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132.ビルスの返事
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昨日夜から妖精達が沢山来ている気配がしている。あえて接触していない。恐らくフィラの事を思っての事だろう。でも私は今は話を聞ける精神状態では無い。
『たえ ぼりす くる』
『えっ!ここに?』
『うん!』
気配を感じ振り向くとリリスの聖獣ボリスが立っていた。相変わらず慈愛に満ちた眼差しを向けてくれる。
『妖精達よ!立ち去りなさい。多恵が困っているわ!』
ボリスが一喝すると妖精達の気配は消えた。母ボリスは強し! ボリスは静かに話し出した。
『多恵。アリアの箱庭のバスグルにも救いの手を差し伸べてくれてありがとう。アリアからリリスにお礼があり、アリアとリリスは仲直りが出来そうだわ』
良かった。でも実際はバスグルもモーブルも今からお手伝いするんだけどね。そう思っていたら
『多恵がきっかけを作ってくれた事に変わり無いわ。それから今日はリリスからの伝言を預かっているの』
なんだろう…タイミング的に怖い。
『箱庭の問題か解決したら、こちらの寿命を待たずに元の世界に帰します。勿論残りたかった残ってもいいわ』
『今は召喚したてでリリスは神力が無いんじゃ!』
『お礼にアリアが帰してくれるらしいわ』
なんでここでアリア何だろう?疑問に思っていたら
ボリスが急に怒り出し
『多恵!フィラの子を産まなくていいからね!』
何が起こっているのか分からず、只ボリスを見つめる事しか出来なかった。ボリスは目を細め溜息吐き
『フィラも結局他の男共と同じって事ね。リリスは4国を救ってくれるだけで十分だって。後は多恵の好きにすればいいと』
「継ぐ子を産まなくていいの?」
ボリスは頷きある事を提案する。それは
『問題が解決したら、アリアの力を借り身を隠してあげる。箱庭で平民として自由に暮らせばいいわ。そこで愛する人が出来たら家庭を持つといい。そして(元の世界に)帰りたくなったらいつでも帰してあげる』
「本当に!」
思わぬ提案に声のボリュームを間違えてしまう。するとボリスは微笑み
『貴女はその位箱庭に貢献してくれている』
私を事を思っての提案に感謝する。でもまだやる事が沢山あるから終わったら考えてると答える。
するとボリスは羽を広げて小さく頷く。思わず抱きついた。ボリスの温かい羽毛に包まれ、お母さんに抱っこされているみたいだ。
『困ったらいつでも呼びなさい。わかった?』
「うん。分かった』
ボリスは頭を撫でて静かに帰っていった。
しっかりやすみ翌朝いつも通り2刻に目が覚めた。
てん君はいつも通りベッドから降りて寝室の扉を前脚て叩くと、ケイティさんが入室して来た。
てん君はケイティさんの足元に行き頭をケイティさんに向ける。ケイティさんは私に戸惑いながら視線を向けて来た。どうやらてん君はケイティさんを認めた様だ。私が頷くとケイティさんはゆっくり恐る恐るてん君の頭を撫でた。
『ケイティ たえ みかた』
『そうだね。いい人だから仲良くしてね』
『りょうかい』
おっ!てん君はまた言葉を覚えた様だ。そのうちボリスみたいに難しい話もできる様になるのかなぁ⁈
少し興奮気味のケイティさんが
「多恵様の聖獣様に触れる事が出来ましたわ。なんて柔らかいのでしょう!感動ですわ!」
「てん君って言うの。仲良くしてね」
「はい!」
いつも冷静沈着なケイティさんには珍しく、頬を赤らめ興奮気味だ。当のてん君はいつも通り軽やかに居間の方へ走っていった。
朝食をいただき予定も無いので、寝室に籠もり久々に木板を出して、労働協定の参考に情報を探す。暫くするとてん君が
『たえ ビルス てがみ いく』
『あっ殿下のお返事?』
『そう!いく』
てん君がビルス殿下の元に行った。私は続けて資料を探す。
『たえ てがみ』
『ありがとうね!』
お礼にてん君をいっぱいもふる。
そしてすぐに手紙を開封し読み出す。初めに丁寧な挨拶から始まり、ダラス陛下に労働協定を提案した事に対するお礼と、候補者の解消を聞き私の身を心配されていた。そしてここからが私の質問に対する答え。
私はこんな質問を殿下にしてあった。
[民が近隣国に密入国する程困っているのに、なぜ民の生活より聖人の供養を優先するのか?]
