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80.復帰
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結局ナタリー様の相談は10日後の舞踏会の事。マスク製作の協力者の令嬢とご婦人と歓談の時間をお願いされた。勿論OKです!こちらからこそです。
そして予定が分からない私はグラント様に調整をお願いする事にした。
そろそろ部屋に戻りたくてお二人の隙を見て扉に向かい護衛騎士さんに戻りを連絡する。
暫くすると扉向こうから護衛騎士のマーカスさんが声をかけてくれ(私が指示したんだけどね)やっと帰れそうです。
グラント様が入室許可を出すと護衛騎士さんと一緒にサリナさんがいて驚いた。私の心の声が届いたと感動する。
「閣下。多恵様は病み上がり故、そろそろお部屋へお戻りいただきます」
「では部屋までお送りしましょう」
すると私の手を取ったサリナさんが
「いえ、医師より受診の為に医師棟に寄るように指示を受けておりますので、こちらで失礼させていただきます。多恵様よろしいですか⁈」
「あっはい。グラント様今日はありがとうございました。ナタリー様ご機嫌よう」
会釈をして顔を上げるとグラント様にハグされて、額に口付けをいただき耳元で
「今日は人生で忘れられない1日になりました。
またお時間を私に下さい」
また頬が熱くなって来た。ナタリー様が後ろでキラキラした視線を送ってくる。もー恥ずかしい…
やっとグラント様に解放され執務室を後にした。遠くに夕日が沈むのが見えます。夕焼けで私の頬の色は誤魔化せるだろうか…
部屋に戻るとどっと疲れが出た。毎日何かしら起こる。
『今日は暇!何もやる事ないって言いたい』
そう思いながらソファーに寝転がると、目の前にお茶が出てきて、顔を上げるとサリナさんと目が合う。話を聞いて欲しくて座り直した。
「サリナさん…」
「はい」
「グラント様がお心をくださってお応えしました」
相槌を打ちまっすぐ見つめるサリナさんに全部言っちゃいます。
「皆さんのお心は嬉しいけどね、愛情表現が凄くてついて行けないのか本音。箱庭の男性はアレが普通なの?」
「そうですね…上位貴族の殿方は特に(愛情表現が)強い様に思います。令嬢も夫人もそれを望まれますから」
「サリナさんもそう?」
「私は…淡白な性格ですので鬱陶しいですね。皆さんが多恵さんに絡んでいるの見ると、正直イライラします」
どうやらサリナさんはドライのようです。正直私って冷たい奴かもって少し思いかけていたのよね…
「こんなお話するべきではありませんが…私には妹がおり、多恵さんにとても似ているんです。
愛嬌があり真面目で姉の私が言うのも何ですが頭の回転も良く出来た妹です」
どうやらサリナさんは私と妹さんを重ね、抜けている私が心配で放っておけず目が離せないそうだ。
「ですので多恵さんを見ているとつい構いたくなってしまいます。
またケイティさんにお叱りを受けてしまいますが、伴侶候補の方々が多恵さんに構いすぎると、ついお助けしたくなってしまうんです。
そんな事をしていては伴侶を選ぶ邪魔になると分かっていても、多恵さんが困っているとつい…」
「ありがとう。めっちゃ助けてもらっています。私の前の世界でこんなに激しい愛情表現する人が周りにいなくて、戸惑って困ることが多いから」
「多恵さんのペースでいいんですよ。お嫌なら“イヤ”とはっきり言えばいいと思います。それで嫌いになるような方々ではありません」
サリナさんの気持ちが嬉しくて心の中でお礼を言い、お姉ちゃん認定しました。
こうして気が楽になり早めの夕食を取り寝室でゆっくりします。
『たえ てん げんき よぶ』
『もういいの?復活した?』
『だいじょう よぶ』
実はてん君は初めての強行召喚だったらしく、かなり体に負担がかかり、ずっと眠ったままだったのだ。てん君が充電中は密かにボリスが付いてくれていた。てん君を呼ぶと最小サイズで現れた!これはもふもふし甲斐があるなぁ!
