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141.元婚約者
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「「婚約者!!」」
「元ですよ元!」
驚く私とミリアさんを後目に淡々と話し出すサリナさん。慌てて
「プライベートな事だし無理に話さなくていいよ」
「大丈夫ですわ。過去の事で全くなんとも思っていないので」
そう言い話を続けるサリナさん。経緯を聞くと…
エルド様とは領地が隣りで家族ぐるみで付き合いがあり、親同士が5歳の時に決めた婚約。物心ついた時からの付き合いで兄弟の様な関係で恋愛感情は全く無かった。エルド様は体格どおりおおらかで優しい性格で、人が良すぎて断れないタイプ。片やサリナさんは冷静で自分の意見をはっきり言えるタイプ。伯爵様はエルド様をサポートできるのはサリナさんしかいないと婚姻を望んでいたそうだ。
順調だった婚約はサリナさんのデビュタントの時に事件が起こる。
サリナさんはデビュタント後に行儀見習いで王城にお仕えする事が決まっており、デビュタント1か月前に準備の為に2週間ほど王都に行っていた。
勿論デビュタントのパートナーはエルド様でドレスも贈られていた。城仕えの手続きや準備も終わり2週間ぶりに領地に帰ってきたら実家は大変な事に…
怒りに震える父に泣き崩れる母。意味が分からず弟に聞くとサリナさん帰宅直前に伯爵家から手紙が届き、婚約解消願いと違約金が送られてきたそうだ。
全く意味が分からず戸惑う間に1日が過ぎ、翌日早朝から伯爵様とエルド様が訪問。
「「なにそれ!」」
「そうですね。今改めて考えたら最低最悪でしたね。顔面蒼白のエルド様は深々と頭を下げて解消理由を語り出したわ」
婚約期間中からエルド様に言い寄る令嬢がいた。元は辺境地の豪商で、モーブルとの取引で富を得たお金で男爵の位を買ったゲレダス男爵家令嬢のジュリアン嬢。
サリナさんが王都に行っている間にアプローチし、色仕掛けでエルド様と情を交わしたようだ。貴族は拘るが平民は婚姻時の処女性は問題にしていない。しかしエルド様は伯爵家嫡男で情を交わしたからには娶らなければと責任を感じたよう。
「婚約破棄され平民上がりの小娘に婚約者を寝取られたんですがね、意外にショックも悲しみも無かったんです。反対に全く興味なかった婚姻や子供産むという事をしなくていい方が大きかったですね。
ですから違約金をしっかりもらい妹の進学に使わせて頂きました」
「…サリナさんらしい」
結局デビュタントは遠縁の男性にお願いし無難に終えたそうです。そしてデビュタント終了後にエルド様とジュリアン嬢は婚約。片やサリナさんは王城に上がり侍女としてお仕えする事に…
「婚約破棄後は父上も気を使い暫くは縁談も無く、気楽に侍女生活をしておりましたが、1年後にエルド様とジュリアン嬢の婚約破棄が決まり、何を考えてそうなったのか分かりませんが、エルド様が求婚して来た訳です」
そう言いサリナさんは大きな溜息をつく。
「なぜエルド様とジュリアン嬢はなぜ破談に?」
「ジュリアン嬢はよく言うと天真爛漫で、悪く言うと我儘で頭の中はお花畑。エルド様の婚約者になった事で位の高い方が集まる夜会に参加するようになり、エルド様より位が高い美丈夫に鞍替えしたようです」
「「うっわぁ…」」
絵にかいたような悪女ぷりにミリアさんと声を上げる。婚約者がいるに相手を寝とったジュリアン嬢を選んだ相手に驚いていると
「どうやらお相手はリリスの箱庭の殿方では無いので、その辺の醜聞をご存じなかったのでしょう。確かイリアの箱庭の男性だと聞きました」
ジュリアン嬢はかなりのビッチだ。ある意味エルド様も被害者かも…
「エルド様は性格もいいし伯爵家も由緒正しい家柄なので、縁を望むご令嬢も多いとお聞きします。早く他の方と婚姻されればいいのに、お人よしなので私に引け目を感じ未だに求婚してくるのです。正直もう放っておいて欲しいのに…」
そう言い遠い目をするサリナさんを見ていて思わず
「サリナさんが他の方と婚約したら諦めるんじゃない?」
「それが手っ取り早いのは分かっておりますが、かりそめでも婚約し破棄となると若干でも醜聞となります。お相手にご迷惑お掛けしてしまいますわ」
そっか…あっでも確かサリナさんには想い人が居たはず。その方の未来は望めないのかなぁ… 想う人とならサリナさんは結婚する気有るのかなぁ…
サリナさんをまじまじ見ていた目が合い微笑んでくれた。サリナさんは本当に綺麗だし凛としてカッコいい。エレナさんやケイティさんの様に幸せになって欲しいのに…
「多恵さん。ミリアさん。話しは終わりにしましょう。明日も朝から移動で疲れるのでお早くお休み下さい」
ミリアさんはまだまだ話し足りない様だか、サリナさんにベッド押し込まれ寝る事に。
やっぱり疲れていたみたいで、ミリアさんはすぐに寝息を立てて寝てしまいました。
