女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

文字の大きさ
上 下
54 / 193

54.やっかみ

しおりを挟む
“良くないもの”って何?気になる。ここに来てまだ1か月経っていないのに色々起こり過ぎ!漫画コミックの主人公みたいだ。
まだリリスの箱庭の問題を一つも解決していないのに、第2女神の箱庭の問題まで出てきた。異世界だし私の方が知識もあるから結構チョロいと楽観視していた。甘かった…人が絡むから一筋縄ではいかないのよね…
簡単にはリリスの報酬はもらえないなぁ⁉︎ そんなことをぼんやり考えていたら

「多恵殿は犬は好きか?」
「・・・」
「多恵殿?」
「えっ!すみません。何ですか?」

報酬の事を考えていたら聞いてなかった。慌てて殿下に耳を向ける。

「今何を考えていたのかなぁ?私と話しているのによもや他の者の事ではないだろうね」
「いえ、第2女神の箱庭ってどんなところかなぁ?って思っていたんです」


殿下が探るような視線を送って来る

「それより何をお聞きですか?」
「多恵殿は犬や動物は好きか?」

唐突な質問に戸惑うと

「多恵殿の傍に第1騎士団で調教している犬を置こうと思っている。城の者をよく把握していてし音に敏感だ。寝室に置けば夜間安心できるぞ」
「あまり好きではありません。できれば遠慮したいです」

断る理由として幼い頃に大型犬に噛まれた話をした。これは嘘では無く幼稚園くらいの時に近所のシェパードに腕を噛まれ流血さわぎになり、それから大型犬は苦手。理由を聞いた殿下は

「そうか…いい考えだと思ったのだが。やめておこう。今の話は忘れてくれ」

少し気まずくなりお茶と飲む。外の騎士さんから来客の知らせが入り入室許可を出すと、文官さん入ってきて殿下に何か耳打ちをしています。すると

『たえ てん きらい?』
『違うよ。てん君は大好き!でも傍に犬がいつも居るとてん君が出て来れないし、もしかしたらてん君の事気付くかもしれないでしょう⁈』
『てんの ため?』
『そう!てん君と一緒にいたいから』
 
左手甲が熱くなりてん君が出たがっているけど、今は駄目! 殿下も文官さんもいるからね…
皆が居ない時にもふもふ時間タイムを楽しもうね!

「多恵殿。陛下がお呼びのようです。私はこれで失礼します。昼からの交代時に1名護衛が増えのでよろしく」
「私こそ朝からご迷惑おかけしました。ありがとうございます」

殿下は微笑んで颯爽と退室されていきました。

「多恵さん。今日はお昼からダンスレッスンがある以外に特に予定はありませんが、朝はいかがいたしましょうか?」

エレナさんの勤務は終わりこのままサリナさんが付いてくれるようだ。

「では、昨晩マスクの試作品を作ったので、針子のケイトさんのところに相談に行きたいので調整をお願いします」
「畏まりました」

マスクを籠に入れて準備をします。するとサリナさんが手紙を2通持ってきました。1通はキース様で2通目はケニー様からだ。
イリスの箱庭臭がするのは気のせい?
恐る恐る開封し読むと、お2人とも面会を求めるものでした。サリナさんに時間調整をお願いし針子さんの作業場に向かいます。扉を開けると微妙は顔をしたポールさんとクリスさんに今朝の事を思い出し

「今朝は変なお願いをしてすみませんでした。ダンスしたくらいで筋肉痛なんて、騎士さんからしたらおかしな話でしょう。女性騎士さんの様に筋トレして鍛えようかなぁ…」
「とんでもございません。我々もお役の立てず申し訳ございません。多恵様はそのままで十分魅力的なので鍛える必要ございません」

