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155.カイルさーん!
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不詳顔の殿下は
「多恵様が召喚されていなければ、王家の血筋を残す為に自分を心を殺し婚約していたでしょう」
あまりにも嫌そうなので興味本位にその令嬢の事を聞くと
「数十メートル先から彼女が来るのが分かる位です。貴女の様に心をくすぐる香りでは無く嗅覚が破壊されます。元は美しい女性なのに完全に別人になる程の化粧。そして目のやり場に困るドレス。熱を持った視線で男を懐柔しようとする。貴女と真逆の女性です」
殿下本当に嫌いなんだなぁ…最後は悪口になっているし…
「全ての元凶はレベッカ。正直貴女の召喚が分かった時警戒しました。またレベッカの様な女性でレッグロッドに来たら俺が娶らねばならない。あの召喚の日は覚悟を持って臨みました」
「あ…私なんかでごめんなさい…」
オーランド殿下は立ち上がり私の手を取り
「召喚のあの日からずっと貴女を召喚してくれた女神リリスに感謝しているんです。俺は貴女に逢って女性を愛する事を知ったのです」
「あっ!」
「何か?」
オーランド殿下に聞いてみたい事があったんだ!
いい機会だ聞いてみよう。
「その召喚の日の事で聞いてみたかった事が有るんです」
「何でも聞いてください。貴女には俺の全てを知ってほしい!」
そう!聞きたい事は【何故、召喚の儀式で禁止されていた降下中の扉に触れたのか?】だ。
私はあの時点で黒色《レッグロッド》と青色《アルディア》の扉を持っていて、オーランド殿下が触れ扉が消えなかったら恐らく黒色を選んでいた。触れざるおえない理由があったのか?
質問した途端に殿下は真っ赤になり、口元を手で隠し横を向いてしまった。絶賛照れ中の殿下をお茶を飲み待っています。落ち着いた殿下は恥ずかしそうに話し出す。
「降下中の扉に触れてはいけないのは重々承知していました。だが扉から漂う芳しい香りに己を忘れ欲してしまったのです」
「芳しい香り?」
「はい。貴女からずっと香っています。脳裏をくすぐられ酔うような香りが」
思わず自分の服をくんくんするが、フィラに調合してもらった香水の匂いしかしない。首を傾げていたら殿下が私の手を引き抱きしめた。
「貴女は俺の全てだ。もう一度伴侶候補になれるなら、どんな困難や試練にも耐えてみせる。ずっと貴女の側にいたい…」
殿下は他の候補者より背が低く目線が殿下の肩にある。なんか新鮮だ。それに鍛えられただけあり逞しい腕に護られている様で安心する。
やっぱりオーランド殿下もいい匂いがする。どうやら箱庭の男性は男臭い人はいないようだ。大輔もこうであってほしいと切に願う。
「あの召喚の儀式の時、私は黒色《レッグロッド》と青色《アルディア》の扉を選んでいて、殿下が扉を触れなければ多分私は黒色を選んでいたと思います」
「本当ですか?」
頷くと溜息を吐いて更に強く抱きしめる殿下。
「あの日に戻り自分を殴り回してやりたい!」
まだ曖昧な感じで自分でも分からないけど殿下を愛おしく感じる。
「殿下⁉︎」
「多恵様何か?」
「殿下を嫌いな訳ではなく、少し考える時間が欲しい」
「はい。理解しています」
殿下の抱擁にまったりしてきた私はエライ事を口走り赤面する羽目になった。
「昨日、廊下で会った時に無視されて嫌われたと思って悲しくなったんです私。自分から解消を申し出たのに狡いですよね…」
殿下が抱擁を解き私の両肩を掴み嬉しそうに
「それってほんの少しでも俺に好意があるって事ですか?」
「えっと…そうですね?」
真面目な顔をした殿下が
「今、俺は貴女に口付けたい!」
「えっと…頬になら?」
剣を握るごつごつした手で私の肩をがっしり掴み、優しい口付けを頬にくれた。
シャイな殿下と暫く照れ合戦する事に…
