4 / 6
決意
しおりを挟む
広い部屋で1人漠然とニュースを見る。
僕たちが巻き込まれたテロ事件のニュースだ。
どうやら演説をしていた奴らと同じ団体の過激派の仕業らしい。
殺された市民、戦闘で命を落とした国家保安省の職員の名前がずらりと流れる。
そして、国家保安省の職員の家族が涙を流すところが映される。
「夫は…爆発音が部屋で聞こえ、招集が掛かる前に家を飛び出したんです。そして「きっと部下たちも招集前に集まる。そんな時に俺がいなきゃ困るだろう」そう言って、部屋を飛び出しました…うぅ…出動前に電話を一本くれて必ず部下みんな連れて帰ってくるから、ご飯用意して待ってて欲しいって…」
女性はまだ20代半ばだろう。ハンカチで涙を拭う。
「なのに夫は帰ってきませんでした…、そしていま、右足を無くした夫を…見て…きたんです…」
女性はその場に泣き崩れた。
僕のことを最初に助けてくれた職員の奥さんだろう。
(この人の旦那さんを殺したのは僕なんだ。)
罪悪感で涙が止まらなかった。
僕の両親、そして真奈を含む民間人139名、国家保安省職員23名が死亡した。
テロを起こした奴らは皆ドローンに殺された。
「殺されるだけで終わるだなんてヌルすぎる…」
僕は唇を噛んだ。
いきなり現れて僕の家族を奪い、そして勝手に死んでなんの償いもしない奴らが憎い。
しかし、それよりも何も出来ずに目の前で家族が殺され、僕を助けようとした国家保安省の職員も目の前で殺され、それでもただ踞って泣くことしかできなかった自分がテロリストよりも憎たらしかった。
「殺す…殺す…殺す…」
口の中に血の味が滲む。
「絶対に殺してやる。お前らの家族まで1人残らず、惨たらしい殺し方をしてやる…」
泣き疲れたのか僕は気がついたら寝てしまっていた。
テレビがつけっぱなしだった。
ニュースが流れる。
「国家保安省はこの非道な行いを許さない!
我々はこれより国内の治安維持を目的とした全国のら廃棄区画及び郊外のテロ組織の掃討作戦を行う!
なお、テロリストの親族は捜査協力に応じない場合、拘束・収容の対象とする!
罪の無い人々の命を奪うことはもう二度とさせない!
そしてなにより、私の息子同然の部下たちの命を奪った奴らに相応の罰を与える!」
国家保安省の省長が演説をしていた。
映像が切り替わりアナウンサーが喋る
国家保安省の駐屯地の映像だろうか。
大量の装甲車にドローン。そして武装した職員が映る。
「国家保安省は今回のテロ事件を元に、日本全土でテロリストの掃討作戦を行うとのことです。
なお、緊急事態特別法の適用によりまず、首都圏への立ち入りに制限がかかります。そして首都圏外では国家保安省の指示に従わない者に対しての発砲許可も下りているとのことです。
一刻でも早くテロリスト掃討を完了させるため、国民の皆様どうかご協力をお願いします。」
どうせ口だけじゃないか。
僕が奴らに制裁を与える。
拳を強く握りしめた。
手のひらに爪が刺さり血が流れる。
僕は翌日、高校に退学届けを提出し、国家保安省の求人へ応募した。
絶対にあいつらを許さない。
僕たちが巻き込まれたテロ事件のニュースだ。
どうやら演説をしていた奴らと同じ団体の過激派の仕業らしい。
殺された市民、戦闘で命を落とした国家保安省の職員の名前がずらりと流れる。
そして、国家保安省の職員の家族が涙を流すところが映される。
「夫は…爆発音が部屋で聞こえ、招集が掛かる前に家を飛び出したんです。そして「きっと部下たちも招集前に集まる。そんな時に俺がいなきゃ困るだろう」そう言って、部屋を飛び出しました…うぅ…出動前に電話を一本くれて必ず部下みんな連れて帰ってくるから、ご飯用意して待ってて欲しいって…」
女性はまだ20代半ばだろう。ハンカチで涙を拭う。
「なのに夫は帰ってきませんでした…、そしていま、右足を無くした夫を…見て…きたんです…」
女性はその場に泣き崩れた。
僕のことを最初に助けてくれた職員の奥さんだろう。
(この人の旦那さんを殺したのは僕なんだ。)
罪悪感で涙が止まらなかった。
僕の両親、そして真奈を含む民間人139名、国家保安省職員23名が死亡した。
テロを起こした奴らは皆ドローンに殺された。
「殺されるだけで終わるだなんてヌルすぎる…」
僕は唇を噛んだ。
いきなり現れて僕の家族を奪い、そして勝手に死んでなんの償いもしない奴らが憎い。
しかし、それよりも何も出来ずに目の前で家族が殺され、僕を助けようとした国家保安省の職員も目の前で殺され、それでもただ踞って泣くことしかできなかった自分がテロリストよりも憎たらしかった。
「殺す…殺す…殺す…」
口の中に血の味が滲む。
「絶対に殺してやる。お前らの家族まで1人残らず、惨たらしい殺し方をしてやる…」
泣き疲れたのか僕は気がついたら寝てしまっていた。
テレビがつけっぱなしだった。
ニュースが流れる。
「国家保安省はこの非道な行いを許さない!
我々はこれより国内の治安維持を目的とした全国のら廃棄区画及び郊外のテロ組織の掃討作戦を行う!
なお、テロリストの親族は捜査協力に応じない場合、拘束・収容の対象とする!
罪の無い人々の命を奪うことはもう二度とさせない!
そしてなにより、私の息子同然の部下たちの命を奪った奴らに相応の罰を与える!」
国家保安省の省長が演説をしていた。
映像が切り替わりアナウンサーが喋る
国家保安省の駐屯地の映像だろうか。
大量の装甲車にドローン。そして武装した職員が映る。
「国家保安省は今回のテロ事件を元に、日本全土でテロリストの掃討作戦を行うとのことです。
なお、緊急事態特別法の適用によりまず、首都圏への立ち入りに制限がかかります。そして首都圏外では国家保安省の指示に従わない者に対しての発砲許可も下りているとのことです。
一刻でも早くテロリスト掃討を完了させるため、国民の皆様どうかご協力をお願いします。」
どうせ口だけじゃないか。
僕が奴らに制裁を与える。
拳を強く握りしめた。
手のひらに爪が刺さり血が流れる。
僕は翌日、高校に退学届けを提出し、国家保安省の求人へ応募した。
絶対にあいつらを許さない。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる