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『第一章』勇者召喚に巻き込まれてしまった件について。
能力確認、現状把握。
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「こちらがレオ様の部屋となっています」
ある扉の前で初老の男は止まり、そう言った。
「私の名前はジャミルと申します。何か御用でしたら私を呼びつけてください」
そう言い残し、初老の男は頭を下げてから去っていった。俺はその背中を見送った後、扉を開ける。
部屋の仲は簡素な物だった。石畳の床にタンスとベッド、それと机が備え付けてあるだけだ。
俺はベッドに座り、制服の上着を脱ぐ。カバンはこちらの世界に来たときに落としてしまったみたいでいつの間にか消えていた。
「ふぅ⋯⋯疲れた⋯⋯」
大きく息を吐き、そのままベッドに横たわる。元の世界とは違い硬いベッドは地面の上で寝転がっているのと変わりなかった。汚れるか汚れないかの差だけだ。
(今、あっちはどうなってるんだろ⋯⋯俺、生きて戻れるのかな⋯⋯)
両親の事が脳裏をよぎる。それを振り払う為に頭を振った。
「ステータスオープン」
俺は寝転びながら天井目掛けて手をかざし、ステータスプレートを開く。
弱気になるのは死ぬ前だけでいい。今は対策を立てる時だ。思考を止めれば死ぬぞ。
まずは自分の能力を確認しなければ。とりあえず、ステータスはと⋯⋯
「うわっ! なんだこれ⋯⋯」
ステータス欄は力、素早さ、身の守り、賢さなどよくあるRPG風な設定となっている。
そして、我が職業である魔王の能力はというと⋯⋯
「オールE? マジかよ⋯⋯」
魔王なのに弱すぎるのではないだろうか? これでは、力で捻じ伏せるのは無理になった。というか、これじゃ勇者に勝てないし歴代の魔王はどうやって戦ってたんだ?
まさか、俺だからじゃないよな? そうだったら泣くぞ。
「スキルに期待するしかないか」
俺はスキル欄をタッチする。すると色々なスキルと能力の説明が出てきた。
その一番上に置かれていたスキル名、それは『超回復』だった。
「あー、これのおかげか」
暗闇の世界で俺は喋れなくなるまで舌を噛んでいた。多分千切れていたんじゃないかな? それがこの世界に来てから痛みを感じなくなっていた。
説明を読んでみると死んでなければ三日で全回復するらしい。なんて便利な能力なんだ。
俺は舌を伸ばして確認してみる。歯型がついているはずの舌は綺麗なままだった。
「ふむ、これは便利だな。ちょっと待て、三日?」
あれは、少し前の出来事だ。だって、王様に会う前の話なんだから。
「うーん、わからん」
あの世界は時間の感覚が早いとかか? まぁ、わからないことはとりあえず置いておくとしよう。で、他のスキルはっと。
俺は他のスキルを見ていく。ステータスの割にはスキルだけは揃っていた。そこには特に目を引く技があった。
「ジハード⋯⋯世界は崩壊する⋯⋯」
子供が考えた技かよ! しかもめちゃくちゃ魔力使うし! 今の俺じゃ使えねぇよ!
なんだろう、中学生の頃なら喜びそうな技名を見せられると黒歴史だった時代を思い出しそうになり顔が熱くなる。俺はベッドをバンバン殴りつけた。
「はぁ、はぁ、魔王って怖ぇわ⋯⋯」
こんな技を真顔で言ってる自分を想像して鳥肌が立った。次だ次!
『魔物支配++』モンスターを支配下に置くと能力が向上する。
なるほど、これでステータスを上げるのか。で、支配に置く方法は⋯⋯書いてない。まぁ、そのうちわかるか。
後、大事そうなのは⋯⋯っと。
『魔物会話EX』魔物と会話が出来る。
これ、便利だな。というか、これをメインに情報を集めるべきじゃないのか?
