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第1章 伏龍
第45話 面接
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パオラさんと一緒に孤児院へ行くと着くなり下にも置かない歓待ぶりで、すごい勢いで一番偉い人が出て来た。
司書長の寄付金はパオラさんが納付に来るそうだからそりゃそうなるわ。
一通りの挨拶を済ませて本題を告げる。俺達はお礼を言って孤児院の厨房へと移動した。
孤児院の厨房からマルティンさんの声が聞こえてくる。
「アル! 芋の皮むき随分上手くなったじゃねぇか! みんな嫌になるほど芋を剥いて包丁の扱いを覚えるんだ。どんな仕事に就くにしろ、神様からもらった料理人っつう職業は人を幸せにする立派な生業だ。誇りをもって生きるんだぞ!」
俺も同感だぜマルティンさん。俺達はその場へ近づく。
「ん? パオラ様。坊。どうしたんですかい」
「ノアくんからお話があるそうよ」
「はい。実は店舗の準備が出来たので有望な料理人を勧誘しに来ました」
「ほ、本当かよ? 昨日の今日で? もう?」
「はい。パオラさんに手伝ってもらいました」
「あたしは案内しただけよ。決めたのはノアくんよ」
「坊。何人ぐらい雇えんだ?」
「その辺りも含めて面談したいんです。皆さんの来年の退院まで研修がてら営業したいと思います」
「わかった。宜しく頼む。おい! アルバロ。クレト。エステラ。ビビアナ。クローエ。こっちへ来いっ!」
男の子二人と女の子三人が寄って来る。
「初めましてノアと言います。今度料理店と野菜の直売所を併設した店舗を開店予定です。マルティンさんから前途有望な料理人達が居ると聞いてやって来ました。少しお時間を頂いてお話を伺っても良いでしょうか?」
「おいっ! 一人ずつ自己紹介してみろ」
マルティンさんがそう促すと、色黒のこげ茶髪の男の子が自己紹介する。
「俺はアルバロだ。職業は料理人だ」
色白の背の高いくすんだ金色髪の男の子が続くように言った。
「初めまして。僕はクレトと言います。職業は料理人です」
次にそばかすの短い金髪の女の子が口を開く。
「あたし。エステラ。――料理人」
ポニーテルの赤髪の女の子が続いて自己紹介をした。
「ビビアナよ。よろしくね。あたしも料理人よ」
色白で青黒い髪の女の子が自己紹介する。
「はじめまして。クローエです。パン職人です」
俺はそこから一人ずつ話を聞いた。そして前向きな料理店で働きたいとの言葉を受け、全員を試験採用する事を決定した。
早速。明日の午後13:00から店舗で料理研修を実施する。
今日の午後は髭おっさんの錬金講座に出席だ。
◇
――――翌朝。
いつものように部屋でモルトと戯れて、チャム、カロを連れて畑へ行く。
今日のモルトは俺の左腕にしがみついて付いてくる。ちょっとかまってちゃんな日だな。
あれ? トウモロコシが……生ってねぇな? どうして?
アイテムボックスを見ると――おや? 入っている。
……十五本? ……五本のはずじゃ?
何故かモルトがジッと俺を見てくる。
――ん?
「収穫してアイテムボックスに入れてくれたのはモルトなの?」
モルトくん。にっこりと微笑んで、いつものエッヘン顔になる。
「えらいなぁモルト! お前ぇ~凄いねぇ! そんなこと出来るのぉ!」
三角帽を取って可愛がりだ! 猫っ毛をワシャワシャ!
身体強化を使って最大値で高い高いをしてやろう。
20mくらいは飛ばせるかな?
モルトは飛べるし大丈夫だろ!
いくぞ! モルトロケット発射! Go!
ラ――――――――♪
すごい勢いで20m上がりそのまま50mぐらいまで飛び上がった。
なんかラ――――って嬉しそうに叫んでる。
モルト。お前そんな高さまで飛べるのか。スゲーな。
ゆっくり降りてきて、もう一回のおねだり。
自分の飛ぶスピードより勢いがあるからハマったらしい。
……十回はやったな。今のモルトはご機嫌で鼻歌歌ってる。
「モルト。アイテムボックスから出すことも出来るか?」
試してみると出し入れ自由だ。距離は10mくらいまでかな?
こうなると本当に俺のすることが何にもない。
トウモロコシは五株しか三〇倍育成かけていない。だから、一株から三個のトウモロコシが採れたって事だね。
一つのトウモロコシで通常一本の収穫が普通だ。
あとは間引きしてベビーコーンで食べるのだが、とれたてのベビーコーンは実はもちろん、髭まで甘いんだぜ。
それがしっかり三本も実が付いて皮の上から触っても上までぎっしりだ。
すると今度は、いつもはおとなしいカロが俺の顔の前で謎のアピール。
ウザイ動きで一人チュチューなトレイン状態だ。
なんだ? とジッと見つめると収穫し終わったとうもろこしに近づき光り出す。
真っ青な茎が枯れて分解されてあっという間に黒い腐食状のたい肥になった。
そうだな。チャムは水遣りモルトは収穫と水遣りで、カロお前はやることなかったからな。
やっとの出番でテンションが上がったのか。
よし――――お前にも高い高いの栄誉を与えよう。
俺はカロをむんずと捕まえて空に向かって力いっぱい放り撫げた。
かなり高くまで飛んで行ったカロは、ゆっくり戻ってくると、何事も無かったかのように。いつもの定位置に留まった。
あれ? ――――スベッた?
