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20.睨み合い
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フィラが私の前に立ったので全くヒューイ殿下が見えない。無言の睨み合いが続き、また外も騒がしくなってきた。もぉ!次は誰?
「ヒューイ!多恵殿の寝室で何をしている!」
次はアーサー殿下でした。3人とも無言で睨み合っています。部屋の空気がどんどん悪くなって
「あの…目眩は治ったので、とりあえず皆さん居間までお待ち下さい。すぐ参りますから…」
入口で困り果てているサリナさんに皆さんのお茶を頼み殿方には出て行ってもらいました。
私は化粧室に行き鏡で顔色をチェック!少しは良くなったみたい。これなら皆んな心配しないかなぁ…
居間に行くとまだ険悪な状態です。
どうやらフィラが私を妖精城に連れて行くといい出したらしくヒューイ殿下と口論中。
「多恵が倒れる程疲れさせ、そんなに舞踏会は大事なのか! アルディアの体裁を保つ為に多恵を使うな!」
「配慮が足りなかった事は認めます。ですが舞踏会で各国の話し合い行うと女神の台座で決めたのです。舞踏会まではアルディアに責任がある。
今後は多恵殿の体調をしっかり把握し事を進めます故、妖精王の手助けは不要にございます」
男の人が怒った声って怖い…びびっているとサリナさんが私のお茶を持ってきた。ふとサリナさんの顔を見ると顔色が悪い。
「サリナさんも今日は1日大変だったから、他の侍女さんと交代して休んで!」
サリナさんと目が合うと泣きそうな顔をしていてびっくりした。
「申し訳ありません。私がもっと注意深く多恵さんの体調を見るべきでした」
「サリナさんもだけど誰も悪く無いよ!いやレッグロッドのおじさんはちょっと悪いかなぁ?」
と少し戯けてみたが場は和まない。私…残念。
そう言えばなんでフィラは私が調子が悪いの分かったんだろう⁈ タイミングをみてフィラに聞いてみた。
「ねぇ?フィラはなぜ私が調子悪いの分かったの?」
それまでヒューイ殿下と険悪だったフィラは急に機嫌が良くなり、私の手を取り横に座わる。
「風の妖精が多恵の顔色が悪いと知らせてきた。多恵に渡したリングはこの箱庭なら何処にいても居場所は分かるからな」
このリングGPSなんだ… なんか常に探されそうで怖い。
「まぁ…思う所はあるけど、フィラありがとう」
フィラの手を握りお礼を述べ、そして殿下達にも
「アーサー殿下、ヒューイ殿下。御心配お掛けしました。身体は強い方だと過信していました。侍女のサリナさんや護衛騎士のお2人方には責任はありませんので、お咎め無きようお願いします。
これからは皆さんを頼り困ったら相談していきますから」
殿下達の表情は硬い
「他国からの要望を優先し多恵殿の配慮がなされていなかった。申し訳ない。
多恵殿は侍女と騎士に責任を問うなというが、身を守る事や世話だけではなく、心身ともに守るのが彼らの職務なのだ。故に不問には出来ぬ」
アーサー殿下は私の後ろに控えるサリナさん、デュークさんとガイさんに厳しい視線を向ける。
「如何なる処分もお受けします」
デュークさんが静かにアーサー殿下の視線に答える
「が!其方らに罰を与えると多恵殿がご自分を責められるだろう。故に1日の自室待機を命ずる」
「アーサー殿下!ありがとうございます。もう無理は出来るだけしません!」
勢いよく立ち上がりアーサー殿下に最敬礼した。
「あっははは!貴女という方は…」
アーサー殿下が大声で笑いだした。ヒューイ殿下も口元を緩ませ笑い、まだ手を握っているフィラは優しく見つめてくる。
私変な事いいましたか? まぁ!丸く治ったのならいっか。
“ぐ~”
安心したら腹の虫が主張しだした。皆んな笑い出し部屋の雰囲気が一気に和んだ。恥ずかしいけど和んだから良しとしよう! 私の腹の虫グッドジョブ!
こうして大変な1日はようやく終わった。本当は明日も色々予定があったけど、アーサー殿下が全てキャンセルしてお休みにしてくれた。
明日は書物庫のトーマスさんところに行こう!
「あった私の番号!」
合格番号が貼られた掲示板を夫と雪が見ている。良かった第一希望の高校受かって。
倍率が2倍近くあり塾の講師からも厳しいと言われていたから、半ば私学を覚悟していたけど何とか公立に受かったよ。
「早くママに報告に行かなと!」
「じゃー帰りそのまま墓参りにいくか⁈」
…そっか元の世界では私はいないんだった。でも雪の志望校合格が分かりうれしい!
『たえ いや?』
てん君が呼ぶ声で目が覚めた。久しぶりに夫と娘の夢を見た。左手が暖かくなって来て、てん君が出たがっているようだ。てん君を呼ぶと心配そうに私に寄ってきて顔をなめてきた。どうやら私泣いていたようだ。
『たえ いたい? いや?』
『大丈夫だよ。夢を見ていたの』
『いや ない なでて』
もちろん喜んで!朝一からてん君をもふり癒されています。
「多恵様お目覚めですか?入室の許可を⁉︎」
どうやら今日はエレナさんが当番の様です。サリナさんは自室待機という名の休暇中です
今日は1日フリー。こっちに来てからお休みは初めて。やっとゆっくり書物庫で本を選べる!
エレナさんに身支度をしてもらい朝一から書物庫に向かいます。部屋を出たところでトーイ殿下と遭遇
「おはようございます。多恵殿お体はもういいのですか⁈ 昨日はモーブル国境まで巡視に出ていてお聞きしたのが夜更け故、伺えなかったのです。申し訳ございません」
「大した事無いので大丈夫です。皆さんにご心配をおかけしました。今日は1日お休みなのでよく休んで復活します」
そう言うと微笑みを返してくれる”爽やかさん”のトーイ殿下。
「モーブル国境の町は食べ物が豊かで菓子が有名です。ナッツの焼き菓子が名物なので買って参りました。後で届けさせますので召し上がって下さい」
「ありがとうございます。楽しみにしています」
お菓子は嬉しい!
「ちなみに多恵殿はどちらに?」
「書物庫で本を借りようと思いまして」
「勉強熱心ですね。途中までですがお送りしましょう」
「ありがとうございます。勉強ではなく趣味の読書ですけどね」
トーイ殿下と並んで廊下を歩く。トーイ殿下は気さくな性格で話も砕けた話題が多く、気を使わなくていいので殿下との会話は楽しい。
殿下に途中まで送ってもらい、後は護衛騎士さんと向かいます。少しすると目の前に大きな黒い扉が見えてきました。中に入ると本独特の匂いに胸が躍ります。
今日は勉強の本1冊と小説(こちらの恋愛もの)を借りる予定。勉強の本は今まで召喚された異世界人の伝記物を借り今後の参考にするつもりで、恋愛ものは… 一応こちらの男性と恋愛しないといけないので恋愛事情を学ぼうかと…
トーマスさんみっけ!早速本の相談をしよう!
「トーマスさんおはようございます。朝からすみません。本を選ぶお手伝いをお願いできますか?」
「多恵様。ご機嫌麗しく、お元気そうで何よりです。今日はどんな本をご希望ですか?」
「リリスに召喚された異世界人の伝記ものと娯楽で恋愛ラブストーリーものを少々…」
口にすると案外恥ずかしい!!トーマスさんは
「こちらに興味深い本がありますよ」
と分厚い書籍が並ぶ本棚に案内してくれた。選んでくれたのは【女神の乙女レベッカの功績】という本で、私の前に召喚された乙女の伝記本だった。同じ女性だしこちらで伴侶を迎えている方だから箱庭の男性との恋愛の参考にもなりそうだ。
「ありがとうございます。ではこの本をお借りします」
「そうそう。令嬢の間で人気の小説はこれで、王子とのラブストーリーです。昨日か返却されたばかりですよこちらは如何ですか?」
何か相手が王子ってのがちょっと引っかかるけど、早くレベッカ伝記を読みたいのでその本に決めた。
2冊とも分厚く重く両手で抱えていたら、今日の当番騎士のマーカスさんがすぐに持ってくれた。こちらの男性は紳士だよね… 夫だったら言わないと持ってくれないよ!
