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47.ラストダンス
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がっかりしているとトーイ殿下が半笑いで私の手を取りエスコートしてくれる。陛下の執務室に向かう道すがら殿下と会話は楽しむ。トーイ殿下は弟の様に構いたくなるし、冗談気楽に言える貴重な存在だ。
「あー着いてしまいましたね…次は城下の散策で」
殿下は爽やかに戻って行かれた。
陛下の執務室に着き入室許可を得て入室し、陛下に席を勧められて着席すると…
『えっ!フィナンシェがある!なんで⁈』
私がフィナンシェをガン見していると、お茶を入れてくれる従僕さんがトーイ殿下からフィナンシェを用意するに言われて用意してくれたそうです。
フィナンシェ食べたかったのを殿下にもろばれでした。トーイ殿下いい人!後で絶対食べるぞ!
「多恵殿。急にすまぬ。実はイザークから舞踏会のエスコートはアーサーで決まったと聞いておったのだが、先程妖精王から多恵殿のエスコートを務めると書簡があった。
妖精王は儂より高き御仁ゆえ断る事が出来ぬ。しかし多恵殿の意思を聞きたく呼んだ次第だ。
如何致す⁈儂はアーサーが務めると聞いて喜んでるおったので残念でならん」
陛下が呼んだ理由はエスコートの件だったんだ。
フィラありがとう!直ぐ出してくれたんだ
「お受けいたします。妖精王には事件の際に助けていだだき、傷も癒やしていただいた御恩もありますから」
「あい分かった。妖精王に返事をしておこう。しかしエスコートを受けると、行く行くは妖精王の伴侶と見られるがよいのか⁈」
陛下は父親の様に心配してくれた。そのお心が少しこそばゆい。
「もうすでに妖精王が色んな所で番発言されているので、驚く話ではないと思います。それに実際伴侶になるかは話が別ですから! ですがアーサー殿下にお誘いいただいたのに、申し訳なく思っています」
無難にそう答えると陛下は食い気味に
「ならばラストダンスをアーサーに任せられんか⁈」
『何!“ラストダンス”って怖いネーミング!また意味あるの?』
簡単に返事しない方がよさそうだ。
「陛下…すみません。まだアルディアのしきたりやルールとか知っていないので、舞踏会のラストダンスに意味があるのでしたら教えてください」
「ラストダンスは本来身内の年長者が担う。祖父や父、叔父が多い。しかし親愛を表すもので近年では従妹や学友など様々だ。エスコートに比べ軽い関係性を意味するので気負う事はないぞ」
「えっと…少し考えさせてください」
サリナさんとケイティさんに相談して決めよう。さっきのエスコート事件で懲りた。
今度こそ待望のフィナンシェをいただきながら陛下の雑談に付き合い、6刻の鐘の音を聞いて陛下の執務室を後にしました。
今日は精神的にすごく疲れた。”早く部屋に戻って湯浴みをして眠りたい!”そんなことを考えながら廊下を歩いていると、正面からすごい勢いでアーサー殿下が走ってくる。
『こっわ!』
思わず首を左右に振り隠れる場所を探すが無い。仕方なく今日の当番騎士二人の後ろに隠れる。
「多恵殿!」
隠れきれず直ぐ殿下に発見される。そして殿下に手を引かれ騎士さんの後ろから引っ張り出されて、いきなり抱きしめられた
「殿下!お止め下さい!」
騎士さんが殿下をはがそうとしてくれるが、力が強く余計に苦しくなってきた。
「で…んか… ぐる…しぃ…」
「すまぬ!加減できなかった」
やっと解放されて慌ててまた騎士さんの後ろに隠れた。殿下怖い!
