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昔想像してたざまぁと違うけど良しとします

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このやり取りの間ずっとくっついてたウィルを見上げると、蕩けるような笑みを浮かべてた。
その指は相変わらず私の髪を弄っている。
無気力どこ行った。

「処罰の内容はリーゼに任せるよ」

ミラも当事者なのでどうしたいか訊ねようと振り返ったら、全力で拒否の姿勢というかもうお好きなように!という感じだった。
何かごめん。

「ウィル、この件は何方まで知られているの?」
「スマラクト公爵家と俺の両親と宰相、うちの外交官と王女と一緒に来たアークディアの外交官くらいかな?アイゼン男爵家にもう知らせてるかは《視て》みないとわからない。でもリーゼは気にしなくていいんだよ」

ふむ。
国王陛下と外交官がご存じなら何とかなるかな。

「では、セヴェーロ他二名は我が国シュテルンブルクで身柄を預かり、騎士団に入ってもらいます。もちろん、実力テストは行って然るべき隊に」
「!」

弾かれたようにセヴェーロたちが顔を上げた。

「レベッカ王女殿下、貴女はシュテルンブルクとアークディアの国境に跨がる山岳地帯にある修道院に入っていただきます。そこで貴女が見下している民と同じような生活を営み、己を省みなさいませ」

その修道院というのは、簡単に言うと両国の死罪まではいかないおイタをした王族、貴族の女性の行くところ。
ゲームのリーゼロッテも王子ルートのハッピーエンドだとジルケと仲良くその修道院行きだ。
身分なんか通用しない厳しいところだけど、きちんと改心したと認められれば出られるらしい。
まだ十一歳だ。
処罰を承諾するならこの件を公表する気はないので、ちゃんと修行すれば結婚適齢期には出てこられて、高望みしなければ縁談はあるだろう。
ウィルは甘すぎるって半目で見てくるけど。

「山岳地帯の修道院ですって!?嫌よ!嫌!!絶対に嫌!」
「あら、では王族から除籍して蟄居ですね。もちろん両国共に全てを公表して」
「はぁ!?もっとありえない!!そんな権限あんたにないわ!」
「あるよ。ていうか本来なら死罪って最初に言ったけど。まさか自分がその中に含まれてないとでも思った?」

ウィルが半目のまま、視線に冷たさを纏わせてレベッカ王女を睨んだ。
言葉遣いが素に戻ってる。
どれだけ性格があかんくても、十一歳を死罪にするなんて寝覚めが悪すぎる。
頼むからこれ以上頭痛いこと言わないでほしい。
この世界に治外法権なんてないのだ。
他国の王族だろうが何だろうがこの国で起こされた事件はこの国の法律で裁かれる。
流石の王女も何も言い返せないようだった。

「レベッカ殿下、修道院行きを受け入れるべきです。シュテルンブルクの王太子殿下と婚約者殿がご温情をくださっているうちに」

セヴェーロがそう言うと、レベッカ王女は今度はセヴェーロに吠えつく。

「簡単に言わないで!!セヴェーロ、あんたは実行犯のくせにアタシよりずっと軽く済むじゃない!どうしてよ!」
「・・・ならば、私の処罰がレベッカ殿下がご自身より重いと思うものであれば受け入れてくださいますね?」

そう言ってセヴェーロがこっちを見るけど、私は首を横に振った。

「ダメよ。レベッカ王女殿下の罰が一番重いということそのものも、罰の一つなのだから。レベッカ王女殿下にとっても、貴方にとっても」

王女は怪訝な顔をし、セヴェーロは目を見開く。

「セヴェーロ、貴方は立場上レベッカ王女殿下に異を唱えることが難しいのはわかるわ。でも相手は十一歳の子供なのよ、こんな事件起こしてしまうくらい分別のない。どうせ命を落とす覚悟でするなら、貴方は命令に従うのではなくて命令が実行された結果どんなことになるのか、この子に教え諭すべきだった。今の時点ではどうしようもない我儘王女だとは思うけど、貴方が死罪になると思ったら即自供しちゃうくらいなんだから、説得する余地はあったはずよ。振り回されて疲れて周りが見えなくなって首が飛んでもそれでいいって思い詰めちゃったの?」
「お、俺は・・・」
「そんな時こそ、貴方の後ろにいる二人のような、慕ってくれる、自分も信頼できると思う人に頼るのよ。一人で籠もると、ロクな結論に至らないからね」

ええ、実体験ですとも。
ウジウジは強制排除されましたがね。

「さて、レベッカ王女殿下。修道院、行きますか?」
「・・・わかったわよ」
「リーゼ、四人の処遇は俺が報告入れて良いようにまとめとくよ。さぁ・・・帰ろう」

ウィルが優しく囁いて、王家の馬車までエスコートしてくれた。



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