上 下
86 / 137

86.ちゅー

しおりを挟む
無事終わったのに陛下何言い出すんですか⁉︎ 機嫌が急降下のローランド殿下とアレックスさん。そして慌てているバルカンさん。この後は夜まで予定は無いけど、バルカンさんは陛下の護衛はいいのだろうか⁈

「私はこの後予定が無いので大丈夫ですが、陛下の護衛は大丈夫なんですか⁈」
「騎士はバルカンだけでは無く問題ない」
「陛下!」
「これは君主としてでは無く親友として言う。バルカン!ちゃんと春香殿に伝えねば後悔するぞ!」
「ジャン…お前は頑固者で言い出したら折れない奴だったなぁ…」

2人のやり取りを見ていてローランド殿下とアレックスさんみたいだと思った。いい関係だなぁ…

「バルカンさん。メリージェーンさんが同席してもいいならお受けします」
「「・・・」」

不機嫌な殿下とアレックスさんだけど駄目とは言わない。基本危険がない限り私の意思を尊重してくれる。それは信用されている様に感じるから嬉しい。
殿下とアレックスさんの元に行き手招きして、屈んでくれた2人の頬にキスをし

「信頼して許してくれてありがとう。次の公務頑張って下さいね」
「「春香!」」

2人に抱きつかれた。筋肉布団は暖かい…

「隣に部屋を用意しさせた。ありがとう春香殿。バルカンしっかり想いを告げて来い」
「陛下と春香様に感謝致します」

殿下とアレックスさんそれとジャン陛下を見送り、バルカンさんのエスコートで隣の部屋に移動する。

こじんまりした部屋にソファーセットがあり、私を座らせ向かいに座るバルカンさん。ジョシュさんは扉外に控えてくれ、メリージェーンさんは部屋の端に控える。

直ぐに女官さんがお茶と入れてくれた。明らかに緊張しているバルカンさん。向かい合い改めて見るとバルカンさんも美形な上に服の上からも凄い筋肉なのが分かる。さすが陛下の護衛騎士だ。
話すきっかけが無くて話題を捜していたらバルカンさんが

「春香様はローランド殿下とアレックス殿と婚姻をお決めになったのでしょうか⁈」
「いえ、恋人以上婚約者未満と言ったところでしょうか…」
「??」

この世界では“両想い=婚約・婚姻”になるようで、恋人期間がほぼない。日本人の私はやっぱり恋人期間は相手との将来を見極めるのに大切だと思っている。

「恐らく私がいた世界と違い理解しずらいと思います。それに元の世界では成人は20歳ですし、10代での婚姻は少なく、私の友人や身近な人でもいなかったんです。ですから婚姻って言われてもイメージできなくて… 殿下やアレックスさんに待ってもらう事になりました。それに私の立場は特殊で一妻多夫を認められています。だからと言って逆ハーレムとか望んでなくてですね…」
「逆ハーレム?」

そっかそんな認識何てこっちには無いんだ。意味を軽く説明したら理解していただいたようだ。

「では、お2人を夫に迎え他との縁は…」
「シュナイダー公爵家ミハイルさんから求婚を受けています。帰国後にお返事する約束をしています」
「その感じではお受けになるのですね…」

頷くとバルカンさんはミハイルさんの話をし出した。前回のレイシャル訪問時に初めて会い物静かな男性としか認識していなかったらしい。急に黙りそして少しの沈黙の後、意を決した様にバルカンさんが聞いてくる

「恐れくお答えいただけないと思うのですが、ミハイル殿は只者ではありませんね」
「なっなぜそう思ったんですか⁈」

あっぶない!声が上ずった。嘘がつけないのよね私…。バルカンさんが言うには騎士で無い貴族男性の剣裁きではないと言う。

「怪力のジャン陛下がミハイル殿の剣を両手受け止めてもギリギリで、あと少しあの状態が続けはきっと陛下はミハイル殿に切られていた。力もさることながら動きに全く無駄がなく、女神の加護を受けられているローランド殿下の様だった」

昔にジャン陛下とローランド殿下が手合わせをした事があり、バルカンさんはその場にいたのでローランド殿下の太刀筋は知っているようだ。

「私は詳しいことは知りませんが、ミハイルさんのお母様が元ゴラスの騎士で、幼い頃から鍛えられていたと聞いていますが」

これで誤魔化せるといいけど…

「貴女を恋う者達は強者ばかりで正直勝てる気がしません。しかしお恥ずかしながら春香様は私が初めて愛おしと想えた女性なのです」
「いや!ヴェルディアには素敵な女性が沢山いるではありませんか⁉︎ 私みたいな幼いちんちくりんなんか…」
「はぁ…貴方はご自分の魅力をご存じない。こんなに愛らしく庇護欲を掻き立てるかと思えば、確固たる意志をもち自立している。本当に素晴らしい女性だ。こんな素晴らしい女性は金輪際で会えない!」
「いや!普通に出会えますから。皆さん。私に対する評価が激甘です」

