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リリとエーラ
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帰宅する前にココエラさんに聞いておきたい事ある。リリとエーラの事だ。
「ココエラさん、少しお時間頂けませんか?」
「分かっております。リリエラとエイエラの件じゃろ?拙宅にお越し下され」
リリは嬉しそうにドルロフさんと話している。エーラもアーロフさんと話している。俺以外と話している時はごく普通に見えるのだが。
二人にココエラさんとちょっと話をしてくる事を伝え、ココエラさんの家にお邪魔した。ロップは放っておいていいだろう。
「ココエラさん、あの二人の過去をお聞かせ願えませんか?」
「そうですな。まずリリエラじゃが、この村はここだけじゃなく、東と西にも
小さな集落があるのですじゃ。ドルロフは東の集落に住んでおりますな。
数年前までは南にも集落があったのですじゃ。リリエラはそこの出身じゃった。
ここから一番遠い集落で孤立しておったのじゃ。リリエラの言葉使いが違うのは
そのせいですじゃ」
「今は南の集落は無いんですか?」
「左様、一年程前に魔物に襲われて、殆んどの住人が殺されてしもうたのじゃ。
リリエラは生き残った数少ない住人の一人なんじゃよ。生き残った者たちは、
この本村に逃げてきて、大半は仕事を割り当てられて馴染んでいったんじゃが、
リリエラだけは角が無いので蔑まれる様になっていったんじゃ。
皆と違う言葉使いや孤児である事も影響したんじゃろうな」
「リリはどうやって暮らしていたんですか?」
「最初はティエラの畑に割り当てられたんじゃ、あそこでは孤児達も働いておるからのう。ただ集団作業になるから、どうしてもリリエラはイジメられてしまうのじゃ。ティエラも他の子達がいる手前、リリエラだけを贔屓する訳にもいかなくての。当時はワシもティエラから随分相談を受けたもんじゃよ。ワシも出来るだけリリエラを気に掛けるようにしていたんじゃが、当時足を悪くしておって中々外を出歩けなかったんじゃ。するとリリエラが畑から失踪したとティエラから報告が来たのじゃ。リリエラの服がズタズタにされて、リリエラ本人はどこにもいなかったらしいのじゃ。皆で行方を捜したんじゃが、その時はギギロフの元で匿われていたようじゃ」
俺がゴゴゴゴと殺気を放ち始めると、
「使徒様!おやめくだされ、何卒何卒!」
「....それからどうなったのですか?」
「ギギロフから連絡を受けての、ワシが新しい服をリリエラに与えたんじゃが、
数日もするとズタ袋に穴を空けたような物を被ってギギロフの手伝いをしておった。ワシが理由を聞くとリリエラは悲しそうに笑って、こう答えましたのじゃ」
『オラがちゃんとした服を着ていると皆嫌みてえだ。オラにはこれで十分だ』
俺は思わず涙が零れた。両親を亡くし命からがら逃げて来た先で、これだけ虐げられても健気にギギロフさんの手伝いをしていたのか。
「ココエラさん、俺は村のクソガキ共が大嫌いになりました。見つけたら無条件に肥溜めに漬けていいですか?」
「おやめくだされ!昨日も肥漬けにされた子供の親から苦情があったんじゃ!
それにリリエラを虐げていたのは、むしろ一部の大人達ですじゃ」
「....誰だか教えてもらっても?」
「教えたらどうするおつもりかの?」
「もちろん肥溜めに....」
「使徒様!堪えてくだされ!」
まあいい、いずれ内定を進めよう。ふふふ。
ココエラさんがしんみり続ける。
「ただ、ワシは昨日、村の差別についてゴレロフに当たり散らしてしまったが、
ワシも同罪なんじゃよ。エイエラのような強い子はまだしも、リリエラのような子を守り切れなかったのはワシの責任でもあるんじゃ。同情しているだけでは
現状は全く変わらないんじゃ。村人の意識を変える努力を怠ってきたんじゃな」
う、それはその通りだ。俺も似たようなものではないか。
意識を変える為にやはり、リリをイジメたヤツには肥溜めの刑を執行しよう。
リリをイジメると肥溜め行きになるという認識が浸透すればイジメはなくなる
のだ。問題は、俺が手を下したという事が分からない様に実行する方法だ。
後でじっくり検討しようじゃないか。ふふふふふ。
「あのう使徒様、今なにを考えているのじゃ?」
「いや、何でもないです。それでリリが村を出た理由はギギロフさんやドルロフさんから食事を貰えなくなったのが理由だそうですが、大体15日位前ですよね。何があったのです?肉は無くても芋はあったでしょう?」
「肉が乏しいのは相変わらずだったんじゃが、農作物倉庫が荒らされて、
ごっそり芋類が消えておったのじゃ。それが20日位前じゃ、あの時はリリエラだけじゃなくて村の皆がひもじい思いをしたんじゃよ。畑守衆が収穫を急いでなんとか乗り切ったんじゃ。数日は僅かな食料で乗り切ったんじゃが、リリエラは
全然貰えなかったんじゃな。ワシらも畑守衆との話し合いに追われてリリエラを気にする暇がなかったんじゃ。ワシらの不徳じゃ」
そうか、そんな事があったのなら、ちょっと昨日はココエラさんとゴレロフさん
を責め過ぎたかも知れない。だが村の防犯体制に問題があるのは確かなので、
謝らないぞ。しかし怪しいな!ゲドルフ。
「村の誰かが犯人って事ですよね?ゲドルフ一党が怪しくないですか?」
「まあそれはこの後の吟味次第ですじゃ。まだ何とも言えませんな」
成程、リリの境遇は大体分かった。今日も美味いもん食わしてやるからな!
