上 下
24 / 154

24.新たな候補者

しおりを挟む
ソファーの横に立ちキース様をお迎えする。
入室されたキース様は箱庭お約束の美丈夫。黒に近い焦茶の短髪に一重の切長の臙脂色の瞳で、鼻筋がとおったクール系のハンサムさんです。
綺麗な礼をし自己紹介されました。

「御目文字叶って光栄に存じます。ファーブス公爵家キースと申します。突然の面会を了承いただき、ありがとうございます。
本日は陛下の命により女神の乙女で有らせられる多恵様の伴侶候補に選ばれました。まずはご挨拶致したく参りました」

丁寧な挨拶をいただき焦りながら

「丁寧なご挨拶いただきありがとうございます。多恵と申します。よろしくお願いします。立ち話もなんですのでお掛け下さい」

着席のタイミングでエレナさんがお茶を用意してくれ部屋隅に待機してくれる。

いつも通りー人見知り発動しました。何話したらいいの⁈

「えっと…キース様は陛下よりどの様にお話がありました?」

するとお茶を一口飲んだキース様は微笑んで

「陛下からは女神リリスの意向で多恵様の伴侶を各国1名選出する事になり、ヒューイ殿下と王家に近い貴族から候補を出す事になったとお聞きしております。陛下は”王家や貴族の様な義務では無く、多恵様の愛を得て真に愛した者を伴侶とする”と申されておりました。
私は仕事柄他国に赴く事が多く、中々良縁に恵まれず伴侶を得るのを半ば諦めておりました。
しかし待てばいい事がありますね。多恵様の様な知的で愛らしい女性レディと巡り会えたのですから」

もー!箱庭の男性は甘い言葉セリフを息をするように言い、毎回赤面するのでチークは必要なくなりました。

「えっと…リリスの願いではありますが、強制はされていません。私の元の世界では一夫一妻ですので、いきなり4人の夫を迎える事に戸惑っています。なので1人も選ばないかもしれません。ですから想える人があらわれたら、ご自分の幸せを優先して下さい」

そう述べてキース様を見ると驚かれています。

「多恵様はお優しい方ですね。我々貴族は陛下の命は絶対なのです。陛下よりお話し頂いた時、家臣として誠心誠意多恵様に尽くそうと思いました」

少しカチンときて

「失礼を承知で言わせていただくと、義務で愛されても嬉しく無いし寧ろ嫌です。夫婦となり子を儲けるとなると、男性は分かりませんが私はやはりちゃんと愛が無いと無理です」

キース様は表情は変わらないけど目が優しい。

「私も同意見です。女性にこの様に意見されたのは初めてです。この国の女性は自分の意見を言わないのが美徳とされています。多恵様のように自分の意思を伝えれる事は好ましい」

あーやっぱりそこが興味引くポイントになるんだ。

「焦らず時間をかけて知り合って行けたらと思いまので、よろしくお願いします」

お辞儀をし頭を上げたら目の前居ない?

『あれ?』

ふと手を取られて見るとキース様は私の横に移動している?

『ん?なんで膝付いてるの?』

疑問に思っていたら手に柔らかい感触が⁈

「多恵様の相手候補に選んで頂いた陛下に感謝を!」

またフラグ立っちゃいました? 私は乙女ゲーは望んでいませんよ! キース様はとろける様な微笑みを湛え

「多恵様は海はお好きですか?」
「はい。元の世界では海の近くて生まれ育ったので、浜風が偶に恋しくなります」

すると嬉しそうに

「我が領地は海に面しており活気があり、異国文化を感じられる街並みが楽しめます。是非起こし下さいご案内いたします」

この世界の海は元の世界と同じなのか興味が湧いてきた。

「ありがとうございます。興味ありますがご多忙とお聞きしておりますので、都合が合いましたらお願いします」
「本日は急な面会にお応えいただき、ありがとうございました。そろそろ失礼いたします」

