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117.ビルス
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「はぁ…」
疲れた。バスグル第1王子との謁見まで少し時間があり、部屋に戻りまた湯浴みと着替えをするらしい。このままで良くない?
部屋に戻るとサリナさんがいて浴室に直行だった。
身支度が終わりへろへろになっていたら、サリナさんが手紙と綺麗な箱を渡してくれた。どちらもキース様からだった。手紙は私を心配するもので、特に第1王子に気を許さない様に書かれている。どうやら王子は女好きで絵のモデルと称し、ファーブス家の屋敷の侍女やメイドを口説いているらしい。この手の男性は苦手だ。そして追伸に虫除けとしてリボンを身につけて欲しいと書かれていた。この手の男性に虫除けって意味ないんだよね…
はぁ…溜息を吐きながら箱を開けてみると、大好きなチョコが入っていた。キース様の気遣いに感謝しながらチョコを一つ口にする。そしてサリナさんに寝室からキース様のリボンを持って来てもらい、左手首に巻いてもらう。
キース様のチョコで少し元気になった。さぁ!第2ラウンドが始まるぞ。
決戦の地となる謁見の間に着いた。扉前にアーサー殿下が待っていてくれた。殿下は明らかに疲れていて、ハグすると深いため息を吐く。
「はぁ…最近は忙しい過ぎて多恵殿不足で限界だったんです。少し補充させてください」
そう呟いたアーサー殿下が抱きしめてくる。殿下の背中を軽く叩くと離してくれ、手招きすると意図が分かった様で屈んでくれる。元気がでる様に殿下の頬にキスすると表情が明るくなった。
「多恵殿気を付け下さい。ビルス殿下はかなりの好色と言われている」
「はぁ…多分私は需要はないと思うので心配ないかと…」
殿下が何か言おうとしたら後ろに控えていた文官さんが入室を促す。
アーサー殿下のエスコートで謁見の間に入ると陛下と王妃様の前に金髪に近い黄色の髪の美丈夫がいた。どうやらあの人がビルス王子の様だ。
アーサー殿下は陛下と王妃様の間に私をエスコートし、ご自分の位置に戻られる。
陛下は小さい子にする様に私の頭を撫で、王妃様は私の手を握る。ぅ…ん気分は幼稚園児だ。
ビルス殿下が深々と頭を下げられ正式に謝罪され、陛下は公式に謝罪を受け私に受けるかを聞いてくる。このやり取りは本当に形だけで、公式記録を残す為のパフォーマンスだと陛下が教えてくれた。真の交渉はこの後の会談で国家賠償や責任問題が追及されるらしい。
一通り謝罪パフォーマンスが終わり場の緊張感が薄れた時に、突然ビルス殿下が私に話しかけて来た。
「我がアリアの箱庭には長く乙女の召喚がなされておりません。我が生涯の中で女神の乙女にお会いできるは僥倖でございます。この世界に無い美しい漆黒の髪と瞳の貴女様を私のこの手で描きたい。多恵様!ぜひ絵のモデルになっていただきたい」
はぃ!きたこれ!絵のモデルのナンパ。私はチャラ男が嫌いで拒否る。
「お断りいたします。お受けする義理はございませんから」
ビルス殿下は目が点だ。恐らく断られた事が無いのだろう。殿下は王族だけあり美形で少し垂れ目ピンク色の瞳は警戒感を抱かせない。チャラ男には最高の武器だ。
ここにマリカさんが居たら1日中ビルス殿下を見つめているだろう。あいにく私の伴侶候補達は美形ぞろいで私の目はすっかり肥えているので、貴方に惚れる事はございませんから!