――――なんかすまん。カロ。
司書長の寄付金はパオラさんが納付に来るそうだからそりゃそうなるわ。
一通りの挨拶を済ませて本題を告げる。俺達はお礼を言って孤児院の厨房へと移動した。
孤児院の厨房からマルティンさんの声が聞こえてくる。
「アル! 芋の皮むき随分上手くなったじゃねぇか! みんな嫌になるほど芋を剥いて包丁の扱いを覚えるんだ。どんな仕事に就くにしろ、神様からもらった料理人っつう職業は人を幸せにする立派な生業だ。誇りをもって生きるんだぞ!」
俺も同感だぜマルティンさん。俺達はその場へ近づく。
「ん? パオラ様。坊。どうしたんですかい」
「ノアくんからお話があるそうよ」
「はい。実は店舗の準備が出来たので有望な料理人を勧誘しに来ました」
「ほ、本当かよ? 昨日の今日で? もう?」
「はい。パオラさんに手伝ってもらいました」
「あたしは案内しただけよ。決めたのはノアくんよ」
「坊。何人ぐらい雇えんだ?」
「その辺りも含めて面談したいんです。皆さんの来年の退院まで研修がてら営業したいと思います」
「わかった。宜しく頼む。おい! アルバロ。クレト。エステラ。ビビアナ。クローエ。こっちへ来いっ!」
男の子二人と女の子三人が寄って来る。
「初めましてノアと言います。今度料理店と野菜の直売所を併設した店舗を開店予定です。マルティンさんから前途有望な料理人達が居ると聞いてやって来ました。少しお時間を頂いてお話を伺っても良いでしょうか?」
「おいっ! 一人ずつ自己紹介してみろ」
マルティンさんがそう促すと、色黒のこげ茶髪の男の子が自己紹介する。
「俺はアルバロだ。職業は料理人だ」
色白の背の高いくすんだ金色髪の男の子が続くように言った。
「初めまして。僕はクレトと言います。職業は料理人です」
次にそばかすの短い金髪の女の子が口を開く。
「あたし。エステラ。――料理人」
ポニーテルの赤髪の女の子が続いて自己紹介をした。
「ビビアナよ。よろしくね。あたしも料理人よ」
色白で青黒い髪の女の子が自己紹介する。
「はじめまして。クローエです。パン職人です」
俺はそこから一人ずつ話を聞いた。そして前向きな料理店で働きたいとの言葉を受け、全員を試験採用する事を決定した。
早速。明日の午後13:00から店舗で料理研修を実施する。
今日の午後は髭おっさんの錬金講座に出席だ。
◇
――――翌朝。
いつものように部屋でモルトと戯れて、チャム、カロを連れて畑へ行く。
今日のモルトは俺の左腕にしがみついて付いてくる。ちょっとかまってちゃんな日だな。
あれ? トウモロコシが……生ってねぇな? どうして?
アイテムボックスを見ると――おや? 入っている。
……十五本? ……五本のはずじゃ?
何故かモルトがジッと俺を見てくる。
――ん?
「収穫してアイテムボックスに入れてくれたのはモルトなの?」
モルトくん。にっこりと微笑んで、いつものエッヘン顔になる。
「えらいなぁモルト! お前ぇ~凄いねぇ! そんなこと出来るのぉ!」
三角帽を取って可愛がりだ! 猫っ毛をワシャワシャ!
身体強化を使って最大値で高い高いをしてやろう。
20mくらいは飛ばせるかな?
モルトは飛べるし大丈夫だろ!
いくぞ! モルトロケット発射! Go!
ラ――――――――♪
すごい勢いで20m上がりそのまま50mぐらいまで飛び上がった。
なんかラ――――って嬉しそうに叫んでる。
モルト。お前そんな高さまで飛べるのか。スゲーな。
ゆっくり降りてきて、もう一回のおねだり。
自分の飛ぶスピードより勢いがあるからハマったらしい。
……十回はやったな。今のモルトはご機嫌で鼻歌歌ってる。
「モルト。アイテムボックスから出すことも出来るか?」
試してみると出し入れ自由だ。距離は10mくらいまでかな?
こうなると本当に俺のすることが何にもない。
トウモロコシは五株しか三〇倍育成かけていない。だから、一株から三個のトウモロコシが採れたって事だね。
一つのトウモロコシで通常一本の収穫が普通だ。
あとは間引きしてベビーコーンで食べるのだが、とれたてのベビーコーンは実はもちろん、髭まで甘いんだぜ。
それがしっかり三本も実が付いて皮の上から触っても上までぎっしりだ。
すると今度は、いつもはおとなしいカロが俺の顔の前で謎のアピール。
ウザイ動きで一人チュチューなトレイン状態だ。
なんだ? とジッと見つめると収穫し終わったとうもろこしに近づき光り出す。
真っ青な茎が枯れて分解されてあっという間に黒い腐食状のたい肥になった。
そうだな。チャムは水遣りモルトは収穫と水遣りで、カロお前はやることなかったからな。
やっとの出番でテンションが上がったのか。
よし――――お前にも高い高いの栄誉を与えよう。
俺はカロをむんずと捕まえて空に向かって力いっぱい放り撫げた。
かなり高くまで飛んで行ったカロは、ゆっくり戻ってくると、何事も無かったかのように。いつもの定位置に留まった。
あれ? ――――スベッた?
――――なんかすまん。カロ。
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