そうだ聞き忘れていた。
「ところで、リリの集落を襲った魔物は毒トカゲですか?」
「いいや、毒トカゲ以前から色々なところを徘徊している魔物ですじゃ。
我等の天敵ですな。一つ目巨人と呼んでおりますじゃよ」
サイクロプスだろうな。これは、ココエラさんよりアーロフさんやロップに聞いた方がいいだろう。
「どうもありがとうございました。リリの件は概ね把握出来ました。
次はエーラの件ですが....」
「エイエラはある狩人の家に生まれましたのじゃ。母親は早く亡くなってしもうたが、父親は有能な狩人での、厳しくとも明るい家庭じゃったよ。エーラには兄と弟がおっての、早いうちから父親に狩人として仕込まれていましたな。エーラは一本角じゃが角無しと比べれば、それ程は蔑まれてはおりませんじゃ。特にあの一家は大柄じゃったし、優れた狩人じゃったからの。家族でエイエラを守っておったんじゃ。たまにイジメられる事もあったようじゃが、親父と兄貴が乗り込んで行ったもんじゃ」
確かにエーラは14歳で175cmもあるからな。最初見たときは大人かと思ったよ。
「じゃが2年程前かの?あの一家に悲劇が起こったのじゃ。一家4人で北の森近くの藪に黒鼠を狩りに行ったのじゃ。黒鼠位なら数が少なければ4人でも何とかなるしの」
「2年前ってエーラはまだ12歳ですよね?そんなに幼い頃から狩りをするんですか?弟もいたんですよね?」
「狩人の家庭では10歳位から狩りの実践を始める事もあるのじゃよ」
「でも北の森って危ないんじゃないですか?黒熊とか黒狼とか居るんですよね?」
「確かにそこは不審じゃの。あの慎重なガエロフが幼い子供達を連れて行くのは解せぬな」
ガエロフさんがエーラのお父さんの名前か、固有名詞がまた増えたよ。
ココエラさんが考え込んでいる。
「ベルザロフなら当時の事を何か知っているかも知れんの。ガエロフはベルザロフの兄貴分みたいなもんじゃったからの」
ベルザロフ?ああ狩猟キチガイの人か。
「それで家族はどうなったんですか?」
「突然現れた黒熊にガエロフは身を挺して立ち向かい、子供達に逃げるよう促したそうじゃ。ガエロフは引き裂かれ、長男は妹と弟を連れて逃げたが、長男と弟は手傷を負ったんじゃ」
「なんとか途中の池に飛び込んで、村に帰って来たが兄弟全員号泣しておったよ。
無理もない、あれほどの父親を失ったのじゃからな。兄は背中に、弟は右肩に手傷を負っておったが、気丈にも翌日から狩りを始めおったよ。父親の仇を一刻も早く取りたかったんじゃろうなあ。じゃが段々と二人とも衰弱して行ってな。
10日後には二人ともエビぞりになって死んでしもうた。エイエラは泣きながら必死で看病したんだがだめじゃったよ」
....破傷風だな。破傷風の恐ろしいのは末期には骨折するような激しいけいれんに見舞われるが、意識は明瞭である事だ。二人ともさぞ苦しんだだろう。
せめて死後は安らかに眠って欲しい。
「その後、エイエラは表情を消して、一切しゃべらなくなったんじゃ。食事も碌に取らんで一日中ぼ~っとしておった。ワシは見かねてしばらく引き取る事にしたんじゃよ。優しく話しかけて、飯を食わせて、下の世話までしておったな。
すると何日かして急に涙をポロポロ流し始めたんじゃ。そして、こう言ったのですじゃ」
『ココ婆様、ありがとう。アタシもう大丈夫だから。誰にも負けなくなるから、
黒熊にだって負けないから』
「健気な大人しい感じの娘じゃったんじゃが、それからは荒々しいちょっと変わった娘になってしもうたのう。ただワシにだけは相変わらず甘えてきおったよ。ただ、たまに叱ると首をすくめて素直に謝るんじゃ。可愛い娘じゃよ。じゃが守ってくれる家族がいなくなってからは、一本角を蔑む輩とのいざこざはそれなりにあったようじゃな、使徒様もご存じの通りじゃ。まあ、あの子は大体自分で解決してきたんじゃよ。アーロフ達とつるむようになってからは表立った嫌がらせは減ったんじゃが、狩人頭のゲドルフがアーロフ達とは遠征隊は絶対組ませなかったから、あの子は独りで狩りを始めたんじゃよ。流石にワシらでも狩人衆の人事には首を突っ込めないんじゃよ」