てん君を全力でもふもふしていたら
『多恵…てんが復活したので、私はリリスの元へ帰るわ』
『ありがとう。また会えますか?』
『いつれまた何処かで…てんをお願いね』
ボリスの気配が消えた。何か少し寂しい…でも愛らしい水色のもふもふが
『たえ てんもっと がんばるから だいじょうぶ』
『てん君このまま一緒に寝る?』
『うん!』
晩餐会ですでにてん君の存在は知られているので隠す必要がなく、このもふもふ毛玉を抱っこし寝る事にした。今晩は安眠間違いない。
翌日から数日は淑女教育の日々に追われてあっという間に過ぎて行った。
いつもの通り2刻の鐘の音で目覚める。てん君がテラスの窓の前にいて窓を前足で叩いている。
「何?」傍にいくと
開けて欲しいそうなので窓を開けるとテラスのベンチにフィラが座っていた。
いつもの様に抱きしめてキスをしてくる。
「多恵は早起きだな」
「習慣だからね。ここ数日来なかったけど忙しかったの?」
「俺が居ないと寂しいか?」
「う?うん…」
そう答えるとはにかむフィラか可愛いく見えた。
「レオンの奴が色々やらかして後処理が大変だった」
「お疲れ様です」
他愛もない会話をしていたら急にフィラは私の首元の辺をくんくんしています。昨晩ちゃんと湯浴みしてるけどなぁ…
「これはグラントか?」
「へ?」
「アルディアの伴侶はグラントに決めたのか?」
「なんで!」
思わず大声を上げ慌てて手で口を覆う。すると
「お前からグラントの気配と匂いがする。契ったのか?」
『キャー!』心だけで叫んだ私を褒めて欲しい!怖いフィラの嗅覚!そしてまた倫理観が顔を出した。
「うん…お心を貰った。怒っている?」
すると意外な返事が
「何故だ?もともとアルディアでも伴侶を選ぶのはリリスの願いだったろう⁈ 俺の本心は俺だけの番でいて欲しいが、リリスの願いだから仕方がない。そこは理解している。まぁ・・・アーサーよりいいんじゃないか」
フィラの反応に拍子抜けした。そしてフィラは他の者を受け入れても俺に向ける愛は減れすなよと笑う。
「良かった。機嫌悪くなるかと思った」
「やっぱり俺は機嫌悪いぞ。良くなるように口付けをくれ!」
そう言って何度も口付けて来る。いつサリナさんが来るか分から無いからひやひやだ!
『フィラ だれか くる たえ かえす』
『あー分かった。てん、多恵を頼むぞ』
てん君は頷いて尻尾を振る。いつの間に2人はそんなに仲良くなったの?
そして予定が分からない私はグラント様に調整をお願いする事にした。
そろそろ部屋に戻りたくてお二人の隙を見て扉に向かい護衛騎士さんに戻りを連絡する。
暫くすると扉向こうから護衛騎士のマーカスさんが声をかけてくれ(私が指示したんだけどね)やっと帰れそうです。
グラント様が入室許可を出すと護衛騎士さんと一緒にサリナさんがいて驚いた。私の心の声が届いたと感動する。
「閣下。多恵様は病み上がり故、そろそろお部屋へお戻りいただきます」
「では部屋までお送りしましょう」
すると私の手を取ったサリナさんが
「いえ、医師より受診の為に医師棟に寄るように指示を受けておりますので、こちらで失礼させていただきます。多恵様よろしいですか⁈」
「あっはい。グラント様今日はありがとうございました。ナタリー様ご機嫌よう」
会釈をして顔を上げるとグラント様にハグされて、額に口付けをいただき耳元で
「今日は人生で忘れられない1日になりました。
またお時間を私に下さい」
また頬が熱くなって来た。ナタリー様が後ろでキラキラした視線を送ってくる。もー恥ずかしい…
やっとグラント様に解放され執務室を後にした。遠くに夕日が沈むのが見えます。夕焼けで私の頬の色は誤魔化せるだろうか…
部屋に戻るとどっと疲れが出た。毎日何かしら起こる。
『今日は暇!何もやる事ないって言いたい』
そう思いながらソファーに寝転がると、目の前にお茶が出てきて、顔を上げるとサリナさんと目が合う。話を聞いて欲しくて座り直した。
「サリナさん…」
「はい」
「グラント様がお心をくださってお応えしました」
相槌を打ちまっすぐ見つめるサリナさんに全部言っちゃいます。
「皆さんのお心は嬉しいけどね、愛情表現が凄くてついて行けないのか本音。箱庭の男性はアレが普通なの?」
