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137.賊?
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少し沈黙の後にミリアさんが目覚めて慌てている。護衛が対象をそっちのけで眠るなんてっとサリナさんに怒られている。いいのに別に… 人間欲には勝てないものです。
“ガッタン‼︎”
いきなり馬車が大きく弾み馬が嘶き馬車のスピードが速まる。御者の小窓が開きリックさんが
「すみません何処かに掴まって下さい!スピードを上げます。ミリア念のため警戒」
「リック殿何事?」
「2刻の方向より猛スピードで5騎が接近中。あと少しで町に着くのでこのまま逃げます」
咄嗟にサリナさんとミリアさんが窓のカーテンを閉めブランケットやクッションで私の周りを囲む。揺れまくる馬車の中サリナさんとミリアさん両方から抱き付かれ身をひそめる。複数の馬の蹄の音が響いて来た次の瞬間!
「掴まれ!」
リックさんの叫びにサリナさんとミリアさんがさらに強く抱き付く。何頭もの馬の嘶きの後に馬車は止まった。すごく長く長く感じたけど物の3分ほどの出来事だった。
小窓が開きリックさんが
「サリナ嬢。貴女に用向きがありようだ。護衛にミリアも付き添え俺が馬車の扉を守る」
「危ないよ!サリナさん出たらだめ!」
「大丈夫です。ミリア嬢もいます。絶対に馬車から出ないで!」
手を取ろうとしたけど振り払われ二人は出て行ってしまった。怖いでも2人が心配で床に座り扉にもたれかかり外の話し声に耳を傾ける。
男性と女性の話し声が聞こえるけど、喧嘩や揉めている感じはしない。物騒な話ではなく知り合いとかだろうか?
男女の話し声が近づいてくる。
『リックさんが扉の前にいるから大丈夫』
自分に何度も言い聞かす。そして何の前触れも無く馬車の扉が開き、怖くてブランケットを頭から被り体育座りをして丸まる。薄暗い馬車に開いた扉から光が差し大きい人影が写る。
「多恵様?」
「へ?」
聞いたことある声!
ブランケットから顔を出し見上げるとそこにキース様が居た。緊張の糸が切れて涙が出てる…
「もっ怖かった!キース様のばか!」
涙が溢れて泣く私に横であたふたするキース様。サリナさんが溜息交じりで仕切るまでこの状況は続いた。
目を腫らしサリナさんに抱きしめられて馬車で不貞腐れている私。不審者と思われた一行はキース様と公爵家の護衛騎士だった。
何故この場に現れたのかはまだ説明されていない。あと2キロほど行くと最初の目的地の宿がある。そこで話を聞く事になった。泣いたのと気が抜けたのでぐったりだ。
もうこのままキース様一行を無視こいてバース領に行かない?
馬車がゆっくり停車した。リックさんが扉を開けてくれミリアさんとサリナさん降りて行く。私も降りようと立つと力が入らず床にヘタってしまった。キース様が駆け寄るがここで頼っては駄目。もう候補者ではないのだから。
「リックさん。申し訳ないのですが足に力が入らないので手を貸してもらっていいですか?」
「畏まりました。ただ予約した部屋は2階ですので、多恵様がお嫌でなければお抱きしてもよろしいですか?」
「重くてすみませんがよろしくお願いします」
リックさんは少し屈み軽々と私を抱き上げて歩きていく。
「…」
見なくても分かる。直ぐ後ろにいるキース様の落胆ぶりは… でも今は驚かされた事をまだ根に持ってて優しく出来ない。
宿に入り予約した部屋に向かうために階段をリックさんが上がる。階段を登り始めてすぐに階段の踏み板が大きな音と共に軋んだ。リックさんは流石騎士で全くブレないが、私が音に驚いて左手をリックさんの首元に回した。
「あっ…」
直ぐ後ろに居たキース様が何かに反応する。気になってチラ見したら頬を赤くし嬉しそうに見つめてくる
「?」
何故か分からない。候補者を解消しさっきも冷たくスルーしたのに…
気にせずふとリックさんを見たらリックさんの耳が赤い。どうしたんだろう?こちらも分からない。
先に上がっていて待っていたサリナさんと目が合ったらに溜息を吐かれ、今日は理解不能な事だらけだ。
部屋に入りリックさんはソファー座らせてくれた。
公爵家の騎士さん2名は廊下の扉前で待機し、後の2人は外で待機している。
部屋には私とサリナさんとキース様。リックさんとミリアさんは隣の寝室で待機してもらっている。
キース様は開口一番にその場に跪き右手を左胸に当て謝罪されます。
「驚かせてしまい申し訳ありません。今朝、サリナ嬢が我が領地を通行されると聞き、話を聞きたくて参りました。バース子爵領に向かうにはこのテントンの町で休息されると思い馬を急がせ、町近くまでくると馬車が見えたので…」
「閣下。謝罪はお受けしました。が!公爵家の旗も無く黒尽くめの集団が来れば賊と勘違いしますわ!」
「弁解しようもない…」
いつも冷静沈着なキース様が毒舌炸裂のサリナさんにタジタジで何か笑えた。お陰で少し気分は浮上した。
「私を追いかけてまで何をお話ししたかったのですか?」
「……の……すを…聞きたく」
「はっきり仰って!」
とうとうサリナさんが切れた!
