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52.謝罪
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殿下と交代したグラント様に小声で話しかけて
「グラント様。さっきはゴメンなさい。いつも私ばかりドキドキさせられるので、ちょっと意地悪したくなっちゃたんです」
『おょ?』
グラント様暑いのか少し赤い気がする。
「貴女と言う人は…そんな可愛い事言われたら、自制が効かない! 抱きしめるだけで止めれるか分からない。次は口付けしますよ!」
“キスする”なんて言われた事なくて赤面し俯く。それに私が可愛いって?何処が!
「ゔゔーん!」
咳払いがした方を見るとアーサー殿下が凄い顔でグラント様を睨んでいます。必死で平然を装って誤魔化した。やっとグラント様の眉間の皺もなくなり楽しそうだ。一応機嫌取りは出来たようだ。やれやれ…
殿下とグラント様と踊ったけど、リードには性格が出るみたい。殿下は優雅だけど少し強引な感じで、グラント様は私の動きに合わせくれる。
私が上手くなってちゃんと組んで踊ったら、また違う印象になるかなぁ⁈
あっという間に5刻になりお茶をいただき休憩します。グラント様はお仕事で退室され殿下と2人きり。真面目な顔をした殿下からリックさんの事を謝罪されたが、私の配慮も無かったからリックさんを責めないと欲しいと願った。しかし
「多恵殿のお気持ちは分かったが、騎士としては許されない。1週間の謹慎と貴女の護衛から外した」
こうなるのは分かっていたけど消化しきれない。複雑な気持ちで俯いていたら
「多恵殿。貴族は色々難しいところがある。詳しくは私から話せないが、ケニーとリックが揉めた事が有るのは事実だ。ケニーを擁護するつもりは無いが、ケニーが画策し妹君の犠牲でアルディアが救われているのも事実なのだ。
リックがケニーを憎むのも理解出来るが、彼奴は尊き女神の乙女を護る騎士なのだ。そこにどんな事情も挟んではならない」
「分かりました。でもリックさんに手紙を出す事をお許し下さい」
殿下から了承をもらったので、エレナさんに代筆してもらおう。自己満足なのは分かっているけど、リックさんにお詫びしたい。乙女なんて言われてるけど所詮普通の人間なのだ。皆さんの好意に甘えていてはならない。“郷に入れば郷に従え”だ。
この国の事をもっと知らないと、また浅はかな考えで誰かを傷つけてしまう。
真剣にマナー講習を受けると決意していたら…
いきなり手を取られて驚いて顔を上げると、殿下が私の横に座り手を握っている。
殿下の手は王子なのに剣を握るからか硬くゴツゴツしている。だけど大きくてとても温かい。その温かさに少し癒された気がする。
「多恵殿は優しい。城の者は女神の乙女であるのに、分け隔てなく接し感謝してくれると慕う者が多い。貴女が妃になってくれるのなら、父上の様な王になってもいいと思える様になった。
日に日に貴女への想いが募る。どうすれば貴女の心を得れるだろうか…」
また甘々なセリフを言われて頬が熱くなってきた。スキンシップも慣れないけど、褒め褒め文化はもっと慣れそうにない。おもわず俯くと大きな手が私の頬を優しく包んで上を向かされた。
口付けしてしまいそうな位近くに殿下の綺麗なお顔がある。殿下凄い色っぽい…よ…
「あっあの!近いですよ!」
離れたいけどホールドされて動けない!
『ヤバイ!この感じキスされる!』ぴーんち!
頭の中で警告音が鳴り響いています。
ヤバイ!目を瞑った瞬間突風が吹いて体が浮いた
『ん?この温もりと香りは…』
顔を上げると冷たい表情をしたフィラがいた。
『あぶない てん フィラ よんだ』
『てん君が?』
『うん アーサー つがい ない だめ』
『あっありがとう…』
『てん たえ まもる』
どうやら危険を察知したてん君がフィラを呼んでいたようだ。殿下は立ち上がり何も無かったかの様にフィラに礼をし挨拶する。フィラの腕の中は温かいのに部屋の温度は確実にフィラが下げてる様な気がする。
「アーサー。俺の番に何をしている⁈」
「多恵殿に愛をお伝えしていただけです」
「無理矢理では無いだろうなぁ!」
フィラの怒鳴り声に体が震える。やっぱり男の人の怒鳴り声は怖い。その様子に気付いたアーサー殿下が
「恐れながら申し上げます。多恵殿は男の怒号に恐怖される様です。もう少し控えめお願いいたします」
フィラが驚きの表情で私を見て
「本当か?」
「うん。私だけでなく女性皆んなそうだと思うよ。だから大きな声で怒らないで…」
「すまない…」
フィラは優しく抱きしめ背を撫でてくれた。
「多恵。こんな奴がいる所にお前を置いておけない。妖精城に帰ろう」
私は首を横に振り
「心配かけてごめんね。まだやる事があるから行けない。アーサー殿下…さっきのは無かった事にします。同意を得てからにして下さい。次したら嫌いになっちゃいますよ」
殿下は苦笑しながら謝罪され
「必ず貴女の心を得て口付けます!」
なんか宣言してますよ。って言うか宣言することなん?
