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33.妖精城見学
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湯浴と暖かい食事をいただいてやっと落ち着いた。体の調子も戻ってぼんやり部屋を見渡すと、至る所に花と緑が溢れて部屋なのに外にいるみたいだ。折角妖精城に来たのでフィラに案内してもらう。どこに行ってもいい香りで癒される。
廊下を歩いていると深緑の立派な扉が見えて来た。
気になって…
「フィラ。あの部屋は?」
「俺の部屋だ。いや俺達の部屋になる。入ってみるか⁈」
「いえ。遠慮しときます」
もーやめて!色っぽい目で見ないで!中身はおばちゃんだから、その目の意味分かるから恥ずかしい!
視線を逸らし歩き出し誤魔化します。
フィラは笑いながら私を抱き寄せる。フィラの体温にほっこりしながら、箱庭に来てから一番心許している自分に気付き、ちょっと見えた自分の恋心に戸惑う。
「このまま多恵がずっとこの城に居たら、幸せだろうなぁ…母上が得られなかった幸せだ」
「フィラのお母様?」
「そうだ。前妖精女王だ。母上は真の番を得れ無かった。前乙女のレベッカの所為でな」
「レベッカさん?」
「多恵が召喚される時に正直警戒したんだ。レベッカみたいな奴が召喚されたら、俺も番を得れ無いかもと…」
いつもと違うフィラに戸惑い、いたたまれなくなり
『うわぁ…聞きたく無い…』
私様子に気づいたフィラは明るく
「リリスに感謝している。お前で良かった」
また抱き寄せて頭の上に口付けを落とす。フィラは最近スキンシップが多い。でも…ちょっと嫌じゃないから困る。
お城の見学の後は妖精の森を案内してもらった。
見た事の無い花や動物が居て流石異世界だ。
穏やかで楽しい時間はあっという間に過ぎ日が暮れてきた。明日はアルディアに戻ります。明日は大変そうだ!しっかりしないと!
横を歩くフィラの表情は暗い。
「フィラ?」
「今まで1人で平気いや楽だったが、今はお前が居なくなるのが辛い。やはり明日は…」
「帰りますよ!3日間お世話になりました。次は舞踏会ですね。ダンス頑張って練習するね。お相手してくれるんでしょ⁈」
「勿論!」
フィラは微笑んでくれた。フィラの願いは分かってる。でも私はリリスにお仕事を任されてるから、お仕事もしないといけないの。そこは理解して欲しいなぁ…
見学を終え城に戻り早目に食事を取り休む事にした。寝室に行き寝支度をしていてふと思った。
今日はてん君の邪魔が無かった。どうしたのてん君?
てん君を呼ぶとてん君は豆柴位の大きさになっている。
『たえ もうすぐ かえる』
『てん君何かあった?』
『てん なにも ない』
機嫌良く尻尾を振るてん君。でも何か違う気がして
『でもいつもなら、フィラとの邪魔するに…』
『フィラ いいやつ てん じゃま ない』
『ん?』
『フィラ たえ つがい』
『!!』
一気に顔が熱くなる。てん君がフィラを認めた!
いや…待って…当の本人はまだ気持ちが…
『たえ フィラ だいじょうぶ』
てん君の爆弾発言を受けしばらく思考回路がバカになりました。
そして翌朝。昨晩は思考回路が止まりいつ寝たのか分からない。
ゆっくり意識が浮上すると、左手にもふもふの毛玉。てん君か… あれ?右側が暖か…い⁈
恐る恐る右側を見ると…
「おはよう多恵。よく眠れたか?」
フィラが悪戯っぽく微笑む
「なっ!なんで フィラがいるの?」
「ダメか⁈」
「ダメに決まってるでしょ!いつからいるの⁉︎」
慌てて聞くと楽しそうに
「昨晩からと言いたいが、流石にそれはしていない。そんな事したら、てんが黙っていないだろう」
『フィラ きた さっき』
開いた口が塞がらない!
