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168.砥石
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強引なエスコートでディライズ侯爵のテーブルに着きご挨拶し着席する。ディライズ侯爵領地は鍛冶職人が多く刃物が有名らしい。侯爵様もライリー様も男っぽい人で話し方も豪快だ。それより夫人が私と変わらないお年か? ずいぶん若いし妖艶な美女だ。特にお胸のあたりが…するとライリー様が
「我が領地で作られた剣は王室騎士団御用達になっております。また、色んな刃物を扱うので領地は豊です」
聞いた感じでは刃が欠けたり錆びると溶かし再度刃物を打つ様だ。詳しく無いけど砥石で砥いだらいいのに。何も考えてない私はまた失言をしてしまう。
「砥石とかは無いんですか?」
「といしとは?」
「私の世界で切れなくなった刃物は砥石という石で研磨する事で切れ味は戻ります。だから刃物は手入れして長く使うんです」
目が点の侯爵様とライリー様。ここから質問攻め合い学習しない自分に呆れながら、分かる事を答えいたらライリー様が
「正直、お話するまで愛らしく大人しい女性だと思っていました。こんなに博学なお方だと思いませんでした。それなのに全く奢る事もなく謙虚で愛らしい。この箱庭に貴女の様に素晴らしい女性は居ない。幸せにします。俺を選んでください」
やんわり断るが更に圧くなり
「多恵様は候補者がいないと聞いております。何も今すぐ息子と婚姻を言っているのではありません。息子を候補者にしていただき、息子と交流を持って頂きたい」
やっぱり強引一家だ。侯爵もライリー様も“押して押して!押し切れ!”気質の人だ。正直苦手…
愛想笑いがとうとう引きつってきたらデュークさんが助け舟を出してくれる。
「侯爵、ライリー殿。私は多恵様が召喚されたその日から長く護衛で傍で仕えておりますが、多恵様は謙虚なお方で強引なお方は苦手なようです。加減を間違われると嫌われますぞ」
「「左様ですか…」」
感謝の眼差しをデュークさんに送ると微笑んでくれる。ここからライリー様のトーンは下がり普通に話す事が出来た。どうやら侯爵様に圧をかけられていた様で落ち着いて話したら好青年だった。
少しするとライリー様の視線が動いた。どうやら次の方が立ちこちらに向かって来た様だ。
『あれ?騎士さん?』
目の前に来た男性は確実に騎士さんだ。どこの団だっけ? 必死に思い出すが直ぐに出てこない。どうやら記憶力はアラフィフのままのようだ。
するとライリー様は不機嫌そうに私の手を取り口付けた。
「この後お時間を頂きたい。まだ話し足りません」
「えっと時間があればでいいですか?」
逃げ腰でディライズ侯爵の皆さんにご挨拶し、お迎えに来てくれた男性に向き合うと
「タイラー侯爵家レオと申します。勤務外でお会いでき光栄に存じます」
「あっ!第3騎士団の方ですよね!直接護衛していただいた事ありませんが確か何度かお会いしていますよね。今日は正装で騎士服では無いので分かりませんでた。今日はよろしくお願いします」
そう彼は第3騎士団の騎士様でした。手を差し伸べてくれ重ねると私の歩幅に合わせて歩いてくれる。こういう気遣いはまさに騎士だ。
タイラー家のテーブルに来ると侯爵様と夫人から挨拶を頂く。着席するとテーブルに私の好きなチーズケーキが並んでいた。さっきまで甘い茶菓子ばかりだったから思わず嬉しくてガン見してしまいレオ様に笑われる。
「相変わらず可愛らしお方ですね多恵様は。今日は念願が叶い僥倖です。以前第3が護衛した際、殿下の命で別の任務に就いていて選任のトーナメントに参加できませんでした。護衛に着いた者から話を聞き一度お話しさせていただきたかったのです」
「こんなので良ければいつでもお話し相手になりますよ!」
レオ様は細マッチョとゴリマッチョの中間で”ちょいマッチョ”だ。男前だか系統で言うとスポーツマンタイプの男前。明るい茶髪に同じく綺麗な茶色の瞳で人懐っこい笑顔がキュンとする。
チーズケーキを堪能していたら、タイラー侯爵様からは今回のお茶会の経緯を説明された。
タイラー侯爵家は代々王家に仕える騎士一族。他の家の様に私との縁組を望んでの参加ではないらしい。
参加しているライナス家とディライズ家が仲が悪く、今回のお茶会で揉めるのが目に見えている。そこで同じ位にあるタイラー家が参加し私を護る算段だ。殿下や騎士が護れば確執に繋がる。
「私も当主を継ぐまでは騎士をしており、陛下が王子の頃より仕えていました。今回の策は陛下が多恵様を護る為にお考えになられた事です。レオを側に置きます故安心なさって下さい」
「ありがとうございます」
どうやら陛下が裏で色々手を回してくれている様だ。確かに騎士さんが護ると反感を買うだろうが、レオさんが侯爵家嫡男として側に居れば反感は買い難いだろう。陛下ナイス!
