事実に、自分が安心していることが分かる。
一人じゃないと分かっているから、強くなれる。
「……ありがたいな」
――何がだ。
間髪入れずに問いかけてきた冬景色に、葵羽は笑って答えた。
「お前たちがそばにいるってことが」
葵羽の片方の手がシークを撫で、もう片方が冬景色の柄に触れる。しっかりと触れることに、ふっと笑った。
「俺が一人じゃないってことが、強くしてくれるからな。すぐにお前たちに会えて良かった。感謝している。ありがとな」
シークが嬉しそうに鳴く。冬景色はふんと言っただけだった。
思わず口元を緩める。
「さて、飯にしよう」
葵羽は見つけた店の中に、足を踏み入れたのだった。
Ⅳ
酒場、という言葉が相応しい場所に入れば、中では賑やかな声がそこかしこで飛び交っている。葵羽はへえ、と歓声を上げた。こういう場所は、自分の世界でも、この世界でも初めてのことだった。
「いらっしゃいませー!」
「一人。と、こいつがいるんだが」
出迎えてくれた女性に、葵羽はシークを見せる。こてりと首を傾げたドラゴンを見て女性は驚いたようだったが、怖がっている素振りはなかった。
「カウンターのがいいですかね?」
「どこでも構わない」
「はーい、お一人様入りまーす」
葵羽はカウンター席に案内され、端の席へと腰掛ける。机にシークが降り立ち、葵羽と向かい合った。目の前に映ったドラゴンを、優しく撫でてやる。
女性が再度現れ、注文を聞きに来た。
「何にします?」
この世界の料理がまだよく分からない今、店のおすすめを注文することにする。
「おすすめを一つ頼む。あと、生肉貰えるか。こいつが食うんだ」
女性は高らかに「はーい」と返事をしただけだった。
十数分後、料理が目の前に運ばれる。動き回っていたからか、空腹だった。遅めの食事を取ったとはいえ、それでも動けば自然とお腹は空く。
食事を始めれば、無言だった。シークもがつがつと生肉を食べている。あっという間に平らげ、水を口に含んだ。ほっと一息ついて、ドラゴンの様子を眺めていれば、隣の席に誰かが座る。警戒しながらちらと様子を伺えば、綺麗に着飾った女性で驚いてしまう。店の人間ではなさそうだった。背後にも何人か女性が立っていて、囲まれていることに気がつく。全員で、三、四人。
なんだ……。
警戒しつつ、水を再度口に含んだ。自分から動くことはないと、彼女たちの動きを細かく見る。隣に腰掛けた女性が声をかけてきた。
「お兄さん、初めてみるね。お酒は、進んでいるかい?」
お兄さんではないが……。
そう思いつつ、軽く返答する。
「まあ、今日来たからな。酒は、いらねえかな」
「お兄さん、旅人さん?」
「そんなもんだな」
「やーだ、クール」
キャー、なんて黄色い悲鳴が飛ぶが、よく分からない。何がクールなのかも分からないし、何でテンションがそこまで高いのかも分からない。敵意はなさそうだが、油断はできなかった。
それにしても、急になんなんだ……。
――鈍いな、葵羽。
はあ?
