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『第一章』勇者召喚に巻き込まれてしまった件について。
ギルド登録。
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「はい、おしまい! どれだけ話を聞くのよ! 私達は雑談しに来たわけじゃないの!」
シリアさんはパン! と手を鳴らした。そのおかげでマスターの質問攻めは終わってくれた。ずっと喋っていたから喉が渇いてしまった。
「はい、これ」
俺が飲み物を探していると、飲み物が入った筒を渡してくれる。「ありがとうございます」と感謝をしながら受け取りそれを飲み干す。
中は水だった。そういえば、この世界は生水って飲んでもいいのだろうか? 旅をするのならその辺りの知識も仕入れておかないとな⋯⋯
「なるほどなぁ⋯⋯今回の勇者様も女なのか。それでも聞いてるだけでもかなり強そうだ。ははは、今回は期待出来るな!」
マスターは大きな笑い声を上げる。それとは別に俺は今の言葉に引っかかるところを覚える。
「前の勇者も女の人だったんですか? それに、今回はって⋯⋯」
「あぁ、まだ聞いてなかったのか。千年前の話だから俺も詳しくは知らないけどよ⋯⋯前の勇者様であるユウナ様は魔王に負けてこの世界を去ったと聞いてるんだ」
「いや、私は魔王を倒して、天界へと連れて行かれたと聞かされました」
「ははは、天界なんざあるわけねぇだろ! そんな事を言ってるのは教会のやつらだけだ!」
マスターとダインさんは前回の勇者役について話をしていく。俺は、色々な伝承があることに違和感を感じた。
その違和感が何かはわからない。多分まだ情報が足りていないせいだ。今わかったのは人の側で得られる情報は信憑性が無いということだけだった。
「ところで、坊主はギルドに登録していくのか?」
「一応、入る事に対するメリットと、規約とかを教えてもらっていいですか?」
入っても変わらないのだったらどこかに縛られるのは得策ではない。
「メリットか、何がメリットかは人によって違うと思うが⋯⋯坊主は何が目的でギルドに入るつもりだ?」
「お金が欲しいです」
俺は即答する。その迫真の回答にマスターは大きく笑った。
「がっはっはっは! そりゃウチに入るべきだ! そうだな、坊主には今回のベイトの件で迷惑を掛けたからな⋯⋯迷惑料込みで買い取りの値段を一割アップでどうだ?」
「なるほど一割⋯⋯規約の方は?」
「ギルドの仲間と喧嘩しない、それとお前に言った通り一般人に迷惑をかけない。後はクエストに失敗し続けるとランクダウンだな。ランクによって受けれるクエストも違うから上げるのを頑張ってくれ」
思ったより緩いな、これなら登録してみるか。
「わかりました。じゃあ登録します」
「保証人は私がなるわ」
シリアさんが俺の後に続く。保証人?
「わかった、じゃあ職業鑑定やステータスチェック、試験とかは免除させてもらう」
「シリアさん、ありがとうございます(あぶねぇ! うっかり職業鑑定されてたら詰んでたぞ! マジでシリアさんありがとう!)」
俺は知らないうちにシリアさんに助けてもらっていた。職業鑑定って聞いてから断るのも怪しいし、魔物使いって名乗ってしまった以上、断る理由も作れない。
「いいわよ、レオ君の事信用してるから」
そう言って、シリアさんはウィンクをする。それを見て俺は胸が痛んだ。
(こんなに俺の事を気にかけてくれてるのに、俺は⋯⋯シリアさんに本当の事を話せない)
こんな嘘つきを信用しないでほしかった。仲良くなって心をかき乱さないでほしかった。
誰とも関わらなければよかった。だって、俺は何も返すことは出来ない。俺は自分を偽りながらこの世界を生きていくしかないから。
シリアさんはパン! と手を鳴らした。そのおかげでマスターの質問攻めは終わってくれた。ずっと喋っていたから喉が渇いてしまった。
「はい、これ」
俺が飲み物を探していると、飲み物が入った筒を渡してくれる。「ありがとうございます」と感謝をしながら受け取りそれを飲み干す。
中は水だった。そういえば、この世界は生水って飲んでもいいのだろうか? 旅をするのならその辺りの知識も仕入れておかないとな⋯⋯
「なるほどなぁ⋯⋯今回の勇者様も女なのか。それでも聞いてるだけでもかなり強そうだ。ははは、今回は期待出来るな!」
マスターは大きな笑い声を上げる。それとは別に俺は今の言葉に引っかかるところを覚える。
「前の勇者も女の人だったんですか? それに、今回はって⋯⋯」
「あぁ、まだ聞いてなかったのか。千年前の話だから俺も詳しくは知らないけどよ⋯⋯前の勇者様であるユウナ様は魔王に負けてこの世界を去ったと聞いてるんだ」
「いや、私は魔王を倒して、天界へと連れて行かれたと聞かされました」
「ははは、天界なんざあるわけねぇだろ! そんな事を言ってるのは教会のやつらだけだ!」
マスターとダインさんは前回の勇者役について話をしていく。俺は、色々な伝承があることに違和感を感じた。
その違和感が何かはわからない。多分まだ情報が足りていないせいだ。今わかったのは人の側で得られる情報は信憑性が無いということだけだった。
「ところで、坊主はギルドに登録していくのか?」
「一応、入る事に対するメリットと、規約とかを教えてもらっていいですか?」
入っても変わらないのだったらどこかに縛られるのは得策ではない。
「メリットか、何がメリットかは人によって違うと思うが⋯⋯坊主は何が目的でギルドに入るつもりだ?」
「お金が欲しいです」
俺は即答する。その迫真の回答にマスターは大きく笑った。
「がっはっはっは! そりゃウチに入るべきだ! そうだな、坊主には今回のベイトの件で迷惑を掛けたからな⋯⋯迷惑料込みで買い取りの値段を一割アップでどうだ?」
「なるほど一割⋯⋯規約の方は?」
「ギルドの仲間と喧嘩しない、それとお前に言った通り一般人に迷惑をかけない。後はクエストに失敗し続けるとランクダウンだな。ランクによって受けれるクエストも違うから上げるのを頑張ってくれ」
思ったより緩いな、これなら登録してみるか。
「わかりました。じゃあ登録します」
「保証人は私がなるわ」
シリアさんが俺の後に続く。保証人?
「わかった、じゃあ職業鑑定やステータスチェック、試験とかは免除させてもらう」
「シリアさん、ありがとうございます(あぶねぇ! うっかり職業鑑定されてたら詰んでたぞ! マジでシリアさんありがとう!)」
俺は知らないうちにシリアさんに助けてもらっていた。職業鑑定って聞いてから断るのも怪しいし、魔物使いって名乗ってしまった以上、断る理由も作れない。
「いいわよ、レオ君の事信用してるから」
そう言って、シリアさんはウィンクをする。それを見て俺は胸が痛んだ。
(こんなに俺の事を気にかけてくれてるのに、俺は⋯⋯シリアさんに本当の事を話せない)
こんな嘘つきを信用しないでほしかった。仲良くなって心をかき乱さないでほしかった。
誰とも関わらなければよかった。だって、俺は何も返すことは出来ない。俺は自分を偽りながらこの世界を生きていくしかないから。
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