『だいじょうぶ なにも して ない』
てん君がそう言うとフィラは優しく微笑み
「何もしてないぞ。したかったが… 今日帰るだろう⁉︎ 多恵の温もりが欲しかっただけだ」
恥ずかしく左を向きてん君を抱きしめる。
『ダメだ!顔が熱い!絶対茹で蛸だ!』
「すまん。少しだけこうして居てくれ…」
フィラに後ろから抱きしめるられる。前にはもふもふてん君。後は大きなフィラ。暖か幸せサンドイッチが出来ました。心地いい温もりは最上級の癒しだ。
しばらくすると光の玉がやっと来た。
「はぁ…」
フィラがため息をついて
「分かった用意を始める。多恵。アルディアの迎えが城を出た。そろそろ支度を始めるぞ」
「はい」
フィラがベッドから降りて部屋を出て行った。
何故か背中が寂しい…
そこからテキパキ支度しフィラのエスコートで妖精の森の入口に向かう。フィラは終始表情が硬い。
入口に着くと既にアルディアの国章が入った大きな馬車が待っていた。
「多恵殿!」
アーサー王子が駆け寄ってきた。フィラは冷たい表情をし私を後ろに隠して
「アルディアの王子よ。多恵は我が番でもある。
多恵が戻りを望んだから帰すが、次この様な事が有れば帰さん。肝に銘じよ!」
「妖精王。この身にかえても多恵殿を御守り致します」
そう言い殿下は最敬礼をした。フィラは振り返り抱き寄せて頭の上に口付けを落として
「多恵。いつもお前の側に居る」
「ありがとう。困ったら頼るね」
フィラは最後は優しい笑顔を見せてくれた。
そしてアーサー殿下の手を取り、殿下のエスコートで馬車に乗って窓からフィラに手を振る。
静かに馬車は動き出し、フィラを見ると切なくなる。暫くするともうフィラは見えない。窓から視線を車内に戻すと、アーサー殿下の表情は硬い。
「多恵殿。怪我はもういいのですか⁈」
「はい。フィラに治してもらいましたから」
そう言うと少し表情を緩める殿下。
「多恵殿には申し訳ない無い事をした」
「騎士団の皆さんは大丈夫でしたか?それにサマンサさんやナタリー様は!」
皆んなの安否が心配で殿下に問うと殿下は
「貴女という人は…自分を害した者も心配するとは…」
「だって関わった人に何かあったら気になりますよ」
「詳しくは城に帰ってからお話しします。中々話は複雑でして…」
「分かりました。着いたらお聞かせ下さい」
アーサー殿下は何か言いたげな様子。敢えて私からは話題は振らずにいたら、殿下は横に移動して来て私の手を取り俯いた。
「あの…殿下?」
「私は女神リリスの加護が無い様だ」
「何故そう思うのですか?」
何か悩みがありそうな殿下は聞いて欲しそうで耳を傾けると
「私の望む事と反対に向かう」
「…まぁ人生長いからそんな時もありますよ」
「私は貴女の伴侶になりたい!」
「えっ?」
いきなり何言っちゃてんの?
廊下を歩いていると深緑の立派な扉が見えて来た。
気になって…
「フィラ。あの部屋は?」
「俺の部屋だ。いや俺達の部屋になる。入ってみるか⁈」
「いえ。遠慮しときます」
もーやめて!色っぽい目で見ないで!中身はおばちゃんだから、その目の意味分かるから恥ずかしい!
視線を逸らし歩き出し誤魔化します。
フィラは笑いながら私を抱き寄せる。フィラの体温にほっこりしながら、箱庭に来てから一番心許している自分に気付き、ちょっと見えた自分の恋心に戸惑う。
「このまま多恵がずっとこの城に居たら、幸せだろうなぁ…母上が得られなかった幸せだ」
「フィラのお母様?」
「そうだ。前妖精女王だ。母上は真の番を得れ無かった。前乙女のレベッカの所為でな」
「レベッカさん?」
「多恵が召喚される時に正直警戒したんだ。レベッカみたいな奴が召喚されたら、俺も番を得れ無いかもと…」
いつもと違うフィラに戸惑い、いたたまれなくなり
『うわぁ…聞きたく無い…』
私様子に気づいたフィラは明るく
「リリスに感謝している。お前で良かった」
また抱き寄せて頭の上に口付けを落とす。フィラは最近スキンシップが多い。でも…ちょっと嫌じゃないから困る。
お城の見学の後は妖精の森を案内してもらった。
見た事の無い花や動物が居て流石異世界だ。
穏やかで楽しい時間はあっという間に過ぎ日が暮れてきた。明日はアルディアに戻ります。明日は大変そうだ!しっかりしないと!
横を歩くフィラの表情は暗い。
「フィラ?」
「今まで1人で平気いや楽だったが、今はお前が居なくなるのが辛い。やはり明日は…」
「帰りますよ!3日間お世話になりました。次は舞踏会ですね。ダンス頑張って練習するね。お相手してくれるんでしょ⁈」
「勿論!」
フィラは微笑んでくれた。フィラの願いは分かってる。でも私はリリスにお仕事を任されてるから、お仕事もしないといけないの。そこは理解して欲しいなぁ…
見学を終え城に戻り早目に食事を取り休む事にした。寝室に行き寝支度をしていてふと思った。
今日はてん君の邪魔が無かった。どうしたのてん君?