殿下からの答えは…
マッケン王退位後に王位を継いだサック王は
『聖人を弔い供養が終わるまで、バスグルは幸せを望んではならない』と宣言して国を挙げて喪に伏す事になった。代替わりしていくうちに喪に伏す=質素倹約にすり替わり、民の生活は苦しくなっていった』
解決の糸口みっけ!
さっきてん君待ちの時に聖人の正清さんをリサーチしたところヒットした。
正清さんは首都圏のある市の公立中学校の社会科担当教師で私より50年前の人だった。
45歳で市議会議員に立候補し当選し5期連続当選し、地域活性化の為に尽力している。特に地域力向上を掲げて地元企業の応援し、大企業誘致で人口も増えてその市は活気付いたと記録に残っている。
そう正清さんはバスグル国民の幸せを願っていた。王族ありきで民を大切にしないマッケン王と対立する程に。だから供養をするより生活に苦しむ民を救うのが急務なのだ。目薬の花や実が落ちた時、確か現王が国外での就労を禁止した時だった。
そんな決まりが出来ればまた民の生活が苦しくなるのは明らか。だから正清さんの魂は嘆き花や実は落ちたのだろう… 現王はモーブルに迷惑を掛けない為だろう。
まずはバスグル王家の意識改革が必要で、できるだけ早く訪問した方がよさそうだ。
便箋とペンを持ち再度ビルス殿下に手紙を書く。
聖人が民の幸せを願っているのと、バスグルに訪問したいと書き、てん君にまた配達をお願いした。あー!良かった!また一つ解決に近づいた様でテンションが上がる!
少しするとてん君が戻ってきた
『ビルス あす また へんじ いく』
『ありがとうね!頼りになるわ』
『てん えらい?』
『うん!』
頑張るてん君を沢山もふり遊んで過ごす。
暫くすると寝室の扉をケイティさんが叩き入室許可を求めてきた。
返事をするとてん君はまた扉に駆けていく。
扉を開けたケイティさんがてん君を見て顔が綻ぶ。てん君をひと撫でし姿勢を直して
「多恵様。イザーク様が面会を求められております。いかがいたしますか?」
お会いすると返事するとケイティさんは退室した。イザーク様が来る時は、良くない知らせが多いから怖いのよね…
『たえ ぼりす くる』
『えっ!ここに?』
『うん!』
気配を感じ振り向くとリリスの聖獣ボリスが立っていた。相変わらず慈愛に満ちた眼差しを向けてくれる。
『妖精達よ!立ち去りなさい。多恵が困っているわ!』
ボリスが一喝すると妖精達の気配は消えた。母ボリスは強し! ボリスは静かに話し出した。
『多恵。アリアの箱庭のバスグルにも救いの手を差し伸べてくれてありがとう。アリアからリリスにお礼があり、アリアとリリスは仲直りが出来そうだわ』
良かった。でも実際はバスグルもモーブルも今からお手伝いするんだけどね。そう思っていたら
『多恵がきっかけを作ってくれた事に変わり無いわ。それから今日はリリスからの伝言を預かっているの』
なんだろう…タイミング的に怖い。
『箱庭の問題か解決したら、こちらの寿命を待たずに元の世界に帰します。勿論残りたかった残ってもいいわ』
『今は召喚したてでリリスは神力が無いんじゃ!』
『お礼にアリアが帰してくれるらしいわ』
なんでここでアリア何だろう?疑問に思っていたら
ボリスが急に怒り出し
『多恵!フィラの子を産まなくていいからね!』
何が起こっているのか分からず、只ボリスを見つめる事しか出来なかった。ボリスは目を細め溜息吐き
『フィラも結局他の男共と同じって事ね。リリスは4国を救ってくれるだけで十分だって。後は多恵の好きにすればいいと』
「継ぐ子を産まなくていいの?」
ボリスは頷きある事を提案する。それは
『問題が解決したら、アリアの力を借り身を隠してあげる。箱庭で平民として自由に暮らせばいいわ。そこで愛する人が出来たら家庭を持つといい。そして(元の世界に)帰りたくなったらいつでも帰してあげる』
「本当に!」
思わぬ提案に声のボリュームを間違えてしまう。するとボリスは微笑み
『貴女はその位箱庭に貢献してくれている』
私を事を思っての提案に感謝する。でもまだやる事が沢山あるから終わったら考えてると答える。