葵羽の言葉に、冬景色は返答する。何か楽しげな彼の言葉に、葵羽はやはり分からないと間の抜けた声を返した。まったく理解できない。葵羽は水を口に含む。目の前にいるドラゴンは、生肉をかじりつつ、首を傾げていた。
それに気がついた女性の一人が声を上げる。
「えー、何、この子? 可愛いー」
「俺の仲間。手え出すなよ、危ねえぞ」
火を吹いた前例があるからな。
その言葉は、彼女の口から出てくることは無かった。ドラゴンを撫でつつそう言えば、女性たちから不満気な声が飛ぶ。
「お兄さん、あたしたちも相手してー」
「いや、俺は――」
「照れてるのー? 可愛い」
「そうじゃねえんだけど、話聞いてくんねえ?」
葵羽は女性ってこんなんだったっけ、と困惑する。同級生たちとはノリが違って、どう返答すればいいのか分からない。だが、自分だって女ではあるし、彼女たちには言ってしまえばまったく興味がない。女だってネタばらしするつもりはないが、かと言ってこのままでいいとは思わなかった。
俺が男だったら、どうするつもりなんだ。危ねえだろ、絶対。
そんなことを考えてる間にも、グイグイとくっつかれる。葵羽は隣の女性を引き離した。
「こら」
「えー」
「自分の身はもっと大事にしろ。この状態じゃ、男に何かされても文句言えねえぞ」
「お兄さんなら、いいかなー、なーんて」
「良くない」
葵羽はしっかりと否定して、それから隣にいる女性の顎を掴んだ。力は加減して、じっと視線を合わせれば、彼女の頬が朱に染まる。
「せっかく綺麗なんだ。もっといい男を見つけて、大事にしてもらえ。それまで他の男に気を許すな。いいな?」
「は、はいっ」
女性が返事をしたのを確認すると、彼女の顎から手を離す。葵羽が席を立てば、店の女性が現れ、彼女に会計を行ってもらった。必要な金額を渡せば、それと同時にシークが肩に降り立つ。相当あった生肉を食べ終わったらしい。
葵羽は会計が済むと、自分を囲んでいた女性たちに手をひらりと降って、「じゃあな」と告げた。そのまま店の出口へと向かう。
彼女が店を去った後、遅れて黄色い悲鳴が店を包んだのは、言うまでもなかった。
やれやれ。
葵羽は店を出た後、ギルドへと戻ってきていた。宿に帰る前に、新たな任務を探すことにしたのだ。
旅を出る前に、もう少し資金を増やしておこう、そう考えたからである。
――残しておいたのではないのか。
冬景色の声が届く。葵羽は淡々と返した。
旅に出るなら、もう少し欲しいところだ。備えあれば憂いなし、ってな。
じっと任務が貼られている掲示板を見ていれば、背後からカツンと靴の音が響く。葵羽はその音に気がついて、ばっと勢いよく振り返った。視界に入ったのは人物の影で、そのまま自分の左側へと飛び退る。相手と距離が出来た。逃げ道もある。じっと相手の様子を窺った。
一人の人間が、彼女を見てくる。肩に触れようとしていたらしい左手を、ゆっくりと下ろした。
誰だ……。
葵羽は記憶を辿るが、目の前の人間に覚えはない。すっと自然と目が細められた。左の手が刀の柄に触れ、親指で鍔を少しだけ押す。臨戦態勢を取った彼女へ、相手は慌てて声をかけた。
「そんな、警戒しないで!」
声から男であることが分かる。葵羽は低い声で問うた。
「……誰だ」
「アンタ、昼間ここで暴れとった嬢ちゃんだろ?」
……ギルドにいた人間か。
葵羽はそう結論づけた。昼間にここにいなければ、その話は知らないはずだ。気になるのは、格好が違うというのに、簡単にそれが葵羽だと分かって声をかけてきたこと。
急に俺に話しかけてきたのは何故だ……。昼間みたいにいちゃもんをつけてくる奴なのか、それともシーク狙いなのか――。
どちらにせよ、その理由であれば、葵羽の敵である。
――油断するなよ。
冬景色の声が届く。葵羽は頷いた。
分かっている。
刀から手を離そうとしない彼女の様子を見て、相手は慌てた。ぶんぶんと手を振って、止めてくる。距離は詰めようとして来なかった。
「ちょ、本当に話がしたいだけなんだって!」
「……話、だと?」
「そ。少し、俺と話をしない?」
月明かりにてようやく見えた男は、ぱちりと器用に片目を瞑って見せたのだった。
予想以上の収入が入り、懐が一気に暖かくなった。とりあえず、宿を探し、宿が確定したところで装備を買いに再度街へ繰り出した。
まずは、服と武器、だろうな。
