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39.インフルエンザ
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「ナタリーが多恵様にお目にかかり謝罪をと申しております」
「必要ないです」
「そういう訳にはいきません」
ゔーん本当に要らない。あ!いい事思い付いた。
「唐突ですが、ナタリー様は簡単な針仕事できますか?」
「針仕事ですか?淑女の嗜みとして刺繍ならそこそこの腕前ですが…」
「刺繍出来るなら大丈夫です。謝罪は必要無いので、変わりに流行り病の予防のお手伝いをして頂きたいのです」
公爵様は小首を傾げ不安そうに
「娘に勤まりますか?」
「大丈夫です。キチンと指導しますから」
「多恵様の手伝いができる上に、領民の為になるならばあの子も喜ぶ事でしょう!」
よし!人手確保! 話がひと段落ついたので、座り直しお茶を頂きます。
「グラント様から流行り病の件何かお聞きですか?」
「はい。多恵様の世界でもある病気で予防する事が出来ると聞いております」
公爵様は表情を明るくし期待の眼差しを向けてくる。ここはちゃんと説明し、過度な期待をもたせない様にしないと。
「検査をした訳では無いので正確な事は言えませんが、症状と流行る時期からして【インフルエンザ】というウィルス系の感染症だと思います。
インフルエンザにかかると高熱が出て関節痛、頭痛等の風邪と同じ様な症状が出ます。
体力があれば1週間ほどで完治しますが、体力の無いお年寄りや子供は重症化して亡くなることもあります。
私の世界でも毎年流行り亡くなる方もいます。
私の世界では流行る時期より少し早く予防接種というものを受け予防します。こちらの薬や医療がどの程度か分からないので、予防接種は恐らく不可能でしょうが、こちらの医師や薬師の方と相談したいと思います。
医療以外でできるのは感染予防です。マスクに手洗いうがいをする事で感染リスクが低くなります」
公爵様は初めて聞く話が多く目を白黒されています。
「ご説明いただきましたが初耳のものが多く、理解するのに時間がかかりそうです。私共は何をすれば良いのでしょうか⁈」
ですよね…まずは時間のかかるマスク作りからです!
「この箱庭にはマスクがありませんよね⁈ マスクというのは口と鼻を布で覆うものです。インフルエンザウィルスは飛沫感染といい、咳やくしゃみをした時に空気中にウィルスが飛散し、それを吸ったり付着した手で鼻や口元を触る事で感染します。
ウィルスを体に入れないのと、人にうつさない様にする為に使うものです。私の世界では予防対策に一番よく使われています」
公爵様は私の話を聞き、手帳にメモを取りながら
「多恵様は作り方をご存じですか⁈
「はい。侍女さんに材料を用意いただいたので、試作品を作るつもりです。使って頂いてご意見いただいて改良し、量産体制を取りたいと思っております」
「・・・」
「ん?」
公爵様がフリーズされています。私おかしな事いいましたか?
「公爵様どうかなさいましたか?」
「いえ、女性がこの様な知識を持ち、男性に意見されるのを初めて見ました故に驚いております」
「あーこちらの女性は男性に擁護されるの理想でしたっけ⁈」
そうそう忘れてました。
「はい。私の妻もそうですが夫に守られ、子を産み育てるのが役目とされています。故に政治や国の情勢など知る者は少ないく、知っているのは城勤の女官くらいでしょうか。
女性とこのような話が出来るのが不思議でして…」
「ははは・・・ですから毛色が違うんですよ。
私の世界では男女同権で身分は無く、法の元皆平等です。男女同じ教育を受け成人すると働きます。もちろん結婚し子供を産んでも働きますよ」
目を見開き驚いた後、眉尻を下げて
「この箱庭女性と違いとても魅力的だ。私があと20歳若かったら求婚していたでしょう!」
でた!褒め褒め社交辞令。勘違いしてはいけません。これは箱庭男性標準装備なんです。もぅ騙されませんから私。
「いえ、はっきりものを言うので可愛くないでしょう⁈」
「いえ、いつも微笑むだけの女性は何を考えてるか分からないので、はっきり言ってもらえる方が分かり合えます」
ダメだ!むず痒くなってきた。公爵様は満面の笑みを浮かべ話を続けられます。
「陛下より多恵様の伴侶選びに口を出さない様に言われておりましたが、出来るならばグラントをお選びいただき、我が公爵家に来ていただきたい」
「・・・。まだこちらに来て1ヶ月も経っていませんし、まだ役目も果たせていません。
伴侶選びになんてまだ考えられません。もし、グラント様の奥方様をお望みなら、素敵な女性はいっぱいいらっしゃるでしょう⁉︎ 私に固執する必要ありません」
いかん!ちょいキレた!陛下も口出すなと言っとたではないか!
すると公爵様は慌てて席を立ち最敬礼をされ
「失礼な発言を陳謝いたします。言い訳になりますが、全く女性を気にも止めなかった息子が初めて女性に好意を寄せたので、親として嬉しく先走りました。お許しを…」
溜息を吐き口調を戻し
「謝罪お受けしました。ですがこの様な話をグラント様が居ない所でするべきでは無いと思います。
グラント様もご意志がおありでしょうから」
公爵様は明らかに”やってしまった感”がでてます。ナタリー様の事といい親バカが過ぎますよ!
グラント様はいい大人なんだから、恋愛くらいほっといてあげて!