今日はオーランド殿下との距離が縮まった日となった。
オーランド殿下がずっと抱きしめている。そろそろ離してほしくて背中を叩くと、殿下は腕を緩めまた頬に口付けてくる。
「あのね、キスして欲しいのではなくて離して欲しいんですが」
「嫌です」
「足が疲れました」
殿下は腕を解いたので解放されると安堵したら、殿下は少し屈み抱き上げてソファーに座り、私を膝の上に座らせ腰をホールドした。
「殿下違います!自分で座りたいしお茶菓子をいただきたいんです!」
終始笑顔の殿下は私の言葉を理解していないようで、クッキーを手に取り私の口に運んだ。
何度か下ろしてとお願いしたが全く聞いてくれず、仕方なく最終手段にでる。
「カイルさ~ん!」
凄い勢いで扉が開き険しい顔のカイルさんが足早に来て殿下の頭を叩いた。そして緩んだ殿下の腕から解放してくれた。カイルさんに続きケイティさんが入室して私を後ろに庇う。
「殿下。多恵様に無体な事はおやめください。この後も予定がございます。ご退室を!」
カイルさんはオーランド殿下を引っ張り頭を押さえて謝罪されます。
「皆さん勘違いしないで下さい。殿下が離して下さらないので、お呼びしただけで変な事はされていませんから!」
すると破顔した殿下は興奮気味に
「カイル!多恵様に俺を分かってもらえた!少しだか好意も持っていただいている!」
嬉しそうにカイルさんに話す殿下は可愛らしい。殿下は純粋なんだよね… カイルさんは兄の様に殿下の背中を叩き微笑み頷いている。
「しかし、嬉しいのは分かるが強引なのは駄目だ!」
「反省している。レッグロッドに帰りまた暫く多恵様に会えないのだ。暫しの逢瀬を堪能させてくれ」
隣にいるケイティさんが無表情になっている。
「誤解が解けてよかった。多恵様次はモーブルですね。俺らは貴女がレッグロッドにお越しいただける日を楽しみにしています」
「ありがとうございます。また帰国される際に改めてご挨拶しますね」
ケイティさんの雰囲気に負けたオーランド殿下とカイルさんは退室していった。殿下の長い抱擁としつこい位の頬のキスが更にケイティさんを不機嫌にした。
オーランド殿下が帰りほっとし、ソファーに沈み込む。まだ半分しかお土産を渡せてない。ビルス殿下には直接会えないから、手紙を書きお土産と一緒にてん君にお願いしょう。だったら手紙を書かないといけない。また神経と手を酷使する。
疲れたからまずはお茶菓子で糖分チャージする事にした。
「多恵様が召喚されていなければ、王家の血筋を残す為に自分を心を殺し婚約していたでしょう」
あまりにも嫌そうなので興味本位にその令嬢の事を聞くと
「数十メートル先から彼女が来るのが分かる位です。貴女の様に心をくすぐる香りでは無く嗅覚が破壊されます。元は美しい女性なのに完全に別人になる程の化粧。そして目のやり場に困るドレス。熱を持った視線で男を懐柔しようとする。貴女と真逆の女性です」
殿下本当に嫌いなんだなぁ…最後は悪口になっているし…
「全ての元凶はレベッカ。正直貴女の召喚が分かった時警戒しました。またレベッカの様な女性でレッグロッドに来たら俺が娶らねばならない。あの召喚の日は覚悟を持って臨みました」
「あ…私なんかでごめんなさい…」
オーランド殿下は立ち上がり私の手を取り
「召喚のあの日からずっと貴女を召喚してくれた女神リリスに感謝しているんです。俺は貴女に逢って女性を愛する事を知ったのです」
「あっ!」
「何か?」
オーランド殿下に聞いてみたい事があったんだ!
いい機会だ聞いてみよう。
「その召喚の日の事で聞いてみたかった事が有るんです」
「何でも聞いてください。貴女には俺の全てを知ってほしい!」
そう!聞きたい事は【何故、召喚の儀式で禁止されていた降下中の扉に触れたのか?】だ。
私はあの時点で黒色《レッグロッド》と青色《アルディア》の扉を持っていて、オーランド殿下が触れ扉が消えなかったら恐らく黒色を選んでいた。触れざるおえない理由があったのか?