ビルス殿下から目を逸らして何気なくモーブルサイドを見るとダラス陛下は私の対応が辛辣で面白かったのか、明らかに笑いを堪えていてシリウスさんに至っては剣の柄に手がかかり臨戦態勢だ。
「多恵様は手厳しい。私は邪な気持ちはなく芸術家として貴女の美しさを後世に残したいのです」
「美しい女性を残したいのでしたら、もっと適任の方がこの箱庭には沢山いらっしゃいます。ご滞在中どうぞ存分にお書き下さい」
あまりに私が攻撃的なので陛下フォローし
「ビルス殿。多恵殿は大人しく控えめな女性。初対面でいきなりの誘いは戸惑うのも当然。ビルス殿も多恵殿と親交をもってから申し込まれるべきだと思うが」
「その様ですね。申し訳ございません。美しいものを見ると描きたい衝動が抑えられないのです。多恵様食事会の席でぜひお話させて頂きたい」
「・・・」
返事に困っていたらダラス陛下が
「ビルス殿。バスグルの女性はどうかは知らぬが、リリスの女性は奥ゆかしい。あまり遊びが過ぎると痛い目に合いますぞ」
ダラス陛下はお道化て話すが目が笑っていなくて怖い。
「ビルス殿下。絵のモデルはお受けできませんが、バスグルに興味があります。貴方の国のお話をお聞かせ下さい」
「ありがとうございます。食事会を楽しみにしています」
こうしてやっとバスグルの謝罪は終わった。後は食事会のみだ!がんばれ私!
ほっとしていたら陛下は抱きしめてくれ、王女様は頭を撫でてくれる
「バスグルに優しくする必要はないぞ。嫌なら食事後は部屋に戻ってもよいからな」
「ありがとうございます。陛下!私体は小さくとも子供じゃないのでその扱いは…」
すると少し拗ねた陛下は
「年齢は関係ないく、娘である事は変わらん。娘を愛でているだけだ。それに儂は多恵殿の婚儀の際に腕を組んでバージンロードを歩くのが目下の夢でな…」
「はぁ・・・」
「私はねウェディングドレスを一緒に選ぶのが楽しみなの」
「その時はよろしくお願いします」
数日でいつの間にか“(仮)両親”から“(仮)”が取れた様です。有難い?のですか…。今は考えるの止めておこう。
疲れた。バスグル第1王子との謁見まで少し時間があり、部屋に戻りまた湯浴みと着替えをするらしい。このままで良くない?
部屋に戻るとサリナさんがいて浴室に直行だった。
身支度が終わりへろへろになっていたら、サリナさんが手紙と綺麗な箱を渡してくれた。どちらもキース様からだった。手紙は私を心配するもので、特に第1王子に気を許さない様に書かれている。どうやら王子は女好きで絵のモデルと称し、ファーブス家の屋敷の侍女やメイドを口説いているらしい。この手の男性は苦手だ。そして追伸に虫除けとしてリボンを身につけて欲しいと書かれていた。この手の男性に虫除けって意味ないんだよね…
はぁ…溜息を吐きながら箱を開けてみると、大好きなチョコが入っていた。キース様の気遣いに感謝しながらチョコを一つ口にする。そしてサリナさんに寝室からキース様のリボンを持って来てもらい、左手首に巻いてもらう。
キース様のチョコで少し元気になった。さぁ!第2ラウンドが始まるぞ。
決戦の地となる謁見の間に着いた。扉前にアーサー殿下が待っていてくれた。殿下は明らかに疲れていて、ハグすると深いため息を吐く。
「はぁ…最近は忙しい過ぎて多恵殿不足で限界だったんです。少し補充させてください」
そう呟いたアーサー殿下が抱きしめてくる。殿下の背中を軽く叩くと離してくれ、手招きすると意図が分かった様で屈んでくれる。元気がでる様に殿下の頬にキスすると表情が明るくなった。
「多恵殿気を付け下さい。ビルス殿下はかなりの好色と言われている」
「はぁ…多分私は需要はないと思うので心配ないかと…」