とにかく、制服から変更したい。昼間の出来事の際も、動きにくいと内心でため息をついていたところだった。蹴ることも跳ぶこともしにくいし、これが走るとかになればさらに動きずらいと感じるだろう。それに、男装のほうがやはり楽だ。スカートから解放されたい。
そこに届くは、刀の声。妙に不満げである。
――武器は不要だろう。私がいる。
葵羽はその言葉を胸中で否定した。
いや、小刀とか苦無のような小ぶりの武器が欲しい。今後の役に立つだろうし、お前と組み合わせて使うことが出来る。持っといて損はないはずだ。あとは、旅の道具一式買い揃えておこう。
――私だけで十分だ。
だから、その対抗意識はなんなんだよ。
葵羽の言葉を、つんと無視する冬景色。葵羽はなんだかなあ、と一つ息をついた。
冬景色のことは置いといて、目的地を探し始める。ふと、今更ながらに思ったことがあった。自分でも今頃かとは思う。
胸中で冬景色に話しかけた。名前は呼ばないが、おそらく反応するだろうと予想する。
そういや、俺の言葉、伝わるんだな。記載だって、何も変えてなかったのに。
そうなのだ、異世界と言う割には、簡単に言葉が通じていた。あまりに普通に接してくれるため、違和感を覚えることもなかった。登録書類にも、漢字で記載した。なのに、内容は相手に伝わっていたし、不備もないと言われたのだ。ここまで、一切の苦労を感じていない。
それができるのは、今この場にいる、話し相手ぐらいだろう。
――それは、そうだろう。私がそのようにしといたのだから。
やはりか。
葵羽はそう返したが、内心は疑問が湧いてくるばかりだ。
不思議なのである、この刀は。呪いの刀だと言う割には親切に対応しているし、自分を乗っ取ると言った割にはまだ一度もそんな素振りはない。元々の技を聞いた時は、呪いの刀と呼ばれるに相応しいと思ったが、その刀身は逆刃になっていて、簡単に人が殺せるわけではない。
……こいつは、何者なんだろうか。人ではねえけど。
葵羽はそれを聞こうとはしなかった。冬景色には筒抜けな気もするが、刀も何も言わなかった。
やっと見つけた、「武器・防具店」を見つけ、葵羽は店に入る。大きな店主が葵羽を迎えてくれた。
「いらっしゃい!」
元気な声がビシビシと葵羽にぶつかってくる。ほんの一瞬、店が壊れないか不安になった。
気を取り直して、店主に話しかける。
「すまない。武器と装備を探している。出来れば、服も欲しいんだが、あるか」
「服、ねえ……。嬢ちゃんに合いそうな服はないと思うぜ」
葵羽を見ながら、店主は顎に手をやりつつ、考える。女物の服のことだろうと予想をつけた葵羽は、いや、と首を振った。
「そういうんじゃねえから。男物でいい。動きやすくて、目立たねえやつ。あとは、羽織るものが欲しい」
店主はふむと頷いて、店の奥へと一度引っ込んだ。その間に、葵羽は店の中をぐるりと見渡す。
ゲーム内で見たことがある武器が、店の中をずらりと覆っている。周囲を敵に囲まれているようで、落ち着かない。だが、目的の武器を探すために、視線をゆっくりとずらしていく。
大きいものはいらない。小型な武器……。
無言で見ていれば、店主が戻ってきた。黒一色で染まった服一式を、葵羽の目の前で広げる。
「こんなんでいいのか?」
「ああ、助かる」
値段もそんなに高くなく、手持ちの金はまだ余裕があった。ついでに、帯刀ベルトと晒も購入する。
試着室があると教えてくれ、そこを借りて早速着替えた。黒一色に染まった葵羽は、なんだか落ち着いた気がした。スキニーのようなパンツと、インナーらしきもの。この世界でどう呼ばれているのかは分からないが、葵羽の世界ではそう呼ばれていたものが近いと思う。動きやすくて良い。葵羽はたいそう気に入った。
元々、暗めの色を好む葵羽は、私服は普段から黒や紺が多かった。店主が出してくれた服が黒でありがたい。
羽織るもの、と伝えて出てきたものは、マントや外套に近い。フードがあるので、外套と言うほうが近い気がした。
部屋から出てきた葵羽を見て、店主は珍しいとばかりに彼女を見た。
「ほー、男にしか見えねえな」
「これでいい。あとは――」
厚底のブーツを購入し、ローファーから履き替える。残りの金額を確認して、残金を決めて武器と旅道具一式を購入することにした。
先に旅道具一式を購入し、残りの金額で武器を購入することにする。
「なんか小さな武器はないか。小刀とか、苦無とかそういうものがいい」
