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67.誰の趣味?
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部屋が急に慌ただしくなる。訳が分からずとりあえず食べかけのサンドイッチを急いで食べお茶を飲み寝室に向かう。寝室の扉から中を見るとベッド横の天井が開いている。なんで?
「多恵様失礼します!」
第2の騎士さんが梯子と灯りを持って寝室に入り、天井の穴に梯子を掛けてクレイブ様が登り中を確認している。
起きた時あんなの気付かなかったよ。
「クレイブ。やはりケニーか?」
「恐らく。屋根裏にも薬草の香りが残っています。まだそんなに経っていない様です。彼の所在は掴めましたか?」
首を振りヒューイ殿下が第2の騎士さんにケニー様の所在確認を指示しています。
血の気が引いていくのが分かりその場に座り込んでしまった。寝ていた時の漢方?薬草?の香り…大きな手のひら…瞼に感じる柔らかい感触…誰?
グラント様が駆け寄り抱き上げ居間に移動して、ソファーに座らせてくれた。
部屋の中は騒がしいのに音が無い。手に温もりだけ感じる…呼ばれた気がして顔を上げたら
「落ち着かれましたか?」
グラント様とキース様が心配そうに私を見ている。そして誰か頭を撫でているのに気付き見上げるとフィラがいた。
「グラント殿から事情はお聞きしました。貴女を怖がらせる者は許せない。必ず私共がお守りします」
「今、妖精にケニーを探させている。心配するな直ぐ捕まる」
向こうに座るトーイ殿下はアーサー殿下に何か聞かれている。私と同じく顔色が悪い。
この騒動は暫く続き8刻の鐘の音が聞こえる頃に漸く落ち着き出し、ケニー様がグレーから黒に認定された事により解散となり、明日また話し合う事になった。
寝室の天井の穴は板で塞ぎとりあえず直す。そしてベッドを衝立で囲み女性騎士さんが警護する事になった。
「レオン皇太子が帰るまで我慢下さい」
申し訳無さそうにアーサー殿下が謝罪される。妖精城に行けば安全だろうけど、明日の晩餐会の準備や打合せがあるからアルディア城内にいた方がいいらしい。フィラは妖精城に来て欲しいそうだし、私もケニー様の恐怖を考えたら妖精城に行った方が安眠できるけど仕方がない。
寝室はアンリさんが警備してくれ、扉外には護衛騎士のマーカスさんが居てくれます。
布団に入るけどなかなか寝付けない。
『たえ こわい?』
『うん。ケニー様が何をしたいか分からないから』
『てん よぶ』
『えっでもアンリさんに見られちゃう』
『だいじょうぶ たえ てん こころ はなす』
『心で会話するから分からないって事?』
『そう てん よぶ』
てん君の言う通り衝立で見えないし、会話しないからバレない。心細いからてん君を呼んだ。てん君は布団に潜り私の腕の中で丸まります。てん君のもふもふと温もりで意外に早く寝付けました。
“ぺろぺろ”と”ペシペシ”?何?
『たえ おきる だれか くる』
『へ?』
『たえ あさ てん もどる』
朝?てん君が左手をペシペシ叩いて戻ると主張しています。慌てててん君を戻した。
ほぼ同時にアンリさんが声を掛けてきた。
「多恵様。そろそろご起床下さい。もうすぐ3刻になります」
「あっはい!ごめんなさい」
衝立を片付けケイティさんが目覚めのお茶を入れてくれた。その後湯浴みと着替えをします。浴室で夜着を脱いだ時にまじまじと夜着を見る。誰の趣味なの? こんな透け透けで夜着の役目を果たさないやつ。湯浴みから上がってケイティさんに聞いたら、アーサー殿下が私を迎える準備品の一つである事が判明した。アーサー殿下は妃にこれを望むんだ… ちょっと引いた…
居間に行くと朝食が用意されていて、疲れながらもキラキラのアーサー殿下が待っていてくれた。
顔が引き攣るけど頑張って笑顔作る私を誰か褒めて!
朝食後はこの部屋に缶詰です。
3刻半にエリザベスさんの元乳母さんが来る予定。妊活のアドバイスをしその後明日のドレス合わせ。そして昼食の後に昨日のメンバーと晩餐会の打ち合わせです。
少ししたらエリザベスさん元乳母さんがいらっしゃた。50代後半の優しそうな女性です。
直ぐに妊活について話すと熱心にメモを取りながら、時に質問もされ話は滞りなく終わりました。
見た目17歳のおぼこい私がこんな知識があるのが不思議な様で、何度か「未婚ですよね?」と聞かれた。ははは…実は出産経験者です。
アーサー殿下はレオン皇太子と昼食を共にするらしく、ヒューイ殿下が来てくれた。お忙しい中気を遣わせたと謝ると
「多恵殿との食事と会話は私の癒しですから、機会を奪わないで下さいね」
と男前な発言。ここ最近ヒューイ殿下は好感持てる。ナタリーさんの影響か?
なんか微笑ましく嬉しい!皆んな幸せになってね!
