女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

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苛つき語彙が強くなる。アーサー殿下は難しい顔をして話した内容は…

バスグルの第1王女ビビアン様が留学中にグリード殿下と恋仲だったと当時噂されていた事だった。
閉鎖的なバスグルの王はグリード殿下との仲は認めず引き裂かれたらしい。それからずっとお2人は縁談を拒んでいたそうだ。
そこに女神の乙女の召喚が決まり、グリード殿下が自国の為に乙女の伴侶候補を受けられた。
同時期にバスグルの王が王位を譲る事を決め後継者選びが始まった。才女のビビアン王女が有力とされ話が進んだか、王になるには伴侶を得るのが絶対条件でビビアン王女の縁談が勧められた。
しかしビビアン王女はグリード殿下以外の婚姻を拒否され、次期王が決まらず国内が混乱しているそうだ。

バスグルが私に接触したいのはおそらく、グリード殿下を候補から外して欲しい嘆願するためだったと思われる。

「グリード殿はあんな不躾な方ではない。わざと多恵殿に嫌われてる為に、あの様な振る舞いをしているように見受けた」

前に女神の台座で伴侶候補は王族でなくていいし、必ず私が選ぶとは限らないって話してあったじゃん。正直に”候補下ります!”って言ってくれたらいいのに!わざわざシリウスさん使って遠回しにしなくても…

とりあえずドレスを贈ってもらったから、お礼は言わないと。それから舞踏会できっぱり候補から下りていただこう。こうゆうことはお互い早い方がいい! 人の恋路は邪魔したく無いからね!
するとアーサー殿下は私の横に座り直し手を取り微笑み

「私はグリード王弟殿下の気持ちが良く分かる。あの方もリリスの箱庭の住人だから愛情深い。一度心に決めた方以外は考えられない。私も王族。国の為に愛する人を諦めなければならない状況が出てくるかもしれない。その時は自分の心を封印せねばならない。そうならない事を切に願うのだから…」

艶っぽい視線を送られて困る。あの手をにぎにぎするのやめてもらえますか⁉︎
いつもはこの甘々な雰囲気に困っていたら、サリナさんが助け舟出してくれるのに、なんか気配を消してます。なんで!

外の騎士さんからゴードンさんの来室を知らせてきた。助かった!あっケイティさんも一緒だ。
入室したケイティさんはべったり私にくっ付いているアーサー殿下に冷たい?表情をして

「殿下。今から衣装合わせがございます。ご退室お願いいたします」

すかさずサリナさんが

「ケイティさん。お着替えは別室で行いますし問題ないのでは?」

ケイティさんは冷たい視線をサリナさんに向けて

「他の伴侶候補の方々が当日までご衣装を見る事ができないのです。不平等になりますわ」

あれ?なんか険悪ムードですが?2人仲良くなかったの? 険悪な2人にどうしていいか分からず呆然としていたら、ゴードンさんが助け船を出してくれた。

「多恵様はどうなさりたいですか?」
「えっと…舞踏会でお披露目したいです」

アーサー殿下は立ち上がり私の手を取り引き上げ、ハグをし頬に口付けた。

「舞踏会で美しく着飾った貴女と踊るのを楽しみに公務に励みます」
「どこまで化けれるか分かりませんので、あまり期待しないで下さいね」

元が並なので期待しないで欲しい…
アーサー殿下はすんなり退室されていきました。
ゴードンさんが音頭を取り衣装合わせを進めていきます。綺麗な箱から取り出されたのは、シャンパンゴールドのシルクのドレス。
私の希望通り肌の露出が少なく、スカート部分もボリューム控えめで大人しいデザイン。

「多恵様希望では装飾が少なく貧相になってしまうと心配しましたが、その分生地を良質のシルクにした事で多恵様の美しくさを強調できるものとなりました。今までのドレスはいかに派手にするかが重要視されてきましたが、召されるお方を美しくを引き立てるドレスを作ったのは初めてで、いい勉強になり感謝しております」

「私は箱庭女性に比べて容姿が貧相なので、皆さんの様なドレスでは負けてしまうんですよ」
「また!ご謙遜を!確かに華奢でいらしゃるが、凛とした美しさをお持ちです。まずはドレスを試着してみて下さいまし」

ケイティさんに付き添われ衣装部屋に移動して着てみました。流石に最高級シルクだけあって肌触り良く軽い。着ていないみたい!着心地バッチリです!

確認してもらう為に居間に行きゴードンさんにチェックしてもらいます。赤面する程ゴードンさんに褒められて、萎縮しているとゴードンさんが

「グリード殿下が仰る通り、多恵様にはシャンパンゴールドが良くお似合いです。この色味なら他の殿方のお衣装にも合うでしょう。私的にはグリード殿下が贈られるドレスなので、殿下のお色のコーラルピンクがいいと思ったのですが…」
「殿下のお色って?」

ゴードンさんは誕生色について説明してくれた。モーブルでは生まれた時に自分の守護色を、一族の最年長者から与えてられるそうだ。そしてお祝いの席や大切な場面では守護色を用いた物を身に付けるのが習慣。だからゴードンさんは私のドレスの色を殿下の守護色であるコーラルピンクを勧めた。しかし殿下は他の伴侶候補の事もありこの色になったようだ。

「…」

グリード殿下の本心は分からないけど、コーラルピンクはきっとビビアン王女に贈りたいのだろう。ビビアン王女の話を聞いた今はコーラルピンクは着たくない。
ビビアン王女の話を聞いてから、グリード殿下が分からなくなってきた。

『そうでなくでダンスが嫌でブルーなのに、その上お相手の事まで… 頭が痛いわ…』

真剣な顔でドレスをチェックするゴードンさん。彼が満足するまで長い時間がかかり、試着を終える頃には疲れ切ってしまう。やっとドレスから解放されると、若干の直しがあるらしくドレスは一旦ゴードンさんが一旦持ち帰った。

ゴードンさんが帰って寝室に籠りベッドにダイブして寝転がります。一昨日から精神的に疲れている。
このまま寝室に籠城きめたい!

『たえ てんを よぶ』

出てきたてん君は顔を舐めて慰めてくれる。もふもふの毛玉を抱きしめその温もりに暫し嫌な事を忘れる。

もふもふに癒されてうつらうつらしていたら、サリナさんが声を掛けて来た。どうやらオーランド殿下が来城され、謁見時間が近づいているらしい。
寝室から出たく無くて仮病を考えたが、体調悪いなんて言ったら反対に大事になりそうだ。
嫌だけど行くか…
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