「そうだなあ……。まあ、この辺だろうな」
店主がずらりと見せてくれたのは、小刀や苦無、針のようなものもあって数が多い。一個ずつ丁寧に確認して、やはり苦無が最適かと考える。
「嬢ちゃん、獲物は」
「刀なんだ。だが、逆刃刀でな」
「あー。魔物討伐には向いてねえかもな」
「ああ。人を殺すつもりは無いから、これでいいんだが、魔物を倒すのには面倒だ」
店主はその言葉を聞いて、ぴくりと眉をひそめる。葵羽は呼び止められ、その声に振り向けば、妙に真剣な顔つきの店主がそこにいた。
Ⅱ
葵羽はじっと見つめて、低く声を出す。
「……なんだ」
店主は真剣な顔つきのまま、口を開いた。真剣な表情が引き立たせてしまい、さらに顔が怖く見える。
「嬢ちゃん、お前が人を殺さないと決めていても、相手は殺すつもりで来ることもある。そういう時、殺すつもりで来る方のが強えもんだ。……死ぬ気か」
店主の言葉は、低く重く葵羽に刺さる。だが、葵羽はすぐに横に首を振った。
「死ぬつもりはさらさらない。二度とごめんだ。それに、人を殺す覚悟なんて、いらねえよ」
「相手が殺すつもりでもか」
「それでも、俺は殺さない。自分が味わいたくないものを味わったって言うのに、それを他人にも味合わせるなんてことは絶対にしたくねえ。……誰に何と言われようと、そこを譲るつもりはねえ。それが俺の覚悟だ」
数時間前、冬景色にも同じようなことを言われた。まだそんなに経っていないはずなのに、もっと昔のことのように思える。
相手は殺すつもりで向かってくる。それが、この世界では普通なのかもしれない。
だが、葵羽は自分の世界で、いわゆる平和な世界で暮らしてきた。人が殺されない、そんなことはなかったが、それでも人の命を奪うことは悪いことだと教えられた。その教えの元に、彼女は生きてきた。
世界が変わろうと、その考えは彼女の中に深く根付いている。今更変えることなどできない。変えようとも思わない。
だから、相手を殺さなくていいように、自分の身を自分で守れるように強くなると決めた。この世界で生きていくために、必要なことはすると決めたのだ。
冬景色も、シークもいる。仲間が増えた。その仲間だって守りたい。
すべてを守ろうと、守りたいと思うのは、我儘なのかもしれない。それでも――。
「人を殺さなくったって、強さの証明はできる。仲間を守って、自分の身を守ることができる。それでいいと俺は思うし、それ以外いらねえとも思う。だから、俺の覚悟を他人にどうこう言われたとしても、変えるつもりはねえよ」
葵羽は店主の目を見て、静かに告げた。意思の強い瞳が、店主を貫く。
冬景色が、クスリと笑った気がした。シークは、高らかに満足気に鳴く。
小さなドラゴンの頭をゆっくりと撫でた。
しばらくすると、店主の豪快な笑いが、店内を震わす。葵羽は思わず耳を塞いだ。失礼なことだとは重々承知しているが、それ以前にこのままでは耳が壊れて使いものにならなくなってしまう。シークも驚いて、葵羽の服の中に潜り込んでしまった。店主の笑いが収まるまで、じっと耐えて待つ。
実際にはそんなに長い時間が経過していたわけではなかったが、葵羽には妙に長く感じた。ゆっくりと耳から手を外して、店主の様子を窺う。店主は苦無と小刀を何本かずつ彼女の前に出した。他の武器は片付けられ、それのみが彼女の視界に映る。何事かと目を瞬かせたのと同時に、服の中からひょこりとシークが顔を覗かせた。
「持っていけ! 餞別だ!」
「……は? いや、多すぎだろ。というか、これ商売だろ。金は払う」
「今回は餞別ということだから、そのまま持っていけ! また買いに来い。ここの常連になれよ!」
「旅に出ようとしている人間に言う言葉じゃねえだろ。戻って来いってか」
「細けえことは気にすんな!」
また豪快な笑いが店の中で響き渡る。店の外にまで聞こえていそうだ。
葵羽は口元を緩めた。
「アンタ、いい人だな」
「嬢ちゃんは面白いなあ! 気に入ったぜ!」
「どうも。じゃあ、お言葉に甘えて、ありがたくいただいていくよ。また寄らせてもらう」
「おう! 次来たら、一割引な!」
「ありがたいんだが、商売する気あんのか」
葵羽は肩を落として呆れつつ笑う。店主に礼を言うと、店を後にするのだった。
Ⅲ
宿に戻って、荷物を置き、小刀や苦無を懐等に忍び込ませる。すでに取り出せることを意識しつつ仕込めば、意外とそれ相応になった。外套がいい感じに隠してくれる。一つ息をつき、満足気に頷く。
