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165.待ち伏せ
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「私は公爵家嫡男である故に周囲の目を気にする事が多い。我が領地なら気も抜けて本当の私を見ていただけるでしょう。私の事を知って欲しい」
そう言い真剣な眼差しを向けるキース様。
「私の事もよく見て下さいね。私の素を見たら候補を解消して良かったと思うかも知れませんよ⁉︎」
「女神リリスに誓ってない。私は命尽きるまで貴女だけだ。諦めて私に愛されて下さい」
さらっと凄い言葉を言うキース様。甘すぎて高血糖になりそうです。
この後港町の話しを色々聞いて楽しい時間を過ごした。
キース様は夕刻に名残惜しそうにしながら帰って行った。部屋に戻って来たマリカさんは顔を真っ赤にしてもじもじしている。きっと私とキース様がいちゃらぶしていたと思っているんだな…それではパーフェクト侍女の道は遠いぞマリカさん。
夕刻王妃様との夕食へ向かう前に着替えをして身支度を整える。騎士さんと雑談をしながら廊下を歩ていると、マスク作りを協力してくれたご婦人と会いご挨拶し立ち話をした。
「・・・」
このご婦人は世間話の後、気不味そうに明日のお茶会の話しをし出した。親戚からの頼まれた様で参加されるご子息の売り込みをされた。
ご婦人…偶然を装って実は待ち構えていたとか言わないよね…いかんいかん!品の言いご婦人に穿った考えをしては…
お茶会の話題はやんわりとお茶を濁して別れた。
また、歩いているとマスク作りの協力者のご令嬢とお会いした。
『何なの?こんな遅い時間に令嬢とかご婦人が城内にいるの初めて見た気がする』
すると騎士のマックスさんが
「明日のお茶会は貴族の注目の的で少しでも多恵様に心象よく見せたいらしく、親戚を巻き込んで大変な事になっています。かく言う私も従弟が明日お茶会に参加するんです。実家からは護衛で多恵様にお会いする機会があれば、それと無く売り込んで欲しいと言われています。
ですがきっぱり断りました、任務中ですし多恵様をお守りするのが一番大事。聞けば他の騎士も同じように実家から口利きを言われている者も多い。多恵様明日は大モテになるので覚悟された方がいいですよ」
「マックさん変な予言しないで下さい!」
聞けばもう一人の当番騎士のディールさんも同じだっと話す。
やっと王妃様の部屋に着き入室許可をもらいます。
「!!」お迎え頂いた王妃様の窶れ様に驚く。
思わず駆け寄り
「お加減があまり良くないとお聞きしておりましたが大丈夫ですか⁈」
「会いに来てくれてありがとう。直接会ってお詫びしたかったのです」
取りあえずふらふらの王妃を支えてソファーに行き座らせ隣に座り手を握った。王妃様は終始俯き深刻な顔をしている。
「この度は私の侍女が要らぬ話をしたばかりに、多恵さんに迷惑を…」
「あ~!その事なら気にしないで下さい。モーブルに行く前にちょっと用事が増えましたが大した事ではありません。箱庭に来て寂しく感じなかったのは、陛下はじめアルディアの皆さんが良くして頂いたからだと感謝しているんですよ。明日の貴族とのお茶会の意図も理解しています。アルディアが好きだから、私が居ない間に揉めて欲しくないし、陛下がお父さんで王妃様がお母さんなのでしょう⁈両親が元気で居てくれないと娘は旅立てませんよ」
ハラハラと静かに泣く王妃様。王妃様が落ち着くまで手を握り寄り添う。
やっと王妃様が落ち着いてきたら“ぐぅ…”私の意思を無視してお腹が盛大に鳴る。はずかしい・・・
「ごめんなさいね。夕食にお誘いしたのに食事が後になって、料理長に多恵さんの好きなものを聞いて用意させたわ。いただきましょう」