キース様は綺麗な礼をし退室された。

お見送りをしソファーにだらしなくに寝転がった。 分かってます!お行儀良くないって!
でももう無理っす!頑張ったから許して…

「エレナさん!今日はもう来客には応じません。今日は終了です。【蛍の光】ながして下さい」
「多恵様?来客は承知いたしました。あの…【蛍の光】とはどの様なものですか?」
「忘れて下さい。独り言です」

扉に行き外のマーカスさんとダンさんに

「今日は疲れたので早目に休みます。急ぎの来客以外はお断りして下さい」
「畏まりました。ごゆっくりお休み下さい」

これでよし!まったりするぞ!
やっとトーイ殿下のお菓子と夕食をいただき、早目に寝室に籠る。
寝室に入るとお約束の妖精達が来ていた。
あれ?今日はベッドでは無くサイドテーブルにいる。

サイドテーブルに近づくと綺麗な小さいガラス瓶がある。朝はこんなの無かったよ。瓶の横にメモがある。メモには…

『これは妖精の森に生息するミツドリが集めた花蜜だ。疲労回復によく効き安眠できる。無味無臭だから飲料に1滴入れ飲め。1滴以上入れれば眠れ無くなるから気をつけろ フィラ』

どうやらフィラが用意してくれたみたいだ。
妖精達にお礼を告げ手紙とガラス瓶をサイドテーブルの引出しにしまう。まだ6刻半だから寝るには早いから、ベッドに寝転がり今日のあった事を思い出していた。

『そう言えばヒューイ殿下に抱きしめられたり、グラント様やキース様に手の甲にキスされたりしたけど、てん君が無反応だったよ⁉︎』

てん君が過剰反応しなくなってる。もしかして体調悪いの⁈慌てててん君を呼ぶ。

てん君はいつもどおり小さな尻尾をMAXに振って寄ってくる。いつもどおりだ。

『てん君調子悪い?』
『てん いっしよ なぜ?』
『でも、殿下に抱きしめられたり、手にキスされたりしたけど、てん君無反応だったから』
『リリス おこる』
『なんで?何かした?』
『てん まもる でも いっぱい たえ つがい ない』

どうやら過剰反応で男性との恋愛の障害になると、判断したリリスがてん君に教育的指導をしたようだ。

『てん いやする やつ やっつける てん がまん』
『そっか!てん君エライね!』

おもっきりもふもふしまくる。てん君が高速で尻尾を振るから取れちゃいそうで心配になる。そしててん君とまったりしていたら寝室の扉を小さくノックされ

「多恵様。まだ起きてらっしゃいますか⁈」
「はい。どうぞ!」

てん君に戻ってもらいエレナさんに入ってもらう。
エレナさんは申し訳なさそうに

「今文官が書簡を持ってきまして、内容だけでも今日お読みいただきたいそうです。如何いたしますか?」

重要なら早く目を通さないと。

「誰からですか?」
「第3騎士団のケニー・カクリー様です」

あー3人目の相手候補からで読まなあかんやつだ…

「わかりました。居間に行きますから、待っていて下さい」

夜着の上にガウンを羽織り居間に向かう。どうやら文官さんは書簡を届けて帰った様だ。ソファーに座り読む。

内容は面会したいとの事。出来れば近日中に。
明日は朝はマナーとダンスレッスンで、午後からグラント様との面会がある。
明日は無理だ。グラント様の話が分からないから、昼からは予定を入れたくない。考えた末に明後日の昼からにしてもらおう。

「エレナさん。ケニー様が面会を希望されていて、明後日の昼からは予定ないので、ケニー様にお伺いし調整をお願いします」

エレナさんにお願いして、寝室に戻り今日はもう寝ます。フィラに貰った蜜サプリを水に1滴入れて飲み、ベッドに潜り込み寝ます。

ミツドリの花蜜の効能は凄くておやすみ5秒でした。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

離婚してください、今すぐに。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:47,058pt お気に入り:598

当て馬ポジションに転生してしまった件について〜番外編〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:426pt お気に入り:12

裏話

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:177pt お気に入り:4

愛され悪役令嬢は今日も死亡フラグを回避する

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:48

【完結】私がお邪魔だと思われますので、去らせていただきます。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,307pt お気に入り:3,249

処理中です...