――そんなに持たなくとも、私がいるというのに。
「なんでお前は毎回拗ねてるんだよ」
部屋の中なため、気兼ねなく冬景色と会話をする。ぶすっとした拗ねている刀の声に呆れつつ、言葉を紡ぐ。シークは武器を仕込み終わった葵羽の肩に飛び降り、静かに翼を休めていた。
支度が終わったので、夕食を食べに行くことにする。宿のみの予約としたので、夕食は外に食べに行くのだ。
「よし、行くか」
シークを肩に、冬景色を腰に葵羽は必要な資金を持って、宿から出る。外套が刀や所持品を隠してくれるため、ありがたいと思う。
ふらふらと夜の街へ繰り出せば、賑やかな声が街を彩っている。月が優しく見守っていた。
西洋のような街。着いた頃にはじっくりと見る余裕もなかったが、今は周囲を見る余裕がある。まだ見慣れない異世界に、街に来てようやく実感が湧いた気がしていた。昼間のギルドでの出来事も、先程の店主との話も、自分が違う世界にいることを、語りかけてくるようだった。
それが、楽しくもあって、寂しくもある。
だが、それでもすぐに仲間が出来たことは、幸運だった。一人で右も左も分からずに、動き回ることを考えれば、不安だっただろうし、何をしていいのか分からなかったと思う。呪いの刀だろうが、希少種のドラゴンであろうが、一人じゃないという事実に、自分が安心していることが分かる。
一人じゃないと分かっているから、強くなれる。
「……ありがたいな」
――何がだ。
間髪入れずに問いかけてきた冬景色に、葵羽は笑って答えた。
「お前たちがそばにいるってことが」
葵羽の片方の手がシークを撫で、もう片方が冬景色の柄に触れる。しっかりと触れることに、ふっと笑った。
「俺が一人じゃないってことが、強くしてくれるからな。すぐにお前たちに会えて良かった。感謝している。ありがとな」
シークが嬉しそうに鳴く。冬景色はふんと言っただけだった。
思わず口元を緩める。
「さて、飯にしよう」
葵羽は見つけた店の中に、足を踏み入れたのだった。
Ⅳ
酒場、という言葉が相応しい場所に入れば、中では賑やかな声がそこかしこで飛び交っている。葵羽はへえ、と歓声を上げた。こういう場所は、自分の世界でも、この世界でも初めてのことだった。
「いらっしゃいませー!」
「一人。と、こいつがいるんだが」
出迎えてくれた女性に、葵羽はシークを見せる。こてりと首を傾げたドラゴンを見て女性は驚いたようだったが、怖がっている素振りはなかった。
「カウンターのがいいですかね?」
「どこでも構わない」
「はーい、お一人様入りまーす」
葵羽はカウンター席に案内され、端の席へと腰掛ける。机にシークが降り立ち、葵羽と向かい合った。目の前に映ったドラゴンを、優しく撫でてやる。
女性が再度現れ、注文を聞きに来た。
「何にします?」
この世界の料理がまだよく分からない今、店のおすすめを注文することにする。
「おすすめを一つ頼む。あと、生肉貰えるか。こいつが食うんだ」
女性は高らかに「はーい」と返事をしただけだった。
十数分後、料理が目の前に運ばれる。動き回っていたからか、空腹だった。遅めの食事を取ったとはいえ、それでも動けば自然とお腹は空く。
食事を始めれば、無言だった。シークもがつがつと生肉を食べている。あっという間に平らげ、水を口に含んだ。ほっと一息ついて、ドラゴンの様子を眺めていれば、隣の席に誰かが座る。警戒しながらちらと様子を伺えば、綺麗に着飾った女性で驚いてしまう。店の人間ではなさそうだった。背後にも何人か女性が立っていて、囲まれていることに気がつく。全員で、三、四人。
なんだ……。
警戒しつつ、水を再度口に含んだ。自分から動くことはないと、彼女たちの動きを細かく見る。隣に腰掛けた女性が声をかけてきた。
「お兄さん、初めてみるね。お酒は、進んでいるかい?」
お兄さんではないが……。
そう思いつつ、軽く返答する。
「まあ、今日来たからな。酒は、いらねえかな」
「お兄さん、旅人さん?」
「そんなもんだな」
「やーだ、クール」
キャー、なんて黄色い悲鳴が飛ぶが、よく分からない。何がクールなのかも分からないし、何でテンションがそこまで高いのかも分からない。敵意はなさそうだが、油断はできなかった。
それにしても、急になんなんだ……。
――鈍いな、葵羽。
はあ?