王妃様が言った通りテーブルには私の好きな料理が並ぶ。基本食べれないものは無く出されたものは何でも食べていたし、特段リクエストをした事は無かったのに好きなものばかりだ。う…ん不思議だ。
美味しく頂きデザートがこれまた好きなものだらけ!喜んでいたら、王妃様が人払いをした。
あ…本題が始まるのね…
「陛下からアーサーの事は聞いていますね」
「はい」
「母の立場としては是非にアーサーの妃になって欲しい。しかし貴女は女神リリスが召喚した乙女で無理強いは出来ません。私はアーサーも多恵さんも愛しているわ。しっかり向き合て王子ではないあの子を見てあげて欲しい。そして貴女にとっていい選択をして。もし貴女がアーサーを選ばなくても、陛下も私も娘だと思っているわ」
「ありがとございます。温かいく見守っていただけると嬉しいです」
この後、他愛もない話をして王妃様との会話を楽しんだ。お暇する頃には王妃様の顔色も良くなっていて安心する。
時計を見ると7刻。そろそろお暇しようとしたら王妃様が少し待って欲しいと言う。何故だか分からないけど王妃様と話していたら誰か来た様だ。
「多恵殿向かえに来ましたよ!」
「ヒューイ殿下?」
薄暗い廊下をヒューイ殿下のエスコートで部屋に戻ります。やっぱり今日は異常だ。7刻も回る時間に色んな所に貴族それも少しでも私と面識がある方々がいる。
「今日は母上に会って頂き、ありがとうございました。直接貴女と話しスッキリした顔をしていましたよ」
自分のことで必死だったから、王妃様が体調悪いなんて知らなかった。もっと早くお伺いすれば良かったと後悔していると
「急に母上に呼ばれた理由が分かりました。これだけ貴女を待ち伏せしている貴族が居ては、貴女が部屋に着くのは日が変わる頃になるでしょう。私と一緒なら貴族達も流石に声は掛けてこない」
「お心遣いに感謝します。行きにも数名に声をかけられまして…明日が思いやられます」
この後雑談しながら歩くヒューイ殿下と私に話しかける勇気のある人はおらず、すんなり部屋まで帰る事が出来た。お礼を言うと
「明日はもっと大変だと思います。辛い時は周りに頼って下さい」
「ありがとうございます。頑張ってきます」
とは言ったものの不安でしかない。これ以上男性は要らないんだけど…
そう言い真剣な眼差しを向けるキース様。
「私の事もよく見て下さいね。私の素を見たら候補を解消して良かったと思うかも知れませんよ⁉︎」
「女神リリスに誓ってない。私は命尽きるまで貴女だけだ。諦めて私に愛されて下さい」
さらっと凄い言葉を言うキース様。甘すぎて高血糖になりそうです。
この後港町の話しを色々聞いて楽しい時間を過ごした。
キース様は夕刻に名残惜しそうにしながら帰って行った。部屋に戻って来たマリカさんは顔を真っ赤にしてもじもじしている。きっと私とキース様がいちゃらぶしていたと思っているんだな…それではパーフェクト侍女の道は遠いぞマリカさん。
夕刻王妃様との夕食へ向かう前に着替えをして身支度を整える。騎士さんと雑談をしながら廊下を歩ていると、マスク作りを協力してくれたご婦人と会いご挨拶し立ち話をした。
「・・・」
このご婦人は世間話の後、気不味そうに明日のお茶会の話しをし出した。親戚からの頼まれた様で参加されるご子息の売り込みをされた。
ご婦人…偶然を装って実は待ち構えていたとか言わないよね…いかんいかん!品の言いご婦人に穿った考えをしては…
お茶会の話題はやんわりとお茶を濁して別れた。
また、歩いているとマスク作りの協力者のご令嬢とお会いした。
『何なの?こんな遅い時間に令嬢とかご婦人が城内にいるの初めて見た気がする』
すると騎士のマックスさんが
「明日のお茶会は貴族の注目の的で少しでも多恵様に心象よく見せたいらしく、親戚を巻き込んで大変な事になっています。かく言う私も従弟が明日お茶会に参加するんです。実家からは護衛で多恵様にお会いする機会があれば、それと無く売り込んで欲しいと言われています。
