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97.甘え下手
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今目の前に神妙な顔をしたシリウスさんが座ってらっしゃいます。お茶を運んでくれたケイティさんの目が厳しい。これは脚の事だなぁ…先に謝っておいた方がいいやつだ…
「シリウスさん。まずは先にお詫びさせて下さい。侍女さんから脚のお薬を受取りました。ありがとうございます。…でも実は脚治っているんです。」
「え?」
美形のキョトンは可愛いのだと今知った。いやそんな場合ではなかった!慌てて
「ごめんなさい騙すような事して。実は私こっちに来てからダンスを習い始め、まだ下手っぴで舞踏会でダンスしたくなくて嘘をついてしまいました」
「すぐ直る怪我ではありませんでしたがどうやって…」
唖然としながら身を乗り出したシリウスさんに
「妖精王が妖精の薬草で治してくれたんです。ごめんなさい」
頭を下げて詫びてシリウスさんを見たらフリーズ中。でも目が合うと柔らかい表情をし微笑んで
「治ってらっしゃるならよかったです。謝らないで下さい。俺もダンスは苦手で出来るものなら避けたいので気持ちはよくわかります」
そう言い笑ってくれた。怒られなくて胸を撫で下ろす。やっと謝ることも出来て安心して気楽にシリウスさんと話す事ができる。前と違いシリウスさんはちゃんと目を合わせてくれる。ふと疑問に思い聞いてみた。
「シリウスさん。初め目を合わせてくれ無かったけど、私第一印象悪かったんですかね⁈」
「いえ。貴女は俺が初めて惚れた方なので…」
「惚れたって⁈お会いして間も無いなに?」
「俺は…」
『逃げたい…』惚れた経緯をシリウスさんが目の前で熱弁しています。彼は意外にお喋りさんです。殿下が言っていたみたいに一目惚れ。容姿が十人前の私に一目惚れされる要素はないと思うんだけど…
「多恵様は箱庭の女性と違い人に頼らず自立された方だと思いました。しかし俺は甘え方を知らないのだと感じたのです。貴女を想う周囲の者は寂しくもどかしい…」
「それは…確かに自覚はありますが」
気まずくなり口籠ると
「多分伴侶候補だけではない。そこに控えている侍女。発言を許す思うところはないか?」
シリウスさんかケイティさんに話をふった。ケイティさんは私の後ろに控えて話し出す。
「恐れながらご意見させていただきます。シリウス様が仰る通りでございます。多恵様はご自分でなんでもされるので、お仕えする者としては寂しく感じます。他の令嬢の様に頼りっぱなしも考えものですが… 頼っていただけると信頼していただいていると感じれますし、私共は嬉しいのですよ多恵様」
そう言い微笑みを向けてくれる。その優しさに居た堪れなくなり
「分かっているけどそうゆう性分で、迷惑かけるって思いが先に出てくるの」
「多恵様はほんの小さな事でも『ありがとう』と感謝して下さいます。お仕えする者はその言葉が嬉しくて色々して差し上げたい」
分かっている自覚している。極度の甘え下手なのは… 迷惑かけるっと思っちゃうのと、頼んで拒否されたらって思いが先にたつ。20年以上の一緒にいる大輔にも甘えきれて無いのに、たった1ヶ月程の付き合いの人に甘えられる訳ない。
ふとシリウスさんとケイティさんを見る。なんだろう…我が子を見る様な慈愛満ちた顔をされている。
照れくさくて俯いてしまう。
「ありがとうございます。長年培った性格なので直ぐには無理ですが、皆さんに頼っていけたら…その頑張ります」
「多恵様。頑張るものではありませんよ」
ケイティさんは綺麗な礼をしてまた部屋の隅に控えてくれる。
「俺は他の方のように愛を囁くのとか苦手です。しかし貴女には本当の事しか言わない。俺は貴女が想ってくれなくても貴女以外愛する事はない。
