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53.親友
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“ピンポーン”
「へ?誰?」
ジークさんと別れ帰って来て玄関で泣きそのまま寝落ちしていたようだ。
何も考えず玄関ドアを少し開けて誰が来たのか確認したら…
「愛華?」
愛華が仁王立ちしている。ドアか開いたのに気付いた愛華は玄関ポーチを開けて入ってきた。そして凄い勢いで抱き着いてきた。転倒は免れたが自分より大きい人を支えるのは辛い。
「あれ?愛華旅行は?」
「今帰って来て家族を家に落としてからすぐ来たの。なんて顔してんの!ジークさんに何かされたの?私ぶん殴って来るわ!」
「何もされてないから!落ち着いて!ぶっ!」
すると愛華は両手で私の頬を包み覗き込む。
「こんなに泣いて目が溶けちゃってんじゃん!いい男でお金持ちでも親友を泣かせた償いはさせる!」
「ジークさんに泣かされた訳じゃないから!」
この後愛華を宥めるのに必死でお陰で気持ちは落ち着いて来た。
愛華をリビングに招き入れお茶をだす。そしてまだお昼を食べていない愛華にデリバリーで愛華の好きなオムライスを頼み遅めの昼食を食べる。愛華が来てくれたおかげでちゃんと食事を摂ることが出来た。
食事が終わると紙袋から愛華はお菓子の箱を出して
「これお土産」
「ありがとう?」
そう言うと私に渡さず包装を開けだした。そして箱を開けて
「咲私アイスコーヒーがいい」
「はいはい」
落ち込んでいる時の愛華のマイペースは反対に有り難い。
お菓子を食べながら旅行の愚痴をこぼす愛華。旦那さんがおっとりしていて、せっかちな愛華はよくイライラする。愛華の愚痴で心も落ち着き笑う余裕も出て来た。
「やっと笑ったね」
「うん。ありがとう」
「何があったの?体調はいいの?」
「うん。もう大丈夫」
「話したくなるまで待つから、ゆっくり話しな」
やっと落ち着き聞く体制をとった愛華に
「うん。まだ全ては話せないけど…ジークさんとの事に区切りをつけて」
「うん」
「色々な事と想いがあって、今はジークさんの想いは受けれないから、お別れ…って付き合って無かったんだけどね」
「今の咲の最良?」
「と決断したけど思いの外辛かった」
じっと私を見据えて私の手を取り微笑んだ愛華が
「日薬だよ。楽しい事していたら辛い気持ちも和らぐわ。ジークさん程では無いけど、咲の心を和らげてくれる男が現れるよ」
「ありがとう。思ってたよりジークさん好きだったみたい」
「なら!」
「LIKEでLOVEには今はならない」
「私には理解できないわ」
頭を抱える愛華に苦笑して
「私も分かってないのに愛華は尚更分かんないよ」
結局愛華に全て話そうと思ったが、話すには祖母の存在を話す事になり、そこまで言える心境にない。だから話すのはまだ無理そうだ。
結局愛華は夕方まで居てくれて、心配して泊まると言ってくれたが断った。自分で乗り越えないとね。
夕方に愛華が帰り日が暮れぼんやり大好きなうさぎの動画を見ていたら母から連絡が入る。心配かけた事を謝り、まだ日記の話が出来そうに無いと話した。すこし声が震えてきた母に代わりいーさんが電話を代わり第一声が
「あの男の求婚を受けたのか?」
「へ?」
「あの男は私が帰った後に、正式に咲ちゃんに求婚すると言っていたんだ」
「そうなんだ…ごめん…お断りした」
「へ?」
反対オーラ満載のいーさんが何故か唖然としている。間髪入れずに「何故だ!」聞くいーさんに真実は言えなかった。
愛華と同じ説明をして何となく納得してもらう。
「父親はどんな完璧な男でも気に入る事はない。だからジークヴァルト君が気に入らなかった。しかし彼は稀ないい男で正直なところ賢斗君ところ同じくらい認めていたんだ」
「そうなんだ…」
いーさんの言葉が妙に嬉しかった。でも…
口籠る私にいーさんは
「咲ちゃんは真面目過ぎるんだ。だから曖昧な気持ちではジークヴァルト君に失礼だと思ったんだろう。残念ではあるが咲ちゃんが決めた事に言う事はないよ」
「ありがとう…いーさん」
この後体調を気つける様に色々注意され電話を切った。この後早めに入浴し片付けて眠った。眠れないかと思ったが沢山泣き体力を使った様ですぐ寝ついた。