外の騎士さんが文官さんの来室を知らせてきた。どうやらアーサー殿下を呼び来た様です。
殿下はフィラに退室の挨拶をして帰って行かれた。
「グラント様。さっきはゴメンなさい。いつも私ばかりドキドキさせられるので、ちょっと意地悪したくなっちゃたんです」
『おょ?』
グラント様暑いのか少し赤い気がする。
「貴女と言う人は…そんな可愛い事言われたら、自制が効かない! 抱きしめるだけで止めれるか分からない。次は口付けしますよ!」
“キスする”なんて言われた事なくて赤面し俯く。それに私が可愛いって?何処が!
「ゔゔーん!」
咳払いがした方を見るとアーサー殿下が凄い顔でグラント様を睨んでいます。必死で平然を装って誤魔化した。やっとグラント様の眉間の皺もなくなり楽しそうだ。一応機嫌取りは出来たようだ。やれやれ…
殿下とグラント様と踊ったけど、リードには性格が出るみたい。殿下は優雅だけど少し強引な感じで、グラント様は私の動きに合わせくれる。
私が上手くなってちゃんと組んで踊ったら、また違う印象になるかなぁ⁈
あっという間に5刻になりお茶をいただき休憩します。グラント様はお仕事で退室され殿下と2人きり。真面目な顔をした殿下からリックさんの事を謝罪されたが、私の配慮も無かったからリックさんを責めないと欲しいと願った。しかし
「多恵殿のお気持ちは分かったが、騎士としては許されない。1週間の謹慎と貴女の護衛から外した」
こうなるのは分かっていたけど消化しきれない。複雑な気持ちで俯いていたら
「多恵殿。貴族は色々難しいところがある。詳しくは私から話せないが、ケニーとリックが揉めた事が有るのは事実だ。ケニーを擁護するつもりは無いが、ケニーが画策し妹君の犠牲でアルディアが救われているのも事実なのだ。
リックがケニーを憎むのも理解出来るが、彼奴は尊き女神の乙女を護る騎士なのだ。そこにどんな事情も挟んではならない」
「分かりました。でもリックさんに手紙を出す事をお許し下さい」
殿下から了承をもらったので、エレナさんに代筆してもらおう。自己満足なのは分かっているけど、リックさんにお詫びしたい。乙女なんて言われてるけど所詮普通の人間なのだ。皆さんの好意に甘えていてはならない。“郷に入れば郷に従え”だ。
この国の事をもっと知らないと、また浅はかな考えで誰かを傷つけてしまう。
真剣にマナー講習を受けると決意していたら…
いきなり手を取られて驚いて顔を上げると、殿下が私の横に座り手を握っている。
殿下の手は王子なのに剣を握るからか硬くゴツゴツしている。だけど大きくてとても温かい。その温かさに少し癒された気がする。
「多恵殿は優しい。城の者は女神の乙女であるのに、分け隔てなく接し感謝してくれると慕う者が多い。貴女が妃になってくれるのなら、父上の様な王になってもいいと思える様になった。
日に日に貴女への想いが募る。どうすれば貴女の心を得れるだろうか…」
また甘々なセリフを言われて頬が熱くなってきた。スキンシップも慣れないけど、褒め褒め文化はもっと慣れそうにない。おもわず俯くと大きな手が私の頬を優しく包んで上を向かされた。
口付けしてしまいそうな位近くに殿下の綺麗なお顔がある。殿下凄い色っぽい…よ…
「あっあの!近いですよ!」
離れたいけどホールドされて動けない!
『ヤバイ!この感じキスされる!』ぴーんち!
頭の中で警告音が鳴り響いています。
ヤバイ!目を瞑った瞬間突風が吹いて体が浮いた
『ん?この温もりと香りは…』
顔を上げると冷たい表情をしたフィラがいた。
『あぶない てん フィラ よんだ』
『てん君が?』
『うん アーサー つがい ない だめ』
『あっありがとう…』
『てん たえ まもる』
どうやら危険を察知したてん君がフィラを呼んでいたようだ。殿下は立ち上がり何も無かったかの様にフィラに礼をし挨拶する。フィラの腕の中は温かいのに部屋の温度は確実にフィラが下げてる様な気がする。
「アーサー。俺の番に何をしている⁈」
「多恵殿に愛をお伝えしていただけです」
「無理矢理では無いだろうなぁ!」
フィラの怒鳴り声に体が震える。やっぱり男の人の怒鳴り声は怖い。その様子に気付いたアーサー殿下が
「恐れながら申し上げます。多恵殿は男の怒号に恐怖される様です。もう少し控えめお願いいたします」
フィラが驚きの表情で私を見て
「本当か?」
「うん。私だけでなく女性皆んなそうだと思うよ。だから大きな声で怒らないで…」
「すまない…」
フィラは優しく抱きしめ背を撫でてくれた。
「多恵。こんな奴がいる所にお前を置いておけない。妖精城に帰ろう」
私は首を横に振り
「心配かけてごめんね。まだやる事があるから行けない。アーサー殿下…さっきのは無かった事にします。同意を得てからにして下さい。次したら嫌いになっちゃいますよ」
殿下は苦笑しながら謝罪され
「必ず貴女の心を得て口付けます!」
なんか宣言してますよ。って言うか宣言することなん?
外の騎士さんが文官さんの来室を知らせてきた。どうやらアーサー殿下を呼び来た様です。
殿下はフィラに退室の挨拶をして帰って行かれた。
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