褒めたたえられ恥ずか死ぬよ!褒め褒め攻撃にタジタジの私を見てメリージェーンさんが隅で笑っている。
視線をバルカンさんに戻すと優し眼差しで見つめられ逃げ出したくなる。あまり交流が無いがいい人なのは分かる。でも…今でも3人から求婚されいて、やって行けるか不安しかないのに… ましてバルカンさんはヴェルディア在住だ。行き来するのに船で2日もかかる。ジャン陛下の片腕のバルカンさんが私と婚姻する為にレイシャルに来るなんて事は無いだろうし…だから現実問題無理である。
もし求婚されたらどうやって断ろうか考えていたら、バルカンさんが手て口元を隠し小刻みに震えている。

「?」
「失礼。春香様は本心を隠せないようですね。私に求婚されたらどうやって断ろうか考えていたでしょう?」
「はい!バルカンさん人の心が読めるんですか⁈」
「いえ、貴女の表情がそう言っているんです。やはり困らせてしまいましたね」

無口なイメージがあったが話し出すと結構饒舌なバルカンさん。バルカンさんはテクルスの啓示を受ける前のアレックスさんに似ている。ジャン王太子が王になる為に尽力し、己の幸せよりジャン王太子を優先してきた。男性の適齢期を過ぎてもジャン王太子の即位まで縁談も女性の告白も全て断って来たそうだ。そこに“珍獣”と遭遇し興味を持ったのだろう。

「ですから、春香様は気にしないで下さい。レイシャルにいらっしゃる貴女との縁は難しいのは私が良く分かっています。貴女を妻にと思う気持ちもありますが、即位した陛下を残してレイシャルに行く事は私には出来ない。貴女も他の求婚者と別れてヴェルディアに来る選択はされないでしょ。貴女がレイシャルではなくヴェルディアに渡ってくれていたら、私は誰にも貴女を渡さない。しかしこれはテクルスがお決めになった事。どれだけかかるか分かりませんが、貴女への想いは思い出になる日は来るでしょ」
「バルカンさん。…水を差す様ですが、もし私が異世界からヴェルディアに来たら多分数分で凍死してしまい、バルカンさんに会うのは難しいかと…」
「ぷっ!」

部屋の隅のメリージェーンさんが下を向いて小刻み震え明らかに笑っている。目の前のバルカンさんはキョトンだ。だって私がこっちに来た時薄いワンピースに裸足だよ。こんな真冬の北海道みたいなヴェルディアに来たら間違いなく凍死っしょ!

「春香様…貴女と言う人は…」
「ジャン陛下が縁談の話をされていましたが」
「はい。リリアン嬢に1つ上の姉上がおられその方から縁談を申し込まれております」
「もしかしてエミリア様?」
「はい。ご存じですか?」
「いえ、お名前だけ」

話を聞くと数年前に家同士で縁談話が出たが、バルカンさんはジャン王太子が王に即位するまで婚姻しないと宣言しお断りしたそうだ。
エミリア様はそれまで待つので婚約だけでもと縁を望んだそうだが、バルカンさんはそれも断りジャン王太子に家臣となった。
どうやらその後エミリア嬢は他の縁談を全て断り、女性の適齢期を超えてもバルカンさんを待っていたそうだ。

「凄い!一途な片思い!」
「私は覚えていないのですが、どうやら彼女がデビュタントの時にしつこく言い寄る男から助けたらしいのです。それからずっと慕ってくれていた様でして…」
「素敵!ラノベの出会いあるあるじゃないですか!」

胸ドキしてきた。もうこれは運命だよ。私なんかによそ見していないでエミリアさんとお見合いしてください。…また卑下するとアレックスさんに叱られるから内緒にしておこう。

「えっと…バルカンさんのお気持ちは嬉しいのですがお応えできません。慕ってくれる女性もいらっしゃるし、貴方のご活躍と幸せをお祈りいたします」
「自分でも納得したつもりですが、正直ショックですね初恋と失恋を同時に経験しました」
「大丈夫です。真面目に生きている人は必ずいい事が起きますから」
「思い出に抱きしめて頬に口付けていいですか…」
「はい。喜んで」

