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73.大鷲
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会場に着くとすぐにフィラ及び伴侶候補の皆さんが集まっていた。皆真剣な顔をしている。どうやらフィラが皆に“良くないもの”を説明するしているようだ。目が合うと微笑んでくれるけど殺気立って怖い…
「多恵心配するな。守るから!」
「ありがとう。頼りにしています」
会場に音楽が流れファーストダンスを陛下と王妃様が躍ります。やはり王様だけあり迫力が違う。それに比べて私のダンスは幼稚園のお遊戯の域をでません。ダンスが終わると本来ならアーサー殿下だが今回は私とフィラが躍る事に。フィラにエスコートされホールの真ん中へ。するとフィラは小声で…
「安心しろ!お前の美しさに見とれダンスは誰も気にしていない!俺に委ねろ」
「う…うん?」
なんか素直に喜べない…
踊りだすと意外に踊れ安心するけど… 一度フィラの足を踏みかけたらほんの少し体が浮いた気がして踏んだ感覚が無い。顔を上げてフィラを見たらウィンクした。やっぱり何かしたな…
取りあえず無事ダンスを終えホールを後にする。すると直ぐにサリナさんが果実水を持って来てくれ一息付く、早速レオン皇太子がこっちに来る。
「多恵。ダンス中は大丈夫だと思うが嫌な気配がずっとしている。妖精と俺とで監視しているから安心して踊ってこい」
そんな事言われて安心できるか!!
「多恵殿。お相手いただけますか⁈」
目の前に超絶男前のレオン皇太子がいる。本当は断りたいが・・・
「よろしくお願いします」
と差し伸べられた手に私の手を重ねた。
レオン皇太子にエスコートされフロア中央に向かいます。レオン皇太子の手は冷たく余計に緊張する。
『たえ こいつ いやな やつ』
『この人が“良くないのも”なの?』
『ない でも におい する』
『マジで! わぁ!』
音楽が始まり皇太子に強引にリードされ一歩目を出した。皇太子のリードは強引なところがあるが、本人が自信あるだけの事はある。へたっぴな私が次のステップに移行できるようにリードしてくれ、いつも踏んでしまう所が問題なく踊れた。少し余裕が出てきて顔を上げたら皇太子と目が合う。
「やはり私の妃は貴女がいい。リリスの箱庭が落ち着いてからでいい。私の元に来てくれ」
「こちらの世界は素敵な女性がばかりです。レオン殿下の相手は私には務まりませんわ」
やんわり断ると
「また謙遜を。こんなに愛らしくそれに博学だ。今この世界に貴女以上の女性は居ない」
「私はまだ伴侶を決める気はありませんのでお断りします」
今度ははっきり断る。そしてダンスが終わりに近づいた時に皇太子は何を思ったのか、私の首元のリボンを解き取った。急にリボンを取られ身震いすると、首元に指を這わし耳元で囁く
「まだ少し赤いですね…むしり取るほど私の真珠はお嫌でしたか?」
「なっ!」
まだダンスは終わっていないのに、レオン皇太子はぐっと引き寄せ強く抱きしめた。
「貴様!多恵を離せ うっ!」
駆け寄ろうとしたフィラに誰かがフィラに大きな布を掛けた。嫌な予感が…あれは鉄の布?!
「妖精王フィラは封じた。多恵様をこちらに!」
聞き覚えのある声がする。会場とテラスをつなぐ大きな掃き出し窓にケニー様と大きな鷲がいる。あれは聖獣なの?