質問した途端に殿下は真っ赤になり、口元を手で隠し横を向いてしまった。絶賛照れ中の殿下をお茶を飲み待っています。落ち着いた殿下は恥ずかしそうに話し出す。
「降下中の扉に触れてはいけないのは重々承知していました。だが扉から漂う芳しい香りに己を忘れ欲してしまったのです」
「芳しい香り?」
「はい。貴女からずっと香っています。脳裏をくすぐられ酔うような香りが」
思わず自分の服をくんくんするが、フィラに調合してもらった香水の匂いしかしない。首を傾げていたら殿下が私の手を引き抱きしめた。
「貴女は俺の全てだ。もう一度伴侶候補になれるなら、どんな困難や試練にも耐えてみせる。ずっと貴女の側にいたい…」
殿下は他の候補者より背が低く目線が殿下の肩にある。なんか新鮮だ。それに鍛えられただけあり逞しい腕に護られている様で安心する。
やっぱりオーランド殿下もいい匂いがする。どうやら箱庭の男性は男臭い人はいないようだ。大輔もこうであってほしいと切に願う。
「あの召喚の儀式の時、私は黒色《レッグロッド》と青色《アルディア》の扉を選んでいて、殿下が扉を触れなければ多分私は黒色を選んでいたと思います」
「本当ですか?」
頷くと溜息を吐いて更に強く抱きしめる殿下。
「あの日に戻り自分を殴り回してやりたい!」
まだ曖昧な感じで自分でも分からないけど殿下を愛おしく感じる。
「殿下⁉︎」
「多恵様何か?」
「殿下を嫌いな訳ではなく、少し考える時間が欲しい」
「はい。理解しています」
殿下の抱擁にまったりしてきた私はエライ事を口走り赤面する羽目になった。
「昨日、廊下で会った時に無視されて嫌われたと思って悲しくなったんです私。自分から解消を申し出たのに狡いですよね…」
殿下が抱擁を解き私の両肩を掴み嬉しそうに
「それってほんの少しでも俺に好意があるって事ですか?」
「えっと…そうですね?」
真面目な顔をした殿下が
「今、俺は貴女に口付けたい!」
「えっと…頬になら?」
剣を握るごつごつした手で私の肩をがっしり掴み、優しい口付けを頬にくれた。
シャイな殿下と暫く照れ合戦する事に…
今日はオーランド殿下との距離が縮まった日となった。
オーランド殿下がずっと抱きしめている。そろそろ離してほしくて背中を叩くと、殿下は腕を緩めまた頬に口付けてくる。
「あのね、キスして欲しいのではなくて離して欲しいんですが」
「嫌です」
「足が疲れました」
殿下は腕を解いたので解放されると安堵したら、殿下は少し屈み抱き上げてソファーに座り、私を膝の上に座らせ腰をホールドした。
「殿下違います!自分で座りたいしお茶菓子をいただきたいんです!」
終始笑顔の殿下は私の言葉を理解していないようで、クッキーを手に取り私の口に運んだ。
何度か下ろしてとお願いしたが全く聞いてくれず、仕方なく最終手段にでる。
「カイルさ~ん!」
凄い勢いで扉が開き険しい顔のカイルさんが足早に来て殿下の頭を叩いた。そして緩んだ殿下の腕から解放してくれた。カイルさんに続きケイティさんが入室して私を後ろに庇う。
「殿下。多恵様に無体な事はおやめください。この後も予定がございます。ご退室を!」
カイルさんはオーランド殿下を引っ張り頭を押さえて謝罪されます。
「皆さん勘違いしないで下さい。殿下が離して下さらないので、お呼びしただけで変な事はされていませんから!」
すると破顔した殿下は興奮気味に
「カイル!多恵様に俺を分かってもらえた!少しだか好意も持っていただいている!」
嬉しそうにカイルさんに話す殿下は可愛らしい。殿下は純粋なんだよね… カイルさんは兄の様に殿下の背中を叩き微笑み頷いている。
「しかし、嬉しいのは分かるが強引なのは駄目だ!」
「反省している。レッグロッドに帰りまた暫く多恵様に会えないのだ。暫しの逢瀬を堪能させてくれ」
隣にいるケイティさんが無表情になっている。
「誤解が解けてよかった。多恵様次はモーブルですね。俺らは貴女がレッグロッドにお越しいただける日を楽しみにしています」
「ありがとうございます。また帰国される際に改めてご挨拶しますね」
ケイティさんの雰囲気に負けたオーランド殿下とカイルさんは退室していった。殿下の長い抱擁としつこい位の頬のキスが更にケイティさんを不機嫌にした。
オーランド殿下が帰りほっとし、ソファーに沈み込む。まだ半分しかお土産を渡せてない。ビルス殿下には直接会えないから、手紙を書きお土産と一緒にてん君にお願いしょう。だったら手紙を書かないといけない。また神経と手を酷使する。
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