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第6章  罪咎

第67話  配膳

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 俺は六〇を超える本シメジの網焼きと格闘中。両手を使ってひっくり返してゆく。面倒だ。魔法でえいやっと。一気にひっくり返し、ゴブリンから万雷の拍手をもらった。

 そうして全ての料理が整った。

 配膳用のトレーを積み上げ、食器も用意する。集うゴブリン達を見回して、俺は声を張った。

「トレーをもって順番に回って下さい」

 担当の配置は炊き込みご飯がクラーラ。鍋がエステラ。そして俺はトングを両手持ちでスタンバイだ。

 ゴブリンは子供達から並び最後がホブゴブリンの順番だ。これも仕来り、弱気を助け、強気が見守る。見習いたい文化だね。

 トレーに炊き込みご飯と水炊きもどきが載ったゴブリンの子供が俺の前に来た。積んでおいた皿をトレーに載せるように促す。そこへ俺は焼き上がった本シメジの丸焼きを左のトングで皿に盛る。

「ねぇ。ねぇ。その黄色いのは、なんなの?」

 ゴブリンの子供が、クリクリ、キラキラのまん丸お目々で、伸びあがるように尋ねてくる。

 これかい? ふふん~! ちょっと豪華に、ものを用意した。

「――――錦糸卵。薄く焼いた卵を切ったものだよ。これを炊き込みご飯にのせるんだ」

 そう言って右のトングでのせてあげる。

「えっ? 卵なの? 卵が食べられるの? やったー」

 小躍りするように、腰をブンブンと振り、汁が零れそうだよ。これは、ゴブリンが嬉しい時にする仕草だ。エルフの森でもゴブリン達が同じようにしていた。

「嬉しいなら、もっとのせるか?」

 一瞬きょとんとした後。ゴブリンの子供は、頭をヘッドバンキングのように動かした。俺はその頭が外れる前に、笑って追加分をのせる。もう米が見えないくらいだよ。それから全員が錦糸卵のおかわりを希望した。

 ここでも卵は貴重らしい。神武かみたけさん様々だね。
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