「そうですね…上位貴族の殿方は特に(愛情表現が)強い様に思います。令嬢も夫人もそれを望まれますから」
「サリナさんもそう?」
「私は…淡白な性格ですので鬱陶しいですね。皆さんが多恵さんに絡んでいるの見ると、正直イライラします」
どうやらサリナさんはドライのようです。正直私って冷たい奴かもって少し思いかけていたのよね…
「こんなお話するべきではありませんが…私には妹がおり、多恵さんにとても似ているんです。
愛嬌があり真面目で姉の私が言うのも何ですが頭の回転も良く出来た妹です」
どうやらサリナさんは私と妹さんを重ね、抜けている私が心配で放っておけず目が離せないそうだ。
「ですので多恵さんを見ているとつい構いたくなってしまいます。
またケイティさんにお叱りを受けてしまいますが、伴侶候補の方々が多恵さんに構いすぎると、ついお助けしたくなってしまうんです。
そんな事をしていては伴侶を選ぶ邪魔になると分かっていても、多恵さんが困っているとつい…」
「ありがとう。めっちゃ助けてもらっています。私の前の世界でこんなに激しい愛情表現する人が周りにいなくて、戸惑って困ることが多いから」
「多恵さんのペースでいいんですよ。お嫌なら“イヤ”とはっきり言えばいいと思います。それで嫌いになるような方々ではありません」
サリナさんの気持ちが嬉しくて心の中でお礼を言い、お姉ちゃん認定しました。
こうして気が楽になり早めの夕食を取り寝室でゆっくりします。
『たえ てん げんき よぶ』
『もういいの?復活した?』
『だいじょう よぶ』
実はてん君は初めての強行召喚だったらしく、かなり体に負担がかかり、ずっと眠ったままだったのだ。てん君が充電中は密かにボリスが付いてくれていた。てん君を呼ぶと最小サイズで現れた!これはもふもふし甲斐があるなぁ!
てん君を全力でもふもふしていたら
『多恵…てんが復活したので、私はリリスの元へ帰るわ』
『ありがとう。また会えますか?』
『いつれまた何処かで…てんをお願いね』
ボリスの気配が消えた。何か少し寂しい…でも愛らしい水色のもふもふが
『たえ てんもっと がんばるから だいじょうぶ』
『てん君このまま一緒に寝る?』
『うん!』
晩餐会ですでにてん君の存在は知られているので隠す必要がなく、このもふもふ毛玉を抱っこし寝る事にした。今晩は安眠間違いない。
翌日から数日は淑女教育の日々に追われてあっという間に過ぎて行った。
いつもの通り2刻の鐘の音で目覚める。てん君がテラスの窓の前にいて窓を前足で叩いている。
「何?」傍にいくと
開けて欲しいそうなので窓を開けるとテラスのベンチにフィラが座っていた。
いつもの様に抱きしめてキスをしてくる。
「多恵は早起きだな」
「習慣だからね。ここ数日来なかったけど忙しかったの?」
「俺が居ないと寂しいか?」
「う?うん…」
そう答えるとはにかむフィラか可愛いく見えた。
「レオンの奴が色々やらかして後処理が大変だった」
「お疲れ様です」
他愛もない会話をしていたら急にフィラは私の首元の辺をくんくんしています。昨晩ちゃんと湯浴みしてるけどなぁ…
「これはグラントか?」
「へ?」
「アルディアの伴侶はグラントに決めたのか?」
「なんで!」
思わず大声を上げ慌てて手で口を覆う。すると
「お前からグラントの気配と匂いがする。契ったのか?」
『キャー!』心だけで叫んだ私を褒めて欲しい!怖いフィラの嗅覚!そしてまた倫理観が顔を出した。
「うん…お心を貰った。怒っている?」
すると意外な返事が
「何故だ?もともとアルディアでも伴侶を選ぶのはリリスの願いだったろう⁈ 俺の本心は俺だけの番でいて欲しいが、リリスの願いだから仕方がない。そこは理解している。まぁ・・・アーサーよりいいんじゃないか」
フィラの反応に拍子抜けした。そしてフィラは他の者を受け入れても俺に向ける愛は減れすなよと笑う。
「良かった。機嫌悪くなるかと思った」
「やっぱり俺は機嫌悪いぞ。良くなるように口付けをくれ!」
そう言って何度も口付けて来る。いつサリナさんが来るか分から無いからひやひやだ!
『フィラ だれか くる たえ かえす』
『あー分かった。てん、多恵を頼むぞ』
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