来世はきっと。

たなか

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日本という国

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2050年の日本。現在世界で唯一安全な国だ。

2030年代から人口増加による食料不足とエネルギー資源の枯渇が問題となっていた。

発展途上国では次第に内戦・紛争が増えていった。

最初は遠い国の出来事だった。

しかし、2045年の3月だった。

資源の枯渇に苦しむ国々の連合が裕福な国への攻撃を始めた。

中国が主体となった連合がEU圏やアメリカへの攻撃を始めた。

ついには核ミサイルまで使われる始末だ。

当然、アメリカと中国がやり合うとなれば太平洋の真ん中にある日本は酷い目に遭うだろう。

だが、日本は戦渦に見舞われなかった。


イージスシステム。

日本の大手企業と日本政府が提携して開発した最強の対空システムだ。

それは巨大な塔のような見た目をしていて、建物全体がソーラーパネルのようなもので覆われている。

このパネルが太陽光をベースにエネルギーを蓄積し、またこのパネルから日本の領空へ入り込むものを貫く光の矢が放たれるのだ。

イージスシステムは北朝鮮や中国の核ミサイル、旅客機を乗っ取り自爆攻撃を仕掛けてきたテロリスト、さらにはロシアの最新鋭ステルス戦略爆撃機まで一撃で灰にしてしまったのだ。

それ以来日本は神の盾イージスに守られた唯一安全な国となった。

だが、その唯一安全な日本にも問題は生じる。

大規模な再開発が日本全土で行われた。

その結果、首都圏は地下深くまで都市が広がり、富裕層がイージスシステムに間近で守られる楽園となった。

しかし、地方に行くごとに土地は荒れていった。

インフラもままならない荒れた土地に貧困層が住むことになる。

こうして5年の月日が流れ貧富の差は拡大し、国内で最大の問題となったのだ。


現在首都圏に住めるのは一部の国家公務員と日本の4大企業に勤める者たちとその家族だけだ。

まず一部の国家公務員というのが"国家保安省"の職員だ。

国家保安省は自衛隊と警察が合同となり日本の防衛と国内の治安維持を行う組織だ。

そして4大企業がイージスシステムの開発に関わった企業だ。

日本光学研究所、future culture company(通称F.C.P)、帝国建設、大和工業。

日本光学研究所は太陽光関係の技術に特化した企業だ。イージスシステムの発電システムを開発した。

F.C.Pは世界トップクラスのAI開発を進めている企業だ。イージスシステムのメインAIである"アテナ"を開発した。

そして帝国建設は圧倒的な技術力を元にイージスシステム周辺の土地開発を行い、現在は日本全域の海岸線の要塞化を進めている世界トップクラスの建設会社である。

最後は大和工業。イージスシステムのメインとなる迎撃システムや周辺のセキュリティー設備の構築に大きく貢献した。イージスシステムは大量のドローンと自動砲台、そして高圧電気フェンスなどで守られている。これらの開発は全てこの会社が行ったのだ。さらには国内の食糧生産の8割に関わっている。現在は国家保安省への兵器の提供と海外への兵器の輸出を行なっている。

これら4つの企業と国家保安省が今は日本のトップとなっている。

そしてこれらに務める職員以外の国民は皆下請け業者のようなところで低賃金でひたすら働くのであった。

そうでもしないともうこの国は回らない。



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