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Reveeenge!(I'm screaming revenge again!)
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昨夜はそのままゴレロフ村長の別宅で泊まった。酔っぱらったアホ達に絡まれた
からだ。誰とは言わないが、一番酷かったのは女性のあの人だった。
他にもゴリマッチョの愚痴を聞いたり、ベルルフさんにまた海へ連れていけと
しつこく絡まれたり、ワイルフさんに理不尽な説教を受けたり、
散々な目にあった。だが毒無効の俺には二日酔いは無い。
さあ、行こうか。復讐の雄叫びを上げよう!
Screaming for Vengeanceだ!
俺はアーロフさんの毒キノコとティエラさんから貰った毒草をワスプの実の土嚢袋に入れて踏みつぶした。
ベルザロフさんは既に庭でウオーミングアップを済ませた様だ。俺と目が合うと、
ニッと笑った。この笑顔は男でも惚れるわ。
「使徒様、いよいよ決戦ですな。俺の事は気にせずに毒トカゲを倒す事だけを
考えてください。俺が危地に陥っても、絶対俺を助けようなんて考えないで
下さい。貴方の役割はヤツを倒す事だけです。頼みましたぞ、使徒様!」
なんだ、この人は!絶対死なせねーぞ。必ず二人と一匹で生還してやるからな!
黒芋で簡単に朝食を済ませてから、俺とベルザロフさんとロップは最終決戦場に
向かう。両手にはカジキとダツだ。ベルザロフさんは長槍と弓を装備している。
俺はベルザロフさんを肩車して決戦場の荒れ地に向かった。
ロップはベルザロフさんにおんぶだ。
決戦場に着いた俺達は、まずブルーシートの合羽を装備した。
今回の作戦は、
1.毒餌でバシリスクを誘い出す。
2.食事中のバシリスクをベルザロフさんが挑発する。
3.バシリスクに毒息を吐かせる。
4.俺が急降下爆撃でバシリスクを仕留める。
凄くシンプルだ。今回はベルザロフさんのサポートとしてロップを付けた。
魔物の探知は俺もある程度はできる、ロップは相当渋っていたけどな。
俺は毒餌を見晴らしのいい場所に置いて、樹上に身を潜めた。ベルザロフさんと
ロップも岩陰に身を潜めている。
約2時間後、バシリスクが現れた。例のカクカクしたカメレオンウォークだ。
俺はヤツが毒袋に食らいつくのを見届けて上空に舞い上がった。
後はベルザロフさんがヤツを挑発して毒息を吐き出すのを待つだけだ。
ん?上空から観ているが、ベルザロフさんが散々挑発してもバシリスクは
無反応だ。
ひょっとしてベルザロフさんを脅威と感じていないのか?不味いな。
仕方ない作戦変更だ、高度から急降下爆撃を行おう。
俺は右手にダツを持ち替えて急降下した。
高度80メートル位で渾身の急降下爆撃を放った!
当たれ!当たってくれ!
ドスッ!
やったぞ!ダツは見事にバシリスクの背中を貫通し、ヤツを地面に縫い付けた。
俺は上空に離脱して様子をみた。
バシリスクはジタバタもがいて咆哮を上げている。
『ぎょええええええ』
何!まだ生きてるの?早く息の根を止めないと毒を撒き散らされる!
『ごぉえええええ』
地面に張り付けられたバシリスクは、駆け寄って長槍で止めを刺そうとしていた
ベルザロフさんに向けて毒息を吐き出した!不味いぞ!ベルザロフさんは
無事だろうか?俺はカジキを構えてすぐさま突貫した。今度は頭を狙う!
逝け!今、必殺の急降下爆撃!
うおおおお!高度20メートルの至近距離からカジキで頭に急降下爆撃を放った!
カジキはバシリスクの頭部に吸い込まれるように命中した。
そしてバシリスクの頭は爆散した。
「やった、勝ったぞー!エイドリアーン」
ベルザロフさんは大丈夫だろうか?咄嗟に飛び退いて毒息を躱した様に見えたが。
「使徒様、おめでとうございます。討伐完了ですな」
ベルザロフさんが左手を押さえて岩陰から現れた。
「ちょっと毒息を避け損ねましてね。この有様です」
ベルザロフさんの左手の前腕が紫色になって爛れている。
「ロップ!何とかならないのか!」
「無茶言わないでくださいっす!ボクは何でも出来る訳ではないっすよ。
キリーネさんが言ってたっすけど。バシリスクの毒は普通の人は、毒に浸食
されてる部分を切り離すしかないらしいっす。放って置けば全身に毒が広がって
死んじゃうっすよ」
「ふむ、使徒様、その腰の鉈を借りても宜しいかな?」
何をする気だ?まさか自分で腕を切り落とすつもりか?俺は躊躇したが、
この人を死なせる訳にはいかない。俺はベルザロフさんに剣鉈を渡した。
「ふんっ!」
ベルザロフさんは躊躇いもなく自分の左手を肘下で切り落とした。俺は収納袋から救急箱を取り出し、釣り具のゴム管で止血をして包帯を巻いた。
ヒールも掛けておく。何回も、何回も、何回も、俺は気付かなかったが
泣いていたらしい。
「この鉈は凄い業物ですな。使徒様、男が泣いていいのは己の家族が死んだ時
だけです。俺の様な狩り狂いが左手を失った程度で男が泣いてはなりませんぞ。
俺はヤツを倒す為に死ぬ気でおりました。ですが使徒様のおかげで左腕だけで
済んだのです、安いもんですぞ。はっはっは!」
なんだ、この豪傑は。ネルソン提督か!俺は左腕を失っても笑っていられるとは
到底思えない、凄い男だな。
さて戦後処理をしよう。カジキとダツは無事かな?ぶっちゃけ、
対バシリスク兵器だったから壊れていても兵器としては本懐を遂げた事になる。
爆散したバシリスクの頭の残骸にカジキは突き立っていた。
どうやら無事のようだ。次はダツをバシリスクの背中から引き抜く。俺の目で
見た限りは問題ないようだが、村に戻ったらドルロフさんに両方とも見て貰おう。
「レイ様、バシリスクの血と毒袋の中身を採っておくといいっすよ。
キリーネさんへのお土産になると思うっす」
そうなの?まあ、魔石も取らないといけないしな。
「ロップ、毒袋って何処にあるんだ?」
「多分、首の辺りだと思うっすよ。キリーネさんの魔物図鑑に載ってた覚えが
あるっす」
何だ、その図鑑。怪しいが欲しいぞ!俺はバシリスクを解体し、血と毒汁、
それにラグビーボール位の魔石を入手した。
血と毒汁は広口瓶に入れたが、血はともかく毒汁が心配だ。フッ化水素みたいに
瓶を溶かしたりしないよな?結構不安だぞ。魔石はすぐに吸収しておいた。
これだけデカい魔石なら、俺も相当強化されるだろう。残りの死骸はどうするか
悩んだが、肉はともかく皮は使えるかも知れない、それにバシリスク討伐の象徴
だし持って帰ろう。頭は爆散しているので、尻尾を切り離して、胴体を折り曲げると、なんとかコウエイ様の収納袋に収まった。
「ベルザロフさん、そろそろ村に戻りましょうか」
「そうですな、使徒様。狩り狂いの俺もこれが最後の狩りになりました。
最後の相手がこんな強敵で俺は満足しています」
....そうだよね。左手を失ってはもう狩りは出来ないだろう。
これからベルザロフさんはどうするんだろう?俺も出来るだけ協力しよう。
そして、俺達は村に凱旋した。
村の広場に降り立つと、銀髪のブルマー天使が俺に飛びついて来た。
「レイ兄ちゃん、無事で良かっただよ!」
「ああ、リリ。俺達は勝ったぞ!ベルザロフさんのおかげで毒トカゲを倒す事が
出来た」
おおーっ。俺の勝利宣言に村人達がどよめいた。
「レイ兄ちゃあああん。やったのか?アタシは信じてたぞ!」
どおおん!大女が飛びつきタックルをかまして来た。
危ねーな、オマエは角があるんだぞ!刺さったらどうするんだ?
「エーラ姉ちゃん。なんとか倒せたよ、これを見てくれ。肉は食えないと
思うけどな」
俺が収納袋からバシリスクの死体を広場に出して見せると、大歓声が巻き起こった。
アーロフさんが群集を割って進み出て来た。
「使徒様、おめでとうございます。やりましたな。そしてベルザロフ、
お前は左腕を失った様だな」
「アーロフ、ヤツの毒息は想像以上だった。少し掠った程度だったんだがな。
見る見るうちに爛れていって切り離すしかなかった。
まあ、元々死ぬ気でいたんだ。この程度で済んだのは僥倖と言うべきであろう」
「そんな毒を真面に浴びて、無事に生還した使徒様はやはり凄いな。
それから話は変わるが、お前はこれからどうするつもりだ?」
「それを俺に聞くのか?まず傷が塞がるまでは何も出来まいよ。
その後はティエラの処で畑の手伝いでもしようと考えている」
「畑の手伝いか、それもいいかもしれないな。だが私はお前に提案したい。
お前次第だが、若い狩人の教導をやってみないか?お前の様な経験豊富な狩人を
埋もれさせるのは村にとっても損失だ。それに私はゲドルフとは違う。
狩人頭を引き受けはしたが、今後も私自身が狩りに出向くつもりだ。
本当はお前に狩人頭を譲りたいのだが。お前は嫌なのだろう?」
「俺が若い狩人の教導?面白そうな話だな。だが俺は厳しいぞ。前回の遠征でも
連れて行ったヤツラは段々死んだ様な目になって行ったぞ、最終的には使える
狩人に育ったがな。はっはっは」
「では、決まりだな。詳細は後で詰めよう」
良かった。ベルザロフさんも再就職先が決まったようだ。
ゴリマッチョが村人を掻き分けてやって来た。
「使徒様、毒トカゲは倒せたようだな。衆議堂に来てもらえるか?
ベルザロフはしばらく療養しろ。何もせずにゆっくり休め」
「ベルザロフさん、貴方がいなければ最後の一撃を加える事は難しかったでしょう。ありがとうございました」
「いえ、使徒様。左腕は失いましたが、狩人としては本望です。村の為に役に
立てた事を誇りに思っていますよ」
ベルザロフさんは一礼して去って行った。ベルザロフ一党の狩人達に群がられて
いる。人気者だね。
俺はゴレロフさんとアーロフさんと共に衆議堂に向かった。ロップとリリ、
何故かエーラも着いて来た。
ロップ達にはフリスビーを渡して庭で遊んでいる様に伝えておく。
衆議堂では頭衆とドルロフさんが勢揃いしていた。炭焼き頭のキーロフさんと
鍛冶頭はいない。あの食い意地爺はまだ拗ねているのか?面倒臭え爺だな。
あの爺には今後コノワタを渡さないようにしよう。俺は器が小さい男なのだ。
「皆の衆。使徒様とベルザロフが毒トカゲを討伐してくれた。村の最大の懸案が
これで解決したのだ。残念ながらベルザロフは重傷を負ったのでこの場にはいないが、皆で使徒様とベルザロフに感謝しよう。村の危急を救って下さった事に
感謝しておりますぞ。使徒様」
おおーっ、頭衆がどよめいた。でもベルザロフさんがいなかったら、あの後の
展開はどうなっていたか分からない。狂乱して毒を撒き散らすヤツが息絶えるの
を待つか、もしかしたら、ヤツは槍を引き抜いて遁走したかもしれない。
日本でも昔に矢鴨事件とかあったしな。重要な器官を貫けないと結構生き物は
タフなんだよな。貫通特化のダツだったから内部のダメージは少なかったのかもしれない。
「皆さんのご協力があってこその戦果です。ドルロフさん、ワイルフさん。
カジキとダツは見事に働いてくれました。俺の見立てでは無事な様ですが、
後日点検をお願いします」
「いえ、使徒様。こちらこそ面白い仕事をさせて頂き感謝していますよ」
「ガハハ。ウチの小僧共もな、使徒様に投槍器を褒められたガガロフに競争心を
燃やして。サボらずに仕事に熱中するようになりましたぞ!」
今回アハト・アハトは使ってないんだけどね。その後は南の山への遠征隊の詳細
を詰めて会合はお開きになった。
岩塩採取は狩人衆、漁師衆、鍛冶衆、木工衆、畑守衆、その他の混成部隊で
行っているらしい。鍛冶衆に関してはやっぱり揉めていた。まだ頭が決まって
いないらしい。ドルロフさんにしちゃえばいいのに。嫌がるだろうけど。
「さて、皆の衆。今夜は祝勝会だ。と言っても肉は期待するなよ。
今回は俺の持ち出しだ」
えー、俺は家に帰ってゆっくりしたいのだが。またティエラさんとかに絡まれるのは嫌だぞ。
その後、庭で焚火を焚いて酒宴になった。肉は塩漬けの黒猪らしい。
臭いが食えない程ではない。ベルザロフさんもやって来た。
あんな重傷で酒飲んで大丈夫なのかね?
「使徒様。村の窮状を救って下さり、本当に感謝しておりますぞ」
ギギロフさんがやって来た。このメンバーの中では酒癖の良さではドルロフさんと並んでトップ2だ。
アーロフさんも酒癖は良いと思っていたが、あの人は酔っぱらうと同じ話を
何度も何度も繰り返すのだ。ありがちな飲んだくれだ。
ゴリマッチョは愚痴(主にココエラさんからの体罰について)を延々とぐちぐち
語りだすし、ワイルフさんは笑ったり、怒ったり訳がわからないし、ベルルフさんは海に連れていけとしつこく絡んでくるし、
ココエラさんは俺にはしないが、すぐに暴力を振るうんだよ。
ゴレロフさんはレバーブローで何度も反吐を吐いていた。
最悪はティエラさんだ。話に同意しないと泣きながら首を絞めたり、噛みついてくるのだ。ティエラさんが笑っている時に、俺も笑わないと首を絞めてくるし、ティエラさんがしんみり語っている時には、俺もしんみりしないと噛みつかれるんだよ。なんだこの狂酔女は!
俺の歓迎会の時は時間が短かったので本性がバレなかったんだろうな。
ハッ!嫌な追憶に浸ってしまった。気を取り直そう。
「ギギロフさん。村の皆の協力があったからですよ。これで村も何とかなりますよね?」
「そうですな。ただ心配はまだあるのです。岩塩採取の遠征隊が、一つ目巨人達
に遭遇しなければ良いのですがな」
一つ目巨人?サイクロプスか。リリの集落を壊滅させた魔物だよな。
まだこの村には色々問題があるらしい。ゲドルフ達の扱いもまだ決まっていない
みたいだしな。
俺はギギロフさんと酒を飲みながら色々と雑談をしていた。ロップはマラカスを
振って踊っていたが、ティエラさんに拉致されて絡まれている。
俺に目線で救助の合図を送っているようだが、無視した。ティエラさんはロップに押し付けておこう。
リリとエーラはベルルフさんとワイルフさんと夜なのにフリスビーで遊んでいる。暗いのによく見えるね。
ゴリマッチョもチラチラ羨ましそうに見ている。一緒に遊びたいのかな?でも側にはココエラさんがいるんだよね。レバーブローを怖がっているのかな?
ベルザロフさんとアーロフさんがやって来た。
「使徒様、ギギロフ老。一つ目巨人の話をしていたようですな。
俺達も交ぜてくだされ」
「ベルザロフ、"老"は余計じゃ。ワシはまだ老人ではないぞ」
「はっはっは、そうでしたな。失礼しました。使徒様は一つ目巨人の事は
ご存じか?」
「いえ、ココエラさんから、リリの集落が壊滅させられた事しか聞いていません。
毒トカゲよりも厄介な相手なんですか?」
ベルザロフさん達にサイクロプスの話を色々聞く事が出来た。
・身長は5メートル位。
・確認出来ているのは5頭。
・倒木を武器にして、ぶん回す。
・大岩を投げてくる事もある。
・特定の住処はなく、島中を徘徊しているらしい。
・毒などの特殊能力の存在は確認されていない。
これまでに岩塩採取の遠征隊も結構被害にあっているらしい。
う~ん、完全なパワーファイターっぽいな。複数いるようだし、俺にとっては
バシリスクより厄介かもしれない。俺の今までの戦いは奇襲とか、嫌がらせが
メインだからな。複数の筋肉ダルマッチョと肉弾勝負はやりたくない。
まあ、今日は疲れた。サイクロプスについては後日考えよう。
リリが今後、どうするかとか、エルフの集落捜索もしなくちゃならない。
流石に疲労困憊だ、早めに休ませて貰おう。
からだ。誰とは言わないが、一番酷かったのは女性のあの人だった。
他にもゴリマッチョの愚痴を聞いたり、ベルルフさんにまた海へ連れていけと
しつこく絡まれたり、ワイルフさんに理不尽な説教を受けたり、
散々な目にあった。だが毒無効の俺には二日酔いは無い。
さあ、行こうか。復讐の雄叫びを上げよう!
Screaming for Vengeanceだ!
俺はアーロフさんの毒キノコとティエラさんから貰った毒草をワスプの実の土嚢袋に入れて踏みつぶした。
ベルザロフさんは既に庭でウオーミングアップを済ませた様だ。俺と目が合うと、
ニッと笑った。この笑顔は男でも惚れるわ。
「使徒様、いよいよ決戦ですな。俺の事は気にせずに毒トカゲを倒す事だけを
考えてください。俺が危地に陥っても、絶対俺を助けようなんて考えないで
下さい。貴方の役割はヤツを倒す事だけです。頼みましたぞ、使徒様!」
なんだ、この人は!絶対死なせねーぞ。必ず二人と一匹で生還してやるからな!
黒芋で簡単に朝食を済ませてから、俺とベルザロフさんとロップは最終決戦場に
向かう。両手にはカジキとダツだ。ベルザロフさんは長槍と弓を装備している。
俺はベルザロフさんを肩車して決戦場の荒れ地に向かった。
ロップはベルザロフさんにおんぶだ。
決戦場に着いた俺達は、まずブルーシートの合羽を装備した。
今回の作戦は、
1.毒餌でバシリスクを誘い出す。
2.食事中のバシリスクをベルザロフさんが挑発する。
3.バシリスクに毒息を吐かせる。
4.俺が急降下爆撃でバシリスクを仕留める。
凄くシンプルだ。今回はベルザロフさんのサポートとしてロップを付けた。
魔物の探知は俺もある程度はできる、ロップは相当渋っていたけどな。
俺は毒餌を見晴らしのいい場所に置いて、樹上に身を潜めた。ベルザロフさんと
ロップも岩陰に身を潜めている。
約2時間後、バシリスクが現れた。例のカクカクしたカメレオンウォークだ。
俺はヤツが毒袋に食らいつくのを見届けて上空に舞い上がった。
後はベルザロフさんがヤツを挑発して毒息を吐き出すのを待つだけだ。
ん?上空から観ているが、ベルザロフさんが散々挑発してもバシリスクは
無反応だ。
ひょっとしてベルザロフさんを脅威と感じていないのか?不味いな。
仕方ない作戦変更だ、高度から急降下爆撃を行おう。
俺は右手にダツを持ち替えて急降下した。
高度80メートル位で渾身の急降下爆撃を放った!
当たれ!当たってくれ!
ドスッ!
やったぞ!ダツは見事にバシリスクの背中を貫通し、ヤツを地面に縫い付けた。
俺は上空に離脱して様子をみた。
バシリスクはジタバタもがいて咆哮を上げている。
『ぎょええええええ』
何!まだ生きてるの?早く息の根を止めないと毒を撒き散らされる!
『ごぉえええええ』
地面に張り付けられたバシリスクは、駆け寄って長槍で止めを刺そうとしていた
ベルザロフさんに向けて毒息を吐き出した!不味いぞ!ベルザロフさんは
無事だろうか?俺はカジキを構えてすぐさま突貫した。今度は頭を狙う!
逝け!今、必殺の急降下爆撃!
うおおおお!高度20メートルの至近距離からカジキで頭に急降下爆撃を放った!
カジキはバシリスクの頭部に吸い込まれるように命中した。
そしてバシリスクの頭は爆散した。
「やった、勝ったぞー!エイドリアーン」
ベルザロフさんは大丈夫だろうか?咄嗟に飛び退いて毒息を躱した様に見えたが。
「使徒様、おめでとうございます。討伐完了ですな」
ベルザロフさんが左手を押さえて岩陰から現れた。
「ちょっと毒息を避け損ねましてね。この有様です」
ベルザロフさんの左手の前腕が紫色になって爛れている。
「ロップ!何とかならないのか!」
「無茶言わないでくださいっす!ボクは何でも出来る訳ではないっすよ。
キリーネさんが言ってたっすけど。バシリスクの毒は普通の人は、毒に浸食
されてる部分を切り離すしかないらしいっす。放って置けば全身に毒が広がって
死んじゃうっすよ」
「ふむ、使徒様、その腰の鉈を借りても宜しいかな?」
何をする気だ?まさか自分で腕を切り落とすつもりか?俺は躊躇したが、
この人を死なせる訳にはいかない。俺はベルザロフさんに剣鉈を渡した。
「ふんっ!」
ベルザロフさんは躊躇いもなく自分の左手を肘下で切り落とした。俺は収納袋から救急箱を取り出し、釣り具のゴム管で止血をして包帯を巻いた。
ヒールも掛けておく。何回も、何回も、何回も、俺は気付かなかったが
泣いていたらしい。
「この鉈は凄い業物ですな。使徒様、男が泣いていいのは己の家族が死んだ時
だけです。俺の様な狩り狂いが左手を失った程度で男が泣いてはなりませんぞ。
俺はヤツを倒す為に死ぬ気でおりました。ですが使徒様のおかげで左腕だけで
済んだのです、安いもんですぞ。はっはっは!」
なんだ、この豪傑は。ネルソン提督か!俺は左腕を失っても笑っていられるとは
到底思えない、凄い男だな。
さて戦後処理をしよう。カジキとダツは無事かな?ぶっちゃけ、
対バシリスク兵器だったから壊れていても兵器としては本懐を遂げた事になる。
爆散したバシリスクの頭の残骸にカジキは突き立っていた。
どうやら無事のようだ。次はダツをバシリスクの背中から引き抜く。俺の目で
見た限りは問題ないようだが、村に戻ったらドルロフさんに両方とも見て貰おう。
「レイ様、バシリスクの血と毒袋の中身を採っておくといいっすよ。
キリーネさんへのお土産になると思うっす」
そうなの?まあ、魔石も取らないといけないしな。
「ロップ、毒袋って何処にあるんだ?」
「多分、首の辺りだと思うっすよ。キリーネさんの魔物図鑑に載ってた覚えが
あるっす」
何だ、その図鑑。怪しいが欲しいぞ!俺はバシリスクを解体し、血と毒汁、
それにラグビーボール位の魔石を入手した。
血と毒汁は広口瓶に入れたが、血はともかく毒汁が心配だ。フッ化水素みたいに
瓶を溶かしたりしないよな?結構不安だぞ。魔石はすぐに吸収しておいた。
これだけデカい魔石なら、俺も相当強化されるだろう。残りの死骸はどうするか
悩んだが、肉はともかく皮は使えるかも知れない、それにバシリスク討伐の象徴
だし持って帰ろう。頭は爆散しているので、尻尾を切り離して、胴体を折り曲げると、なんとかコウエイ様の収納袋に収まった。
「ベルザロフさん、そろそろ村に戻りましょうか」
「そうですな、使徒様。狩り狂いの俺もこれが最後の狩りになりました。
最後の相手がこんな強敵で俺は満足しています」
....そうだよね。左手を失ってはもう狩りは出来ないだろう。
これからベルザロフさんはどうするんだろう?俺も出来るだけ協力しよう。
そして、俺達は村に凱旋した。
村の広場に降り立つと、銀髪のブルマー天使が俺に飛びついて来た。
「レイ兄ちゃん、無事で良かっただよ!」
「ああ、リリ。俺達は勝ったぞ!ベルザロフさんのおかげで毒トカゲを倒す事が
出来た」
おおーっ。俺の勝利宣言に村人達がどよめいた。
「レイ兄ちゃあああん。やったのか?アタシは信じてたぞ!」
どおおん!大女が飛びつきタックルをかまして来た。
危ねーな、オマエは角があるんだぞ!刺さったらどうするんだ?
「エーラ姉ちゃん。なんとか倒せたよ、これを見てくれ。肉は食えないと
思うけどな」
俺が収納袋からバシリスクの死体を広場に出して見せると、大歓声が巻き起こった。
アーロフさんが群集を割って進み出て来た。
「使徒様、おめでとうございます。やりましたな。そしてベルザロフ、
お前は左腕を失った様だな」
「アーロフ、ヤツの毒息は想像以上だった。少し掠った程度だったんだがな。
見る見るうちに爛れていって切り離すしかなかった。
まあ、元々死ぬ気でいたんだ。この程度で済んだのは僥倖と言うべきであろう」
「そんな毒を真面に浴びて、無事に生還した使徒様はやはり凄いな。
それから話は変わるが、お前はこれからどうするつもりだ?」
「それを俺に聞くのか?まず傷が塞がるまでは何も出来まいよ。
その後はティエラの処で畑の手伝いでもしようと考えている」
「畑の手伝いか、それもいいかもしれないな。だが私はお前に提案したい。
お前次第だが、若い狩人の教導をやってみないか?お前の様な経験豊富な狩人を
埋もれさせるのは村にとっても損失だ。それに私はゲドルフとは違う。
狩人頭を引き受けはしたが、今後も私自身が狩りに出向くつもりだ。
本当はお前に狩人頭を譲りたいのだが。お前は嫌なのだろう?」
「俺が若い狩人の教導?面白そうな話だな。だが俺は厳しいぞ。前回の遠征でも
連れて行ったヤツラは段々死んだ様な目になって行ったぞ、最終的には使える
狩人に育ったがな。はっはっは」
「では、決まりだな。詳細は後で詰めよう」
良かった。ベルザロフさんも再就職先が決まったようだ。
ゴリマッチョが村人を掻き分けてやって来た。
「使徒様、毒トカゲは倒せたようだな。衆議堂に来てもらえるか?
ベルザロフはしばらく療養しろ。何もせずにゆっくり休め」
「ベルザロフさん、貴方がいなければ最後の一撃を加える事は難しかったでしょう。ありがとうございました」
「いえ、使徒様。左腕は失いましたが、狩人としては本望です。村の為に役に
立てた事を誇りに思っていますよ」
ベルザロフさんは一礼して去って行った。ベルザロフ一党の狩人達に群がられて
いる。人気者だね。
俺はゴレロフさんとアーロフさんと共に衆議堂に向かった。ロップとリリ、
何故かエーラも着いて来た。
ロップ達にはフリスビーを渡して庭で遊んでいる様に伝えておく。
衆議堂では頭衆とドルロフさんが勢揃いしていた。炭焼き頭のキーロフさんと
鍛冶頭はいない。あの食い意地爺はまだ拗ねているのか?面倒臭え爺だな。
あの爺には今後コノワタを渡さないようにしよう。俺は器が小さい男なのだ。
「皆の衆。使徒様とベルザロフが毒トカゲを討伐してくれた。村の最大の懸案が
これで解決したのだ。残念ながらベルザロフは重傷を負ったのでこの場にはいないが、皆で使徒様とベルザロフに感謝しよう。村の危急を救って下さった事に
感謝しておりますぞ。使徒様」
おおーっ、頭衆がどよめいた。でもベルザロフさんがいなかったら、あの後の
展開はどうなっていたか分からない。狂乱して毒を撒き散らすヤツが息絶えるの
を待つか、もしかしたら、ヤツは槍を引き抜いて遁走したかもしれない。
日本でも昔に矢鴨事件とかあったしな。重要な器官を貫けないと結構生き物は
タフなんだよな。貫通特化のダツだったから内部のダメージは少なかったのかもしれない。
「皆さんのご協力があってこその戦果です。ドルロフさん、ワイルフさん。
カジキとダツは見事に働いてくれました。俺の見立てでは無事な様ですが、
後日点検をお願いします」
「いえ、使徒様。こちらこそ面白い仕事をさせて頂き感謝していますよ」
「ガハハ。ウチの小僧共もな、使徒様に投槍器を褒められたガガロフに競争心を
燃やして。サボらずに仕事に熱中するようになりましたぞ!」
今回アハト・アハトは使ってないんだけどね。その後は南の山への遠征隊の詳細
を詰めて会合はお開きになった。
岩塩採取は狩人衆、漁師衆、鍛冶衆、木工衆、畑守衆、その他の混成部隊で
行っているらしい。鍛冶衆に関してはやっぱり揉めていた。まだ頭が決まって
いないらしい。ドルロフさんにしちゃえばいいのに。嫌がるだろうけど。
「さて、皆の衆。今夜は祝勝会だ。と言っても肉は期待するなよ。
今回は俺の持ち出しだ」
えー、俺は家に帰ってゆっくりしたいのだが。またティエラさんとかに絡まれるのは嫌だぞ。
その後、庭で焚火を焚いて酒宴になった。肉は塩漬けの黒猪らしい。
臭いが食えない程ではない。ベルザロフさんもやって来た。
あんな重傷で酒飲んで大丈夫なのかね?
「使徒様。村の窮状を救って下さり、本当に感謝しておりますぞ」
ギギロフさんがやって来た。このメンバーの中では酒癖の良さではドルロフさんと並んでトップ2だ。
アーロフさんも酒癖は良いと思っていたが、あの人は酔っぱらうと同じ話を
何度も何度も繰り返すのだ。ありがちな飲んだくれだ。
ゴリマッチョは愚痴(主にココエラさんからの体罰について)を延々とぐちぐち
語りだすし、ワイルフさんは笑ったり、怒ったり訳がわからないし、ベルルフさんは海に連れていけとしつこく絡んでくるし、
ココエラさんは俺にはしないが、すぐに暴力を振るうんだよ。
ゴレロフさんはレバーブローで何度も反吐を吐いていた。
最悪はティエラさんだ。話に同意しないと泣きながら首を絞めたり、噛みついてくるのだ。ティエラさんが笑っている時に、俺も笑わないと首を絞めてくるし、ティエラさんがしんみり語っている時には、俺もしんみりしないと噛みつかれるんだよ。なんだこの狂酔女は!
俺の歓迎会の時は時間が短かったので本性がバレなかったんだろうな。
ハッ!嫌な追憶に浸ってしまった。気を取り直そう。
「ギギロフさん。村の皆の協力があったからですよ。これで村も何とかなりますよね?」
「そうですな。ただ心配はまだあるのです。岩塩採取の遠征隊が、一つ目巨人達
に遭遇しなければ良いのですがな」
一つ目巨人?サイクロプスか。リリの集落を壊滅させた魔物だよな。
まだこの村には色々問題があるらしい。ゲドルフ達の扱いもまだ決まっていない
みたいだしな。
俺はギギロフさんと酒を飲みながら色々と雑談をしていた。ロップはマラカスを
振って踊っていたが、ティエラさんに拉致されて絡まれている。
俺に目線で救助の合図を送っているようだが、無視した。ティエラさんはロップに押し付けておこう。
リリとエーラはベルルフさんとワイルフさんと夜なのにフリスビーで遊んでいる。暗いのによく見えるね。
ゴリマッチョもチラチラ羨ましそうに見ている。一緒に遊びたいのかな?でも側にはココエラさんがいるんだよね。レバーブローを怖がっているのかな?
ベルザロフさんとアーロフさんがやって来た。
「使徒様、ギギロフ老。一つ目巨人の話をしていたようですな。
俺達も交ぜてくだされ」
「ベルザロフ、"老"は余計じゃ。ワシはまだ老人ではないぞ」
「はっはっは、そうでしたな。失礼しました。使徒様は一つ目巨人の事は
ご存じか?」
「いえ、ココエラさんから、リリの集落が壊滅させられた事しか聞いていません。
毒トカゲよりも厄介な相手なんですか?」
ベルザロフさん達にサイクロプスの話を色々聞く事が出来た。
・身長は5メートル位。
・確認出来ているのは5頭。
・倒木を武器にして、ぶん回す。
・大岩を投げてくる事もある。
・特定の住処はなく、島中を徘徊しているらしい。
・毒などの特殊能力の存在は確認されていない。
これまでに岩塩採取の遠征隊も結構被害にあっているらしい。
う~ん、完全なパワーファイターっぽいな。複数いるようだし、俺にとっては
バシリスクより厄介かもしれない。俺の今までの戦いは奇襲とか、嫌がらせが
メインだからな。複数の筋肉ダルマッチョと肉弾勝負はやりたくない。
まあ、今日は疲れた。サイクロプスについては後日考えよう。
リリが今後、どうするかとか、エルフの集落捜索もしなくちゃならない。
流石に疲労困憊だ、早めに休ませて貰おう。
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