てん君を呼ぶとてん君は豆柴位の大きさになっている。
『たえ もうすぐ かえる』
『てん君何かあった?』
『てん なにも ない』
機嫌良く尻尾を振るてん君。でも何か違う気がして
『でもいつもなら、フィラとの邪魔するに…』
『フィラ いいやつ てん じゃま ない』
『ん?』
『フィラ たえ つがい』
『!!』
一気に顔が熱くなる。てん君がフィラを認めた!
いや…待って…当の本人はまだ気持ちが…
『たえ フィラ だいじょうぶ』
てん君の爆弾発言を受けしばらく思考回路がバカになりました。
そして翌朝。昨晩は思考回路が止まりいつ寝たのか分からない。
ゆっくり意識が浮上すると、左手にもふもふの毛玉。てん君か… あれ?右側が暖か…い⁈
恐る恐る右側を見ると…
「おはよう多恵。よく眠れたか?」
フィラが悪戯っぽく微笑む
「なっ!なんで フィラがいるの?」
「ダメか⁈」
「ダメに決まってるでしょ!いつからいるの⁉︎」
慌てて聞くと楽しそうに
「昨晩からと言いたいが、流石にそれはしていない。そんな事したら、てんが黙っていないだろう」
『フィラ きた さっき』
開いた口が塞がらない!
『だいじょうぶ なにも して ない』
てん君がそう言うとフィラは優しく微笑み
「何もしてないぞ。したかったが… 今日帰るだろう⁉︎ 多恵の温もりが欲しかっただけだ」
恥ずかしく左を向きてん君を抱きしめる。
『ダメだ!顔が熱い!絶対茹で蛸だ!』
「すまん。少しだけこうして居てくれ…」
フィラに後ろから抱きしめるられる。前にはもふもふてん君。後は大きなフィラ。暖か幸せサンドイッチが出来ました。心地いい温もりは最上級の癒しだ。
しばらくすると光の玉がやっと来た。
「はぁ…」
フィラがため息をついて
「分かった用意を始める。多恵。アルディアの迎えが城を出た。そろそろ支度を始めるぞ」
「はい」
フィラがベッドから降りて部屋を出て行った。
何故か背中が寂しい…
そこからテキパキ支度しフィラのエスコートで妖精の森の入口に向かう。フィラは終始表情が硬い。
入口に着くと既にアルディアの国章が入った大きな馬車が待っていた。
「多恵殿!」
アーサー王子が駆け寄ってきた。フィラは冷たい表情をし私を後ろに隠して
「アルディアの王子よ。多恵は我が番でもある。
多恵が戻りを望んだから帰すが、次この様な事が有れば帰さん。肝に銘じよ!」
「妖精王。この身にかえても多恵殿を御守り致します」
そう言い殿下は最敬礼をした。フィラは振り返り抱き寄せて頭の上に口付けを落として
「多恵。いつもお前の側に居る」
「ありがとう。困ったら頼るね」
フィラは最後は優しい笑顔を見せてくれた。
そしてアーサー殿下の手を取り、殿下のエスコートで馬車に乗って窓からフィラに手を振る。
静かに馬車は動き出し、フィラを見ると切なくなる。暫くするともうフィラは見えない。窓から視線を車内に戻すと、アーサー殿下の表情は硬い。
「多恵殿。怪我はもういいのですか⁈」
「はい。フィラに治してもらいましたから」
そう言うと少し表情を緩める殿下。
「多恵殿には申し訳ない無い事をした」
「騎士団の皆さんは大丈夫でしたか?それにサマンサさんやナタリー様は!」
皆んなの安否が心配で殿下に問うと殿下は
「貴女という人は…自分を害した者も心配するとは…」
「だって関わった人に何かあったら気になりますよ」
「詳しくは城に帰ってからお話しします。中々話は複雑でして…」
「分かりました。着いたらお聞かせ下さい」
アーサー殿下は何か言いたげな様子。敢えて私からは話題は振らずにいたら、殿下は横に移動して来て私の手を取り俯いた。
「あの…殿下?」
「私は女神リリスの加護が無い様だ」
「何故そう思うのですか?」
何か悩みがありそうな殿下は聞いて欲しそうで耳を傾けると
「私の望む事と反対に向かう」
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