だから少しずつでいい俺を知って欲しい。出来るなら想いを受け取って欲しい。
グリードは辞めて俺を候補にしてくれ!」
飾らない真っ直ぐな言葉を真正面から受け、恥ずかしくて俯きたいけど真っ直ぐな瞳から目が離せない。暫く見つめ合っていたら遠くで4刻の鐘の音が聞こえて来た。気がつくとケイティさんが背後にいて
「シリウス様。そろそろお時間にございます」
「あぁ…失礼しよう」
席を立ったシリウスさんが手を差し伸べてくれた。シリウスさんの手は剣を持つからかゴツゴツしている。でも大きくてとても温かい。
「あの…実はルースさんとシュンさんからマントの意味をお聞きしました。私があの大切なマントを私が受けていいんですか⁈」
「貴女に渡す為にあの日着けて行ったんです。俺のマントに包まった貴女を見て、マントの様に俺の愛で貴女を包んであげたいと思いました。使わなくてもいい…持っていてさえすれば…」
もうシャンパンファイトならぬハチミツファイトを受けている私はしどろもどろで
「えっと…ありがとうございます。まだシリウスさんの想いに答えれるかわかりませんが、マントはいただきます。あのマント本当に肌触りがよくて、膝掛けに最高なんですよね~」
「膝掛けですか⁈」
「はい!」
シリウスさんは顔を赤らめて驚いた表情をしています。訳が分からず思わずケイティさんを見たら残念そうな顔をしています。どうやら私はやらかした様だ。
ケイティさんの咳払いで再起動したシリウスさんは恐る恐るハグをしてきた。やっぱり温かくていい香りがして好きかも⁈ 心地いい体温と香り…フラグが立った気がした。
シリウスさん退室後にケイティさんがため息混じりにさっきの意味を教えてくれた。
騎士達はマントを男性の誇りを指すものと考える様で、穿った考え方をすると卑猥な意味になるらしい。そのマントを膝掛け…
『いゃー!』
無言で絶句した。ケイティさんに頭を撫でられ慰められ、ちゃんと学ぶように諭される。無知は最強だが最悪を呼ぶ事を覚えた1日だった。
「シリウスさん。まずは先にお詫びさせて下さい。侍女さんから脚のお薬を受取りました。ありがとうございます。…でも実は脚治っているんです。」
「え?」
美形のキョトンは可愛いのだと今知った。いやそんな場合ではなかった!慌てて
「ごめんなさい騙すような事して。実は私こっちに来てからダンスを習い始め、まだ下手っぴで舞踏会でダンスしたくなくて嘘をついてしまいました」
「すぐ直る怪我ではありませんでしたがどうやって…」
唖然としながら身を乗り出したシリウスさんに
「妖精王が妖精の薬草で治してくれたんです。ごめんなさい」
頭を下げて詫びてシリウスさんを見たらフリーズ中。でも目が合うと柔らかい表情をし微笑んで
「治ってらっしゃるならよかったです。謝らないで下さい。俺もダンスは苦手で出来るものなら避けたいので気持ちはよくわかります」
そう言い笑ってくれた。怒られなくて胸を撫で下ろす。やっと謝ることも出来て安心して気楽にシリウスさんと話す事ができる。前と違いシリウスさんはちゃんと目を合わせてくれる。ふと疑問に思い聞いてみた。
「シリウスさん。初め目を合わせてくれ無かったけど、私第一印象悪かったんですかね⁈」
「いえ。貴女は俺が初めて惚れた方なので…」
「惚れたって⁈お会いして間も無いなに?」
「俺は…」
『逃げたい…』惚れた経緯をシリウスさんが目の前で熱弁しています。彼は意外にお喋りさんです。殿下が言っていたみたいに一目惚れ。容姿が十人前の私に一目惚れされる要素はないと思うんだけど…
「多恵様は箱庭の女性と違い人に頼らず自立された方だと思いました。しかし俺は甘え方を知らないのだと感じたのです。貴女を想う周囲の者は寂しくもどかしい…」
「それは…確かに自覚はありますが」