人や書物で調べても人類側からの視点しか見えないはずだ。でも、これなら⋯⋯
「⋯⋯とりあえず、最初の目標はモンスターを支配下に加えることか」
でも、俺は魔物と戦うにはステータス不足という不安要素がある。
「⋯⋯前途多難だなぁ」
俺はそう呟き、大きく溜息を吐いた。
ある扉の前で初老の男は止まり、そう言った。
「私の名前はジャミルと申します。何か御用でしたら私を呼びつけてください」
そう言い残し、初老の男は頭を下げてから去っていった。俺はその背中を見送った後、扉を開ける。
部屋の仲は簡素な物だった。石畳の床にタンスとベッド、それと机が備え付けてあるだけだ。
俺はベッドに座り、制服の上着を脱ぐ。カバンはこちらの世界に来たときに落としてしまったみたいでいつの間にか消えていた。
「ふぅ⋯⋯疲れた⋯⋯」
大きく息を吐き、そのままベッドに横たわる。元の世界とは違い硬いベッドは地面の上で寝転がっているのと変わりなかった。汚れるか汚れないかの差だけだ。
(今、あっちはどうなってるんだろ⋯⋯俺、生きて戻れるのかな⋯⋯)
両親の事が脳裏をよぎる。それを振り払う為に頭を振った。
「ステータスオープン」
俺は寝転びながら天井目掛けて手をかざし、ステータスプレートを開く。
弱気になるのは死ぬ前だけでいい。今は対策を立てる時だ。思考を止めれば死ぬぞ。
まずは自分の能力を確認しなければ。とりあえず、ステータスはと⋯⋯
「うわっ! なんだこれ⋯⋯」
ステータス欄は力、素早さ、身の守り、賢さなどよくあるRPG風な設定となっている。
そして、我が職業である魔王の能力はというと⋯⋯
「オールE? マジかよ⋯⋯」
魔王なのに弱すぎるのではないだろうか? これでは、力で捻じ伏せるのは無理になった。というか、これじゃ勇者に勝てないし歴代の魔王はどうやって戦ってたんだ?
まさか、俺だからじゃないよな? そうだったら泣くぞ。
「スキルに期待するしかないか」
俺はスキル欄をタッチする。すると色々なスキルと能力の説明が出てきた。
その一番上に置かれていたスキル名、それは『超回復』だった。
「あー、これのおかげか」
暗闇の世界で俺は喋れなくなるまで舌を噛んでいた。多分千切れていたんじゃないかな? それがこの世界に来てから痛みを感じなくなっていた。
説明を読んでみると死んでなければ三日で全回復するらしい。なんて便利な能力なんだ。
俺は舌を伸ばして確認してみる。歯型がついているはずの舌は綺麗なままだった。
「ふむ、これは便利だな。ちょっと待て、三日?」
あれは、少し前の出来事だ。だって、王様に会う前の話なんだから。
「うーん、わからん」
あの世界は時間の感覚が早いとかか? まぁ、わからないことはとりあえず置いておくとしよう。で、他のスキルはっと。
俺は他のスキルを見ていく。ステータスの割にはスキルだけは揃っていた。そこには特に目を引く技があった。
「ジハード⋯⋯世界は崩壊する⋯⋯」
子供が考えた技かよ! しかもめちゃくちゃ魔力使うし! 今の俺じゃ使えねぇよ!
なんだろう、中学生の頃なら喜びそうな技名を見せられると黒歴史だった時代を思い出しそうになり顔が熱くなる。俺はベッドをバンバン殴りつけた。
「はぁ、はぁ、魔王って怖ぇわ⋯⋯」
こんな技を真顔で言ってる自分を想像して鳥肌が立った。次だ次!
『魔物支配++』モンスターを支配下に置くと能力が向上する。
なるほど、これでステータスを上げるのか。で、支配に置く方法は⋯⋯書いてない。まぁ、そのうちわかるか。
後、大事そうなのは⋯⋯っと。
『魔物会話EX』魔物と会話が出来る。
これ、便利だな。というか、これをメインに情報を集めるべきじゃないのか?
人や書物で調べても人類側からの視点しか見えないはずだ。でも、これなら⋯⋯
「⋯⋯とりあえず、最初の目標はモンスターを支配下に加えることか」
でも、俺は魔物と戦うにはステータス不足という不安要素がある。
「⋯⋯前途多難だなぁ」
俺はそう呟き、大きく溜息を吐いた。
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