「今イザークから舞踏会のエスコートを妖精王が望まれたと聞いたが本当か?」
「はい、殿下…申し訳ありません。せっかくお誘いいただいたのに…。妖精王には事件の時に助けていただいた恩がありますから…」
「ならば!ラストダンスを任せてくれぬか⁈」
ここでも出たよ【ラストダンス】!でも
「すみません。今日は疲れているので、お返事は後日でよろしいでしょうか⁈」
殿下は明らかに落胆しています。でもゆっくり考えたい。さっきの安易な返事を激しく後悔しているから
自然な流れでアーサー殿下にエスコートされ部屋に戻ります。唐突に殿下に甘いものは好きか聞かれて“はい”と答えると、城下にできた洋菓子店に今度行きましょうと誘われた。
「殿下。それって開店オープンしたお店ですが?」
「ご存じか?」
「はい、先ほどご面会したトーイ殿下にお誘いいただき今度行くことになりました」
「私はやはりリリスの加護は無い様だ…」
気落ちする殿下。どうやら殿下は私を城下に連れ出したい様だ。断ってばかりでは申し訳ないから、アルディアの観光地を聞くことにした。すると妖精の森近くに“ライラスの滝”があり、景色もよく滝の近くで半日過ごすと、体が浄化されると言われているそうだ。
所謂【マイナスイオン】的なものだろうか。
殿下は近いうちに案内してくれると言い
「ライナスの滝へは道が細いので途中まで馬車で行き後は馬で行きましょう」
「私乗馬できませんよ」
「大丈夫です、私がお乗せしますので!」
どうやら相乗りになるらしい。嫌じゃないけど恥ずかしい。でも行ってみたくてリリスの役目を終えたら連れて行って欲しいとお願いする。
するとやっと殿下の表情が柔らかくなる。そして極甘な雰囲気を醸し出す殿下にタジタジになっていたらやっと自室が見えてきた。
部屋の前に着くと殿下は名残惜しそうに手を握りじっと見つめてきます。
走って来て乱れた髪や首元をから覗く胸元とか超絶色っぽい。鑑賞対象としては最高なんですがね…
「送っていただき、ありがとうございます。公務でお疲れでしょう⁈ゆっくりお休みください」
「ありがとう…。多恵殿ラストダンスの件考えてみて下さい」
頷くと殿下は微笑み手の甲の口付けを落とし帰って行った。
「あー着いてしまいましたね…次は城下の散策で」
殿下は爽やかに戻って行かれた。
陛下の執務室に着き入室許可を得て入室し、陛下に席を勧められて着席すると…
『えっ!フィナンシェがある!なんで⁈』
私がフィナンシェをガン見していると、お茶を入れてくれる従僕さんがトーイ殿下からフィナンシェを用意するに言われて用意してくれたそうです。
フィナンシェ食べたかったのを殿下にもろばれでした。トーイ殿下いい人!後で絶対食べるぞ!
「多恵殿。急にすまぬ。実はイザークから舞踏会のエスコートはアーサーで決まったと聞いておったのだが、先程妖精王から多恵殿のエスコートを務めると書簡があった。
妖精王は儂より高き御仁ゆえ断る事が出来ぬ。しかし多恵殿の意思を聞きたく呼んだ次第だ。
如何致す⁈儂はアーサーが務めると聞いて喜んでるおったので残念でならん」
陛下が呼んだ理由はエスコートの件だったんだ。
フィラありがとう!直ぐ出してくれたんだ
「お受けいたします。妖精王には事件の際に助けていだだき、傷も癒やしていただいた御恩もありますから」
「あい分かった。妖精王に返事をしておこう。しかしエスコートを受けると、行く行くは妖精王の伴侶と見られるがよいのか⁈」
陛下は父親の様に心配してくれた。そのお心が少しこそばゆい。
「もうすでに妖精王が色んな所で番発言されているので、驚く話ではないと思います。それに実際伴侶になるかは話が別ですから! ですがアーサー殿下にお誘いいただいたのに、申し訳なく思っています」
無難にそう答えると陛下は食い気味に
「ならばラストダンスをアーサーに任せられんか⁈」
