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51.パパ?
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「わーぁ!お2人ともすごーい!」
拍手喝采で踊り終えた2人を迎えると、エレナさんは目がハートでグラント様を見つめ、グラント様は優雅にエレナさんに礼をした。そしてすぐ私の元に来て手を取り腰に手をまわして
「早速練習しましょう」
と引き寄せ密着し微笑む。
「まっ待って下さい。いきなり組んでなんて無理です。やっとステップが出来る位で、足元を見ないと踊れないです!」
グラント様のホールドから逃げようとするけど、がっちりホールドされて逃げれない! 慌てて後ろにいるエレナさんに
「エレナさん!横についてステップ教えて下さい!」
へるぷみ~視線をエレナさんに向けると、エレナさんは恋する乙女から侍女に戻り私の横に来て
「グラント様。一度離れて下さいませ。多恵様のステップを確認いたしますので」
やっとグラント様から解放された。エレナさんの表情はすっかりダンス講師だ。その変わり様にグラント様は唖然としています。
エレナさんは私の左に並んで左手を取り、カウントを取りながら一緒にステップを踏んでくれます。
何度かステップを繰り返すと
「多恵様。ステップは一応大丈夫です。今度はグラント様と向かい合い、両手を取り合ってステップを踏んでみましょう。距離があるので間違えてもグラント様の足を踏むことは無いはず。ですから気にせず踊ってみて下さい」
エレナ様の指示通り向かい合いカウントに合わせて動く。何度か靴先が当たったから多分組んでいたら確実にグラント様の足を踏んでいる。
この練習は踏む恐怖がないから気にせず踊れて、上手くなったように錯覚する。
ふとグラント様を見ると彼も楽しそうだ!
「多恵様。組んで踊るのもいいですが、こうして手を取り合い踊るのもいいものですね! 幼い娘と踊っている様で楽しいです」
「娘ですか⁈ではグラント様はお父さんで保護者枠ですね!」
「!!」
グラント様は息をのみ固まった。
いつもドキドキさせられているから仕返しに意地悪を言ってみた。へへ!してやったり!
クスクス笑っていると、いきなり両手を引っ張られてグラント様の腕の中におさまってしまった。グラント様は私の頭の上に頬を乗せたので高密着状態になる。恥ずかしい!
「キャー!グラント様!お離し下さい!」
部屋の中にエレナさんの悲鳴が響き、けたたましい音とともに扉を蹴破り騎士さんが突入してきた。
グラント様の腕の中でジタバタしている私を見て騎士さんが殺気立ち剣に手をかける。
ちょっとした悪戯がこんな大事になるなんて思ってなかったし、この後事態を収拾するのに時間がかかるなんて思ってもみなかった。
結論から言えば騎士さん突入後、こちらに向かっていたアーサー殿下が駆け込んできてグラント様の睨み合いが勃発。
あーダンス楽しかったのに一転して修羅場になった。え…これ私が悪いの⁈
殿下がすぐにグラント様から私を離し殿下の後ろに匿った。すかさずエレナさんがソファーに誘導してくれます。
「グラント!何があったのか説明をしてもらおうか…」
殿下の声は怒気を含み怖い。横に控えるエレナさんを見たら微かに震えている。恐らく大半の女性は男性の怒ってる声は怖い。
寒く感じ身震いする。部屋の空気が2、3度下がった気がした。そんな空気の中グラント様は平然とされている。
扉で待機している騎士さんも雰囲気が怖くて、どうしていいか分からず挙動不審になる。
「今日のダンスレッスンが無くなり、レッスンを御所望の多恵様のお相手をしておりました」
「ダンス以上に接していた様に見えたが!」
あーエレナさん涙目だ。おばちゃんが何とかせんと! 恐る恐る発言し…
「殿下発言をお許しいただけます…か…」
振り向いた殿下はいつも通りロイヤルスマイルだ。私に怒っては無いみたいだから何とかなりそう。殿下は私の前に跪き手を取り、キラキラ王子発揮です。
「えっと…私がグラント様に意地悪な事を言ったので、仕返し?お返し?で抱きつかれた感じ?だと思います」
アーサー殿下は興味津々で
「多恵殿はどんな意地悪を?」
そこで”グラント様はパパ発言”を説明したら、殿下は嬉しそうに
「そうか!グラントが多恵殿の父なら、私は”未来の義父殿”を大切にしなければな!」
アーサー殿下は本当に楽しそうに笑い、反対にグラント様は眉間の皺を深めた。
「殿下。私は今のところ伴侶を決める気無いので、グラント様は未来の義父にはなりませんよ。
それにこんな素敵な父がいたら、嫁に行かないですよ」
アーサー殿下は口を開けてフリーズし、グラント様は目を細め微笑む。
少し場が和んだので言いたい事を言ってみた。
「私を含め女性は男性の怒った声はとても怖いんですよ。だからあまり怒鳴らないで欲しいです」
お2人は慌てて謝罪されたのでお受けした。この後殿下がダンスレッスンの相手を務めると張り切り、断れずお相手いただき暫く離してもらえずヘトヘトになる。練習を見ているグラント様の表情が険しくなって行くのが分かる。さっきの罪滅ししとこ。
慣れる為にグラント様とも踊りたいと言って殿下と代わってもらった。
