女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

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142.想い人は?

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「多恵さん?眠れませんか。温かいお飲み物を用意しましょうか?」
「大丈夫。ありがとう…邪魔かなぁ⁈」

首を振ったサリナさんは私を見据えて侍女スマイルで

「私に聞きたい事がおありですか?」

頷いて前に聞いた”想い人”の事を聞いた。サリナさんの”想い人”は他に想い人がいるらしいが、前は敢えて名前は聞かなかった。

「私ねサリナさんにも幸せになってほしい…でも人の想いはその人なものだから何も出来ない。願う事しかできないから…」
「やっぱり多恵さんは優しいですね。私は幸せですよ。想う方の近くでその方の幸せを見れるのですから…」
「どんな人が知りたいなぁ…名前は聞かないから」


サリナさんは少し考えて言葉を選びながらゆっくり話し出した。

お相手は王城の方でサリナさんより位の高いお方。品があり頭脳明晰でキレ者だが、少しズレている所があり構いたくなるお方らしい。
今私の頭の中はフル回転で対象者を検索中!

「侍女見習いから侍女になり、一時的にそのお方のお部屋付きなりお仕えする事なったのがきっかけです。そのお方は仕事は完璧でなんでもそつ無くこなすのに、お相手の意図から少しズレる事がおありになる。ある日気が緩んでおりついズレているのを指摘してしまい、その場に居た他の殿方に叱責されました。そうしたらそのお方は笑いながら許して下さったのです」
「心の広い方ですね」

そう言うとサリナさんは頬を染め微笑み

「はい。普通自分より身分が低くく、まして侍女に意見されれば殿方は怒るもの。しかしあの方は”その様な考えは持っていなかった。その侍女の意見は私に必要だった故許す”と許してくださいました。恋愛感情と言うより人として尊敬しずっとお仕えしたいと想う様になりました」

えー誰だろう大分絞れてきたけど…

「結局、先輩侍女がその事を侍女長に報告し担当を替えられてしまいました。しかしそれ以降も携わる機会があり、接するウチに想う様になったのです。最近は多恵さんの侍女になってからは更に増えましたね」

て事は私と接触がある方?
誰!3殿下?グラント様?キース様?独身以外もあり得るなぁ…年上でイザーク様とかデュークさん、クレイブさん? もうちょいヒントが有れば…

「見当つきましたか?」
「まだ…もうちょいヒントがあれば…あっ!」

サリナさんが微笑ましく私を見ている。ヤバイ相手を探ろうとしてるみたいで私感じ悪い!

「ごめんなさい。なんか…」
「いえ。本当に聡明で愛らしく構ってあげたくなる多恵さんを、そのお方が好意を抱くのも理解できますわ」

『ん?私に好意?…って事は(元)候補者?王城にいる…ん?分かったかも!』

顔が明るくなった私を見てサリナさんは笑いながら

「本当に多恵さんは同性の私から見ても魅力的で可愛らしい。人の機微には敏感なのにご自分の事には鈍い。またそこが庇護欲をかり立てられるのでしょう」

鈍いと言われ少し拗ねるとサリナさんは楽しそうに笑い、お茶を飲み真っ直ぐ私を見据えて

「ご察しの通りのお方です。この事は多恵さんの胸に留めていただきたい」
「勿論だよ。誰にも言わないから」

サリナさんは私にお茶を勧め雑談をする。気がつくと8刻になっていた。サリナさんもやる事が終わった様で就寝する事になった。
ベッドの中でサリナさんとその想い人の事を考える。普段は控えめでサポートでき、必要な時に的確に物お静せず意見できるサリナさんは、あの方のお相手としてバチっちりじゃん。2人はお似合いだ。しかし人の想いは側が関与出来ない。
2人に縁がある事を願いながら眠りについた。


『たえ あさ』
“ペシペシ”
『みんな ごはん こまる』

勢いよく起き上がると既に身支度済みのサリナさんとミリアさんが。やだ寝過ごしたみたい。あ…やらかした…

「ごめんなさい直ぐ用意します!」
「多恵様落ち着いて下さい。まだ出発までに時間はありますから」

時計を見たらまだ2刻半だ。焦った!
どうやら先に用意を始めたサリナさんとミリアさんにてん君が焦ったみたいだ。

ミリアさんはてん君を初めて見たらしく、目をキラキラさせててん君を見つめている。
てん君はいつも通りマイペースで扉を叩いてサリナさんに扉を開けてもらい居間の方に行ってしまった。皆んなを待たせているから急いで用意する。

身支度が済みリックさんと合流し宿の食堂で朝食を食べ出発します。そういえばサリナさんの帰省の理由を聞いていなかった。

「サリナさん。帰省は用事があったの?」
「はい。子爵家の家督を弟に決めるために、私が継承意思がない事を表明しなければならないのです。我が子爵家は男女関係なく長子が継ぐ事が決まっており、女か継承する場合は婿を迎えなければなりません。長子が女で嫁ぐ場合は継承権の放棄を一族の前で行わなければなりません。今回はその放棄の表明ために帰省のしたのです」

貴族は色々大変なんだ。そう思っていたらミリアさんが何故継がないのか聞くと

「私が継ぐと弟は分家を立ち上げる事になります。元々狭い領地に分家を立て領地を分けると更に狭くなり子爵家としての力は弱まります。ならば弟が継ぎそのまま保つのが一番いいのです。それに私は侍女の仕事が好きですし、出来ればずっと多恵様にお仕えしたいのです」
「ありがたいけど、自分の幸せ優先してね」

少し困り顔で微笑んだサリナさんは話題を変え、これからのスケジュールを説明した。

4刻過ぎに子爵邸に到着。昼食後は休息。
2日目はリックさんミリアさんと私は領地見学と街で買い物。
3日目は綿花の収穫体験
4日目は機織り体験
5日目は帰路に着き、翌日6日目に王都到着

明日から4日目まではサリナさんと別行動。サリナさんが居ない間は子爵家の従僕さんが案内で付いてくれるそうです。
ちなみに私の素性を知っているのは子爵家の方々と執事さんのみで、他の方は私達はサリナさんかの仕事仲間と知らされている。

「ミリアさん。到着し馬車を降りたら多恵様は同僚の”ユキ”です。間違わない様に気をつけて下さい」
「はい!」
「勿論多恵様も間違いなくお願いします」
「はい!」

するとミリアさんが偽名をいつ決めたのか聞き、咄嗟に元の世界の友人の名前を思いついたと話し誤魔化した。まさか娘の名前なんて言える訳ない。
するとサリナさんが打合せしていなかったから驚いたと言い思わず謝る。
暫くすると御者の小窓をリックさんがノックし、子爵領に入った事を知らせてくれた。
窓の外を見るとのどかな風景から集落が見えてきた。長かった馬車移動も後少しだ。
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