気まずくなり口籠ると
「多分伴侶候補だけではない。そこに控えている侍女。発言を許す思うところはないか?」
シリウスさんかケイティさんに話をふった。ケイティさんは私の後ろに控えて話し出す。
「恐れながらご意見させていただきます。シリウス様が仰る通りでございます。多恵様はご自分でなんでもされるので、お仕えする者としては寂しく感じます。他の令嬢の様に頼りっぱなしも考えものですが… 頼っていただけると信頼していただいていると感じれますし、私共は嬉しいのですよ多恵様」
そう言い微笑みを向けてくれる。その優しさに居た堪れなくなり
「分かっているけどそうゆう性分で、迷惑かけるって思いが先に出てくるの」
「多恵様はほんの小さな事でも『ありがとう』と感謝して下さいます。お仕えする者はその言葉が嬉しくて色々して差し上げたい」
分かっている自覚している。極度の甘え下手なのは… 迷惑かけるっと思っちゃうのと、頼んで拒否されたらって思いが先にたつ。20年以上の一緒にいる大輔にも甘えきれて無いのに、たった1ヶ月程の付き合いの人に甘えられる訳ない。
ふとシリウスさんとケイティさんを見る。なんだろう…我が子を見る様な慈愛満ちた顔をされている。
照れくさくて俯いてしまう。
「ありがとうございます。長年培った性格なので直ぐには無理ですが、皆さんに頼っていけたら…その頑張ります」
「多恵様。頑張るものではありませんよ」
ケイティさんは綺麗な礼をしてまた部屋の隅に控えてくれる。
「俺は他の方のように愛を囁くのとか苦手です。しかし貴女には本当の事しか言わない。俺は貴女が想ってくれなくても貴女以外愛する事はない。
だから少しずつでいい俺を知って欲しい。出来るなら想いを受け取って欲しい。
グリードは辞めて俺を候補にしてくれ!」
飾らない真っ直ぐな言葉を真正面から受け、恥ずかしくて俯きたいけど真っ直ぐな瞳から目が離せない。暫く見つめ合っていたら遠くで4刻の鐘の音が聞こえて来た。気がつくとケイティさんが背後にいて
「シリウス様。そろそろお時間にございます」
「あぁ…失礼しよう」
席を立ったシリウスさんが手を差し伸べてくれた。シリウスさんの手は剣を持つからかゴツゴツしている。でも大きくてとても温かい。
「あの…実はルースさんとシュンさんからマントの意味をお聞きしました。私があの大切なマントを私が受けていいんですか⁈」
「貴女に渡す為にあの日着けて行ったんです。俺のマントに包まった貴女を見て、マントの様に俺の愛で貴女を包んであげたいと思いました。使わなくてもいい…持っていてさえすれば…」
もうシャンパンファイトならぬハチミツファイトを受けている私はしどろもどろで
「えっと…ありがとうございます。まだシリウスさんの想いに答えれるかわかりませんが、マントはいただきます。あのマント本当に肌触りがよくて、膝掛けに最高なんですよね~」
「膝掛けですか⁈」
「はい!」
シリウスさんは顔を赤らめて驚いた表情をしています。訳が分からず思わずケイティさんを見たら残念そうな顔をしています。どうやら私はやらかした様だ。
ケイティさんの咳払いで再起動したシリウスさんは恐る恐るハグをしてきた。やっぱり温かくていい香りがして好きかも⁈ 心地いい体温と香り…フラグが立った気がした。
シリウスさん退室後にケイティさんがため息混じりにさっきの意味を教えてくれた。
騎士達はマントを男性の誇りを指すものと考える様で、穿った考え方をすると卑猥な意味になるらしい。そのマントを膝掛け…
『いゃー!』
無言で絶句した。ケイティさんに頭を撫でられ慰められ、ちゃんと学ぶように諭される。無知は最強だが最悪を呼ぶ事を覚えた1日だった。
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