翌朝から今まで通りのいつもの生活。朝起きてお弁当を作り洗濯に片付けをして、いつもの時間にバス停へ向かいバス通勤。もうハニーくんもいない。本当に半年前の生活に戻った。刺激も目新しさもないが平凡だが穏やかな日常。
「あんなに望んでいたのになぁ…なんか物足りない。でもその内慣れるだろう」
こうして慣れないなりにぼちぼちとお一人様の生活を過ごしていた。
ジークさんと連絡、接触を断ち1ヶ月を経過した。ジークさん関係の連絡先は削除し連絡は無い。しかし何度か知らない番号から着信が入った。なんとなく見た事ある番号だ。恐らくランディさん。でもゴメン折り返せないわ…
そして更に1ヶ月経った頃にハニー君こと田沢さんからメールが入る。
『愛華さんから話を聞きた。やっぱり俺を選んだって事⁈(笑)とりあえず疲れた肌と身体を癒してあげるから次の金曜日18時半にウチのエステにおいで!ウチ一番のエステシャンに施術させるからさ。あっ!断るメールは受信拒否!わかった?』
一方的なメールに苦笑いし伺うとメールを返した。
強引だけど彼なりに気を使ってくれてくれているのだろう。返事をすると調子に乗ったハニー君は
『夕食も付き合ってね!』
上手いこと釣り上げられてしまったようだ。しかしエステは正直嬉しい。今週はデータ入力が続いていて、肩こりが酷かったのだ。
最近何も予定が無かったので正直嬉しい。先週末に衝動買いしたオーバーサイズのシャツを着て行こう。髪も結んでイメチェン!
エステを受けイメチェンしたら気分一新できるかしら…
こうして週末の楽しみが出来て日常にハリが出る。
そして今日は金曜日。いつもより身なりに気を配り出かけた。珍しく仕事は暇で定時退社する。会社から田沢さんのお店まで徒歩で10分。ゆっくり歩いて10分前にお店に着いた。
入店するとロビーで田沢さんと私と同じ歳くらいの長身の男性が話をしていた。
『タイミングが悪いなぁ…』
と思いながら端のソファーに座ると男性の方が私に気付いたそして田沢さんに何か言い、田沢さんが振り返り歩いてくる。
「ごめんなさい。お話の邪魔しちゃいました?」
「大丈夫ですよ仕事の話は終わってますから」
田沢さんはそう言う私の手を取り男性の前に
「さっき話していた咲さん。咲さん彼は美容室やエステ店に美容関係の商品を入れてくれている崎山さん。彼は俺と同じで経営者だよ」
全く関係ないのに紹介されて慌ててしまう。とりあえず無難に挨拶すると崎山さんは胸ポケットから皮の名刺入れを出して名刺を差し出してくれた。
「お会いできて光栄です。田沢君一押しの女性なのでお会いしたかったんです。今日はいい日だ」
「はぁ…どぅも?」
頭に疑問符をつけた私の腰に手を回した田沢さんが
「なっ!いい女だろ?」
「田沢君咲さんに失礼だ」
「そうよ!失礼です!」
「いったぁ!」
腰元にある田沢さんの手を思いっきり抓ってやった。一瞬離したが懲りない彼の手は離れない。私が嫌な顔をしたから崎山さんが田沢さんを引き離してくれた。
やっと落ち着いたら申し訳なさそうにエステシャンらしき女性が施術の準備か出来たと声をかけてきた。
「じゃー!咲さん綺麗になりましょう」
「えっと…よろしくお願いします?」
エステシャンさんが部屋に案内してくれ付いて行こうとしたら
「咲さん後程」
「のちほど?」
崎山さんが意味の分からない事を言ったので歩みを止めると田沢さんが背中を押して部屋に急かす。私の背中を押す田沢さんのにやけ顔に不安になるが、とりあえず疲れが溜まったこの体をリセットしする事を優先した。
エステは全身コースで頭皮までマッサージされ、秒で寝てしまった。流石店一番のエステシャンさんだ。
「梶井様…梶井様。施術は終了です。最後にヘアメイクを施しますので、あちらのドレッサー前にお移り下さい」
「ふぁ…い」
ドレッサーの前に移動すると別の女性が2人入室して来て、3人かがりで仕上げをしてくれる。
「お綺麗ですわ。社長が喜びますわ!」
「ありがとうございます」
「ではお荷物をどうぞ」
鏡に映る私はもはや別人だ。
『詐欺レベルだわ。プロの技は流石だわ…』
再度施術してくれた皆さんにお礼を言い田沢さんが待つ部屋へ
「咲さん!素晴らしい綺麗だ」
「皆さんの腕がいいから…詐欺レベルに仕上がりました」
「さぁ彼が待っています。食事に行きましょう!」
「彼?」
ウィンクした田沢さんに車に乗せられ食事へ。それより”彼”って誰?