『たえ ごめん しんどい がまん』
『え?何を我慢するの?』
てん君が遠吠えをすると左手から全身の力が抜けていく感じがする。体に力が入らない意識はあるが言葉が出ない…まるで金縛りにあった様だ。
ぐったりした私を皇太子が抱き上げる。
「これがリリスの“守り”の聖獣か!予想より大きいな…ケニーこの聖獣を何とかしろ。我々は多恵殿を連れて行く」
目の前にいるのはてん君?大きい空色の獅子が大鷲と対峙している。四方から誰かが私を呼んでいるけど、ごめんなさい返事する力が無い…。怖いまた拉致されるの?フィラ守ってくれるんじゃないの⁈
会場を出た皇太子は私を抱え足早に廊下を進む。
「案外上手くいったな!直ぐに出港する。顔がまだバレてない者は後日戻る様に伝えろ」
「レオン様。乙女は大丈夫でしょうか?抵抗も無く大人しい。どこかお悪いのでは?」
レオン皇太子は私の額に口付けを落とし楽しそうに
「聖獣が主の意志を無視して姿を現すと、主の体力を奪うらしい。あれだけ大きな聖獣だ多恵は暫く動けまい。チャイラに着く頃には回復するだろう。我々にとっては都合がいい。」
「乙女の世話にライカを付けようと、牢番に解放させましたが拒みまして…予定外です。いま別の侍女を手配しています。出港迄には…」
まだこいつらライカさんを利用しようとしている事に腹が立った。
「ライカは拒んだか…俺は乙女を手に入れたから必要ない。確かお前が(ライカを)気に入っていたなぁ…欲しいなら連れて帰るがいい」
私の頭上でとんでもない話が繰り広げられている。
体が動くなら”ぐー”で一発殴ってやるのに!
一体レオン皇太子と話しているこの浅黒の男は誰?見たこともない。『あっ目が合った』美丈夫だけど嫌い!軽蔑の眼差しで見てやる!
それにしてもおかしい…騎士さんはじめ伴侶候補者が追って来ない。まさかケニー様&大鷲にやられたの?それにフィラは鉄の布さえ取れば私の居場所は分かるはずのに。もしかして上辺だけで実は私…好かれて無かったとか⁉︎
『うっ…』
何か悲しくなって来た。レオン皇太子は涙目の私を見て嬉しそうに
「案ずるな俺はお前だけを愛するぞ!」
と甘い言葉セリフを吐く。本来言われたら嬉しい言葉も言われる人が違うとこんなにも嫌な気持ちになるんだ。早く皆んなのところに帰りたい!
レオン皇太子はどんどん進んで行く。暫くすると王城の一番端の林に着いた。そこは広い広場になっていて大きな影が2つ見えてきた。もう何が来ても驚かない!
「多恵心配するな。守るから!」
「ありがとう。頼りにしています」
会場に音楽が流れファーストダンスを陛下と王妃様が躍ります。やはり王様だけあり迫力が違う。それに比べて私のダンスは幼稚園のお遊戯の域をでません。ダンスが終わると本来ならアーサー殿下だが今回は私とフィラが躍る事に。フィラにエスコートされホールの真ん中へ。するとフィラは小声で…
「安心しろ!お前の美しさに見とれダンスは誰も気にしていない!俺に委ねろ」
「う…うん?」
なんか素直に喜べない…
踊りだすと意外に踊れ安心するけど… 一度フィラの足を踏みかけたらほんの少し体が浮いた気がして踏んだ感覚が無い。顔を上げてフィラを見たらウィンクした。やっぱり何かしたな…
取りあえず無事ダンスを終えホールを後にする。すると直ぐにサリナさんが果実水を持って来てくれ一息付く、早速レオン皇太子がこっちに来る。
「多恵。ダンス中は大丈夫だと思うが嫌な気配がずっとしている。妖精と俺とで監視しているから安心して踊ってこい」
そんな事言われて安心できるか!!