するとバルカンさんは目の前に来て手を差し伸べ、手を重ねると引き上げて優しく抱きしめた。この世界の男性は皆さん鍛えていて胸板が厚くそして温かい。香水を付けているのかいい匂いがして男臭い人がいない。香りでは無いから少し恥ずかしい。バルカンさんは大きなごつごつした手を頬に当てて頬に口付けた。間近で目が合うと何故か嫌な予感がする。近くない?バルカンさんの瞳はキスする時の殿下やアレックスさんの瞳と同じに感じ思わず仰反る。すると背後から

「バルカン殿!それ以上は私が抜刀する事になりますのでお控え下さい」

メリージェーンさんが来てくれていた。やっぱりピンチだった?
バルカンさんは慌てて謝罪されそれをお受けした。こうして少し後味が悪くなったがバルカンさんとの面会を終えて部屋にもどる。

退室の挨拶をして部屋を出るとジョシュさんが待っている。やっと皆んなで部屋に帰ります。ジョシュさんはニヤニヤしながら見てきます。どんな話をしたのか興味津々みたい。誰か聞いているか分からないから

「部屋でしか話さないよ!」
「ならば早く戻ろう!春香ちゃん抱いて歩こうか⁈」
「!」

メリージェーンさんの表情から私が何かしたと思っているジョシュさんは楽しげだ。昨晩ハンナ王女との事を揶揄い過ぎたかなぁ…仕返しされてる感が!

やっと部屋に戻り楽な服に着替えます。着替えが終わり部屋に行くとニヤニヤ顔のジョシュさんと険しい顔のメリージェーンさんが待ち構えている。こっここは説教部屋⁈
ソファーに座り一息吐くとやっぱりメリージェーンさんから注意を受ける。

「以前から感じていましたが、春香さんは警戒心が無さ過ぎます。譲歩してバルカン殿との最後の抱擁は許されても、頬への口付けはお断りすべきです!」
「頬の”ちゅー” は挨拶じゃないの⁈」
「それは親しい間柄のみで、好意のある者にすれば誤解を与えますわ!」

そうなんだ。皆さん頬にちゅーしてくれるから、てっきり挨拶なんだと思っていた。

「春香ちゃん!”ちゅー”とは口付けの事?」
「はい。私の世界では若い人が軽くする口付けを”ちゅー”と言います。”ちゅー”の次は”キス”かなぁ」

“ちゅー”と言う言い方が気に入ったのか、更に質問してくるジョシュさん。

「じゃージョシュさん。好きな人に”口付けを下さい”と言われるのと、”ちゅーして”とどちらが可愛い?」
「”ちゅー”て響きは愛らしく感じ、いやらしく聞こえないね。俺は好きだなぁ…」

ジョシュさんは誰を想像しているのかなぁ⁈分かってるけど!ふとメリージェーンさんが視界に入ると、両手で頬を押さえて真っ赤な顔をしている。

「メリージェーンさん?」
「そんな表現があるなんて知らなかったですわ!彼に言ったら何と言うでしょうか⁈」
「可愛いって言うと思うよ」
「まぁ!どうしましょう!」

護衛の2人は”ちゅー”に翻弄されている。このままバルカンさんにキスされそうになった事を忘れて欲しい。だって殿下とアレックスさんにバレたら説教で多分済まない。この調子で”ちゅー”談義でバルカンさんのキス未遂を忘れてもらえたと安心していた。しかし後に殿下とアレックスさんにバルカンさんとの事を暴露される事になった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」  行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。  相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。  でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!  それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。  え、「何もしなくていい」?!  じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!    こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?  どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。  二人が歩み寄る日は、来るのか。  得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?  意外とお似合いなのかもしれません。笑

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

当て馬の悪役令嬢に転生したけど、王子達の婚約破棄ルートから脱出できました。推しのモブに溺愛されて、自由気ままに暮らします。

可児 うさこ
恋愛
生前にやりこんだ乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。しかも全ルートで王子達に婚約破棄されて処刑される、当て馬令嬢だった。王子達と遭遇しないためにイベントを回避して引きこもっていたが、ある日、王子達が結婚したと聞いた。「よっしゃ!さよなら、クソゲー!」私は家を出て、向かいに住む推しのモブに会いに行った。モブは私を溺愛してくれて、何でも願いを叶えてくれた。幸せな日々を過ごす中、姉が書いた攻略本を見つけてしまった。モブは最強の魔術師だったらしい。え、裏ルートなんてあったの?あと、なぜか王子達が押し寄せてくるんですけど!?

処理中です...