170 / 189
169.軟派
しおりを挟む
「…って事がありまして!」
「「「「「あっははは!」」」」」
タイラー家のテーブルは笑い声が響き楽しい。侯爵様が騎士のあるある話をしデュークさんやレオ様もあるあるを披露し楽しそう。夫人もツッコミを入れていている。品のある夫人に見えたけど話すとイメージと違い…するとレオ様が
「母上は第1の騎士で皇太后の護衛をしていたんです。今は淑女の様に見えますがかなりの腕の立つ騎士だったそうです。結構怖いんですよ」
「レオ。せっかく多恵様に印象良く見ていただく為に頑張っているのです。余計な事は言わない様に」
「騎士一家なんですね。楽しそうなご家族で羨ましいです」
「お気に召したらいつでもお越し下さい」
楽しいマジここに居たい!移動したく無い!
すると急に表情を引き締めたレオ様が身を寄せて来て小声で
「多恵様。お気をつけ下さい。次のバックス伯爵家イーサン殿は女性との噂が絶えず手が早いと言われています。何か有ればデューク様が対応下さいますからご安心を」
「はい。ご忠告ありがとうございます」
思わずデュークさんを見たら険しい顔をしている。デュークさんの視線の先は次のテーブル。男性がこっちに向かってくる。恐らくイーサン様だ。
イーサン様は美男子特有の金髪碧眼で癖っ毛が甘い雰囲気を醸し出している。マリカさんがいたら喜ぶだろうなぁ…
『へっ?』
後ろから冷気を感じ振り返るとデュークさんもサリナさんも臨戦体制で表情が冷たい。こわっ!
タイラー侯爵様と夫人に挨拶しレオ様にお礼を言いイーサン様に向き合います。
「お目もじ叶い光栄でございます。バックス伯爵家嫡男イーサンと申します。多恵様に御目通りできる日を心待ちにしておりました。さぁお手を…」
「初めまして宜しくお願いします」
手を重ねると指で手の甲をなぞられ寒気がした。のっけから距離が近い!
「多恵様は華奢でいらっしゃるから庇護欲を駆り立てられます。私が守って差し上げたい!」
「ありがとうございます。でも見た目と違い結構がっしりしてるので大丈夫です」
女性に拒否された事ないのか驚いている。
「誰かが有らぬ噂話を多恵様にした様ですね。私は女性には常に誠意を心掛けています。多恵様の曇り無き眼で私を見て下さい」
テーブルに着くと伯爵様と夫人が挨拶され着席する。伯爵様はイーサン様に似てイケおじで大人の色気たっぷりだ。伯爵様は領地と伯爵家の歴史を話しだす。イーサン様はずっと私の手を握り離してくれない。そーと手を離そうとする度に握られ微笑まれる。溜息を吐いて
「イーサン様。せっかくご用意いただいたお茶と茶菓子をいただきたいので手を離して下さい」
するとイーサン様はフィナンシェを取り私の口元に運んだ。
驚いているとデュークさんが
「イーサン殿。多恵様がお困りです。距離をお取りください」
でも懲りないイーサン様。人見知りする事と距離が近いのは苦手だと告げる。またまた拒否された事にショックなのか、やっと手を放してくれたイーサン様。しかし何故か頬を赤くし
「この様に奥ゆかしいお方は初めてですし、私が手を握り拒否されたのも初めてです。本当に貴女は愛らしく抱きしめたい衝動に駆られます」
「駆られないで下さい」
イーサン様の口説きに靡かない事に焦った伯爵様が、領地に別荘を用意するからきて欲しいと話す。どうやらバックス領は自然豊かで貴族の別荘が多く避暑地らしい。
「お気持ちは嬉しいのですが。まだ女神リリスの手伝いもまだ終わっていないので、暫くはのんびりする暇が無いんです」
「しかし先日はバース領に行かれたでは有りませんか!」
あ…厄介なタイプで主張が通らないと”ごてるタイプ”だなぁ…
「お恥ずかしい話しですか、リリスのお手伝いに疲れてしまいまして…
アルディアのお手伝いがひと段落したので陛下が休暇を下さいました。さっきもお伝えした様に私は人見知りをするので、召喚されてからずっとお世話いただいているサリナ嬢の帰省に便乗させていただいたんです。また次のお手伝いが終わったらまたアルディア国内を旅行したいと思っています」
やんわりお断りするが、伯爵は次の約束を取り付けようとする。曖昧に返事をしなんとかやり過ごした。
思わず後ろに控えてくれるデュークさんとサリナさんを見て伺いを立てる。良かった!2人とも頷いてくれた!
