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第6章  罪咎

第56話  殺気

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 ゴムリンの村を束ねるおさは、用心の為に遠回りをして人間同士の戦場を迂回してきた。

(危険だが。安全を確認する為には、あの場所まで行かなければ判断出来ない)

 長は闘鬼を纏い集落から外縁へと通じる路を戻る。

~~~

 気配を探りながら慎重に歩みを進める。その場所に近づくと増えてゆく薙ぎ払われた巨木。甚大に広がるいくつもの焼け跡。昨日までの森と同じ場所とは思えない程の変わりようだ。

 そして森を貫き地面を削った終わりの見えない真っ直ぐな破壊跡。

(一体何が起きたのだ……)

 その直線の終わりは焼け焦げて不自然に開けた大地。――そして。




 俺は人の気配を感じ目が覚める。どうやら。またいつの間にか飛んでいたようだ。樹を背もたれに休んでいたが、寝たというより意識を失った感が強い。

 俺が感じた気配の正体はホブゴブリン。俺の感知魔法の感触では、ジョシュアさんとの戦闘で最後まで近くにいた個体だ。

 『妖精さん』の攻撃で生まれた直線から、『集束くん』の連発で開けたこの場所へと出てきた。

 ゴブリンと人間は争う事が多い。穏便に済めばいいんだが。闘鬼を纏って緊張感はビンビンだ。

 俺は敢えて立ち上がらずにその場で手を振って存在を知らせる。座ったままなのは失礼かもしれないが、普通は座った状態から攻撃は出来ない。害意が無い事を先に示す為だ。

 まぁ。俺の場合やりようはあるが。

 ホブゴブリンが張らなくても声が届くギリギリまでやって来る。

「座ったまま失礼します。害意が無い事を示す為にこうしています。不快に思われたなら謝罪を。――手紙は受け取って貰えましたか?」

 モルト。お前の仕事が完璧なのは知っている。悲しい顔をするな。疑った訳じゃ無い。言葉の綾だ。

「あの文はお前からか。事態が収束したと書かれていたが、どう収まったのか確認したい」

 帝国って言って伝わるのかな? 寧ろ人間からの攻撃行動と受け取られかねないから悪手か。国によってというよりも、種族からと見られるからな。

「何かの原因で黒狼が混乱暴走しました。それをジョシュアさんが倒して収めましたが、その混乱の原因は倒した者に乗り移る特性があり、今度はジョシュアさんが混乱暴走状態となりました。そして、ジョシュアさんが亡くなり。……俺が殺して混乱は収まりました」

「……殺した。我らの友人を?」

 ホブゴブリンから殺気が立ち昇る。これも俺が請け負う責任の一部だ。そしてジョジュアさんの人徳が成した結果だ。誹謗中傷大いに結構。それだけの事をしたのだから。

「はい。私が彼を殺しました」
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