来世はきっと。

たなか

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決意

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広い部屋で1人漠然とニュースを見る。

僕たちが巻き込まれたテロ事件のニュースだ。

どうやら演説をしていた奴らと同じ団体の過激派の仕業らしい。

殺された市民、戦闘で命を落とした国家保安省の職員の名前がずらりと流れる。

そして、国家保安省の職員の家族が涙を流すところが映される。

「夫は…爆発音が部屋で聞こえ、招集が掛かる前に家を飛び出したんです。そして「きっと部下たちも招集前に集まる。そんな時に俺がいなきゃ困るだろう」そう言って、部屋を飛び出しました…うぅ…出動前に電話を一本くれて必ず部下みんな連れて帰ってくるから、ご飯用意して待ってて欲しいって…」

女性はまだ20代半ばだろう。ハンカチで涙を拭う。

「なのに夫は帰ってきませんでした…、そしていま、右足を無くした夫を…見て…きたんです…」

女性はその場に泣き崩れた。

僕のことを最初に助けてくれた職員の奥さんだろう。

(この人の旦那さんを殺したのは僕なんだ。)

罪悪感で涙が止まらなかった。



僕の両親、そして真奈を含む民間人139名、国家保安省職員23名が死亡した。

テロを起こした奴らは皆ドローンに殺された。

「殺されるだけで終わるだなんてヌルすぎる…」

僕は唇を噛んだ。

いきなり現れて僕の家族を奪い、そして勝手に死んでなんの償いもしない奴らが憎い。

しかし、それよりも何も出来ずに目の前で家族が殺され、僕を助けようとした国家保安省の職員も目の前で殺され、それでもただ踞って泣くことしかできなかった自分がテロリストよりも憎たらしかった。

「殺す…殺す…殺す…」

口の中に血の味が滲む。

「絶対に殺してやる。お前らの家族まで1人残らず、惨たらしい殺し方をしてやる…」



泣き疲れたのか僕は気がついたら寝てしまっていた。



テレビがつけっぱなしだった。

ニュースが流れる。

「国家保安省はこの非道な行いを許さない!
我々はこれより国内の治安維持を目的とした全国のら廃棄区画及び郊外のテロ組織の掃討作戦を行う!
なお、テロリストの親族は捜査協力に応じない場合、拘束・収容の対象とする!
罪の無い人々の命を奪うことはもう二度とさせない!
そしてなにより、私の息子同然の部下たちの命を奪った奴らに相応の罰を与える!」

国家保安省の省長が演説をしていた。

映像が切り替わりアナウンサーが喋る

国家保安省の駐屯地の映像だろうか。

大量の装甲車にドローン。そして武装した職員が映る。

「国家保安省は今回のテロ事件を元に、日本全土でテロリストの掃討作戦を行うとのことです。
なお、緊急事態特別法の適用によりまず、首都圏への立ち入りに制限がかかります。そして首都圏外では国家保安省の指示に従わない者に対しての発砲許可も下りているとのことです。
一刻でも早くテロリスト掃討を完了させるため、国民の皆様どうかご協力をお願いします。」

どうせ口だけじゃないか。

僕が奴らに制裁を与える。

拳を強く握りしめた。

手のひらに爪が刺さり血が流れる。

僕は翌日、高校に退学届けを提出し、国家保安省の求人へ応募した。

絶対にあいつらを許さない。
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