殿下が何か言おうとしたら後ろに控えていた文官さんが入室を促す。
アーサー殿下のエスコートで謁見の間に入ると陛下と王妃様の前に金髪に近い黄色の髪の美丈夫がいた。どうやらあの人がビルス王子の様だ。
アーサー殿下は陛下と王妃様の間に私をエスコートし、ご自分の位置に戻られる。
陛下は小さい子にする様に私の頭を撫で、王妃様は私の手を握る。ぅ…ん気分は幼稚園児だ。
ビルス殿下が深々と頭を下げられ正式に謝罪され、陛下は公式に謝罪を受け私に受けるかを聞いてくる。このやり取りは本当に形だけで、公式記録を残す為のパフォーマンスだと陛下が教えてくれた。真の交渉はこの後の会談で国家賠償や責任問題が追及されるらしい。
一通り謝罪パフォーマンスが終わり場の緊張感が薄れた時に、突然ビルス殿下が私に話しかけて来た。
「我がアリアの箱庭には長く乙女の召喚がなされておりません。我が生涯の中で女神の乙女にお会いできるは僥倖でございます。この世界に無い美しい漆黒の髪と瞳の貴女様を私のこの手で描きたい。多恵様!ぜひ絵のモデルになっていただきたい」
はぃ!きたこれ!絵のモデルのナンパ。私はチャラ男が嫌いで拒否る。
「お断りいたします。お受けする義理はございませんから」
ビルス殿下は目が点だ。恐らく断られた事が無いのだろう。殿下は王族だけあり美形で少し垂れ目ピンク色の瞳は警戒感を抱かせない。チャラ男には最高の武器だ。
ここにマリカさんが居たら1日中ビルス殿下を見つめているだろう。あいにく私の伴侶候補達は美形ぞろいで私の目はすっかり肥えているので、貴方に惚れる事はございませんから!
ビルス殿下から目を逸らして何気なくモーブルサイドを見るとダラス陛下は私の対応が辛辣で面白かったのか、明らかに笑いを堪えていてシリウスさんに至っては剣の柄に手がかかり臨戦態勢だ。
「多恵様は手厳しい。私は邪な気持ちはなく芸術家として貴女の美しさを後世に残したいのです」
「美しい女性を残したいのでしたら、もっと適任の方がこの箱庭には沢山いらっしゃいます。ご滞在中どうぞ存分にお書き下さい」
あまりに私が攻撃的なので陛下フォローし
「ビルス殿。多恵殿は大人しく控えめな女性。初対面でいきなりの誘いは戸惑うのも当然。ビルス殿も多恵殿と親交をもってから申し込まれるべきだと思うが」
「その様ですね。申し訳ございません。美しいものを見ると描きたい衝動が抑えられないのです。多恵様食事会の席でぜひお話させて頂きたい」
「・・・」
返事に困っていたらダラス陛下が
「ビルス殿。バスグルの女性はどうかは知らぬが、リリスの女性は奥ゆかしい。あまり遊びが過ぎると痛い目に合いますぞ」
ダラス陛下はお道化て話すが目が笑っていなくて怖い。
「ビルス殿下。絵のモデルはお受けできませんが、バスグルに興味があります。貴方の国のお話をお聞かせ下さい」
「ありがとうございます。食事会を楽しみにしています」
こうしてやっとバスグルの謝罪は終わった。後は食事会のみだ!がんばれ私!
ほっとしていたら陛下は抱きしめてくれ、王女様は頭を撫でてくれる
「バスグルに優しくする必要はないぞ。嫌なら食事後は部屋に戻ってもよいからな」
「ありがとうございます。陛下!私体は小さくとも子供じゃないのでその扱いは…」
すると少し拗ねた陛下は
「年齢は関係ないく、娘である事は変わらん。娘を愛でているだけだ。それに儂は多恵殿の婚儀の際に腕を組んでバージンロードを歩くのが目下の夢でな…」
「はぁ・・・」
「私はねウェディングドレスを一緒に選ぶのが楽しみなの」
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