「多恵様の様子を聞きたかったのです!」
あっこの話題スルーしよう。
「サリナさん。貴族は他の領地を通る時は知らせないといけないの?」
「はい。急を要さない限りは事前連絡は必ず行います。領地内で事件や事故にあった時に迅速に対応出来る様にです。今回は多恵様がお出かけになるのを知るのは王城の者のみで、知っている者には箝口令が出されています。ですから閣下はご存知無かったはずです」
だからキース様は私を見てビックリしたんだ。サリナさんは立ち上がり
「冷たいお水とタオルを冷やして来ます。早く多恵様の目元を冷やさないと」
「そんなに酷い?」
「はい」
そんなにハッキリ言わなくても…確かに久しぶりに号泣したもんなぁ。
「私は席を外しますが隣には騎士が2名待機しております。キース様。候補は解消されております。無体はなされない様に」
「女神リリスに誓おう」
サリナさんは部屋を出て行った。2人にされて緊張してきた。めっちゃ見られてる…
「お元気そうで何よりです」
「はい。キース様も…」
「あの…」
「手に触れる許可をいただけますか?」
「へ?あっはい」
右手を出したら何故が左手を取るキース様。意味が分からず首を傾げると…
“ガッタン‼︎”
いきなり馬車が大きく弾み馬が嘶き馬車のスピードが速まる。御者の小窓が開きリックさんが
「すみません何処かに掴まって下さい!スピードを上げます。ミリア念のため警戒」
「リック殿何事?」
「2刻の方向より猛スピードで5騎が接近中。あと少しで町に着くのでこのまま逃げます」
咄嗟にサリナさんとミリアさんが窓のカーテンを閉めブランケットやクッションで私の周りを囲む。揺れまくる馬車の中サリナさんとミリアさん両方から抱き付かれ身をひそめる。複数の馬の蹄の音が響いて来た次の瞬間!
「掴まれ!」
リックさんの叫びにサリナさんとミリアさんがさらに強く抱き付く。何頭もの馬の嘶きの後に馬車は止まった。すごく長く長く感じたけど物の3分ほどの出来事だった。
小窓が開きリックさんが
「サリナ嬢。貴女に用向きがありようだ。護衛にミリアも付き添え俺が馬車の扉を守る」
「危ないよ!サリナさん出たらだめ!」
「大丈夫です。ミリア嬢もいます。絶対に馬車から出ないで!」
手を取ろうとしたけど振り払われ二人は出て行ってしまった。怖いでも2人が心配で床に座り扉にもたれかかり外の話し声に耳を傾ける。
男性と女性の話し声が聞こえるけど、喧嘩や揉めている感じはしない。物騒な話ではなく知り合いとかだろうか?
男女の話し声が近づいてくる。
『リックさんが扉の前にいるから大丈夫』
自分に何度も言い聞かす。そして何の前触れも無く馬車の扉が開き、怖くてブランケットを頭から被り体育座りをして丸まる。薄暗い馬車に開いた扉から光が差し大きい人影が写る。
「多恵様?」
「へ?」
聞いたことある声!
