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43.馴れ初め
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「春香ちゃんにふられた日ヤケ酒をしてさ! 父上が相手をしてくれ色々話してくれたんだ」
「ヤケ酒?」
ジョシュさんはフラれたからもう妻は娶らない独身を通すとレイモンド様に宣言したらしい。ずっと黙ってジョシュさんの話に耳を傾けていたレイモンド様が
「春香は勿論可愛く素敵な女性だが、他にも素晴らしい女性はいるぞ」
「ゴラスの女性は母上の様な気が強く可愛げ毛のない女性ばかりだ…いてっ!」
ジョシュさんの頭に拳骨を落とすレイモンド様。
「お前はまだ青い!」
「痛いよ父上!だって母上の何処に可愛らしさがあるんだよ! 父上もどうせ公爵同士の政略結婚だったんだだろう?」
握り拳を再度振り上げたレイモンド様は溜息を吐き、ゆっくり手を下ろしアビー様との馴れ初めを話し出したそうだ。
初めて会ったのは付き合わせの場。半ば婚約は決まっており、とりあえずの顔合わせだったらしい。付き合わせでのアビー様は美しくレイモンド様は好感を持った。そして婚約が決まりアビー様はシュナイダー公爵家に住む事に。公爵邸に移り住んだアビー様はドレスは着ずスラックスにブラウス姿。騎士団と朝練をし半ば男性と同じ様に振る舞う。そんなアビー様にレイモンド様は興醒めしたそうだ。
アビー様は婚約前のゴラスでは王女の護衛騎士でゴラスでも有数の剣の使いなのは知っていた。分かっていた筈なのにレイモンド様はこれでは男を娶ったみたいだと落胆した。そして先代の公爵様に婚約破棄を申し出た。
その時に先代の公爵様から今のジョシュさんと同じ様に
「お前は青い。アビー嬢の本質を何一つ見ていない。そんなお前はどんな令嬢を妻にしても同じだ」
先代の公爵様はそう言い放ち解消は許可しなかったそうだ。
それからレイモンド様はアビー様を注視する様になった。そんなある日夜たまたまアビー様の部屋の前を通ると扉の前に座り込むアビー様。
声を掛けると明らかに様子がおかしい。部屋に入らない理由を問い詰めると顔を赤らめ恥ずかしそうに
「部屋に鼠が出て怖くて入れないのです」
と。レイモンド様は驚く。シュナイダー公爵家に来て数ヶ月。騎士と同じように振る舞い、虫や蛇が出ても笑いながら駆除していたアビー様が鼠が怖いと震えていた。
レイモンド様は駆除の為アビー様の許可のもと部屋に入室すると驚愕する。
部屋は可愛物が溢れていた。うさぎのぬいぐるみに綺麗なショールそして花が沢山飾られていた。それは正にレイモンド様がイメージしていた女性の部屋。唖然としていたらアビー様の足元を走る鼠。驚きレイモンド様に抱きつくアビー様。
剣を振るい騎士を打ち負かし男性の様だと思っていたアビー様は華奢な肩に厚みの無い肢体、そして柔らかい花の香りしたそうだ。
震えるアビー様に我にかえり鼠を駆除するレイモンド様。執事を呼び急遽客間を用意させ、客間にアビー様を送り落ち着かせ何故鼠が苦手なのか聞くと、幼少期に昼寝中に耳を噛まれた事ありそれから苦手に。
勝手にアビー様に女性らしさも無いと思い込んでいたと反省し、それかはアビー様をよく見る様になった。
よく見聞きしたら相手を思いやる気遣いやレイモンド様を立てる発言が見て取れ、アビー様に好感を抱いて行ったらしい。
正式に婚姻後にアビー様に何故他の令嬢の様に着飾る事をしないのか聞いたら
「公爵家に嫁ぎ次期公爵になる息子を育てて護らなければならない。それに旦那様の盾になるには着飾っていては護れませんわ」
と笑いながら言ったそうだ。そんなアビー様にレイモンド様は二度惚れしたそうだ。
話を聞いても素直に認められないジョシュさんは
「しかし、父上も妻には常に綺麗で可愛くいて欲しいでしょ!」
「私は毎日可愛いアビーを見れているよ。アビーの可愛さは私だけが知っていればいいし、息子であっても他の男に知ってほしく無い」
「と最後は強烈な惚気話を聞かされたよ」
「素敵な話ですですね!」
レイモンド様の為人が分かる話に感動していたら
「そしてゴラスのハンナ王女との縁組も考えてみろと言われたよ。恐らくハンナ王女も次期女王と責任感が強く本来のご自分を隠されている。王女の為人をキチンと知れば好感を持つかも知れないからまずは向き合えと」
話をするジョシュさんは嫌がっている感じはしない。寧ろ新たな挑戦をしようとしているみたいに感じた。
「父上はハンナ王女との縁は強制では無いから、王女の為人を知ってもなお合わない時は断っていいと言って下さった。それで気楽になり次の付き合わせで向き合う事にしたんだ」
とてもいい表情のジョシュさんを見ていて、憂鬱だった気持ちが軽くなっていき
「ジョシュさんは凄いや!私もちゃんとミハイルさんや殿下と向き合ってみるよ」
微笑んだジョシュさんは席を立ち隣に座り抱きしめて