「多恵殿。お相手いただけますか⁈」
目の前に超絶男前のレオン皇太子がいる。本当は断りたいが・・・
「よろしくお願いします」
と差し伸べられた手に私の手を重ねた。
レオン皇太子にエスコートされフロア中央に向かいます。レオン皇太子の手は冷たく余計に緊張する。
『たえ こいつ いやな やつ』
『この人が“良くないのも”なの?』
『ない でも におい する』
『マジで! わぁ!』
音楽が始まり皇太子に強引にリードされ一歩目を出した。皇太子のリードは強引なところがあるが、本人が自信あるだけの事はある。へたっぴな私が次のステップに移行できるようにリードしてくれ、いつも踏んでしまう所が問題なく踊れた。少し余裕が出てきて顔を上げたら皇太子と目が合う。
「やはり私の妃は貴女がいい。リリスの箱庭が落ち着いてからでいい。私の元に来てくれ」
「こちらの世界は素敵な女性がばかりです。レオン殿下の相手は私には務まりませんわ」
やんわり断ると
「また謙遜を。こんなに愛らしくそれに博学だ。今この世界に貴女以上の女性は居ない」
「私はまだ伴侶を決める気はありませんのでお断りします」
今度ははっきり断る。そしてダンスが終わりに近づいた時に皇太子は何を思ったのか、私の首元のリボンを解き取った。急にリボンを取られ身震いすると、首元に指を這わし耳元で囁く
「まだ少し赤いですね…むしり取るほど私の真珠はお嫌でしたか?」
「なっ!」
まだダンスは終わっていないのに、レオン皇太子はぐっと引き寄せ強く抱きしめた。
「貴様!多恵を離せ うっ!」
駆け寄ろうとしたフィラに誰かがフィラに大きな布を掛けた。嫌な予感が…あれは鉄の布?!
「妖精王フィラは封じた。多恵様をこちらに!」
聞き覚えのある声がする。会場とテラスをつなぐ大きな掃き出し窓にケニー様と大きな鷲がいる。あれは聖獣なの?
『たえ ごめん しんどい がまん』
『え?何を我慢するの?』
てん君が遠吠えをすると左手から全身の力が抜けていく感じがする。体に力が入らない意識はあるが言葉が出ない…まるで金縛りにあった様だ。
ぐったりした私を皇太子が抱き上げる。
「これがリリスの“守り”の聖獣か!予想より大きいな…ケニーこの聖獣を何とかしろ。我々は多恵殿を連れて行く」
目の前にいるのはてん君?大きい空色の獅子が大鷲と対峙している。四方から誰かが私を呼んでいるけど、ごめんなさい返事する力が無い…。怖いまた拉致されるの?フィラ守ってくれるんじゃないの⁈
会場を出た皇太子は私を抱え足早に廊下を進む。
「案外上手くいったな!直ぐに出港する。顔がまだバレてない者は後日戻る様に伝えろ」
「レオン様。乙女は大丈夫でしょうか?抵抗も無く大人しい。どこかお悪いのでは?」
レオン皇太子は私の額に口付けを落とし楽しそうに
「聖獣が主の意志を無視して姿を現すと、主の体力を奪うらしい。あれだけ大きな聖獣だ多恵は暫く動けまい。チャイラに着く頃には回復するだろう。我々にとっては都合がいい。」
「乙女の世話にライカを付けようと、牢番に解放させましたが拒みまして…予定外です。いま別の侍女を手配しています。出港迄には…」
まだこいつらライカさんを利用しようとしている事に腹が立った。
「ライカは拒んだか…俺は乙女を手に入れたから必要ない。確かお前が(ライカを)気に入っていたなぁ…欲しいなら連れて帰るがいい」
私の頭上でとんでもない話が繰り広げられている。
体が動くなら”ぐー”で一発殴ってやるのに!
一体レオン皇太子と話しているこの浅黒の男は誰?見たこともない。『あっ目が合った』美丈夫だけど嫌い!軽蔑の眼差しで見てやる!
それにしてもおかしい…騎士さんはじめ伴侶候補者が追って来ない。まさかケニー様&大鷲にやられたの?それにフィラは鉄の布さえ取れば私の居場所は分かるはずのに。もしかして上辺だけで実は私…好かれて無かったとか⁉︎
『うっ…』
何か悲しくなって来た。レオン皇太子は涙目の私を見て嬉しそうに
「案ずるな俺はお前だけを愛するぞ!」
と甘い言葉セリフを吐く。本来言われたら嬉しい言葉も言われる人が違うとこんなにも嫌な気持ちになるんだ。早く皆んなのところに帰りたい!
レオン皇太子はどんどん進んで行く。暫くすると王城の一番端の林に着いた。そこは広い広場になっていて大きな影が2つ見えてきた。もう何が来ても驚かない!
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