私は目新しいものに沢山触れたせいか寝付けない。隣の部屋には陛下に提出する報告書を書いているサリナさん。仕事の邪魔になるのは分かっているけど…
「元ですよ元!」
驚く私とミリアさんを後目に淡々と話し出すサリナさん。慌てて
「プライベートな事だし無理に話さなくていいよ」
「大丈夫ですわ。過去の事で全くなんとも思っていないので」
そう言い話を続けるサリナさん。経緯を聞くと…
エルド様とは領地が隣りで家族ぐるみで付き合いがあり、親同士が5歳の時に決めた婚約。物心ついた時からの付き合いで兄弟の様な関係で恋愛感情は全く無かった。エルド様は体格どおりおおらかで優しい性格で、人が良すぎて断れないタイプ。片やサリナさんは冷静で自分の意見をはっきり言えるタイプ。伯爵様はエルド様をサポートできるのはサリナさんしかいないと婚姻を望んでいたそうだ。
順調だった婚約はサリナさんのデビュタントの時に事件が起こる。
サリナさんはデビュタント後に行儀見習いで王城にお仕えする事が決まっており、デビュタント1か月前に準備の為に2週間ほど王都に行っていた。
勿論デビュタントのパートナーはエルド様でドレスも贈られていた。城仕えの手続きや準備も終わり2週間ぶりに領地に帰ってきたら実家は大変な事に…
怒りに震える父に泣き崩れる母。意味が分からず弟に聞くとサリナさん帰宅直前に伯爵家から手紙が届き、婚約解消願いと違約金が送られてきたそうだ。
全く意味が分からず戸惑う間に1日が過ぎ、翌日早朝から伯爵様とエルド様が訪問。
「「なにそれ!」」
「そうですね。今改めて考えたら最低最悪でしたね。顔面蒼白のエルド様は深々と頭を下げて解消理由を語り出したわ」
婚約期間中からエルド様に言い寄る令嬢がいた。元は辺境地の豪商で、モーブルとの取引で富を得たお金で男爵の位を買ったゲレダス男爵家令嬢のジュリアン嬢。
サリナさんが王都に行っている間にアプローチし、色仕掛けでエルド様と情を交わしたようだ。貴族は拘るが平民は婚姻時の処女性は問題にしていない。しかしエルド様は伯爵家嫡男で情を交わしたからには娶らなければと責任を感じたよう。
「婚約破棄され平民上がりの小娘に婚約者を寝取られたんですがね、意外にショックも悲しみも無かったんです。反対に全く興味なかった婚姻や子供産むという事をしなくていい方が大きかったですね。
ですから違約金をしっかりもらい妹の進学に使わせて頂きました」
「…サリナさんらしい」
結局デビュタントは遠縁の男性にお願いし無難に終えたそうです。そしてデビュタント終了後にエルド様とジュリアン嬢は婚約。片やサリナさんは王城に上がり侍女としてお仕えする事に…
「婚約破棄後は父上も気を使い暫くは縁談も無く、気楽に侍女生活をしておりましたが、1年後にエルド様とジュリアン嬢の婚約破棄が決まり、何を考えてそうなったのか分かりませんが、エルド様が求婚して来た訳です」
そう言いサリナさんは大きな溜息をつく。
「なぜエルド様とジュリアン嬢はなぜ破談に?」
「ジュリアン嬢はよく言うと天真爛漫で、悪く言うと我儘で頭の中はお花畑。エルド様の婚約者になった事で位の高い方が集まる夜会に参加するようになり、エルド様より位が高い美丈夫に鞍替えしたようです」
「「うっわぁ…」」
絵にかいたような悪女ぷりにミリアさんと声を上げる。婚約者がいるに相手を寝とったジュリアン嬢を選んだ相手に驚いていると
「どうやらお相手はリリスの箱庭の殿方では無いので、その辺の醜聞をご存じなかったのでしょう。確かイリアの箱庭の男性だと聞きました」
ジュリアン嬢はかなりのビッチだ。ある意味エルド様も被害者かも…
「エルド様は性格もいいし伯爵家も由緒正しい家柄なので、縁を望むご令嬢も多いとお聞きします。早く他の方と婚姻されればいいのに、お人よしなので私に引け目を感じ未だに求婚してくるのです。正直もう放っておいて欲しいのに…」
そう言い遠い目をするサリナさんを見ていて思わず
「サリナさんが他の方と婚約したら諦めるんじゃない?」
「それが手っ取り早いのは分かっておりますが、かりそめでも婚約し破棄となると若干でも醜聞となります。お相手にご迷惑お掛けしてしまいますわ」
そっか…あっでも確かサリナさんには想い人が居たはず。その方の未来は望めないのかなぁ… 想う人とならサリナさんは結婚する気有るのかなぁ…
サリナさんをまじまじ見ていた目が合い微笑んでくれた。サリナさんは本当に綺麗だし凛としてカッコいい。エレナさんやケイティさんの様に幸せになって欲しいのに…
「多恵さん。ミリアさん。話しは終わりにしましょう。明日も朝から移動で疲れるのでお早くお休み下さい」
ミリアさんはまだまだ話し足りない様だか、サリナさんにベッド押し込まれ寝る事に。
やっぱり疲れていたみたいで、ミリアさんはすぐに寝息を立てて寝てしまいました。
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