ブランケットから顔を出し見上げるとそこにキース様が居た。緊張の糸が切れて涙が出てる…
「もっ怖かった!キース様のばか!」
涙が溢れて泣く私に横であたふたするキース様。サリナさんが溜息交じりで仕切るまでこの状況は続いた。
目を腫らしサリナさんに抱きしめられて馬車で不貞腐れている私。不審者と思われた一行はキース様と公爵家の護衛騎士だった。
何故この場に現れたのかはまだ説明されていない。あと2キロほど行くと最初の目的地の宿がある。そこで話を聞く事になった。泣いたのと気が抜けたのでぐったりだ。
もうこのままキース様一行を無視こいてバース領に行かない?
馬車がゆっくり停車した。リックさんが扉を開けてくれミリアさんとサリナさん降りて行く。私も降りようと立つと力が入らず床にヘタってしまった。キース様が駆け寄るがここで頼っては駄目。もう候補者ではないのだから。
「リックさん。申し訳ないのですが足に力が入らないので手を貸してもらっていいですか?」
「畏まりました。ただ予約した部屋は2階ですので、多恵様がお嫌でなければお抱きしてもよろしいですか?」
「重くてすみませんがよろしくお願いします」
リックさんは少し屈み軽々と私を抱き上げて歩きていく。
「…」
見なくても分かる。直ぐ後ろにいるキース様の落胆ぶりは… でも今は驚かされた事をまだ根に持ってて優しく出来ない。
宿に入り予約した部屋に向かうために階段をリックさんが上がる。階段を登り始めてすぐに階段の踏み板が大きな音と共に軋んだ。リックさんは流石騎士で全くブレないが、私が音に驚いて左手をリックさんの首元に回した。
「あっ…」
直ぐ後ろに居たキース様が何かに反応する。気になってチラ見したら頬を赤くし嬉しそうに見つめてくる
「?」
何故か分からない。候補者を解消しさっきも冷たくスルーしたのに…
気にせずふとリックさんを見たらリックさんの耳が赤い。どうしたんだろう?こちらも分からない。
先に上がっていて待っていたサリナさんと目が合ったらに溜息を吐かれ、今日は理解不能な事だらけだ。
部屋に入りリックさんはソファー座らせてくれた。
公爵家の騎士さん2名は廊下の扉前で待機し、後の2人は外で待機している。
部屋には私とサリナさんとキース様。リックさんとミリアさんは隣の寝室で待機してもらっている。
キース様は開口一番にその場に跪き右手を左胸に当て謝罪されます。
「驚かせてしまい申し訳ありません。今朝、サリナ嬢が我が領地を通行されると聞き、話を聞きたくて参りました。バース子爵領に向かうにはこのテントンの町で休息されると思い馬を急がせ、町近くまでくると馬車が見えたので…」
「閣下。謝罪はお受けしました。が!公爵家の旗も無く黒尽くめの集団が来れば賊と勘違いしますわ!」
「弁解しようもない…」
いつも冷静沈着なキース様が毒舌炸裂のサリナさんにタジタジで何か笑えた。お陰で少し気分は浮上した。
「私を追いかけてまで何をお話ししたかったのですか?」
「……の……すを…聞きたく」
「はっきり仰って!」
とうとうサリナさんが切れた!
「多恵様の様子を聞きたかったのです!」
あっこの話題スルーしよう。
「サリナさん。貴族は他の領地を通る時は知らせないといけないの?」
「はい。急を要さない限りは事前連絡は必ず行います。領地内で事件や事故にあった時に迅速に対応出来る様にです。今回は多恵様がお出かけになるのを知るのは王城の者のみで、知っている者には箝口令が出されています。ですから閣下はご存知無かったはずです」
だからキース様は私を見てビックリしたんだ。サリナさんは立ち上がり
「冷たいお水とタオルを冷やして来ます。早く多恵様の目元を冷やさないと」
「そんなに酷い?」
「はい」
そんなにハッキリ言わなくても…確かに久しぶりに号泣したもんなぁ。
「私は席を外しますが隣には騎士が2名待機しております。キース様。候補は解消されております。無体はなされない様に」
「女神リリスに誓おう」
サリナさんは部屋を出て行った。2人にされて緊張してきた。めっちゃ見られてる…
「お元気そうで何よりです」
「はい。キース様も…」
「あの…」
「手に触れる許可をいただけますか?」
「へ?あっはい」
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