トーマスさんの机があるカウンターの横に大きな掃き出し窓があり、その横にテーブルとソファーがある。日当たりがよくここで読んだら、気持ちいいだろうなぁ… ここで読んだら駄目かなぁ⁈
「トーマスさんあちらのソファーで読んでもいいのでしょか?」
「どうぞ。ソファーは解放しているのですが皆さん私が居るからでしょうか、こちらでは読まれないのです」
と少し悲しそう。マーカスさんにここで読んでいいか聞いてOKを貰いました。ソファーに座り早速読みます。まずはレベッカの伝記から…
「ヒューイ!多恵殿の寝室で何をしている!」
次はアーサー殿下でした。3人とも無言で睨み合っています。部屋の空気がどんどん悪くなって
「あの…目眩は治ったので、とりあえず皆さん居間までお待ち下さい。すぐ参りますから…」
入口で困り果てているサリナさんに皆さんのお茶を頼み殿方には出て行ってもらいました。
私は化粧室に行き鏡で顔色をチェック!少しは良くなったみたい。これなら皆んな心配しないかなぁ…
居間に行くとまだ険悪な状態です。
どうやらフィラが私を妖精城に連れて行くといい出したらしくヒューイ殿下と口論中。
「多恵が倒れる程疲れさせ、そんなに舞踏会は大事なのか! アルディアの体裁を保つ為に多恵を使うな!」
「配慮が足りなかった事は認めます。ですが舞踏会で各国の話し合い行うと女神の台座で決めたのです。舞踏会まではアルディアに責任がある。
今後は多恵殿の体調をしっかり把握し事を進めます故、妖精王の手助けは不要にございます」
男の人が怒った声って怖い…びびっているとサリナさんが私のお茶を持ってきた。ふとサリナさんの顔を見ると顔色が悪い。
「サリナさんも今日は1日大変だったから、他の侍女さんと交代して休んで!」
サリナさんと目が合うと泣きそうな顔をしていてびっくりした。
「申し訳ありません。私がもっと注意深く多恵さんの体調を見るべきでした」
「サリナさんもだけど誰も悪く無いよ!いやレッグロッドのおじさんはちょっと悪いかなぁ?」
と少し戯けてみたが場は和まない。私…残念。
そう言えばなんでフィラは私が調子が悪いの分かったんだろう⁈ タイミングをみてフィラに聞いてみた。
「ねぇ?フィラはなぜ私が調子悪いの分かったの?」
それまでヒューイ殿下と険悪だったフィラは急に機嫌が良くなり、私の手を取り横に座わる。
「風の妖精が多恵の顔色が悪いと知らせてきた。多恵に渡したリングはこの箱庭なら何処にいても居場所は分かるからな」
このリングGPSなんだ… なんか常に探されそうで怖い。
「まぁ…思う所はあるけど、フィラありがとう」
フィラの手を握りお礼を述べ、そして殿下達にも
「アーサー殿下、ヒューイ殿下。御心配お掛けしました。身体は強い方だと過信していました。侍女のサリナさんや護衛騎士のお2人方には責任はありませんので、お咎め無きようお願いします。
これからは皆さんを頼り困ったら相談していきますから」
殿下達の表情は硬い
「他国からの要望を優先し多恵殿の配慮がなされていなかった。申し訳ない。
多恵殿は侍女と騎士に責任を問うなというが、身を守る事や世話だけではなく、心身ともに守るのが彼らの職務なのだ。故に不問には出来ぬ」
アーサー殿下は私の後ろに控えるサリナさん、デュークさんとガイさんに厳しい視線を向ける。
「如何なる処分もお受けします」
デュークさんが静かにアーサー殿下の視線に答える
「が!其方らに罰を与えると多恵殿がご自分を責められるだろう。故に1日の自室待機を命ずる」
「アーサー殿下!ありがとうございます。もう無理は出来るだけしません!」
勢いよく立ち上がりアーサー殿下に最敬礼した。
「あっははは!貴女という方は…」
アーサー殿下が大声で笑いだした。ヒューイ殿下も口元を緩ませ笑い、まだ手を握っているフィラは優しく見つめてくる。
私変な事いいましたか? まぁ!丸く治ったのならいっか。
“ぐ~”
安心したら腹の虫が主張しだした。皆んな笑い出し部屋の雰囲気が一気に和んだ。恥ずかしいけど和んだから良しとしよう! 私の腹の虫グッドジョブ!
こうして大変な1日はようやく終わった。本当は明日も色々予定があったけど、アーサー殿下が全てキャンセルしてお休みにしてくれた。
明日は書物庫のトーマスさんところに行こう!
「あった私の番号!」
合格番号が貼られた掲示板を夫と雪が見ている。良かった第一希望の高校受かって。
倍率が2倍近くあり塾の講師からも厳しいと言われていたから、半ば私学を覚悟していたけど何とか公立に受かったよ。
「早くママに報告に行かなと!」
「じゃー帰りそのまま墓参りにいくか⁈」
…そっか元の世界では私はいないんだった。でも雪の志望校合格が分かりうれしい!
