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57.捧げる
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イワン先生から組んで踊る練習をするので、本番に近い服装を指示されているらしく、キラキラのドレスを着せられた。鏡に写る私を見て七五三の記念写真を撮った娘を思い出す。着せられてる感満載である。
「似合わない…」
そう呟くとサリナさんが慌てだし、別のドレスを取りに行こうとする。違う違う!ドレスが気に入らないじゃなくて、私が似合ってないのだ。
はぁ…ジーパンとティーシャツが懐かしい!
着替えて居間に戻るとキース様が目を見開き、口元を綻ばせ足早に向かってきます。
手を取られてほめほめ攻撃を受けています。
慣れないほめ殺しにダンス前からもう疲れた…
やっと練習部屋へ移動。いつもは騎士さんと談笑しながら向かうが今日はがっちりキース様に手を取られとエスコートされています。
廊下を歩いているとすれ違う女性は皆んな目がハートで、キース様に秋波を送り私には敵意を向けてくる。今横をすれ違った令嬢にすれ違いざまに小声で、”チビ、醜女”と悪口を言われた。当たってるから反論ないし悲しくも無い…よ…ちょいへこむけど
すると突然キース様が立ち止まり私をミリアさんに預けて、さっき悪口を言った令嬢の元に行った。
令嬢は突然近づいて来るキース様に顔を赤らめて更に秋波を送っている。
令嬢の前に立ち止まると綺麗な礼をされ何か話しているが、距離があり会話は聞こえない。
キース様は背を向けられ表情は分からないが、令嬢は見る見るうちに顔面蒼白になり涙目になってとうとう俯いてしまった。キース様なに言ったの⁈
キース様は礼をされて戻ってきて、またがっちりエスコートを再会します。
「何を話されていたのですか?」
「ご自分の身の程を教えて差し上げただけです」
「?」
意味わからん…
私の顔を見て楽しそうに笑ってます。
「やはり貴女は最高かわいいです」
そしてまたほめ殺された。そして後日全く面識のない伯爵様から謝罪文がとどいた。
やっと練習部屋に着き入室すると、いつもの様にイワン先生がいらっしゃって笑顔で迎えて下さり開口一番
「多恵様!見て下さい!防護靴が完成しました」
イワン先生はその場でターンをしてポーズを決めます。先生の足の甲には鉄板が付いてます。
近づいてイワン先生の足元に屈んで足元を見ようと視線を落とすとイワン先生は後退りをし、私はキース様に腕捕まれ引っ張られてキース様に抱え込まれた。
「へ?」
イワン先生は赤面し狼狽えていて、ミリアさんが駆け寄り皆んなが慌ててる理由を教えてくれた。
足元に屈む姿勢は貴方に身も心も全て捧げますっという意味になると
私はキース様の腕の中で慌て、ミリアさんがイワン先生に私が意味を知らなかったと伝え、イワン先生は安堵している。
「イワン先生ごめんなさい!意味知らなかったし、単純に防護靴を間近で見たかっただけなんです!」
「驚きました!意味をご存知無かったのですね、安心しました。私は妻帯者ですので…」
ふとキース様を見上げると
『怖!めっちゃ機嫌悪い!』
キース様の腕の中が居心地悪くて俯いていると
「目が離せないお人だ」
キース様が小さくつぶやく。素直にごめんなさい。やっぱり無知は駄目だね…
部屋の隅に職人風のおじ様が立っているが目に入った。靴職人さんかなぁ⁈ワイルド系の男前さんだ。
イワン先生が職人さんに声をかけ部屋の隅のテーブルに腰掛ける。職人さんはテーブルに布を置きその上の防護靴を置いてくれた。
見本があるなら早く言ってくださいよ!
