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179.赤いブロスの実
しおりを挟む「あと少しで一旦休憩します。体は辛くないですか?」
「はい。大丈夫です」
殿下は抱き抱える腕の力を強めた。何処に連れて行ってくれるんだう⁈箱庭は自然が多く何処に行っても綺麗な景色が見れる。
乗馬に慣れていない私の為に、途中川沿いの草原で休憩をした。騎士さん達が木陰にシートを敷きアイリスさんが軽食とお茶を用意してくれゆっくり過ごす。ここでも行き先を探ってみたが皆さん口が固く教えてくれない。私のお尻も休息出来たので出発します。暫く走ると少し先に農園?の様な場所が見える。
「多恵殿あそこです」
「農園?」
「はい。今の時期ブロスが採れる」
ブロスとは元の世界で言う葡萄だ。どの品種も皮は薄く皮ごと食べれて味は濃厚だがあまり甘くなく美味しい。ジャムやパイにするのが美味しいが、もちろん生のままでも食べる。
馬は農園横の建物に着いた。殿下の手を借り降りると建物から老夫婦が出てきた。
「殿下!いらっしゃい。今日は愛らしいご令嬢と一緒なんですね。今年は豊作で味形のいいモノが出来ました。今日はお楽しみ下さいませ」
「あぁ…世話になるよ」
会話の感じから初めてでは無いらしい。ご夫人が黒色のカフェエプロンを貸してくれた。意味が分からずキョトンとしていたら、殿下が手を引きブロス畑に入る。ブロスは1m程の木に生っていて葡萄と違い一粒づつ成っている。
「食べ頃の実は萼が反り返っているから、実を軽く持ち上に上げると取れるよ。やってごらん」
「こうですか?」
言われ通りやってみたら簡単に収穫出来た。もぎたてを直ぐに食べたいが採った実は洗う必要があるらしく、さっき着けてくれたエプロンにためて後で洗って食べれるそうだ。
綿花収穫も楽しかったがブロスの収穫も楽しい!何より後で食べれるもん。同行した騎士さん達も収穫をたのしんでいる。
「あっ!ガイさん!それまだ萼が反ってませんよ。後で皆んなで食べるから美味しいの選んで下さいね!」
「申し訳ありません…」
「「「「あっははは!」」」」
和気藹々と収穫していて真剣に実を選んでいる殿下が可愛らしくじっと見ていたら、殿下は側に来て頬に口付けて
「あまり愛らしいと自制が効かなくなる」
私至ったって普通なんですが…
ふと自分のエプロンの採った実を見て気付く。これ以上採っても食べれない。収穫の手を止めたら殿下が
「好きなだけ採ってくれていい。食べれなかったらお土産にしましょう」
「はい!」
嬉しい!本当はもっと収穫したかったんだ!
再開すると殿下が私の手を取り奥の畑に案内してくれる。奥は品種が違うようで実が苺の様に赤い。
殿下はじっと私を見て
「デート場所をここにして良かった。バース領に行った時の綿花収穫が楽しかった様なので」
「ありがとうございます。凄く楽しい」
殿下は微笑みそして赤いブロスの実をじっと見ている。この赤い実に何かあるのかなぁ⁈私の視線に気付いた殿下は一粒採り眺めながら
「赤のブロスは愛の実と呼ばれ愛を深めると言われている。今日貴女と食べたくてこちらに案内しました」
「お面白いですね。花言葉的なものですか?他の果物にもあるんですか?」
そう!今日はアーサー殿下の勝負の日だから極甘な雰囲気と口説き文句は覚悟してきたはずなのに、これ位の事で狼狽える私はやはり恋愛偏差値が低い。思わず話を逸らしてしまった。
気が付くとさっきまで一緒に収穫していた騎士さん達はがいない。キョロキョロ探すと私達の対角線上で待機している!いっいつの間に!