「お互いちゃんと見極めて幸せを掴もうな!」
「うん。兄様ありがとう…」
今ジョシュさんとも家族になれた気がした。
「ヤケ酒?」
ジョシュさんはフラれたからもう妻は娶らない独身を通すとレイモンド様に宣言したらしい。ずっと黙ってジョシュさんの話に耳を傾けていたレイモンド様が
「春香は勿論可愛く素敵な女性だが、他にも素晴らしい女性はいるぞ」
「ゴラスの女性は母上の様な気が強く可愛げ毛のない女性ばかりだ…いてっ!」
ジョシュさんの頭に拳骨を落とすレイモンド様。
「お前はまだ青い!」
「痛いよ父上!だって母上の何処に可愛らしさがあるんだよ! 父上もどうせ公爵同士の政略結婚だったんだだろう?」
握り拳を再度振り上げたレイモンド様は溜息を吐き、ゆっくり手を下ろしアビー様との馴れ初めを話し出したそうだ。
初めて会ったのは付き合わせの場。半ば婚約は決まっており、とりあえずの顔合わせだったらしい。付き合わせでのアビー様は美しくレイモンド様は好感を持った。そして婚約が決まりアビー様はシュナイダー公爵家に住む事に。公爵邸に移り住んだアビー様はドレスは着ずスラックスにブラウス姿。騎士団と朝練をし半ば男性と同じ様に振る舞う。そんなアビー様にレイモンド様は興醒めしたそうだ。
アビー様は婚約前のゴラスでは王女の護衛騎士でゴラスでも有数の剣の使いなのは知っていた。分かっていた筈なのにレイモンド様はこれでは男を娶ったみたいだと落胆した。そして先代の公爵様に婚約破棄を申し出た。
その時に先代の公爵様から今のジョシュさんと同じ様に
「お前は青い。アビー嬢の本質を何一つ見ていない。そんなお前はどんな令嬢を妻にしても同じだ」
先代の公爵様はそう言い放ち解消は許可しなかったそうだ。
それからレイモンド様はアビー様を注視する様になった。そんなある日夜たまたまアビー様の部屋の前を通ると扉の前に座り込むアビー様。
声を掛けると明らかに様子がおかしい。部屋に入らない理由を問い詰めると顔を赤らめ恥ずかしそうに
「部屋に鼠が出て怖くて入れないのです」
と。レイモンド様は驚く。シュナイダー公爵家に来て数ヶ月。騎士と同じように振る舞い、虫や蛇が出ても笑いながら駆除していたアビー様が鼠が怖いと震えていた。
レイモンド様は駆除の為アビー様の許可のもと部屋に入室すると驚愕する。
部屋は可愛物が溢れていた。うさぎのぬいぐるみに綺麗なショールそして花が沢山飾られていた。それは正にレイモンド様がイメージしていた女性の部屋。唖然としていたらアビー様の足元を走る鼠。驚きレイモンド様に抱きつくアビー様。
剣を振るい騎士を打ち負かし男性の様だと思っていたアビー様は華奢な肩に厚みの無い肢体、そして柔らかい花の香りしたそうだ。
震えるアビー様に我にかえり鼠を駆除するレイモンド様。執事を呼び急遽客間を用意させ、客間にアビー様を送り落ち着かせ何故鼠が苦手なのか聞くと、幼少期に昼寝中に耳を噛まれた事ありそれから苦手に。
勝手にアビー様に女性らしさも無いと思い込んでいたと反省し、それかはアビー様をよく見る様になった。
よく見聞きしたら相手を思いやる気遣いやレイモンド様を立てる発言が見て取れ、アビー様に好感を抱いて行ったらしい。
正式に婚姻後にアビー様に何故他の令嬢の様に着飾る事をしないのか聞いたら
「公爵家に嫁ぎ次期公爵になる息子を育てて護らなければならない。それに旦那様の盾になるには着飾っていては護れませんわ」
と笑いながら言ったそうだ。そんなアビー様にレイモンド様は二度惚れしたそうだ。
話を聞いても素直に認められないジョシュさんは
「しかし、父上も妻には常に綺麗で可愛くいて欲しいでしょ!」
「私は毎日可愛いアビーを見れているよ。アビーの可愛さは私だけが知っていればいいし、息子であっても他の男に知ってほしく無い」
「と最後は強烈な惚気話を聞かされたよ」
「素敵な話ですですね!」
レイモンド様の為人が分かる話に感動していたら
「そしてゴラスのハンナ王女との縁組も考えてみろと言われたよ。恐らくハンナ王女も次期女王と責任感が強く本来のご自分を隠されている。王女の為人をキチンと知れば好感を持つかも知れないからまずは向き合えと」
話をするジョシュさんは嫌がっている感じはしない。寧ろ新たな挑戦をしようとしているみたいに感じた。
「父上はハンナ王女との縁は強制では無いから、王女の為人を知ってもなお合わない時は断っていいと言って下さった。それで気楽になり次の付き合わせで向き合う事にしたんだ」
とてもいい表情のジョシュさんを見ていて、憂鬱だった気持ちが軽くなっていき
「ジョシュさんは凄いや!私もちゃんとミハイルさんや殿下と向き合ってみるよ」
微笑んだジョシュさんは席を立ち隣に座り抱きしめて
「お互いちゃんと見極めて幸せを掴もうな!」
「うん。兄様ありがとう…」
今ジョシュさんとも家族になれた気がした。
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