葵羽の言葉に、冬景色は返答する。何か楽しげな彼の言葉に、葵羽はやはり分からないと間の抜けた声を返した。まったく理解できない。葵羽は水を口に含む。目の前にいるドラゴンは、生肉をかじりつつ、首を傾げていた。
それに気がついた女性の一人が声を上げる。
「えー、何、この子? 可愛いー」
「俺の仲間。手え出すなよ、危ねえぞ」
火を吹いた前例があるからな。
その言葉は、彼女の口から出てくることは無かった。ドラゴンを撫でつつそう言えば、女性たちから不満気な声が飛ぶ。
「お兄さん、あたしたちも相手してー」
「いや、俺は――」
「照れてるのー? 可愛い」
「そうじゃねえんだけど、話聞いてくんねえ?」
葵羽は女性ってこんなんだったっけ、と困惑する。同級生たちとはノリが違って、どう返答すればいいのか分からない。だが、自分だって女ではあるし、彼女たちには言ってしまえばまったく興味がない。女だってネタばらしするつもりはないが、かと言ってこのままでいいとは思わなかった。
俺が男だったら、どうするつもりなんだ。危ねえだろ、絶対。
そんなことを考えてる間にも、グイグイとくっつかれる。葵羽は隣の女性を引き離した。
「こら」
「えー」
「自分の身はもっと大事にしろ。この状態じゃ、男に何かされても文句言えねえぞ」
「お兄さんなら、いいかなー、なーんて」
「良くない」
葵羽はしっかりと否定して、それから隣にいる女性の顎を掴んだ。力は加減して、じっと視線を合わせれば、彼女の頬が朱に染まる。
「せっかく綺麗なんだ。もっといい男を見つけて、大事にしてもらえ。それまで他の男に気を許すな。いいな?」
「は、はいっ」
女性が返事をしたのを確認すると、彼女の顎から手を離す。葵羽が席を立てば、店の女性が現れ、彼女に会計を行ってもらった。必要な金額を渡せば、それと同時にシークが肩に降り立つ。相当あった生肉を食べ終わったらしい。
葵羽は会計が済むと、自分を囲んでいた女性たちに手をひらりと降って、「じゃあな」と告げた。そのまま店の出口へと向かう。
彼女が店を去った後、遅れて黄色い悲鳴が店を包んだのは、言うまでもなかった。
やれやれ。
葵羽は店を出た後、ギルドへと戻ってきていた。宿に帰る前に、新たな任務を探すことにしたのだ。
旅を出る前に、もう少し資金を増やしておこう、そう考えたからである。
――残しておいたのではないのか。
冬景色の声が届く。葵羽は淡々と返した。
旅に出るなら、もう少し欲しいところだ。備えあれば憂いなし、ってな。
じっと任務が貼られている掲示板を見ていれば、背後からカツンと靴の音が響く。葵羽はその音に気がついて、ばっと勢いよく振り返った。視界に入ったのは人物の影で、そのまま自分の左側へと飛び退る。相手と距離が出来た。逃げ道もある。じっと相手の様子を窺った。
一人の人間が、彼女を見てくる。肩に触れようとしていたらしい左手を、ゆっくりと下ろした。
誰だ……。
葵羽は記憶を辿るが、目の前の人間に覚えはない。すっと自然と目が細められた。左の手が刀の柄に触れ、親指で鍔を少しだけ押す。臨戦態勢を取った彼女へ、相手は慌てて声をかけた。
「そんな、警戒しないで!」
声から男であることが分かる。葵羽は低い声で問うた。
「……誰だ」
「アンタ、昼間ここで暴れとった嬢ちゃんだろ?」
……ギルドにいた人間か。
葵羽はそう結論づけた。昼間にここにいなければ、その話は知らないはずだ。気になるのは、格好が違うというのに、簡単にそれが葵羽だと分かって声をかけてきたこと。
急に俺に話しかけてきたのは何故だ……。昼間みたいにいちゃもんをつけてくる奴なのか、それともシーク狙いなのか――。
どちらにせよ、その理由であれば、葵羽の敵である。
――油断するなよ。
冬景色の声が届く。葵羽は頷いた。
分かっている。
刀から手を離そうとしない彼女の様子を見て、相手は慌てた。ぶんぶんと手を振って、止めてくる。距離は詰めようとして来なかった。
「ちょ、本当に話がしたいだけなんだって!」
「……話、だと?」
「そ。少し、俺と話をしない?」
月明かりにてようやく見えた男は、ぱちりと器用に片目を瞑って見せたのだった。
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