その後イーサン様からは質問攻めに合い防戦。正直イーサン様は鑑賞対象にはいいけど恋愛はご遠慮したい。だって十中八九イーサン様はナルシストだ。”俺イケてる”感が強すぎるもん。
そんな事を考えていたら隣のテーブルから男性がこっちに向かってくる。サリナさんが
「多恵様。次のテーブルのジャスパー伯爵家のマーティン様ですわ」
するとイーサン様が私の手を取り立ち上がり許可無く抱きしめた。
「「「「えっ?」」」」
イーサン様は耳元で“私を選んだ方がいいですよ”と囁き耳にキスされ寒気がする。
『気持ち悪い!』
直ぐにデュークさんがイーサン様の首根っこを掴み引き離しサリナさんが私を抱き抱えた。
「嫌だなぁ~お別れのハグですよ。女神の乙女に不埒な事する訳ないでしょう。ねぇ~多恵様」
うっわぁー!フリータイムになったらレオ様にくっついていよう。これ以上関わりたく無くてデュークさんに首を振った。めげないイーサン様は私にウィンクして席に戻った。
「「「「「あっははは!」」」」」
タイラー家のテーブルは笑い声が響き楽しい。侯爵様が騎士のあるある話をしデュークさんやレオ様もあるあるを披露し楽しそう。夫人もツッコミを入れていている。品のある夫人に見えたけど話すとイメージと違い…するとレオ様が
「母上は第1の騎士で皇太后の護衛をしていたんです。今は淑女の様に見えますがかなりの腕の立つ騎士だったそうです。結構怖いんですよ」
「レオ。せっかく多恵様に印象良く見ていただく為に頑張っているのです。余計な事は言わない様に」
「騎士一家なんですね。楽しそうなご家族で羨ましいです」
「お気に召したらいつでもお越し下さい」
楽しいマジここに居たい!移動したく無い!
すると急に表情を引き締めたレオ様が身を寄せて来て小声で
「多恵様。お気をつけ下さい。次のバックス伯爵家イーサン殿は女性との噂が絶えず手が早いと言われています。何か有ればデューク様が対応下さいますからご安心を」
「はい。ご忠告ありがとうございます」
思わずデュークさんを見たら険しい顔をしている。デュークさんの視線の先は次のテーブル。男性がこっちに向かってくる。恐らくイーサン様だ。
イーサン様は美男子特有の金髪碧眼で癖っ毛が甘い雰囲気を醸し出している。マリカさんがいたら喜ぶだろうなぁ…
『へっ?』
後ろから冷気を感じ振り返るとデュークさんもサリナさんも臨戦体制で表情が冷たい。こわっ!
タイラー侯爵様と夫人に挨拶しレオ様にお礼を言いイーサン様に向き合います。
「お目もじ叶い光栄でございます。バックス伯爵家嫡男イーサンと申します。多恵様に御目通りできる日を心待ちにしておりました。さぁお手を…」
「初めまして宜しくお願いします」
手を重ねると指で手の甲をなぞられ寒気がした。のっけから距離が近い!
