女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

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189.若ければ…

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副団長のレオさんが迎えてくれ、任務に出ている人以外の10名近くいてお礼を述べる。皆さんとハグをしたら驚かれた。えっ?ハグは普通に挨拶じゃないの?
次に第2騎士団に向かおうとしたら、護衛騎士さんがいるのに何故かレオさんが送ってくれる。
今日の護衛の2人は困った顔をしているが、レオさんは副団長だから何も言えないようだ。
レオさんと話しながら歩くが、すぐ隣の棟だからあっという間に着き、騎士棟の入口にはクレイブ様が待ち構えていた。やはりクレイブ様の方が格上らしく、レオさんはエスコートをクレイブ様に変わった。第2騎士団棟に入りクレイブ様の執務室に通されお茶を出していただいた。

「乙女召喚の儀式からあっという間でしたね」
「初めてお目にかかりご挨拶した時、正直この様な幼く可愛らしい女性に、アルディアを救えるのかと半信半疑でした」
「クレイブ様!評価は辛口でお願いしますね」
「素晴らしい以外の言葉は見つかりません。貴女を遣わして下さったリリスに感謝し、共に過ごした時間は私の宝物となりました。リリスの役目がありアルディアを離れられるが、また戻って来れるように皆でアルディアを守り貴女の帰りをお待ちしています」

お世辞でも嬉しい。クレイブ様は仕事に対しては厳しいが基本優しい。本当にお世話になり感謝しかない。

「皆さんには本当にお世話になり感謝しています。アルディアは故郷ですから必ず帰って来ます!」
「はぁ…娘を嫁がせる父親の気持ちはこの様な感じなのですね…囲いずっと私が護って差し上げたい」
「ありがとうございます。でもいつまでも頼っていては巣立てませんから頑張ってきます。お忙しいでしょうがお体大切になさって下さいね」

クレイブ様はいつもと違い柔らかい表情で頷いてくれた。すると第2の騎士さんが呼びに来てくれ、別室で第2の騎士さん達にお礼を言う事が出来た。
一人一人にお礼を言いハグをしたらクレイブ様が機嫌が悪くなり、お礼を言っている私の背後に立つ。どうやらハグをしようとしている騎士さんに圧力をかけているようで、途中から騎士さんはハグしてくれなくなった。
なんか男友達を牽制する父親のようで少し笑えた。
挨拶を終えるとクレイブ様にエスコートされ、隣の第1騎士団棟に向かうが…近いのでデュークさんが待っているのが見える。苦笑いをしていたらクレイブ様が

「今から独り言を言います。あと10歳若く未婚なら貴女に求婚していたでしょう。兄ではなく男として意識していただきたかった…」

びっくりしてクレイブ様を見上げるっと微笑んで

「独り言が大きくて失礼した。忘れて下さい」
「クレイブ様…」

第1騎士団棟に着いたのでクレイブ様に手招きしたら、不思議そうに屈んでくれたので頬に軽くキスした。固まるクレイブ様さんにお礼を言ってお辞儀をしてデュークさんの手を取り騎士棟に入った。振り返るとまたフリーズ中のクレイブ様。第2の騎士さんが周りでたあふたしている。
エスコートしているデュークさんが

「多恵様は悪戯好きですね。真面目なクレイブ殿をあの様に揶揄われて…」
「感謝を表しただけですよ!勿論デュークさんにもするつもりです」
「それは嬉しい!」

棟に入るとデュークさんの執務室に通された。すると直ぐにリックさんが入ってくる。リックさんに駆け寄り

「昨日はありがとうございました。怪我の具合はどうですか?」
リックさんの手を取るとリックさんは微笑み

「貴女を守る事が出来て光栄です。モーブルに経つ前に怪我をしなくてよかった」
「リックさんはじめ素晴らしい騎士さん達がいてくれるので、安心してモーブルに行く事が出来ます。お体を大切にして下さいね」

リックさんはこの後直ぐ任務で出られるらしく、先に挨拶に来てくれた。ハグをすると小さい声で

「貴女をお慕いしていました。貴女の幸せをアルディアから願っています」

びっくりして固まっていたら、微笑み騎士の礼をとりリックさんは退室していった。
デュークさんは私の手を取りソファーに座らせてくれた。


「リックだけではない騎士は皆貴女を慕っています。リリスの役目は大変でしょうが、無事終えられアルディアに戻られるのをお待ちしています」
「特に第1の皆さんは普段ずっと見守ってくださったので家族のように思っています。素敵な兄様が沢山いて幸せです」

この後アーサー殿下の話をした。デュークさんは殿下を支えていくと言ってくれ安心する。

「これは私の意見ですが多恵様の判断は最良だと思っています。自由で自立した貴女は妃に収まらない方がいい…今のままでいて下さい」
「殿下、そしてアルディアをよろしくお願いしますね」

やっぱりデュークさんは兄貴だ。信頼できるし素直に頼れる。モーブルの騎士さん達とそんな信頼関係を築けるだろうか…心配になって来たら目が熱くなる。

「多恵様⁈」

デュークさんが慌てて目の前に跪き手を取り覗き込む。やっぱりナーバスになってる。

「ごめんなさい。アルディアの人達がいい人ばかりだから正直寂しいんです…」

デュークさんはポケットからハンカチを取り出して目元を拭ってくれる。

「謙虚で優しい貴女だからモーブルでもいい出会いが出来て信頼関係を築けますよ。暫くはさみしいでしょうが、その時間は貴女をさらに素敵にするは筈です」
「ありがとう。ちょと今弱ってるから…」
「兄として抱きしめていいですか?」

頷くと優しく抱きしめてくれるデュークさん。父の様な兄の様な抱擁は安心をくれる。本当にいい出会いに感謝し、暫し兄の温もりに身を委す。

暫くすると騎士さんが集まった様でポールさんが呼びに来た。腕を解いたデュークさんは手を取り、皆んなが集まる別室に向かう。
やはり第1の皆さんは日頃護衛してくれたので別れ難い。お礼を言いハグしていく内にまた涙目になって来た。皆さん妹の様に接してくれ嬉寂し泣きをしてしまった。こうして騎士の皆さんにお礼を言い、デュークさんにエスコートされ部屋に戻ると、何故か部屋でグラント様が待っていた。
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