防護靴は思った以上にしっかり出来ていて、職人さん曰く重いので軽量化が目下の課題らしく意見を求められた。
甲の部分は鉄板らしく強度を考えるとこれ以上の軽量化は無理で行き詰っているらしい。
「鉄以外の素材は無いのですか?動物の皮や鋼材などで⁈」
「多恵様の教えていただいたのが鉄だったので、素材まで頭に無かったです。素材を探してみます」
職人さんは嬉しそうにメモを取っていた。
「あと、足の甲だけで無く爪先も防護してくださいね。荷下ろしとかは特に爪先に荷物が落下しそうなので」
職人さんは目を輝かせてメモを取りうれしそうだ。
靴の打合せが終わり席を立つと職人さんが手を出されてので『握手かなぁ?』と手を出したらキース様に手を取られた。
微笑んでいますが目が笑ってない。ここに来てからずっと機嫌が悪い。困ったなぁ…
気不味いままダンスの練習が始める。イワン先生から昨日の自主練習どんな事をしたか聞かれ、組まずに向かい合い手を取り合いステップを確認したと伝えると腕組みをして考えています。
「いい練習方法ですね!多恵様が考えたのですか?」
「いえ、侍女のエレナさんが女性パートを教えてくれまして」
すると先生は嬉しそうに
「エレナ嬢ですか!彼女は私の教え子の中でもとても上手で講師になれる程の腕前です。エレナ嬢の練習方法で一度踊ってみましょう」
イワン先生が私に手を差し伸べた時
「イワン殿。パートナーは私が務めましょう!よろしいか!」
「えっ⁈はい」
イワン先生が返事する前にもう私の手を取っているキース様。いきなりキース様ですか。今日はご迷惑おかけしているし仕方ないか…
昨日同様に向かい合い手を取り合い、先生の手拍子で踊りだす。
キース様は流れる様にリードされ動きに無駄が無い。でもやっぱり何度か爪先が当たった。
「多恵様。リズムは取れています。もう少しステップを練習しましょう。では防護靴の出番です!組んで一度踊りましょう」
イワン先生に教わりながら先生と組む。
『はっ恥ずかしい!何これ、結構体が密着する』
「多恵様。初めは恥ずかしいかもしれませんが慣れましょう」
助手さんが手拍子をはじめ踊り始めた。結果は…
3回ほど先生の足を踏んでしまった。先生は全く痛くないと防護靴を絶賛し上機嫌だ。気が付くとキース様が横に来ていて、「次は私と!」とパートナー交代を申し込まれます。
「確実に踏んでしまうので防護靴を履かれているイワン先生にお願いします。キース様上達したらお相手お願いしますね」
やんわり断ったけど「大丈夫」の一点張りで引いてくれずイワン先生が困っている。もー面倒くさいなぁ…
「では、キース様そちらの助手の方と見本のダンスを見せて下さい。上手な人のダンスは参考になりますから」
キース様明らかに難色を見せます。助手の女性は満更でもなく頬を染めてキース様を見つめている。
私と踊るという飴に釣られてキース様は助手の方と踊りだす。
やっぱり上手な方のダンスは美しい!目の保養です。グラント様の時も思ってけどキース様も私とじゃなく美しいご令嬢と踊った方がいいんじゃないかな?
踊り終わると助手さんに礼をし、踵をかえし直ぐに私の手を取った。
キース様…そんなに踊るの楽しいですか⁈私はあんまり…です。
「似合わない…」
そう呟くとサリナさんが慌てだし、別のドレスを取りに行こうとする。違う違う!ドレスが気に入らないじゃなくて、私が似合ってないのだ。
はぁ…ジーパンとティーシャツが懐かしい!
着替えて居間に戻るとキース様が目を見開き、口元を綻ばせ足早に向かってきます。
手を取られてほめほめ攻撃を受けています。
慣れないほめ殺しにダンス前からもう疲れた…
やっと練習部屋へ移動。いつもは騎士さんと談笑しながら向かうが今日はがっちりキース様に手を取られとエスコートされています。
廊下を歩いているとすれ違う女性は皆んな目がハートで、キース様に秋波を送り私には敵意を向けてくる。今横をすれ違った令嬢にすれ違いざまに小声で、”チビ、醜女”と悪口を言われた。当たってるから反論ないし悲しくも無い…よ…ちょいへこむけど
すると突然キース様が立ち止まり私をミリアさんに預けて、さっき悪口を言った令嬢の元に行った。
令嬢は突然近づいて来るキース様に顔を赤らめて更に秋波を送っている。
令嬢の前に立ち止まると綺麗な礼をされ何か話しているが、距離があり会話は聞こえない。
キース様は背を向けられ表情は分からないが、令嬢は見る見るうちに顔面蒼白になり涙目になってとうとう俯いてしまった。キース様なに言ったの⁈
キース様は礼をされて戻ってきて、またがっちりエスコートを再会します。
「何を話されていたのですか?」
「ご自分の身の程を教えて差し上げただけです」
「?」
意味わからん…
私の顔を見て楽しそうに笑ってます。
「やはり貴女は最高かわいいです」
そしてまたほめ殺された。そして後日全く面識のない伯爵様から謝罪文がとどいた。
やっと練習部屋に着き入室すると、いつもの様にイワン先生がいらっしゃって笑顔で迎えて下さり開口一番
「多恵様!見て下さい!防護靴が完成しました」
イワン先生はその場でターンをしてポーズを決めます。先生の足の甲には鉄板が付いてます。
近づいてイワン先生の足元に屈んで足元を見ようと視線を落とすとイワン先生は後退りをし、私はキース様に腕捕まれ引っ張られてキース様に抱え込まれた。
「へ?」
イワン先生は赤面し狼狽えていて、ミリアさんが駆け寄り皆んなが慌ててる理由を教えてくれた。
足元に屈む姿勢は貴方に身も心も全て捧げますっという意味になると
私はキース様の腕の中で慌て、ミリアさんがイワン先生に私が意味を知らなかったと伝え、イワン先生は安堵している。
「イワン先生ごめんなさい!意味知らなかったし、単純に防護靴を間近で見たかっただけなんです!」
「驚きました!意味をご存知無かったのですね、安心しました。私は妻帯者ですので…」
ふとキース様を見上げると
『怖!めっちゃ機嫌悪い!』
キース様の腕の中が居心地悪くて俯いていると
「目が離せないお人だ」
キース様が小さくつぶやく。素直にごめんなさい。やっぱり無知は駄目だね…
部屋の隅に職人風のおじ様が立っているが目に入った。靴職人さんかなぁ⁈ワイルド系の男前さんだ。
イワン先生が職人さんに声をかけ部屋の隅のテーブルに腰掛ける。職人さんはテーブルに布を置きその上の防護靴を置いてくれた。
見本があるなら早く言ってくださいよ!
防護靴は思った以上にしっかり出来ていて、職人さん曰く重いので軽量化が目下の課題らしく意見を求められた。
甲の部分は鉄板らしく強度を考えるとこれ以上の軽量化は無理で行き詰っているらしい。
「鉄以外の素材は無いのですか?動物の皮や鋼材などで⁈」
「多恵様の教えていただいたのが鉄だったので、素材まで頭に無かったです。素材を探してみます」
職人さんは嬉しそうにメモを取っていた。
「あと、足の甲だけで無く爪先も防護してくださいね。荷下ろしとかは特に爪先に荷物が落下しそうなので」
職人さんは目を輝かせてメモを取りうれしそうだ。
靴の打合せが終わり席を立つと職人さんが手を出されてので『握手かなぁ?』と手を出したらキース様に手を取られた。
微笑んでいますが目が笑ってない。ここに来てからずっと機嫌が悪い。困ったなぁ…
気不味いままダンスの練習が始める。イワン先生から昨日の自主練習どんな事をしたか聞かれ、組まずに向かい合い手を取り合いステップを確認したと伝えると腕組みをして考えています。
「いい練習方法ですね!多恵様が考えたのですか?」
「いえ、侍女のエレナさんが女性パートを教えてくれまして」
すると先生は嬉しそうに
「エレナ嬢ですか!彼女は私の教え子の中でもとても上手で講師になれる程の腕前です。エレナ嬢の練習方法で一度踊ってみましょう」
イワン先生が私に手を差し伸べた時
「イワン殿。パートナーは私が務めましょう!よろしいか!」
「えっ⁈はい」
イワン先生が返事する前にもう私の手を取っているキース様。いきなりキース様ですか。今日はご迷惑おかけしているし仕方ないか…
昨日同様に向かい合い手を取り合い、先生の手拍子で踊りだす。
キース様は流れる様にリードされ動きに無駄が無い。でもやっぱり何度か爪先が当たった。
「多恵様。リズムは取れています。もう少しステップを練習しましょう。では防護靴の出番です!組んで一度踊りましょう」
イワン先生に教わりながら先生と組む。
『はっ恥ずかしい!何これ、結構体が密着する』
「多恵様。初めは恥ずかしいかもしれませんが慣れましょう」
助手さんが手拍子をはじめ踊り始めた。結果は…
3回ほど先生の足を踏んでしまった。先生は全く痛くないと防護靴を絶賛し上機嫌だ。気が付くとキース様が横に来ていて、「次は私と!」とパートナー交代を申し込まれます。
「確実に踏んでしまうので防護靴を履かれているイワン先生にお願いします。キース様上達したらお相手お願いしますね」
やんわり断ったけど「大丈夫」の一点張りで引いてくれずイワン先生が困っている。もー面倒くさいなぁ…
「では、キース様そちらの助手の方と見本のダンスを見せて下さい。上手な人のダンスは参考になりますから」
キース様明らかに難色を見せます。助手の女性は満更でもなく頬を染めてキース様を見つめている。
私と踊るという飴に釣られてキース様は助手の方と踊りだす。
やっぱり上手な方のダンスは美しい!目の保養です。グラント様の時も思ってけどキース様も私とじゃなく美しいご令嬢と踊った方がいいんじゃないかな?
踊り終わると助手さんに礼をし、踵をかえし直ぐに私の手を取った。
キース様…そんなに踊るの楽しいですか⁈私はあんまり…です。
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