するとボリスは羽を広げて小さく頷く。思わず抱きついた。ボリスの温かい羽毛に包まれ、お母さんに抱っこされているみたいだ。
『困ったらいつでも呼びなさい。わかった?』
「うん。分かった』
ボリスは頭を撫でて静かに帰っていった。
しっかりやすみ翌朝いつも通り2刻に目が覚めた。
てん君はいつも通りベッドから降りて寝室の扉を前脚て叩くと、ケイティさんが入室して来た。
てん君はケイティさんの足元に行き頭をケイティさんに向ける。ケイティさんは私に戸惑いながら視線を向けて来た。どうやらてん君はケイティさんを認めた様だ。私が頷くとケイティさんはゆっくり恐る恐るてん君の頭を撫でた。
『ケイティ たえ みかた』
『そうだね。いい人だから仲良くしてね』
『りょうかい』
おっ!てん君はまた言葉を覚えた様だ。そのうちボリスみたいに難しい話もできる様になるのかなぁ⁈
少し興奮気味のケイティさんが
「多恵様の聖獣様に触れる事が出来ましたわ。なんて柔らかいのでしょう!感動ですわ!」
「てん君って言うの。仲良くしてね」
「はい!」
いつも冷静沈着なケイティさんには珍しく、頬を赤らめ興奮気味だ。当のてん君はいつも通り軽やかに居間の方へ走っていった。
朝食をいただき予定も無いので、寝室に籠もり久々に木板を出して、労働協定の参考に情報を探す。暫くするとてん君が
『たえ ビルス てがみ いく』
『あっ殿下のお返事?』
『そう!いく』
てん君がビルス殿下の元に行った。私は続けて資料を探す。
『たえ てがみ』
『ありがとうね!』
お礼にてん君をいっぱいもふる。
そしてすぐに手紙を開封し読み出す。初めに丁寧な挨拶から始まり、ダラス陛下に労働協定を提案した事に対するお礼と、候補者の解消を聞き私の身を心配されていた。そしてここからが私の質問に対する答え。
私はこんな質問を殿下にしてあった。
[民が近隣国に密入国する程困っているのに、なぜ民の生活より聖人の供養を優先するのか?]
殿下からの答えは…
マッケン王退位後に王位を継いだサック王は
『聖人を弔い供養が終わるまで、バスグルは幸せを望んではならない』と宣言して国を挙げて喪に伏す事になった。代替わりしていくうちに喪に伏す=質素倹約にすり替わり、民の生活は苦しくなっていった』
解決の糸口みっけ!
さっきてん君待ちの時に聖人の正清さんをリサーチしたところヒットした。
正清さんは首都圏のある市の公立中学校の社会科担当教師で私より50年前の人だった。
45歳で市議会議員に立候補し当選し5期連続当選し、地域活性化の為に尽力している。特に地域力向上を掲げて地元企業の応援し、大企業誘致で人口も増えてその市は活気付いたと記録に残っている。
そう正清さんはバスグル国民の幸せを願っていた。王族ありきで民を大切にしないマッケン王と対立する程に。だから供養をするより生活に苦しむ民を救うのが急務なのだ。目薬の花や実が落ちた時、確か現王が国外での就労を禁止した時だった。
そんな決まりが出来ればまた民の生活が苦しくなるのは明らか。だから正清さんの魂は嘆き花や実は落ちたのだろう… 現王はモーブルに迷惑を掛けない為だろう。
まずはバスグル王家の意識改革が必要で、できるだけ早く訪問した方がよさそうだ。
便箋とペンを持ち再度ビルス殿下に手紙を書く。
聖人が民の幸せを願っているのと、バスグルに訪問したいと書き、てん君にまた配達をお願いした。あー!良かった!また一つ解決に近づいた様でテンションが上がる!
少しするとてん君が戻ってきた
『ビルス あす また へんじ いく』
『ありがとうね!頼りになるわ』
『てん えらい?』
『うん!』
頑張るてん君を沢山もふり遊んで過ごす。
暫くすると寝室の扉をケイティさんが叩き入室許可を求めてきた。
返事をするとてん君はまた扉に駆けていく。
扉を開けたケイティさんがてん君を見て顔が綻ぶ。てん君をひと撫でし姿勢を直して
「多恵様。イザーク様が面会を求められております。いかがいたしますか?」
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