慌ててお世辞を言ってくれるお2人に

「でも運動不足でぽちゃぽちゃですよ。引き締まった方がキレイでしょ?!」
「いえ、女性は少しふっくらされた方が…」

ポールさんは頬を染め口籠りました。なぜかサリナさんの視線が冷たい。それに気付いたクリスさんが移動を促します。

針子さんの作業場は遠いのでいい運動になるなぁ…なんてぼんやり考えながら歩いていたら、正面から令嬢御一行様が向かって来ました。
やっぱり私に気付いたとたん扇子で口元を隠し“ヒソヒソ”&“クスクス”しています。
私は相手にせず近づいた時に軽く会釈したのですが、すれ違う時に肘鉄一発くらってしまい持っていた籠を落としてしまった。
令嬢達は蔑んだ視線を送ってきます。クリスさんが令嬢達に何か言いかけた時にその場の空気が凍った

「そこの女。俺の番に何をした」

この声は…籠を拾っていた私に大きな影が落ちている。上を向くとフィラを立っていた。

「ひっ!」

令嬢たちは怯み震えだしポールさんとクリスさんは騎士の礼を取りフィラに謝罪しています。

「フィラどうしたの?」
「お前がつまらん女に絡まれているから来た」
「ありがとう。大した事ないから自分で対処できるよ」
「しかしだなぁ!」

苛立った大きな声に令嬢も私も身がすくみ

「フィラ!大声で怒らないでってこの間お願いしたよ!それ怖いからね。令嬢ちびっこも脅えてるじゃない」
「多恵を怖がらせたのなら謝る。しかしあいつらはどうでもいい」

顔を青くした騎士の2人はフィラに謝罪しアーサー殿下に報告し対処すると言う。

それを聞いた令嬢達は涙目で震えています。自分で責任負えない事はしては駄目だよ。見た感じ成人している。いい大人が意地悪とかかっこ悪い。文句なら目と向かって言えばいいのに

「クリスさん必要ありません。根本的に私が気に入らないから、苦情クレーム入れても同じだと思います。万人に好かれるとは思ってないし望んでもいない。嫌われても私のするべき事をするだけです」
「ですが…お咎め無しとはいかない!」

正直、こんなつまらん嫉妬に付き合ってる時間は無い。何か場を治める方法を考えて

「! そちらのご令嬢。失礼ですが刺繍でもいいので針仕事は出来ますか?」

令嬢達は半泣きながら突然の質問に驚きながら頷いてくれた。よっしマスク作業員確保!

「では、今の事は不問にするので流行病予防の為のマスク作りのお手伝いをして下さい。そうですね…一人最低20枚作成してください。
作り方は後日勉強会でお教えします。刺繍が出来れば余裕で出来ますから安心してください」

私の提案に慌てる騎士さん。でも

「私から殿下にお願いしますので大丈夫です。聡明な殿下であれば今マスク作りが重要なのはご存じなので大丈夫ですよ!」

いきなり背中が暖かくなりも耳元に吐息を感じ身震いして振り返ると後ろからフィラに抱き付かれた。

「キャーァー!」

令嬢が頬を赤らめ悲鳴を上げる

「流石!俺の番だ。俺の出番は無かったようだな。このまま妖精城に連れ去ろうか」

フィラは楽しそうに頬に口付けてきた。また令嬢の悲鳴が上がる。令嬢うるさい!

「妖精城には行きません。でも来てくれてありがとう。嬉しかったよ」

フィラは楽しそうに私を抱き上げてそのまま帰ろうとするとまた令嬢から悲鳴が上がる。
何この状況・・・やばいかも。

やっとフィラの悪戯からも逃れて針子さんの作業場に来ました。責任者のケイトさんに早速見せて作れるか確認をします…が、愚問でした。
見せた瞬間作り方を説明しなくても把握できたようです。手の早い人だったら1日20枚は作れるそうです。流石プロ!
針子さんに試着してもらい感想を聞いて改善点を話し合い、ケイトさんが明日までに試作品2号を作成してくれることになり、材料選びもお願いしました。仕事は楽しい!
元の世界でも専業主婦より働きに出ている方が向いている様でしんどいながらも楽しかった。また戻ったらバリバリ働きたい!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える

たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。 そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

処理中です...