「多恵様は華奢でいらっしゃるから庇護欲を駆り立てられます。私が守って差し上げたい!」
「ありがとうございます。でも見た目と違い結構がっしりしてるので大丈夫です」
女性に拒否された事ないのか驚いている。
「誰かが有らぬ噂話を多恵様にした様ですね。私は女性には常に誠意を心掛けています。多恵様の曇り無き眼で私を見て下さい」
テーブルに着くと伯爵様と夫人が挨拶され着席する。伯爵様はイーサン様に似てイケおじで大人の色気たっぷりだ。伯爵様は領地と伯爵家の歴史を話しだす。イーサン様はずっと私の手を握り離してくれない。そーと手を離そうとする度に握られ微笑まれる。溜息を吐いて
「イーサン様。せっかくご用意いただいたお茶と茶菓子をいただきたいので手を離して下さい」
するとイーサン様はフィナンシェを取り私の口元に運んだ。
驚いているとデュークさんが
「イーサン殿。多恵様がお困りです。距離をお取りください」
でも懲りないイーサン様。人見知りする事と距離が近いのは苦手だと告げる。またまた拒否された事にショックなのか、やっと手を放してくれたイーサン様。しかし何故か頬を赤くし
「この様に奥ゆかしいお方は初めてですし、私が手を握り拒否されたのも初めてです。本当に貴女は愛らしく抱きしめたい衝動に駆られます」
「駆られないで下さい」
イーサン様の口説きに靡かない事に焦った伯爵様が、領地に別荘を用意するからきて欲しいと話す。どうやらバックス領は自然豊かで貴族の別荘が多く避暑地らしい。
「お気持ちは嬉しいのですが。まだ女神リリスの手伝いもまだ終わっていないので、暫くはのんびりする暇が無いんです」
「しかし先日はバース領に行かれたでは有りませんか!」
あ…厄介なタイプで主張が通らないと”ごてるタイプ”だなぁ…
「お恥ずかしい話しですか、リリスのお手伝いに疲れてしまいまして…
アルディアのお手伝いがひと段落したので陛下が休暇を下さいました。さっきもお伝えした様に私は人見知りをするので、召喚されてからずっとお世話いただいているサリナ嬢の帰省に便乗させていただいたんです。また次のお手伝いが終わったらまたアルディア国内を旅行したいと思っています」
やんわりお断りするが、伯爵は次の約束を取り付けようとする。曖昧に返事をしなんとかやり過ごした。
思わず後ろに控えてくれるデュークさんとサリナさんを見て伺いを立てる。良かった!2人とも頷いてくれた!
その後イーサン様からは質問攻めに合い防戦。正直イーサン様は鑑賞対象にはいいけど恋愛はご遠慮したい。だって十中八九イーサン様はナルシストだ。”俺イケてる”感が強すぎるもん。
そんな事を考えていたら隣のテーブルから男性がこっちに向かってくる。サリナさんが
「多恵様。次のテーブルのジャスパー伯爵家のマーティン様ですわ」
するとイーサン様が私の手を取り立ち上がり許可無く抱きしめた。
「「「「えっ?」」」」
イーサン様は耳元で“私を選んだ方がいいですよ”と囁き耳にキスされ寒気がする。
『気持ち悪い!』
直ぐにデュークさんがイーサン様の首根っこを掴み引き離しサリナさんが私を抱き抱えた。
「嫌だなぁ~お別れのハグですよ。女神の乙女に不埒な事する訳ないでしょう。ねぇ~多恵様」
うっわぁー!フリータイムになったらレオ様にくっついていよう。これ以上関わりたく無くてデュークさんに首を振った。めげないイーサン様は私にウィンクして席に戻った。
11
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました
市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。
……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。
それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?!
上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる?
このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!!
※小説家になろう様でも投稿しています
男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました
かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。
「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね?
周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。
※この作品の人物および設定は完全フィクションです
※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。
※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。)
※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。
※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。
6年間姿を消していたら、ヤンデレ幼馴染達からの愛情が限界突破していたようです~聖女は監禁・心中ルートを回避したい~
皇 翼
恋愛
グレシュタット王国の第一王女にして、この世界の聖女に選定されたロザリア=テンペラスト。昔から魔法とも魔術とも異なる不思議な力を持っていた彼女は初潮を迎えた12歳のある日、とある未来を視る。
それは、彼女の18歳の誕生日を祝う夜会にて。襲撃を受け、そのまま死亡する。そしてその『死』が原因でグレシュタットとガリレアン、コルレア3国間で争いの火種が生まれ、戦争に発展する――という恐ろしいものだった。
それらを視たロザリアは幼い身で決意することになる。自分の未来の死を回避するため、そしてついでに3国で勃発する戦争を阻止するため、行動することを。
「お父様、私は明日死にます!」
「ロザリア!!?」
しかしその選択は別の意味で地獄を産み出していた。ヤンデレ地獄を作り出していたのだ。後々後悔するとも知らず、彼女は自分の道を歩み続ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる