Revolution Calling!俺と黒猫が異世界秩序改変に挑戦する話

猿型茄子

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サイクロプス撃退戦2(過信は良くないね)

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俺はロップを乗せて西の集落への道沿いに飛んだ。
最高速で飛んで、数分程で西から逃れて来る難民の姿が目に入る。
その中に以前、俺の歓迎会の宴で見かけた事がある老人を発見!。
まず状況を確認しよう。俺は老人の近くに降り立った。

「ひいっ!ああ、貴方は使徒様ですな。どうかワシらをお救いくだされ!
ワシらの集落を一つ目巨人共が襲撃してきたのですじゃ!突然の事でワシらは
混乱して、集落を放棄して逃げ出すしかなかったのですじゃ。ワシの妻も息子も
ヤツラに引き裂かれて食われてしもうた。今は息子の嫁と孫を何とか守って本村
に向かっている所ですじゃ!うぅぅぅ」

「落ち着いて下さい。集落にはまだ残っている人はいますか?それと一つ目巨人
は何頭でしたか?」

「多分、生き残りはおらんと思いますぞ。一つ目巨人共は家を一つ一つ潰して、
中からワシらの同胞を引っ張り出して食らっておった。地獄のような光景
じゃったよ。ワシが見た限りはヤツらは五頭でしたな。集落から逃げる時に、
本村から派遣されていた自警団が殿しんがりを買って出てくれたんじゃが、
今は生きておるのかどうか....」

五頭か、ベルザロフさんから聞いた情報とも符合するがフルメンバーだな。
各個撃破が出来ればいいのだが。

「集落にはどの位の住民がいたのですか?今逃げて来ている人は何人ですか?」

「ワシらの集落は薬草採りが集まってひらいた集落ですじゃ。戸数も10戸程、
集落民は36人いましたが、10人以上は一つ目巨人共の犠牲になったじゃろう」

かなりマズイ状況の様だ。西に急行しよう。

「俺はすぐに集落に向かいます。このまま本村に向かって下さい!本村では
村長達が救援隊を招集しています。後方は俺がなんとかします。それでは!」

「おお!使徒様。ありがとうございますじゃ。妻と息子の仇を討ってくだされ!」

生き残りは20数人位か、殿しんがりの自警団が気になる。俺は最高速で西に急行した。

数分でサイクロプスと交戦している鬼人族を発見した。二頭のサイクロプスの
相手をしているが、かなり劣勢の様だ。

しかしヤツらは何という醜さと汚らしさだ。頭髪は長いが所々に房の様に生えて
いるだけだ。目は一つ目だが額に縦に付いている。鼻はただ二つの穴が穿たれて
いるだけで、そして口は耳まで裂けている化物だ。

身体には何かの獣の皮と、大き目葉っぱ等を泥を身体に塗りたくって貼り付けて
いる様だ。国民的RPGに出て来るサイクロプスはちょっとは愛嬌があったのに、
コイツらには嫌悪感しか沸かない。

サイクロプスは3メートル程の丸太をぶんぶん振り回して大暴れだ。
3人の鬼人族の背後では負傷したとおぼしき鬼人族がうずくまっている。

背後の仲間を庇う為に必死で丸太を避けながら牽制しているが、サイクロプスの
攻撃が命中するのは時間の問題だろう。
今回は相手を観察してから慎重に対処しようと思っていたが、緊急事態だ。
このまま急降下爆撃ルーデルアタックを仕掛けよう!

俺は300メートル上昇してカジキを構えた。
「行くぞ。ガーデルマン君、後方警戒は頼んだぞ!スツーカの性能をあの汚い巨人共に見せてやろう。駆逐してやるぅ!」
「だからボクはがーでるまん君じゃないっすよ。すつーかって何すか?」

俺はサイクロプスの後方に回り込んでから急降下した。高度30メートル。
射線上には鬼人族はいない!狙いは薄汚い頭部だ、行け!急降下爆撃《ルーデルアタック》!

ぼんっ!

一頭目のサイクロプスは頭部を爆散させて倒れた。よし!俺はすぐさま上空に
離脱してダツを構えた。狙いは同じく頭部でいいだろう。
もう一頭のサイクロプスは俺の存在に気付いておらず、周囲をキョロキョロと
見廻している。よしチャンスだ。だがマズいな、このままだと射線上に鬼人族が
入ってしまう。
仕方がない、ここはぶっつけ本番だが槍の投擲ではなくて騎兵槍突撃ランスチャージをするしかないな。ダツは騎兵槍じゃないけど。

「ロップ!しっかり俺の角につかまっていろよ!衝撃が凄いかもしれない」
「レイ様!何をするっすか?危ない事はダメっすよ!」

急降下して、サイクロプスの後背頭上から至近距離で後頭部にダツを突き入れた。

ばしゅん!

うおっ!俺は地面に突っ込む処だったが、ギリギリ回避する事が出来た。
これはサイクロプスがデカかったからだ。普通の人間サイズの敵には使えない
戦法だな、地面に突っ込んでしまう。ロップがうにゃうにゃ大騒ぎしているが、
必死で角にしがみ付いて堪えた様だ。何とか二頭目のサイクロプスも頭を爆散させる事が出来た。まあ50キロ位ある槍を使徒の膂力で突き込まれたらこうなるよな。しかし、投擲したカジキも、手元のダツも穂先に罅が入っている。
すげえ石頭だなサイクロプス!これではこのまま使用すると次は砕け散るだろう。
アハト・アハトではこの石頭には威力に不安がある。気は進まないが、やはり
禁じ手を使うしかないか。

俺は自警団らしき鬼人族に声を掛けた。彼等には撤退して貰おう。
「大丈夫ですか?怪我人を連れて撤退して下さい!後は俺が何とかします」

「使徒様、我等もまだ戦えます!」

「いえ、俺は武器が壊れたので、ある禁じ手を使うつもりです。その時に貴方達
がいると使えません。自警団や狩人衆がこちらに向かっていると思うので報告を
お願いします」

「....分かりました。使徒様、ご武運を!」

自警団の人達は怪我人を抱えて撤退した。
さて、西の集落に向かおう。まだサイクロプスは三頭いるはずだ。カジキとダツ
は収納袋に回収して、アハト・アハト一号を装備する。まあ念の為だ、
丸腰は不安だからな。二号はいいだろう。持つと両手が塞がる。今回は猛毒ガスで決めるつもりだしな。

西の集落に辿り着くと酷い有様だった。殆どの建物が倒壊している。
広場らしき所でサイクロプス三頭が車座になって鬼人族の死体を貪り食っている。

「レイ様、ボク怖いっす。でも許せないっすよ!」

ロップからそんな台詞を聞けるとは思わなかった。凄惨過ぎる光景だ。
俺もヤツらを許す気はない。惨たらしく爛れさせてやんよ。ふふふ。
だが猛毒ガスでは鬼人族の遺体も損壊してしまうかもしれない。既に無残な遺体
だが、せめてちゃんと弔いはしてやりたい。
ヤツらをあの場所から釣りだす必要があるだろう。アハト・アハトで先制攻撃を
してみるか。

アハト・アハトで急降下爆撃ルーデルアタックをする事も考えたのだが、俺はアハト・アハトでは急降下爆撃ルーデルアタックの練習をしていない、
重さもバランスもカジキやダツとは違うから、ぶっつけ本番で命中させる自信が
持てない。騎兵槍突撃ランスチャージもヤツらは座っているので、攻撃後に地面に衝突するだろう。やはり近接射撃ヴィットマンファイアしかないか。

俺は倒壊した建物の陰にこっそり降り立ち、投槍器アトラトルにアハト・アハト一号をセットして忍び寄った。ヤツは三角形の形で座っているので死角が無い。
ここは突然現れて強襲した後、恐らく殺到してくるだろうヤツらを引き付けて口臭猛毒ガスで一掃してやるとしよう。よし行くぞ!

俺は建物から飛び出し、こちらに背中を向けているサイクロプスの心臓があると
思われる個所を目掛けて近接射撃ヴィットマンファイアを放った。行けえ!

バスッ!よし、命中したぞ!しかし浅い!穂先の半分位しか刺さっていない。
槍先は80cmだから40cmは刺さっているのだろうが、相手は5メートルも
あるゴリマッチョの魔物だ、恐らく致命傷にはなっていないだろう。
まあ口臭猛毒ガスがあれば何とかなるだろう。これで釣り出せれば問題ない。

『ぼげえええええ』

こちらを向いていた一頭が吠えた!向かってくるのかと思ったが、
丸太をぶん投げて来やがった!しかも槍投げの様ではなく、ただぶん投げて来た
ので回転しながら飛んで来る。なんとか躱す事出来たがが、残りの二頭も丸太を
掴んでいる!

『おごええええ』
『ぶげええええ』

俺が槍を命中させたヤツも含めて、ぶんぶん丸太をぶん投げて来た!と言うか、
倒壊した建物から丸太を引き抜いて、次々に丸太をぶん投げて来る。
俺が突き立てたアハト・アハトも引き抜いて投げて来やがった。
既に丸太ぶん投げ祭り状態だ。
マズイぞ!回転して飛んで来るので範囲的に躱し切れないだろう。
一度空に退避するかと思った時に、丸太の一本がまともに腹を直撃した。

「ごほぉ!」

俺は数メートルふっとばされた。ヤバい、肋骨が何本か折れただろう。

「レイ様!大丈夫っすか?一度逃げるっすよ!」

仕方ない、一度撤退して立て直そう。しかし状況がそれを許さなかった。
ヤツらが一列縦隊でこちらに突進して来る!ジェッ〇ストリームアタックか!
だがこれはチャンスだ!

行くぞ最終兵器!口臭猛毒ガス!闇の紫煙で爛れて逝け!

ぽふっ

あれ?ちょっとしか出ないぞ。何故だ?何故なんだ!マズい、
一つ目三連星はそこまで迫っている!アバラが痛くて魔力を練るのにも集中
出来ない、咄嗟に飛ぶのも無理そうだ!
ここはセオリー通り、先頭を踏み台にして二番目を倒すぞ!
あれ?俺は今、丸腰だったね。剣鉈ではコイツらには通用すると思えない!

先頭のサイクロプスが既に丸太で大上段から殴り掛かって来ている!

うおっ、俺は身を捻って何とか丸太の一撃をを躱した。アバラが軋む、
痛えんだよコレ。ヘタレSEには耐えるのはキツイぞ。

どごおおん!

丸太が盛大に地面にめり込む。この隙に逃げるか?だがコイツらは思ったより
足が速い。何とか魔力を練る暇が欲しい、このままでは飛ぶのもままならない。

一旦後方に飛び退いて、思案を練っていると、

ヒュン、ヒュン

矢が大量にサイクロプスに降り注いで来た。主に頭部に集中している。

『ぼげええええ』

サイクロプス達は目を庇って後方に下がり始めた。援軍が来たのか?
執拗に頭部に集中する矢を嫌がって、ヤツらは集落から撤退して行った。

どうやら俺は九死に一生を得たようだ。
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