食事をしながら色々話をしていたら、レオン皇太子の話になった。皇太子は朝一に針子さんの作業着に私に会いに来たらしい。私が居ないのを怒り居場所をアーサー殿下に聞いていたそうだ。
アーサー殿下は皇太子にベイグリーに連れて行かれのが嫌で、昨日仕事を辞めて田舎に帰ったと説明したそうだ。2度目の皇太子の訪問に針子部屋は針子さんの黄色い声が響き渡ったり、皇太子は不機嫌に部屋に戻られたそうだ。
「多恵様失礼します!」
第2の騎士さんが梯子と灯りを持って寝室に入り、天井の穴に梯子を掛けてクレイブ様が登り中を確認している。
起きた時あんなの気付かなかったよ。
「クレイブ。やはりケニーか?」
「恐らく。屋根裏にも薬草の香りが残っています。まだそんなに経っていない様です。彼の所在は掴めましたか?」
首を振りヒューイ殿下が第2の騎士さんにケニー様の所在確認を指示しています。
血の気が引いていくのが分かりその場に座り込んでしまった。寝ていた時の漢方?薬草?の香り…大きな手のひら…瞼に感じる柔らかい感触…誰?
グラント様が駆け寄り抱き上げ居間に移動して、ソファーに座らせてくれた。
部屋の中は騒がしいのに音が無い。手に温もりだけ感じる…呼ばれた気がして顔を上げたら
「落ち着かれましたか?」
グラント様とキース様が心配そうに私を見ている。そして誰か頭を撫でているのに気付き見上げるとフィラがいた。
「グラント殿から事情はお聞きしました。貴女を怖がらせる者は許せない。必ず私共がお守りします」
「今、妖精にケニーを探させている。心配するな直ぐ捕まる」
向こうに座るトーイ殿下はアーサー殿下に何か聞かれている。私と同じく顔色が悪い。
この騒動は暫く続き8刻の鐘の音が聞こえる頃に漸く落ち着き出し、ケニー様がグレーから黒に認定された事により解散となり、明日また話し合う事になった。
寝室の天井の穴は板で塞ぎとりあえず直す。そしてベッドを衝立で囲み女性騎士さんが警護する事になった。
「レオン皇太子が帰るまで我慢下さい」
申し訳無さそうにアーサー殿下が謝罪される。妖精城に行けば安全だろうけど、明日の晩餐会の準備や打合せがあるからアルディア城内にいた方がいいらしい。フィラは妖精城に来て欲しいそうだし、私もケニー様の恐怖を考えたら妖精城に行った方が安眠できるけど仕方がない。
寝室はアンリさんが警備してくれ、扉外には護衛騎士のマーカスさんが居てくれます。
布団に入るけどなかなか寝付けない。
『たえ こわい?』
『うん。ケニー様が何をしたいか分からないから』
『てん よぶ』
『えっでもアンリさんに見られちゃう』
『だいじょうぶ たえ てん こころ はなす』
『心で会話するから分からないって事?』
『そう てん よぶ』
てん君の言う通り衝立で見えないし、会話しないからバレない。心細いからてん君を呼んだ。てん君は布団に潜り私の腕の中で丸まります。てん君のもふもふと温もりで意外に早く寝付けました。
“ぺろぺろ”と”ペシペシ”?何?
『たえ おきる だれか くる』
『へ?』
『たえ あさ てん もどる』
朝?てん君が左手をペシペシ叩いて戻ると主張しています。慌てててん君を戻した。
ほぼ同時にアンリさんが声を掛けてきた。
「多恵様。そろそろご起床下さい。もうすぐ3刻になります」
「あっはい!ごめんなさい」
衝立を片付けケイティさんが目覚めのお茶を入れてくれた。その後湯浴みと着替えをします。浴室で夜着を脱いだ時にまじまじと夜着を見る。誰の趣味なの? こんな透け透けで夜着の役目を果たさないやつ。湯浴みから上がってケイティさんに聞いたら、アーサー殿下が私を迎える準備品の一つである事が判明した。アーサー殿下は妃にこれを望むんだ… ちょっと引いた…
居間に行くと朝食が用意されていて、疲れながらもキラキラのアーサー殿下が待っていてくれた。
顔が引き攣るけど頑張って笑顔作る私を誰か褒めて!
朝食後はこの部屋に缶詰です。
3刻半にエリザベスさんの元乳母さんが来る予定。妊活のアドバイスをしその後明日のドレス合わせ。そして昼食の後に昨日のメンバーと晩餐会の打ち合わせです。
少ししたらエリザベスさん元乳母さんがいらっしゃた。50代後半の優しそうな女性です。
直ぐに妊活について話すと熱心にメモを取りながら、時に質問もされ話は滞りなく終わりました。
見た目17歳のおぼこい私がこんな知識があるのが不思議な様で、何度か「未婚ですよね?」と聞かれた。ははは…実は出産経験者です。
アーサー殿下はレオン皇太子と昼食を共にするらしく、ヒューイ殿下が来てくれた。お忙しい中気を遣わせたと謝ると
「多恵殿との食事と会話は私の癒しですから、機会を奪わないで下さいね」
と男前な発言。ここ最近ヒューイ殿下は好感持てる。ナタリーさんの影響か?
なんか微笑ましく嬉しい!皆んな幸せになってね!
食事をしながら色々話をしていたら、レオン皇太子の話になった。皇太子は朝一に針子さんの作業着に私に会いに来たらしい。私が居ないのを怒り居場所をアーサー殿下に聞いていたそうだ。
アーサー殿下は皇太子にベイグリーに連れて行かれのが嫌で、昨日仕事を辞めて田舎に帰ったと説明したそうだ。2度目の皇太子の訪問に針子部屋は針子さんの黄色い声が響き渡ったり、皇太子は不機嫌に部屋に戻られたそうだ。
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