「へ?誰?」
ジークさんと別れ帰って来て玄関で泣きそのまま寝落ちしていたようだ。
何も考えず玄関ドアを少し開けて誰が来たのか確認したら…
「愛華?」
愛華が仁王立ちしている。ドアか開いたのに気付いた愛華は玄関ポーチを開けて入ってきた。そして凄い勢いで抱き着いてきた。転倒は免れたが自分より大きい人を支えるのは辛い。
「あれ?愛華旅行は?」
「今帰って来て家族を家に落としてからすぐ来たの。なんて顔してんの!ジークさんに何かされたの?私ぶん殴って来るわ!」
「何もされてないから!落ち着いて!ぶっ!」
すると愛華は両手で私の頬を包み覗き込む。
「こんなに泣いて目が溶けちゃってんじゃん!いい男でお金持ちでも親友を泣かせた償いはさせる!」
「ジークさんに泣かされた訳じゃないから!」
この後愛華を宥めるのに必死でお陰で気持ちは落ち着いて来た。
愛華をリビングに招き入れお茶をだす。そしてまだお昼を食べていない愛華にデリバリーで愛華の好きなオムライスを頼み遅めの昼食を食べる。愛華が来てくれたおかげでちゃんと食事を摂ることが出来た。
食事が終わると紙袋から愛華はお菓子の箱を出して
「これお土産」
「ありがとう?」
そう言うと私に渡さず包装を開けだした。そして箱を開けて
「咲私アイスコーヒーがいい」
「はいはい」
落ち込んでいる時の愛華のマイペースは反対に有り難い。
お菓子を食べながら旅行の愚痴をこぼす愛華。旦那さんがおっとりしていて、せっかちな愛華はよくイライラする。愛華の愚痴で心も落ち着き笑う余裕も出て来た。
「やっと笑ったね」
「うん。ありがとう」
「何があったの?体調はいいの?」
「うん。もう大丈夫」
「話したくなるまで待つから、ゆっくり話しな」
やっと落ち着き聞く体制をとった愛華に
「うん。まだ全ては話せないけど…ジークさんとの事に区切りをつけて」
「うん」
「色々な事と想いがあって、今はジークさんの想いは受けれないから、お別れ…って付き合って無かったんだけどね」
「今の咲の最良?」
「と決断したけど思いの外辛かった」
じっと私を見据えて私の手を取り微笑んだ愛華が
「日薬だよ。楽しい事していたら辛い気持ちも和らぐわ。ジークさん程では無いけど、咲の心を和らげてくれる男が現れるよ」
「ありがとう。思ってたよりジークさん好きだったみたい」
「なら!」
「LIKEでLOVEには今はならない」
「私には理解できないわ」
頭を抱える愛華に苦笑して
「私も分かってないのに愛華は尚更分かんないよ」
結局愛華に全て話そうと思ったが、話すには祖母の存在を話す事になり、そこまで言える心境にない。だから話すのはまだ無理そうだ。
結局愛華は夕方まで居てくれて、心配して泊まると言ってくれたが断った。自分で乗り越えないとね。
夕方に愛華が帰り日が暮れぼんやり大好きなうさぎの動画を見ていたら母から連絡が入る。心配かけた事を謝り、まだ日記の話が出来そうに無いと話した。すこし声が震えてきた母に代わりいーさんが電話を代わり第一声が
「あの男の求婚を受けたのか?」
「へ?」
「あの男は私が帰った後に、正式に咲ちゃんに求婚すると言っていたんだ」
「そうなんだ…ごめん…お断りした」
「へ?」
反対オーラ満載のいーさんが何故か唖然としている。間髪入れずに「何故だ!」聞くいーさんに真実は言えなかった。
愛華と同じ説明をして何となく納得してもらう。
「父親はどんな完璧な男でも気に入る事はない。だからジークヴァルト君が気に入らなかった。しかし彼は稀ないい男で正直なところ賢斗君ところ同じくらい認めていたんだ」
「そうなんだ…」
いーさんの言葉が妙に嬉しかった。でも…
口籠る私にいーさんは
「咲ちゃんは真面目過ぎるんだ。だから曖昧な気持ちではジークヴァルト君に失礼だと思ったんだろう。残念ではあるが咲ちゃんが決めた事に言う事はないよ」
「ありがとう…いーさん」
この後体調を気つける様に色々注意され電話を切った。この後早めに入浴し片付けて眠った。眠れないかと思ったが沢山泣き体力を使った様ですぐ寝ついた。
翌朝から今まで通りのいつもの生活。朝起きてお弁当を作り洗濯に片付けをして、いつもの時間にバス停へ向かいバス通勤。もうハニーくんもいない。本当に半年前の生活に戻った。刺激も目新しさもないが平凡だが穏やかな日常。