「まぁ…多恵様が愚息を気に入られましたら、いつでもお召し上げ下さって結構です。レオも婚期ギリギリの崖っぷち男ですから」
「父上。多恵様に失礼です!」
皆んなで笑い合う。お茶会が始まってデュークさんとサリナさんが初めて表情を緩めた。終わるまでずっとこの席に居たいよ!
「我が領地で作られた剣は王室騎士団御用達になっております。また、色んな刃物を扱うので領地は豊です」
聞いた感じでは刃が欠けたり錆びると溶かし再度刃物を打つ様だ。詳しく無いけど砥石で砥いだらいいのに。何も考えてない私はまた失言をしてしまう。
「砥石とかは無いんですか?」
「といしとは?」
「私の世界で切れなくなった刃物は砥石という石で研磨する事で切れ味は戻ります。だから刃物は手入れして長く使うんです」
目が点の侯爵様とライリー様。ここから質問攻め合い学習しない自分に呆れながら、分かる事を答えいたらライリー様が
「正直、お話するまで愛らしく大人しい女性だと思っていました。こんなに博学なお方だと思いませんでした。それなのに全く奢る事もなく謙虚で愛らしい。この箱庭に貴女の様に素晴らしい女性は居ない。幸せにします。俺を選んでください」
やんわり断るが更に圧くなり
「多恵様は候補者がいないと聞いております。何も今すぐ息子と婚姻を言っているのではありません。息子を候補者にしていただき、息子と交流を持って頂きたい」
やっぱり強引一家だ。侯爵もライリー様も“押して押して!押し切れ!”気質の人だ。正直苦手…
愛想笑いがとうとう引きつってきたらデュークさんが助け舟を出してくれる。
「侯爵、ライリー殿。私は多恵様が召喚されたその日から長く護衛で傍で仕えておりますが、多恵様は謙虚なお方で強引なお方は苦手なようです。加減を間違われると嫌われますぞ」
「「左様ですか…」」
感謝の眼差しをデュークさんに送ると微笑んでくれる。ここからライリー様のトーンは下がり普通に話す事が出来た。どうやら侯爵様に圧をかけられていた様で落ち着いて話したら好青年だった。
少しするとライリー様の視線が動いた。どうやら次の方が立ちこちらに向かって来た様だ。
『あれ?騎士さん?』
目の前に来た男性は確実に騎士さんだ。どこの団だっけ? 必死に思い出すが直ぐに出てこない。どうやら記憶力はアラフィフのままのようだ。
するとライリー様は不機嫌そうに私の手を取り口付けた。
「この後お時間を頂きたい。まだ話し足りません」
「えっと時間があればでいいですか?」
逃げ腰でディライズ侯爵の皆さんにご挨拶し、お迎えに来てくれた男性に向き合うと
「タイラー侯爵家レオと申します。勤務外でお会いでき光栄に存じます」
「あっ!第3騎士団の方ですよね!直接護衛していただいた事ありませんが確か何度かお会いしていますよね。今日は正装で騎士服では無いので分かりませんでた。今日はよろしくお願いします」
そう彼は第3騎士団の騎士様でした。手を差し伸べてくれ重ねると私の歩幅に合わせて歩いてくれる。こういう気遣いはまさに騎士だ。
タイラー家のテーブルに来ると侯爵様と夫人から挨拶を頂く。着席するとテーブルに私の好きなチーズケーキが並んでいた。さっきまで甘い茶菓子ばかりだったから思わず嬉しくてガン見してしまいレオ様に笑われる。
「相変わらず可愛らしお方ですね多恵様は。今日は念願が叶い僥倖です。以前第3が護衛した際、殿下の命で別の任務に就いていて選任のトーナメントに参加できませんでした。護衛に着いた者から話を聞き一度お話しさせていただきたかったのです」
「こんなので良ければいつでもお話し相手になりますよ!」
レオ様は細マッチョとゴリマッチョの中間で”ちょいマッチョ”だ。男前だか系統で言うとスポーツマンタイプの男前。明るい茶髪に同じく綺麗な茶色の瞳で人懐っこい笑顔がキュンとする。
チーズケーキを堪能していたら、タイラー侯爵様からは今回のお茶会の経緯を説明された。
タイラー侯爵家は代々王家に仕える騎士一族。他の家の様に私との縁組を望んでの参加ではないらしい。
参加しているライナス家とディライズ家が仲が悪く、今回のお茶会で揉めるのが目に見えている。そこで同じ位にあるタイラー家が参加し私を護る算段だ。殿下や騎士が護れば確執に繋がる。
「私も当主を継ぐまでは騎士をしており、陛下が王子の頃より仕えていました。今回の策は陛下が多恵様を護る為にお考えになられた事です。レオを側に置きます故安心なさって下さい」
「ありがとうございます」
どうやら陛下が裏で色々手を回してくれている様だ。確かに騎士さんが護ると反感を買うだろうが、レオさんが侯爵家嫡男として側に居れば反感は買い難いだろう。陛下ナイス!
「まぁ…多恵様が愚息を気に入られましたら、いつでもお召し上げ下さって結構です。レオも婚期ギリギリの崖っぷち男ですから」
「父上。多恵様に失礼です!」
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