「他の果物の方か良かっただろうか?」
「いえ、そうでは無くてですね…」
そうそう…殿下は魅力的で真面目で容姿端麗な男性でパーフェクト!でも偶に私の言わんとする事とずれが生じる。フィラやグラント様、キース様もずれる事があるが何か違うものを感じる。なんだろう…そういえばヒューイ殿下が候補の時にも違うと感じたあの感覚に似ている。本質的なものだろうか…
殿下はずっと熱い視線を送って来る。私は遠赤外線グリルで焼かれている秋刀魚のようだ。
少し気まずくて早く食べたいと言うと何故か殿下は頬を赤らめ私の手を引き建物の方へ歩き出した。
『もしかして…この赤いブロスの実を早く食べたいっと思っているのだろうか⁈』
そうならまた見当違いだ。だって赤いブロスはまだ1粒しか採っていないから…
農園の入り口まで戻ると騎士さん籠を用意してくれていて、エプロンにためたブロスを籠に移す。騎士さんは井戸に行き籠に一気に水をかけ洗う。井戸のポンプは元の世界のポンプに作りが似ていてやってみたくなり、代わってもらいポンプと力いっぱい押す!
…が!硬い1回押しただけで腕がパンパンだ。ぷるぷる震えながら押している私を微笑ましく見ている皆さん。そりゃあなた達は鍛えているからこれ位平気でしょうか非力な私には無理!おばさんバージョンの私なら出来ただろうけど…
すると急にポンプが軽くなる?
よく見ると殿下が背後から手を貸してくれ一緒に押してくれている。急に軽く押せるようになり勢いよく出る水を見て顔が綻ぶ。
後ろを見ると間近に殿下の綺麗なお顔が…
「殿下…近いです」
「あぁ…幸せだ」
背中に殿下の体温と耳元では息遣いが近くて心拍数が上がる。微笑ましく見ていて騎士さんが急に
「殿下!多恵様!もうこれ以上は実が潰れます」
そう殿下の力が強く水の勢いが凄いから実が籠の中で激しく踊っている。
慌てて殿下と私は手を放し顔を合わせて苦笑いする。この後、農園のベンチに座り皆で仲良くブロスの実を食べる。濃厚な味だがさっぱりした甘さで沢山食べれる。殿下が赤いブロスの実を私の口元に運んだ。
途端に甘い雰囲気に…前に座るアイリスさんが真っ赤な顔をして席を立つと他の騎士さんも席を立ち何処かに行ってしまった。
心の中で『置いて行かないで!』と叫ぶけど殿下と2人きっりにされた。殿下は熱い眼差しを送って来る。食べないは無しだよね…
“パクっ!”「美味しい!」
紫色のブロスに比べて甘酸っぱくて美味しい。
「殿下!これ好き!」
「良かった…」
そう言った殿下の顔が近づき、キスされそうになり…
「はい。大丈夫です」
殿下は抱き抱える腕の力を強めた。何処に連れて行ってくれるんだう⁈箱庭は自然が多く何処に行っても綺麗な景色が見れる。
乗馬に慣れていない私の為に、途中川沿いの草原で休憩をした。騎士さん達が木陰にシートを敷きアイリスさんが軽食とお茶を用意してくれゆっくり過ごす。ここでも行き先を探ってみたが皆さん口が固く教えてくれない。私のお尻も休息出来たので出発します。暫く走ると少し先に農園?の様な場所が見える。
「多恵殿あそこです」
「農園?」
「はい。今の時期ブロスが採れる」
ブロスとは元の世界で言う葡萄だ。どの品種も皮は薄く皮ごと食べれて味は濃厚だがあまり甘くなく美味しい。ジャムやパイにするのが美味しいが、もちろん生のままでも食べる。
馬は農園横の建物に着いた。殿下の手を借り降りると建物から老夫婦が出てきた。
「殿下!いらっしゃい。今日は愛らしいご令嬢と一緒なんですね。今年は豊作で味形のいいモノが出来ました。今日はお楽しみ下さいませ」
「あぁ…世話になるよ」
会話の感じから初めてでは無いらしい。ご夫人が黒色のカフェエプロンを貸してくれた。意味が分からずキョトンとしていたら、殿下が手を引きブロス畑に入る。ブロスは1m程の木に生っていて葡萄と違い一粒づつ成っている。
「食べ頃の実は萼が反り返っているから、実を軽く持ち上に上げると取れるよ。やってごらん」
「こうですか?」
言われ通りやってみたら簡単に収穫出来た。もぎたてを直ぐに食べたいが採った実は洗う必要があるらしく、さっき着けてくれたエプロンにためて後で洗って食べれるそうだ。
綿花収穫も楽しかったがブロスの収穫も楽しい!何より後で食べれるもん。同行した騎士さん達も収穫をたのしんでいる。
「あっ!ガイさん!それまだ萼が反ってませんよ。後で皆んなで食べるから美味しいの選んで下さいね!」
「申し訳ありません…」
「「「「あっははは!」」」」
和気藹々と収穫していて真剣に実を選んでいる殿下が可愛らしくじっと見ていたら、殿下は側に来て頬に口付けて
「あまり愛らしいと自制が効かなくなる」
私至ったって普通なんですが…
ふと自分のエプロンの採った実を見て気付く。これ以上採っても食べれない。収穫の手を止めたら殿下が
「好きなだけ採ってくれていい。食べれなかったらお土産にしましょう」
「はい!」
嬉しい!本当はもっと収穫したかったんだ!