「あんなに望んでいたのになぁ…なんか物足りない。でもその内慣れるだろう」
こうして慣れないなりにぼちぼちとお一人様の生活を過ごしていた。
ジークさんと連絡、接触を断ち1ヶ月を経過した。ジークさん関係の連絡先は削除し連絡は無い。しかし何度か知らない番号から着信が入った。なんとなく見た事ある番号だ。恐らくランディさん。でもゴメン折り返せないわ…
そして更に1ヶ月経った頃にハニー君こと田沢さんからメールが入る。
『愛華さんから話を聞きた。やっぱり俺を選んだって事⁈(笑)とりあえず疲れた肌と身体を癒してあげるから次の金曜日18時半にウチのエステにおいで!ウチ一番のエステシャンに施術させるからさ。あっ!断るメールは受信拒否!わかった?』
一方的なメールに苦笑いし伺うとメールを返した。
強引だけど彼なりに気を使ってくれてくれているのだろう。返事をすると調子に乗ったハニー君は
『夕食も付き合ってね!』
上手いこと釣り上げられてしまったようだ。しかしエステは正直嬉しい。今週はデータ入力が続いていて、肩こりが酷かったのだ。
最近何も予定が無かったので正直嬉しい。先週末に衝動買いしたオーバーサイズのシャツを着て行こう。髪も結んでイメチェン!
エステを受けイメチェンしたら気分一新できるかしら…
こうして週末の楽しみが出来て日常にハリが出る。
そして今日は金曜日。いつもより身なりに気を配り出かけた。珍しく仕事は暇で定時退社する。会社から田沢さんのお店まで徒歩で10分。ゆっくり歩いて10分前にお店に着いた。
入店するとロビーで田沢さんと私と同じ歳くらいの長身の男性が話をしていた。
『タイミングが悪いなぁ…』
と思いながら端のソファーに座ると男性の方が私に気付いたそして田沢さんに何か言い、田沢さんが振り返り歩いてくる。
「ごめんなさい。お話の邪魔しちゃいました?」
「大丈夫ですよ仕事の話は終わってますから」
田沢さんはそう言う私の手を取り男性の前に
「さっき話していた咲さん。咲さん彼は美容室やエステ店に美容関係の商品を入れてくれている崎山さん。彼は俺と同じで経営者だよ」
全く関係ないのに紹介されて慌ててしまう。とりあえず無難に挨拶すると崎山さんは胸ポケットから皮の名刺入れを出して名刺を差し出してくれた。
「お会いできて光栄です。田沢君一押しの女性なのでお会いしたかったんです。今日はいい日だ」
「はぁ…どぅも?」
頭に疑問符をつけた私の腰に手を回した田沢さんが
「なっ!いい女だろ?」
「田沢君咲さんに失礼だ」
「そうよ!失礼です!」
「いったぁ!」
腰元にある田沢さんの手を思いっきり抓ってやった。一瞬離したが懲りない彼の手は離れない。私が嫌な顔をしたから崎山さんが田沢さんを引き離してくれた。
やっと落ち着いたら申し訳なさそうにエステシャンらしき女性が施術の準備か出来たと声をかけてきた。
「じゃー!咲さん綺麗になりましょう」
「えっと…よろしくお願いします?」
エステシャンさんが部屋に案内してくれ付いて行こうとしたら
「咲さん後程」
「のちほど?」
崎山さんが意味の分からない事を言ったので歩みを止めると田沢さんが背中を押して部屋に急かす。私の背中を押す田沢さんのにやけ顔に不安になるが、とりあえず疲れが溜まったこの体をリセットしする事を優先した。
エステは全身コースで頭皮までマッサージされ、秒で寝てしまった。流石店一番のエステシャンさんだ。
「梶井様…梶井様。施術は終了です。最後にヘアメイクを施しますので、あちらのドレッサー前にお移り下さい」
「ふぁ…い」
ドレッサーの前に移動すると別の女性が2人入室して来て、3人かがりで仕上げをしてくれる。
「お綺麗ですわ。社長が喜びますわ!」
「ありがとうございます」
「ではお荷物をどうぞ」
鏡に映る私はもはや別人だ。
『詐欺レベルだわ。プロの技は流石だわ…』
再度施術してくれた皆さんにお礼を言い田沢さんが待つ部屋へ
「咲さん!素晴らしい綺麗だ」
「皆さんの腕がいいから…詐欺レベルに仕上がりました」
「さぁ彼が待っています。食事に行きましょう!」
「彼?」
ウィンクした田沢さんに車に乗せられ食事へ。それより”彼”って誰?
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