ちょっと殿下は不満そうだったけど、お願い聞いてくれた。殿下は懐に入れた人にはとことん優しい様だ。殿下の優しさに甘えないようにしないと…
拍手喝采で踊り終えた2人を迎えると、エレナさんは目がハートでグラント様を見つめ、グラント様は優雅にエレナさんに礼をした。そしてすぐ私の元に来て手を取り腰に手をまわして
「早速練習しましょう」
と引き寄せ密着し微笑む。
「まっ待って下さい。いきなり組んでなんて無理です。やっとステップが出来る位で、足元を見ないと踊れないです!」
グラント様のホールドから逃げようとするけど、がっちりホールドされて逃げれない! 慌てて後ろにいるエレナさんに
「エレナさん!横についてステップ教えて下さい!」
へるぷみ~視線をエレナさんに向けると、エレナさんは恋する乙女から侍女に戻り私の横に来て
「グラント様。一度離れて下さいませ。多恵様のステップを確認いたしますので」
やっとグラント様から解放された。エレナさんの表情はすっかりダンス講師だ。その変わり様にグラント様は唖然としています。
エレナさんは私の左に並んで左手を取り、カウントを取りながら一緒にステップを踏んでくれます。
何度かステップを繰り返すと
「多恵様。ステップは一応大丈夫です。今度はグラント様と向かい合い、両手を取り合ってステップを踏んでみましょう。距離があるので間違えてもグラント様の足を踏むことは無いはず。ですから気にせず踊ってみて下さい」
エレナ様の指示通り向かい合いカウントに合わせて動く。何度か靴先が当たったから多分組んでいたら確実にグラント様の足を踏んでいる。
この練習は踏む恐怖がないから気にせず踊れて、上手くなったように錯覚する。
ふとグラント様を見ると彼も楽しそうだ!
「多恵様。組んで踊るのもいいですが、こうして手を取り合い踊るのもいいものですね! 幼い娘と踊っている様で楽しいです」
「娘ですか⁈ではグラント様はお父さんで保護者枠ですね!」
「!!」
グラント様は息をのみ固まった。
いつもドキドキさせられているから仕返しに意地悪を言ってみた。へへ!してやったり!
クスクス笑っていると、いきなり両手を引っ張られてグラント様の腕の中におさまってしまった。グラント様は私の頭の上に頬を乗せたので高密着状態になる。恥ずかしい!
「キャー!グラント様!お離し下さい!」
部屋の中にエレナさんの悲鳴が響き、けたたましい音とともに扉を蹴破り騎士さんが突入してきた。
グラント様の腕の中でジタバタしている私を見て騎士さんが殺気立ち剣に手をかける。
ちょっとした悪戯がこんな大事になるなんて思ってなかったし、この後事態を収拾するのに時間がかかるなんて思ってもみなかった。
結論から言えば騎士さん突入後、こちらに向かっていたアーサー殿下が駆け込んできてグラント様の睨み合いが勃発。
あーダンス楽しかったのに一転して修羅場になった。え…これ私が悪いの⁈
殿下がすぐにグラント様から私を離し殿下の後ろに匿った。すかさずエレナさんがソファーに誘導してくれます。
「グラント!何があったのか説明をしてもらおうか…」
殿下の声は怒気を含み怖い。横に控えるエレナさんを見たら微かに震えている。恐らく大半の女性は男性の怒ってる声は怖い。
寒く感じ身震いする。部屋の空気が2、3度下がった気がした。そんな空気の中グラント様は平然とされている。
扉で待機している騎士さんも雰囲気が怖くて、どうしていいか分からず挙動不審になる。
「今日のダンスレッスンが無くなり、レッスンを御所望の多恵様のお相手をしておりました」
「ダンス以上に接していた様に見えたが!」
あーエレナさん涙目だ。おばちゃんが何とかせんと! 恐る恐る発言し…
「殿下発言をお許しいただけます…か…」
振り向いた殿下はいつも通りロイヤルスマイルだ。私に怒っては無いみたいだから何とかなりそう。殿下は私の前に跪き手を取り、キラキラ王子発揮です。
「えっと…私がグラント様に意地悪な事を言ったので、仕返し?お返し?で抱きつかれた感じ?だと思います」
アーサー殿下は興味津々で
「多恵殿はどんな意地悪を?」
そこで”グラント様はパパ発言”を説明したら、殿下は嬉しそうに
「そうか!グラントが多恵殿の父なら、私は”未来の義父殿”を大切にしなければな!」
アーサー殿下は本当に楽しそうに笑い、反対にグラント様は眉間の皺を深めた。
「殿下。私は今のところ伴侶を決める気無いので、グラント様は未来の義父にはなりませんよ。
それにこんな素敵な父がいたら、嫁に行かないですよ」
アーサー殿下は口を開けてフリーズし、グラント様は目を細め微笑む。
少し場が和んだので言いたい事を言ってみた。
「私を含め女性は男性の怒った声はとても怖いんですよ。だからあまり怒鳴らないで欲しいです」
お2人は慌てて謝罪されたのでお受けした。この後殿下がダンスレッスンの相手を務めると張り切り、断れずお相手いただき暫く離してもらえずヘトヘトになる。練習を見ているグラント様の表情が険しくなって行くのが分かる。さっきの罪滅ししとこ。
慣れる為にグラント様とも踊りたいと言って殿下と代わってもらった。
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