最後は少し気まずくなってオブルライト公爵様との面会が終わりました。
はぁ…疲れた…でも頑張ったぞ私!
「必要ないです」
「そういう訳にはいきません」
ゔーん本当に要らない。あ!いい事思い付いた。
「唐突ですが、ナタリー様は簡単な針仕事できますか?」
「針仕事ですか?淑女の嗜みとして刺繍ならそこそこの腕前ですが…」
「刺繍出来るなら大丈夫です。謝罪は必要無いので、変わりに流行り病の予防のお手伝いをして頂きたいのです」
公爵様は小首を傾げ不安そうに
「娘に勤まりますか?」
「大丈夫です。キチンと指導しますから」
「多恵様の手伝いができる上に、領民の為になるならばあの子も喜ぶ事でしょう!」
よし!人手確保! 話がひと段落ついたので、座り直しお茶を頂きます。
「グラント様から流行り病の件何かお聞きですか?」
「はい。多恵様の世界でもある病気で予防する事が出来ると聞いております」
公爵様は表情を明るくし期待の眼差しを向けてくる。ここはちゃんと説明し、過度な期待をもたせない様にしないと。
「検査をした訳では無いので正確な事は言えませんが、症状と流行る時期からして【インフルエンザ】というウィルス系の感染症だと思います。
インフルエンザにかかると高熱が出て関節痛、頭痛等の風邪と同じ様な症状が出ます。
体力があれば1週間ほどで完治しますが、体力の無いお年寄りや子供は重症化して亡くなることもあります。
私の世界でも毎年流行り亡くなる方もいます。
私の世界では流行る時期より少し早く予防接種というものを受け予防します。こちらの薬や医療がどの程度か分からないので、予防接種は恐らく不可能でしょうが、こちらの医師や薬師の方と相談したいと思います。
医療以外でできるのは感染予防です。マスクに手洗いうがいをする事で感染リスクが低くなります」
公爵様は初めて聞く話が多く目を白黒されています。
「ご説明いただきましたが初耳のものが多く、理解するのに時間がかかりそうです。私共は何をすれば良いのでしょうか⁈」
ですよね…まずは時間のかかるマスク作りからです!
「この箱庭にはマスクがありませんよね⁈ マスクというのは口と鼻を布で覆うものです。インフルエンザウィルスは飛沫感染といい、咳やくしゃみをした時に空気中にウィルスが飛散し、それを吸ったり付着した手で鼻や口元を触る事で感染します。
ウィルスを体に入れないのと、人にうつさない様にする為に使うものです。私の世界では予防対策に一番よく使われています」
公爵様は私の話を聞き、手帳にメモを取りながら
「多恵様は作り方をご存じですか⁈
「はい。侍女さんに材料を用意いただいたので、試作品を作るつもりです。使って頂いてご意見いただいて改良し、量産体制を取りたいと思っております」
「・・・」
「ん?」
公爵様がフリーズされています。私おかしな事いいましたか?
「公爵様どうかなさいましたか?」
「いえ、女性がこの様な知識を持ち、男性に意見されるのを初めて見ました故に驚いております」
「あーこちらの女性は男性に擁護されるの理想でしたっけ⁈」
そうそう忘れてました。
「はい。私の妻もそうですが夫に守られ、子を産み育てるのが役目とされています。故に政治や国の情勢など知る者は少ないく、知っているのは城勤の女官くらいでしょうか。
女性とこのような話が出来るのが不思議でして…」
「ははは・・・ですから毛色が違うんですよ。
私の世界では男女同権で身分は無く、法の元皆平等です。男女同じ教育を受け成人すると働きます。もちろん結婚し子供を産んでも働きますよ」
目を見開き驚いた後、眉尻を下げて
「この箱庭女性と違いとても魅力的だ。私があと20歳若かったら求婚していたでしょう!」
でた!褒め褒め社交辞令。勘違いしてはいけません。これは箱庭男性標準装備なんです。もぅ騙されませんから私。
「いえ、はっきりものを言うので可愛くないでしょう⁈」
「いえ、いつも微笑むだけの女性は何を考えてるか分からないので、はっきり言ってもらえる方が分かり合えます」
ダメだ!むず痒くなってきた。公爵様は満面の笑みを浮かべ話を続けられます。
「陛下より多恵様の伴侶選びに口を出さない様に言われておりましたが、出来るならばグラントをお選びいただき、我が公爵家に来ていただきたい」
「・・・。まだこちらに来て1ヶ月も経っていませんし、まだ役目も果たせていません。
伴侶選びになんてまだ考えられません。もし、グラント様の奥方様をお望みなら、素敵な女性はいっぱいいらっしゃるでしょう⁉︎ 私に固執する必要ありません」
いかん!ちょいキレた!陛下も口出すなと言っとたではないか!
すると公爵様は慌てて席を立ち最敬礼をされ
「失礼な発言を陳謝いたします。言い訳になりますが、全く女性を気にも止めなかった息子が初めて女性に好意を寄せたので、親として嬉しく先走りました。お許しを…」
溜息を吐き口調を戻し
「謝罪お受けしました。ですがこの様な話をグラント様が居ない所でするべきでは無いと思います。
グラント様もご意志がおありでしょうから」
公爵様は明らかに”やってしまった感”がでてます。ナタリー様の事といい親バカが過ぎますよ!
グラント様はいい大人なんだから、恋愛くらいほっといてあげて!
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はぁ…疲れた…でも頑張ったぞ私!
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