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第7章  獄窟

第4話  有閑

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 面倒を嫌った俺は、市場や店で確認したが、ズラ何とかの金のツノは出回ってなかった。調べると一七階層の効率がいいようで、地図もそこまでしかなかった。もう、呼ぶのも面倒だ。……ズーラーでいいか。それがいるのは、二〇階層だといっていたな。

 仕方が無いのでダンジョンへ潜る。だから、省エネだ。モンスターとの戦闘もなるべく回避し、最短でのダンジョン攻略中を目指す。

 俺の飛行魔法にもエステラは難なくついてくる。むしろタラリアの方が速いのかもね。彼女には似合う腰の四枚羽も俺が付けたら滑稽だろうな。

 回避不可のモンスターもエステラが見つけ次第、弓で排除してくれて楽ちんだ。

 攻略開始五時間程で目的の二〇階層に到着した。

 おっと! いました。ズーラー。白いヘラジカに似た、金色のツノが二本はえている奴、これだろう。

 ――と。見る間にエステラ先生が討伐してくれた。さすが神器ヴィジャヤさん。見事な一撃だ。今日の俺は何もしてないな。

「――完了」

 少し胸を反らしたエステラが、誇らしげにそう言った。

「ありがとう。エステラ。今日はすることがなかったな」

「――ん!」

 ドロップした金のツノは楽をしていた俺が拾いに行った。

「後は明日の朝一ギルドに届けてその足で出発しよう」

 また何か言いつけられたら面倒だからね。こちらの報告だけ出して、さっさと移動しよう。お偉いさんは重役出勤だから、その時間にはいないだろうしね。

「――エイルミィには寄るの?」

「残念だけど進行方向だった。――寄らないとダメかな?」

「――ギルドにはお世話になったから挨拶したい」

 今日働いたエステラ先生がそう言うなら寄りますかね。まだ若めの色男がギルド長だったところだよね。

「じゃあ。限りなく寄る方向で……」

「――ん!」

 判断に含みを持たせる。偽らざる心の声に耳を傾けた結果だ。

 俺達は転移の柱に触って外に出た。


§


「――何だって? ズラトロクのツノが朝一納品された? はっ? 嬢ちゃんと坊主は? もう街を出た……。ん? 警備員から昨日五時間ダンジョンに入っていたと報告有り?」

 ティラナータのギルド長は笑い出す。新鋭の実力に。

「エイルミィのユスティスに連絡。課題の難易度を上げるよう提案しな」





 ――三日後

 到着しました。目的の都市。エル何とか。ここでもエステラは大人気。この何をしたんだ? 冒険者は概ねザワついている。そんで、俺はいつものように睨まれる。……離れて歩こうかな。

「もう昼下がりだし。宿の手配しておこうか」

 俺達はちょっと寄り道したので、街に入るのが遅くなった。

「――ギルドには顔を出す?」

「うーん。顔だけで済めばいいけどね」
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