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128.解消

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全員を受け入れるのは無理だと言ったら…

アーサー 「“無理”だと仰る具体的な理由はなんですか?」
私 「住まいどうするんですか?4国それぞれに夫が居ては住まいが定まらない」
フィラ 「女神の台座がこの箱庭の中心だ。そこに新居を建てて夫たちが通えばいい」
私 「もし子供が出来たら?こんなに夫がいたら誰の子か分からないよ」
キース 「その点も昨晩話し合い済みです。多恵様がお産みになった子は夫全員の子としてみんなで育てます」
ケニー 「優れた父が揃っていて多恵様の知識を継ぐ子だ。将来有望で楽しみしかない」
私 「でも、皆さん家を継ぐ立場で世継ぎが必要でしょう!私7人も産めません!死んじゃいます!」
オーランド 「本来はその通り後継ぎが必要なので7人お産みになって欲しい所ですが多恵様の身が一番大切。リリスの願い通り各国に1人で4人お産みになって頂きたい」

ちょっと待て待って! 4人産むでも結構大変だよ。きっと皆さん高貴な家の方だから育児には手助けは多くワンオペにはならなと思うけどでも…

シリウス 「子を育てるのに手がいるのは分かっている。各家から優秀な乳母を付けるから安心して何人でも産んでくれ」
私 「いや!子供は自分の手で育てたい。私の知識や技術を引継ぐなら私が育てないと意味ない」
グラント 「多恵様。諦めて下さい。昨晩お酒の力を借りて皆さん本音で話し合い納得して出した意見だ」
私 「私の知らないところで何結託してるんですか⁈グラント様いいんですか、私が他の方と”いちゃらぶ”するの!」

私の“いちゃらぶ”発言に一瞬部屋の空気が凍った。そう皆さん悋気ジェラシーの塊なのに、愛する人が他の男と仲良くするのを我慢できるはずない。今は想定の域で実際その生活が始まると、不満が出るに決まっている。そうしたら争いが起こる。起こると分かっている問題は回避したい。

キース 「多恵様は分かっていない。多恵様が危惧した通り悋気ジェラシーで苦しむ日もあるかもしれない。しかし全身全霊愛した人を永遠に失う事の方がつらいのです。愛する人と情を交わせる機会が与えられるなら自分の悋気ジェラシーを試練とし耐えてみせます」
私 「もう私の意見は無視で決定してるし!」
アーサー 「勿論。貴女の気持ちを優先します」

思わずアーサー殿下を冷ややかな目で見ると

アーサー 「あっ!あの時は貴女に受け入れてもらえないと思ってしまい…もうあんな事はしないと誓う」

私 「子供を授かるという事は・・・をするって事でしょ。まだ誰にもそんな気持ち無いし、これからも分からない。女性は気持ちに左右されるっていうから、子づくりだけの行為は嫌…ちゃんと心が伴わないと」

フィラ 「そこは皆理解しているし多恵が体を委ねてくれまでは待つさ」

私 「皆さんの言い分は分かりました。私からの提案です。一度候補を解消して関係をフラットにしませんか?」

「「「「「「「なにぃ!」」」」」」」

私 「候補者だって私の知らないところで勝手に決められて、そこに私の意思は入ってない。私が乙女で無く平民で城下に普通に暮らしていたら、私に気付き愛するまでになりますか?
無いでしょ⁈私の中では”乙女”の肩書きがあるから好意を向けてもらっている感が否めない。だからフラットにしてお互い考える時間が欲しい」

沈黙…みんな唖然としているけど美丈夫はどんな表情しても美しいですね…

フィラ 「俺は別だよな!」
私 「否。公平にフィラもだよ」
フィラ 「!」

皆さんが固まり気まづい空気。とりあえず陛下パパに相談してみよう。暫く城から出て数日でいいから平民の生活がしたい。
キラス村のダルクさんの宿は? また行きますって約束したし。そんな事を考えると楽しくなって来た。反対に男性陣は押し黙り、私は平民の暮らしを想像して楽しい気分になっていた。

「アーサー殿下。次のご予定の時間が迫っております。入室許可を…」

扉の向こうから文官さんが声をかけて来たので私が許可すると、文官さんやケイティさん達が入ってきた。皆んな入室と同時に固まる。

室内はお葬式の様な雰囲気で、私だけ楽しそうにデザート食べていた。文官さんはアーサー殿下に声をかけるのを躊躇している中、オーランド殿下の家臣のカイルさんが話しかけてきた。

「多恵様…何があったんです?この部屋の雰囲気異常ですよ」
「そうですか?私は晴れ晴れしてますがね!」

動じないケイティさんは冷静に

「多恵様。朝食会はおひらきでよろしくいですか⁈」
「はい。終了で。そうそうケイティさん。陛下にお時間いただきたいと連絡お願いします。時間は何時でも陛下に合わせますから」
「畏まりました」

席を立ち者の皆様に

「今日はお時間いただきありがとうございました。皆さんお時間大丈夫ですか? お付き方が困っていますよ。では私はこれで失礼します」

久しぶりにカーテシーをし寝室に戻った。
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