ですがきっぱり断りました、任務中ですし多恵様をお守りするのが一番大事。聞けば他の騎士も同じように実家から口利きを言われている者も多い。多恵様明日は大モテになるので覚悟された方がいいですよ」
「マックさん変な予言しないで下さい!」
聞けばもう一人の当番騎士のディールさんも同じだっと話す。
やっと王妃様の部屋に着き入室許可をもらいます。
「!!」お迎え頂いた王妃様の窶れ様に驚く。
思わず駆け寄り
「お加減があまり良くないとお聞きしておりましたが大丈夫ですか⁈」
「会いに来てくれてありがとう。直接会ってお詫びしたかったのです」
取りあえずふらふらの王妃を支えてソファーに行き座らせ隣に座り手を握った。王妃様は終始俯き深刻な顔をしている。
「この度は私の侍女が要らぬ話をしたばかりに、多恵さんに迷惑を…」
「あ~!その事なら気にしないで下さい。モーブルに行く前にちょっと用事が増えましたが大した事ではありません。箱庭に来て寂しく感じなかったのは、陛下はじめアルディアの皆さんが良くして頂いたからだと感謝しているんですよ。明日の貴族とのお茶会の意図も理解しています。アルディアが好きだから、私が居ない間に揉めて欲しくないし、陛下がお父さんで王妃様がお母さんなのでしょう⁈両親が元気で居てくれないと娘は旅立てませんよ」
ハラハラと静かに泣く王妃様。王妃様が落ち着くまで手を握り寄り添う。
やっと王妃様が落ち着いてきたら“ぐぅ…”私の意思を無視してお腹が盛大に鳴る。はずかしい・・・
「ごめんなさいね。夕食にお誘いしたのに食事が後になって、料理長に多恵さんの好きなものを聞いて用意させたわ。いただきましょう」
王妃様が言った通りテーブルには私の好きな料理が並ぶ。基本食べれないものは無く出されたものは何でも食べていたし、特段リクエストをした事は無かったのに好きなものばかりだ。う…ん不思議だ。
美味しく頂きデザートがこれまた好きなものだらけ!喜んでいたら、王妃様が人払いをした。
あ…本題が始まるのね…
「陛下からアーサーの事は聞いていますね」
「はい」
「母の立場としては是非にアーサーの妃になって欲しい。しかし貴女は女神リリスが召喚した乙女で無理強いは出来ません。私はアーサーも多恵さんも愛しているわ。しっかり向き合て王子ではないあの子を見てあげて欲しい。そして貴女にとっていい選択をして。もし貴女がアーサーを選ばなくても、陛下も私も娘だと思っているわ」
「ありがとございます。温かいく見守っていただけると嬉しいです」
この後、他愛もない話をして王妃様との会話を楽しんだ。お暇する頃には王妃様の顔色も良くなっていて安心する。
時計を見ると7刻。そろそろお暇しようとしたら王妃様が少し待って欲しいと言う。何故だか分からないけど王妃様と話していたら誰か来た様だ。
「多恵殿向かえに来ましたよ!」
「ヒューイ殿下?」
薄暗い廊下をヒューイ殿下のエスコートで部屋に戻ります。やっぱり今日は異常だ。7刻も回る時間に色んな所に貴族それも少しでも私と面識がある方々がいる。
「今日は母上に会って頂き、ありがとうございました。直接貴女と話しスッキリした顔をしていましたよ」
自分のことで必死だったから、王妃様が体調悪いなんて知らなかった。もっと早くお伺いすれば良かったと後悔していると
「急に母上に呼ばれた理由が分かりました。これだけ貴女を待ち伏せしている貴族が居ては、貴女が部屋に着くのは日が変わる頃になるでしょう。私と一緒なら貴族達も流石に声は掛けてこない」
「お心遣いに感謝します。行きにも数名に声をかけられまして…明日が思いやられます」
この後雑談しながら歩くヒューイ殿下と私に話しかける勇気のある人はおらず、すんなり部屋まで帰る事が出来た。お礼を言うと
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