『たえ いや?』
てん君が呼ぶ声で目が覚めた。久しぶりに夫と娘の夢を見た。左手が暖かくなって来て、てん君が出たがっているようだ。てん君を呼ぶと心配そうに私に寄ってきて顔をなめてきた。どうやら私泣いていたようだ。
『たえ いたい? いや?』
『大丈夫だよ。夢を見ていたの』
『いや ない なでて』
もちろん喜んで!朝一からてん君をもふり癒されています。
「多恵様お目覚めですか?入室の許可を⁉︎」
どうやら今日はエレナさんが当番の様です。サリナさんは自室待機という名の休暇中です
今日は1日フリー。こっちに来てからお休みは初めて。やっとゆっくり書物庫で本を選べる!
エレナさんに身支度をしてもらい朝一から書物庫に向かいます。部屋を出たところでトーイ殿下と遭遇
「おはようございます。多恵殿お体はもういいのですか⁈ 昨日はモーブル国境まで巡視に出ていてお聞きしたのが夜更け故、伺えなかったのです。申し訳ございません」
「大した事無いので大丈夫です。皆さんにご心配をおかけしました。今日は1日お休みなのでよく休んで復活します」
そう言うと微笑みを返してくれる”爽やかさん”のトーイ殿下。
「モーブル国境の町は食べ物が豊かで菓子が有名です。ナッツの焼き菓子が名物なので買って参りました。後で届けさせますので召し上がって下さい」
「ありがとうございます。楽しみにしています」
お菓子は嬉しい!
「ちなみに多恵殿はどちらに?」
「書物庫で本を借りようと思いまして」
「勉強熱心ですね。途中までですがお送りしましょう」
「ありがとうございます。勉強ではなく趣味の読書ですけどね」
トーイ殿下と並んで廊下を歩く。トーイ殿下は気さくな性格で話も砕けた話題が多く、気を使わなくていいので殿下との会話は楽しい。
殿下に途中まで送ってもらい、後は護衛騎士さんと向かいます。少しすると目の前に大きな黒い扉が見えてきました。中に入ると本独特の匂いに胸が躍ります。
今日は勉強の本1冊と小説(こちらの恋愛もの)を借りる予定。勉強の本は今まで召喚された異世界人の伝記物を借り今後の参考にするつもりで、恋愛ものは… 一応こちらの男性と恋愛しないといけないので恋愛事情を学ぼうかと…
トーマスさんみっけ!早速本の相談をしよう!
「トーマスさんおはようございます。朝からすみません。本を選ぶお手伝いをお願いできますか?」
「多恵様。ご機嫌麗しく、お元気そうで何よりです。今日はどんな本をご希望ですか?」
「リリスに召喚された異世界人の伝記ものと娯楽で恋愛ラブストーリーものを少々…」
口にすると案外恥ずかしい!!トーマスさんは
「こちらに興味深い本がありますよ」
と分厚い書籍が並ぶ本棚に案内してくれた。選んでくれたのは【女神の乙女レベッカの功績】という本で、私の前に召喚された乙女の伝記本だった。同じ女性だしこちらで伴侶を迎えている方だから箱庭の男性との恋愛の参考にもなりそうだ。
「ありがとうございます。ではこの本をお借りします」
「そうそう。令嬢の間で人気の小説はこれで、王子とのラブストーリーです。昨日か返却されたばかりですよこちらは如何ですか?」
何か相手が王子ってのがちょっと引っかかるけど、早くレベッカ伝記を読みたいのでその本に決めた。
2冊とも分厚く重く両手で抱えていたら、今日の当番騎士のマーカスさんがすぐに持ってくれた。こちらの男性は紳士だよね… 夫だったら言わないと持ってくれないよ!
トーマスさんの机があるカウンターの横に大きな掃き出し窓があり、その横にテーブルとソファーがある。日当たりがよくここで読んだら、気持ちいいだろうなぁ… ここで読んだら駄目かなぁ⁈
「トーマスさんあちらのソファーで読んでもいいのでしょか?」
「どうぞ。ソファーは解放しているのですが皆さん私が居るからでしょうか、こちらでは読まれないのです」
と少し悲しそう。マーカスさんにここで読んでいいか聞いてOKを貰いました。ソファーに座り早速読みます。まずはレベッカの伝記から…
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