女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

文字の大きさ
上 下
39 / 193

39.インフルエンザ

しおりを挟む
「ナタリーが多恵様にお目にかかり謝罪をと申しております」
「必要ないです」
「そういう訳にはいきません」

ゔーん本当に要らない。あ!いい事思い付いた。

「唐突ですが、ナタリー様は簡単な針仕事できますか?」
「針仕事ですか?淑女の嗜みとして刺繍ならそこそこの腕前ですが…」
「刺繍出来るなら大丈夫です。謝罪は必要無いので、変わりに流行り病の予防のお手伝いをして頂きたいのです」

公爵様は小首を傾げ不安そうに

「娘に勤まりますか?」
「大丈夫です。キチンと指導しますから」
「多恵様の手伝いができる上に、領民の為になるならばあの子も喜ぶ事でしょう!」

よし!人手確保! 話がひと段落ついたので、座り直しお茶を頂きます。

「グラント様から流行り病の件何かお聞きですか?」
「はい。多恵様の世界でもある病気で予防する事が出来ると聞いております」

公爵様は表情を明るくし期待の眼差しを向けてくる。ここはちゃんと説明し、過度な期待をもたせない様にしないと。

「検査をした訳では無いので正確な事は言えませんが、症状と流行る時期からして【インフルエンザ】というウィルス系の感染症だと思います。
インフルエンザにかかると高熱が出て関節痛、頭痛等の風邪と同じ様な症状が出ます。
体力があれば1週間ほどで完治しますが、体力の無いお年寄りや子供は重症化して亡くなることもあります。
私の世界でも毎年流行り亡くなる方もいます。
私の世界では流行る時期より少し早く予防接種というものを受け予防します。こちらの薬や医療がどの程度か分からないので、予防接種は恐らく不可能でしょうが、こちらの医師や薬師の方と相談したいと思います。
医療以外でできるのは感染予防です。マスクに手洗いうがいをする事で感染リスクが低くなります」

公爵様は初めて聞く話が多く目を白黒されています。

「ご説明いただきましたが初耳のものが多く、理解するのに時間がかかりそうです。私共は何をすれば良いのでしょうか⁈」

ですよね…まずは時間のかかるマスク作りからです!

「この箱庭にはマスクがありませんよね⁈ マスクというのは口と鼻を布で覆うものです。インフルエンザウィルスは飛沫感染といい、咳やくしゃみをした時に空気中にウィルスが飛散し、それを吸ったり付着した手で鼻や口元を触る事で感染します。
ウィルスを体に入れないのと、人にうつさない様にする為に使うものです。私の世界では予防対策に一番よく使われています」

公爵様は私の話を聞き、手帳にメモを取りながら

「多恵様は作り方をご存じですか⁈
「はい。侍女さんに材料を用意いただいたので、試作品を作るつもりです。使って頂いてご意見いただいて改良し、量産体制を取りたいと思っております」
「・・・」

「ん?」

公爵様がフリーズされています。私おかしな事いいましたか?

「公爵様どうかなさいましたか?」
「いえ、女性がこの様な知識を持ち、男性に意見されるのを初めて見ました故に驚いております」
「あーこちらの女性は男性に擁護されるの理想でしたっけ⁈」

そうそう忘れてました。

「はい。私の妻もそうですが夫に守られ、子を産み育てるのが役目とされています。故に政治や国の情勢など知る者は少ないく、知っているのは城勤の女官くらいでしょうか。
女性とこのような話が出来るのが不思議でして…」

「ははは・・・ですから毛色が違うんですよ。
私の世界では男女同権で身分は無く、法の元皆平等です。男女同じ教育を受け成人すると働きます。もちろん結婚し子供を産んでも働きますよ」

目を見開き驚いた後、眉尻を下げて

「この箱庭女性と違いとても魅力的だ。私があと20歳若かったら求婚していたでしょう!」

でた!褒め褒め社交辞令。勘違いしてはいけません。これは箱庭男性標準装備なんです。もぅ騙されませんから私。

「いえ、はっきりものを言うので可愛くないでしょう⁈」
「いえ、いつも微笑むだけの女性は何を考えてるか分からないので、はっきり言ってもらえる方が分かり合えます」

ダメだ!むず痒くなってきた。公爵様は満面の笑みを浮かべ話を続けられます。

「陛下より多恵様の伴侶選びに口を出さない様に言われておりましたが、出来るならばグラントをお選びいただき、我が公爵家に来ていただきたい」

「・・・。まだこちらに来て1ヶ月も経っていませんし、まだ役目も果たせていません。
伴侶選びになんてまだ考えられません。もし、グラント様の奥方様をお望みなら、素敵な女性はいっぱいいらっしゃるでしょう⁉︎ 私に固執する必要ありません」

いかん!ちょいキレた!陛下も口出すなと言っとたではないか!
すると公爵様は慌てて席を立ち最敬礼をされ

「失礼な発言を陳謝いたします。言い訳になりますが、全く女性を気にも止めなかった息子が初めて女性に好意を寄せたので、親として嬉しく先走りました。お許しを…」

溜息を吐き口調を戻し

「謝罪お受けしました。ですがこの様な話をグラント様が居ない所でするべきでは無いと思います。
グラント様もご意志がおありでしょうから」

公爵様は明らかに”やってしまった感”がでてます。ナタリー様の事といい親バカが過ぎますよ!
グラント様はいい大人なんだから、恋愛くらいほっといてあげて!

最後は少し気まずくなってオブルライト公爵様との面会が終わりました。

はぁ…疲れた…でも頑張ったぞ私!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える

たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。 そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。 結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。 転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。 しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……! 「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」 農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。 「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」 ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

目が覚めたら男女比がおかしくなっていた

いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。 一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!? 「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」 ##### r15は保険です。 2024年12月12日 私生活に余裕が出たため、投稿再開します。 それにあたって一部を再編集します。 設定や話の流れに変更はありません。

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

処理中です...