『何!“ラストダンス”って怖いネーミング!また意味あるの?』
簡単に返事しない方がよさそうだ。
「陛下…すみません。まだアルディアのしきたりやルールとか知っていないので、舞踏会のラストダンスに意味があるのでしたら教えてください」
「ラストダンスは本来身内の年長者が担う。祖父や父、叔父が多い。しかし親愛を表すもので近年では従妹や学友など様々だ。エスコートに比べ軽い関係性を意味するので気負う事はないぞ」
「えっと…少し考えさせてください」
サリナさんとケイティさんに相談して決めよう。さっきのエスコート事件で懲りた。
今度こそ待望のフィナンシェをいただきながら陛下の雑談に付き合い、6刻の鐘の音を聞いて陛下の執務室を後にしました。
今日は精神的にすごく疲れた。”早く部屋に戻って湯浴みをして眠りたい!”そんなことを考えながら廊下を歩いていると、正面からすごい勢いでアーサー殿下が走ってくる。
『こっわ!』
思わず首を左右に振り隠れる場所を探すが無い。仕方なく今日の当番騎士二人の後ろに隠れる。
「多恵殿!」
隠れきれず直ぐ殿下に発見される。そして殿下に手を引かれ騎士さんの後ろから引っ張り出されて、いきなり抱きしめられた
「殿下!お止め下さい!」
騎士さんが殿下をはがそうとしてくれるが、力が強く余計に苦しくなってきた。
「で…んか… ぐる…しぃ…」
「すまぬ!加減できなかった」
やっと解放されて慌ててまた騎士さんの後ろに隠れた。殿下怖い!
「今イザークから舞踏会のエスコートを妖精王が望まれたと聞いたが本当か?」
「はい、殿下…申し訳ありません。せっかくお誘いいただいたのに…。妖精王には事件の時に助けていただいた恩がありますから…」
「ならば!ラストダンスを任せてくれぬか⁈」
ここでも出たよ【ラストダンス】!でも
「すみません。今日は疲れているので、お返事は後日でよろしいでしょうか⁈」
殿下は明らかに落胆しています。でもゆっくり考えたい。さっきの安易な返事を激しく後悔しているから
自然な流れでアーサー殿下にエスコートされ部屋に戻ります。唐突に殿下に甘いものは好きか聞かれて“はい”と答えると、城下にできた洋菓子店に今度行きましょうと誘われた。
「殿下。それって開店オープンしたお店ですが?」
「ご存じか?」
「はい、先ほどご面会したトーイ殿下にお誘いいただき今度行くことになりました」
「私はやはりリリスの加護は無い様だ…」
気落ちする殿下。どうやら殿下は私を城下に連れ出したい様だ。断ってばかりでは申し訳ないから、アルディアの観光地を聞くことにした。すると妖精の森近くに“ライラスの滝”があり、景色もよく滝の近くで半日過ごすと、体が浄化されると言われているそうだ。
所謂【マイナスイオン】的なものだろうか。
殿下は近いうちに案内してくれると言い
「ライナスの滝へは道が細いので途中まで馬車で行き後は馬で行きましょう」
「私乗馬できませんよ」
「大丈夫です、私がお乗せしますので!」
どうやら相乗りになるらしい。嫌じゃないけど恥ずかしい。でも行ってみたくてリリスの役目を終えたら連れて行って欲しいとお願いする。
するとやっと殿下の表情が柔らかくなる。そして極甘な雰囲気を醸し出す殿下にタジタジになっていたらやっと自室が見えてきた。
部屋の前に着くと殿下は名残惜しそうに手を握りじっと見つめてきます。
走って来て乱れた髪や首元をから覗く胸元とか超絶色っぽい。鑑賞対象としては最高なんですがね…
「送っていただき、ありがとうございます。公務でお疲れでしょう⁈ゆっくりお休みください」
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頷くと殿下は微笑み手の甲の口付けを落とし帰って行った。
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