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135.同行者

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荷造りより先にダラス陛下とビルス殿下に手紙を書く。ちなみにビルス殿下に直筆で手紙を書いた時に、初めて書いた手紙だから添削して欲しいと頼んであった。
殿下からは文字やスペルの間違いはないが、言い回しが幼い印象があり、まるで子供の手紙の様だと…すみません。48歳がこんな語彙力で…
もっとこちらの本を沢山読んで言い回しや表現力を身に着けないと。

気を取り直し意識しながらダラス陛下とビルス殿下に手紙を書いたらすっごく疲れた。ベッドで寝ていたてん君を呼んでビルス殿下に届けてもらう。
てん君がお使いに行っている間に居間に行き、マリカさんにダラス陛下の手紙を預ける。

はぁ…これでやっと荷造りが出来る。ケイティさんと衣裳室で子爵領に持っていく服を選ぶ。出来るだけシンプルなものを選び、カーディガンやボレロで着まわせる様に、ケイティさんの助言を受けながら選ぶ。大きなトランクに荷物を入れて荷造り完了!
衣裳部屋を出るとてん君が戻っていて居間のソファーで丸まって寝ている。うーん大きい毛玉!
マリカさんが午後のお茶を用意してくれケイティさん、マリカさんとガールズトークに花を咲かせる。

少しすると第1騎士団のデュークさんが来た。許可を出し入室してもらうと明らかに疲れがみて取れる。

「え…と…デュークさん大丈夫ですか?何かお疲れ全開ですが」

デュークさんは苦笑いしながら、珍しく愚痴をこぼす。どうやら解消後のアーサー殿下がポンコツらしく、仕事が通常の3倍になっているそうだ。

「あぁ…何かすみません」
「いえ、多恵様のせいではありません。想う方に少し冷たくされたくらいで情けない。今まで挫折せずに来られているので結構な衝撃のようです」

申し訳なくて黙り込むと、デューク様は優しく頭を撫でて

「ここで情けないままか、男として一皮むけるかは殿下次第です。聞いた話では冷却期間を設ける為の解消ですよね⁈」
「その通りなんです。でも何か候補者の方はこの世の終わりみたいになっちゃってますけど。私は嫌いなんて言っていないですよ」

するとデュークさんは陛下やイザーク様と同じく”青い”といい溜息を吐いた。そして私が旅に出ている間に鍛え直すと意気込む。やっぱりデュークさんは会った時から“兄貴”だ。頼れるなぁ…

「おっと本題を忘れていました。お伺いしたのは明日からの護衛の者が決まったのでお知らせに来ました」

そう言い同行する騎士を教えてくれた。デュークさんはお世辞にも希望者が多くて選定に苦労したと言い遠い目をした。同行してくれるのはリックさんとミリアさんに決まり、2人も王城勤めの侍女と従僕の設定。今回の事情を知るのは子爵様のみだ。

「子爵領の者は多恵様はサリナ嬢の同僚として認識しています。気負わず平民の暮らしを体験してきて下さい」
「はい。色々ありがとうございます」

お礼を言うとデュークさんはお忙しい様で直ぐに退室された。

どうやら今回の設定はサリナさんの休暇に便乗した同僚になっているらしい。箱庭に来て初めて”乙女”から解放されて敬称の無い”多恵”になれる。
気分は旅行前夜でわくわくが止まらない♪
さっきマリカさんに聞いたが、日本ほどではないけどお土産を買う習慣はあるらしい。買ってあげたい人が多くて大変だ。

ちなみに現地で宿に泊まったり買い物が出来る様にと、陛下からお小遣いをもらった。
すっかりパパの陛下にもお土産買わないとね。
少し興奮気味な私をケイティさんは温かい目で見てくれている。今日は少々はしたなくても許してね!

日も暮れだし夕飯の時間となり、給仕を終えたケイティさんは退室します。

「良い旅を。また無事にお戻り下さいね」

とハグしてくれる。

「ありがとう!お土産買ってくるね!」
「はい!楽しみにしております。マリカ。明日の出発までにしっかりお仕えしなさい」
「はい!」

うーんいい返事だねマリカさん頑張れ!

明日は2刻半には出発するから早目に就寝します。
7刻過ぎには寝室に入りてん君とのんびりすると

『たえ たのしい いいこと』
『うん!楽しい早く明日にならないかなぁ~』

するとてん君があっちで何をするのか聞き、綿花の収穫と織物体験をすると答えると

『めんか なに?』
『布の元…』
『たえ?』

目の前にももふもふがいた。どんな最高の綿花でもてん君のもふもふには敵わない。無言でてん君に抱きつき高速でもふる!

『てん君大好き!』
『てん たえ いちばん』

暫くてん君とラブラブタイムを過ごし気分良く眠りについた。

『ん?誰か居る?まだ眠くて起きれない』

起床時間?また眠くうつらうつらしていたら、頬に温もりを感じる。てん君?でも違う?もふもふしてないよ。
分からないけど優しく頬に触れるは気持ちいい。ずっと触れて欲しい…また眠くなり意識は遠のいた。


『たえ あさ おきる』
『うーん…分かった』

いつも通り2刻に起きた。

「ん?」

手に何か当たる。見ると深緑の革紐に琥珀色の花のモチーフが付いたチョーカーだった。
そしてかすかに新緑の残り香が…
あの温もりはやっぱりフィラが来ていたんだ。

『てん君これ…』
『たえ にあう たび つけてく』
『いつ来たの⁈』
『てん わからない でも おまもり』
 
じっとてん君を見ると横を見て誤魔化している。
誤魔化しているけど思いっきりフィラの色だからバレバレだよてん君。でも騙されていてあげる

『ありがとう!可愛くて気に入ったわ。旅行に付けていくね』
『そうする いいこと』

ごめんね。てん君にも気を遣わせています。

てん君と話していたらマリカさんが起こしに来た。てん君はベッドから降りて扉を前脚で叩いて返事します。またいつも通り驚…かない!

一瞬ビクっとなったマリカさんはが普通に入室して来た。

『たえ マリカ もうおどろかない』
『やっと慣れたね』
『つまらない』
『へ?』

どうやらてん君はマリカさんの反応が面白かった様だ。あまりマリカさんを虐めないでね!

居間に行くと綺麗な箱がテーブルに置いてあった。マリカさんに聞くとグラント様の使いが深夜に届けに来た様だ。そっか虫除けを届けるって言っていたヤツだ。早速開封すると…
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