再開すると殿下が私の手を取り奥の畑に案内してくれる。奥は品種が違うようで実が苺の様に赤い。
殿下はじっと私を見て
「デート場所をここにして良かった。バース領に行った時の綿花収穫が楽しかった様なので」
「ありがとうございます。凄く楽しい」
殿下は微笑みそして赤いブロスの実をじっと見ている。この赤い実に何かあるのかなぁ⁈私の視線に気付いた殿下は一粒採り眺めながら
「赤のブロスは愛の実と呼ばれ愛を深めると言われている。今日貴女と食べたくてこちらに案内しました」
「お面白いですね。花言葉的なものですか?他の果物にもあるんですか?」
そう!今日はアーサー殿下の勝負の日だから極甘な雰囲気と口説き文句は覚悟してきたはずなのに、これ位の事で狼狽える私はやはり恋愛偏差値が低い。思わず話を逸らしてしまった。
気が付くとさっきまで一緒に収穫していた騎士さん達はがいない。キョロキョロ探すと私達の対角線上で待機している!いっいつの間に!
「他の果物の方か良かっただろうか?」
「いえ、そうでは無くてですね…」
そうそう…殿下は魅力的で真面目で容姿端麗な男性でパーフェクト!でも偶に私の言わんとする事とずれが生じる。フィラやグラント様、キース様もずれる事があるが何か違うものを感じる。なんだろう…そういえばヒューイ殿下が候補の時にも違うと感じたあの感覚に似ている。本質的なものだろうか…
殿下はずっと熱い視線を送って来る。私は遠赤外線グリルで焼かれている秋刀魚のようだ。
少し気まずくて早く食べたいと言うと何故か殿下は頬を赤らめ私の手を引き建物の方へ歩き出した。
『もしかして…この赤いブロスの実を早く食べたいっと思っているのだろうか⁈』
そうならまた見当違いだ。だって赤いブロスはまだ1粒しか採っていないから…
農園の入り口まで戻ると騎士さん籠を用意してくれていて、エプロンにためたブロスを籠に移す。騎士さんは井戸に行き籠に一気に水をかけ洗う。井戸のポンプは元の世界のポンプに作りが似ていてやってみたくなり、代わってもらいポンプと力いっぱい押す!
…が!硬い1回押しただけで腕がパンパンだ。ぷるぷる震えながら押している私を微笑ましく見ている皆さん。そりゃあなた達は鍛えているからこれ位平気でしょうか非力な私には無理!おばさんバージョンの私なら出来ただろうけど…
すると急にポンプが軽くなる?
よく見ると殿下が背後から手を貸してくれ一緒に押してくれている。急に軽く押せるようになり勢いよく出る水を見て顔が綻ぶ。
後ろを見ると間近に殿下の綺麗なお顔が…
「殿下…近いです」
「あぁ…幸せだ」
背中に殿下の体温と耳元では息遣いが近くて心拍数が上がる。微笑ましく見ていて騎士さんが急に
「殿下!多恵様!もうこれ以上は実が潰れます」
そう殿下の力が強く水の勢いが凄いから実が籠の中で激しく踊っている。
慌てて殿下と私は手を放し顔を合わせて苦笑いする。この後、農園のベンチに座り皆で仲良くブロスの実を食べる。濃厚な味だがさっぱりした甘さで沢山食べれる。殿下が赤いブロスの実を私の口元に運んだ。
途端に甘い雰囲気に…前に座るアイリスさんが真っ赤な顔をして席を立つと他の騎士さんも席を立ち何処かに行ってしまった。
心の中で『置いて行かないで!』と叫ぶけど殿下と2人きっりにされた。殿下は熱い眼差しを送って来る。食べないは無しだよね…
“パクっ!”「美味しい!」
紫色のブロスに比べて甘酸っぱくて美味しい。
「殿下!これ好き!」
「良かった…」
そう言った殿下の顔が近づき、キスされそうになり…
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