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75.ボリス

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目を覚ましたら真っ暗な部屋で羽根の絨毯の上で寝ていた。ここは…女神の台座のこっち側だ!って事はリリスに会えるの⁈
起き上がり辺りを見渡すがリリスは居ない。
どうしていいか分からず立ち尽くす。暫くすると背後に気配を感じる振り返ると、そこにボリスが立っていた。大鷲のボリスは威圧感あるのに視線が優しい。なんか母を思い出す…

『多恵。リリスとイリアが貴女に感謝している。2人とも今力が弱く直接話す事が出来ないから私が代弁するわ』

今回の事件はベイグリー公国の王から協力要請もあったが、第2女神イリアからもあったらしい。
一つ目は妖精王ロイドの世継ぎ問題。二つ目は世界征服を目論むレオン皇太子。

『世界征服って!中二病か?』

思わず心で突っ込んだら、ボリスが笑っている様に見える。

『レオンは浅慮でありながら気は強く、己を万能だと思っている。原因は彼を王にしたい王妃の教育』

毒母のあるある話だなぁ…

『しかし彼は才がない。側室を母にもつ1歳違いの第2王子の方が優秀で次第に周りは第2王子を次期王に望んだの』

どうやら焦ったレオンは功績をあげる為にかなり強引に外交をし、対外的に反感をかったりようだ。
その外交した1国にチャイラ島がありそこの産物に目を付けた。
チャライラ島は女神の加護を受けない島。箱庭には妖精王がいて妖精と妖力の均衡を図り、自然は安定する。しかし加護の無いチャライラは妖精が自由勝手するので、作物や生物が異常発生したり枯渇したりする。今回も虫が異常発生しチャライラはレオンに助けを求めた。
何の策もないレオンは近郊の箱庭に探りを入れ、アルディアに女神の乙女がいる事が分かり、妃に迎え利用する事を思い付いた。

察知したイリアはリリスに警告し、ロイドにも伝え力添えする様に動いてくれた。
並行してベイグリー王もアルディア王に協力を要請し、レオン皇太子の廃嫡を画策した結果こんな大事になったそうだ。

レオン皇太子に付いていた浅黒の男はチャライラの豪商の息子で、レオン皇太子がチャライラ島を支配した後に、島の王になる約束して協力していたらしい。

今回アルディアにかなりの密偵が潜伏していた様で、計画は陛下とイザーク様と宰相直属の暗部の者にのみ知らされていた。だから殿下やフィラが知らなかったんだ。ボリス曰く

『フィラは人の様に嘘を吐いたり欺く事が出来ない。だから彼にも秘密にしたの。それに彼は妖精の気質もあり…』

ボリスはそう言い微笑ましく私を見ている

『…て事は私に向ける好意は本心⁈』
『そうよ。フィラが貴女に向ける心は本物よ』

あ…ボリスは聖獣だから心の声聞こえるんだった!
恥ずかしくて赤面する。

『てんもリリスから知らされて無かったの。だからあの時貴女を守る為に強引に姿を現した。私の姿を見てキョトンとしていたわ。でも時すでに遅く貴女は力を失い、レオンに連れ去れる事になってしまった。計画ではあの場でケニーと私が貴女とレオンを会場の外に運び、アルディア王と第1騎士団が捕縛する予定だった。
てんが先走ったので予定が狂い、少しの間でも貴女を不安にさせてしまったわ。謝罪します』

ボリスが頭を下げて謝罪されお受けした。

『てんはまだ幼く経験不足。貴女を守る意思は強いけどまだまだね。長い目でみてあげて』
『勿論です。いつも側に居てくれて心の支えになってくれてます』

ボリスは瞳は慈愛に満ちている。”お母さん”って呼んでいいですか⁈

『今から話す事は貴女を怖がらせるかもしれない。しかし知っていて欲しいの。第2女神イリア第3女神リリス、第4女神アリアの箱庭は比較的近いので、多恵の存在は知られている。第1女神ミアと第5女神カノの箱庭は遠くまだ知られていない。しかし時期知るところとなるでしょう。
そうすればレオンの様な輩が貴女を狙う事も出て来る。我らリリスの箱庭は貴女を守ります。だから信じて欲しい』

『でもロイドが困っているから私に話が来たんだですよね⁈と言う事は私を狙う箱庭の住人は困っている事ですよね…』

困っている人を助けなくていいのかしら…

『ロイドは特例にあたるわ。ロイドの暴走は女神にも止めれないし、暴走後の修復にはかなりの神力を使う。今のイリアにはその力が無い。第2女神の箱庭存続に関わるからリリスが許可したの。人の問題はそこの女神が異世界人を召喚すればいいのです』

なるほどね…でもまたこんな風に巻き込まれるのは勘弁して欲しいです。

『これはリリスからのお願い。フィラも妖力のキャパオーバーまで日が無いの。もって7、8年で後5年もしたらこの箱庭に影響が出だすわ。
それまでにフィラを受け入れてあげて欲しい。私が感じたところフィラは貴女の気持ちは得られている気かがするけど⁈違う?』


ボリスは優しいだけで無く鋭い!思わず赤面する。

『気を許していると思います。でもまだまだ問題が多くてフィラに向き合えない。フィラを受け入れたら他の事が疎かになりそうで…無責任な事したくないんです』

ボリスは翼を広げて私を包み込んでくれた。柔らかいボリスの羽根と温かさに泣きそうになる。

『多恵は真面目ね…だから皆んな貴女を愛するのね。大丈夫よ。フィラの懐は深いから貴女を待ってくれるわ。いい女は男を待たすものよ!』

ボリスの優しさにマジで泣いちゃいました。そんな私を優しく慰めてくれるボリス。暫くボリスの胸を借り泣いてスッキリした。

『そろそろ戻りなさい。皆んな貴女の目覚めを待っているわ』

ボリスがそう言うとボリスの声がどんどん遠くなって来た。あー目が覚める…
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