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第1章  伏龍

第53話  二連

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 レオさんには俺チョイス! 


 ――仙台の名店ド定番! 一隆の牛タン焼定食八切だ。

 厚い牛タンが脂にまみれて匂い立っている。

 そして半透明の茶色のテールスープ。細切りのネギの隙間からゴロっとしたテールの塊が二つ。

 一隆よりでかい具のテールは見たことが無いんだぜ。

 最後に自分の分だ。

 今日は口が、既にがもうの揚げトッピングになってるからな。

 サクっと呼び出して着席する。

 全員が食前の祈りをささげて食べ始める。

 今回はちょっと見てよう。

 うどんはそんなに早く伸びないしな。

 司書長が出汁を飲んで前回との違いに気づいたみたいだ。

 がもうの揚げは甘く煮てあるから風味がちょっと変わるんだよね。

 パオラさんが一口サイズにナイフで切ったチキン南蛮を恐る恐る口に入れる。

 噛みしめて驚いたような顔をして直ぐごはんにいった。
 
 えぷろん亭のチキン南蛮は柔らかくてジュ-シーなんだぜ。

 とろっとしたタルタルでごはんが欲しくなる。

 良し!! これでジャンボちゃんは回避決定だな。

 レオさんは――なんか目をつぶって味わってる? 五感を遮断して味に集中してるの?

 まぁ。食べ方に口出しはしないけど。

 ……後でそれの技名だけは聞いておこう。クスクス。
 
 エルフの方々も問題なさそうだな。お揚げも食べてるみたいだし、そろそろ俺も食べ始めるか。

「いただきます」

 とんぶりを持ち上げ出汁を吸う。素うどんと違ってお揚げの匂いが混ざったいい香りだ。

 出汁の味も少し甘味と油が足されて変化している。
 
 そうそうこれこれ! がもうと言ったらこっちが王道!

 すかさずうどんをたくし上げる。ズビビビ。

 うどんを飲み込んだら、お揚げをガブリッ甘辛い汁で煮られたお揚げがたまらん!

 すぐにうどんにいきたくなる。

 ――あっという間に完食だ。

 お揚げ入れると出汁は全部飲みたくないな。ちょっと残った。

 最後に食べだしたけど、また最初に食べ終わった。

 パオラさんはナイフで一口サイズに切り分けたら、お箸に持ち替えて食べ始めた。

 でもそのペース配分だとごはんが先になくなりますよ。

 ……さては! パンと一緒に食べるつもりか。。。

「レオさん。久々の牛タンはどうですか?」

「見た目は似てるのに全然違うな。付け合わせの野菜からしても違うのが分かる。今日のスープの方が塩味を感じるが、どちらが優れているというのではなくどちらもとても旨い。やはり牛タンは完成された料理だ」

「目を瞑って食べてましたがどうかしましたか?」クスクス。

「あぁ。目を瞑ると歯ざわりと香り、味の輪郭が鮮明になる。これからは一枚目はそうして食べるつもりだ」 

 え? ――続けんの? じゃぁ。止めませんね。

 あっ! パオラさんが、パンに手を出し始めた。

 イーディセル師が食べ終わって話かけて来る。

「ノア殿。昨日のうどんも美味しかったが、今日のうどんも格別です。上にのっていた茶色のものが非常に美味しかった。あれは何ですか?」

「油揚げと言うものです。お口に合って何よりです」

 タンパク質は体が本能的に欲するというしエルフの口に合ってよかった。

現世ここでも食べられるようになりますか?」

「はい。いずれ昨日の料理人達が作れるようにしたいと思っています」

「それでは、それを楽しみにしています」

 そう言ってイ-ディセル師はにっこりと微笑んだ。

 さて、俺も準備をするか!

 今日は初の勉強会を記念してデザート付きだぜ! でもあんなに食ってパオラさんデザート食えるかな?

 こうなることなら事前に伝えておけばよかったか?

 このままだと、この間みたいに親の仇を打ちに行くことになるぞ。

 あっ! また新たなパンに!

 ――食べられなければ、後で渡そう……。じゃないと、きっと般若が現れる。。。

 今日は特別にちょっと大人贅沢な食べ比べを用意する予定だ。

 いくぜ! ――――いでよ!
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