ココエラさんは、ちょっと思い出し笑いをしながら俺に質問した。
「じゃが、あんなに駄々を捏ねるエイエラは初めてみましたのじゃ。使徒様はどういう風にエイエラと出会ったのですかな?」
俺はエーラと初めて会った状況を詳しく説明した。
「やはりのう。皆、口で言わなかったんじゃが、黒熊というのは一流の狩人でも普通は独りでは狩らないもんですじゃ。あんな駆け出しが独りで倒せる訳がないんです。あれを狩ったのは使徒様じゃろ?」
「う~ん?まあそうなんですが、エーラが熊を引き付けてくれたおかげで倒せた部分もあるんです。攻撃を避ける動きはなかなかでしたよ」
「多分、エイエラにとっては黒熊を倒すのが目標で、それを成しえた使徒様に憧れているんじゃろうなあ」
「でも何故、自分の手柄にするんです?最初に槍を付けた人が討伐の栄光を得るのかと思いましたがそんな事はないんでしょう?」
「それはワシにも分からんのう。もしかしたら本当に自分が倒したと思ってるかもしれんな。多分あの子なりの理由があるんじゃろ」
まあ俺的にはどうでも良い事だ。だがこれは確認しておこう。
「何故か自分の事を"姉ちゃん"と呼べと俺に強要するんですが」
「恐らくまだ、あの日の事から克服出来ていないんじゃろう。使徒様に駄々を捏ねるのも、自分を"姉ちゃん"と呼ばせるのも、兄弟への拘りを捨てられない証拠じゃろうな。使徒様、しばらくはこのままでいてくれませんかのう?」
う~ん?しかしこのままズルズル行ってもなあ。
「あのココエラさん、俺はいつかこの島から出て行きます。それが星母神様の使徒の使命だからです。その時、リリはともかく、エーラが俺に付いて来たいと言っても難しいんですよ」
「はて?何故リリエラなら良くて、エイエラは駄目なんですかな?」
俺はロップから得た知識を掻い摘んで説明した。人間中心の社会ではリリエラは目立たないが、エーラは逆に迫害されてしまう事等を。
以前はカッとなってエーラも連れて行こうと口走ってしまった事もあったが、
大陸の鬼人族の集落を探すなんて雲を掴むような話だ、到底現実的ではない。
ココエラさんは真剣に聞いた後にため息をついた。
「はあ、この島は本当に孤立していたのじゃなあ。大陸があるというのは伝承で知っておったんじゃが、人族という種族が支配しワシらや他の種族は迫害されておるのか。使徒様はそれを変える為に大陸に行かれるのか?」
「ええ、その通りです。使徒としての使命であり、ロップとの約束でもあります。
なのでエーラとは程々の関係にして置かないと、お互い別れが辛くなるでしょう」
「それはいつ頃になりそうですかな?」
「使徒は成長すると進化するらしいのです。そして2回進化すると人族の形態をとる事が出来る様になるらしいんです。俺としてもそれが出来ないと大陸では化物扱いですからね。ただ、それが一か月後か、1年後か、10年後か?さっぱり
見当付きませんね」
「ふうむ、なら今からそんなに備えても仕方ないのでは?エイエラの心も時が解決してくれるじゃろうし。それに狩人の仕事をこなしていれば気も晴れるじゃろ?」
その狩人の仕事をする為にウチに入り浸ろうとするのを止めたいのだが。まあ俺もアイツの扱いを誤った。アイツには変化球は全く通じない。直球で返せばいいのだ。そう、"嫌だ!断る!"だ。"ギャン泣き"、"駄々捏ね"、"我儘"には無視で対応しよう。強くなるのだ、俺!
そうだ、せっかくだから、前から気になっていた事を聞いてみよう。
「リリとエーラのお話、ありがとうございました。もうちょっと質問させて下さい。大分話は変わりますが、星母神様や伝承ってどうやって伝わって来たんですか?」
「代々の長老はそれを村人に伝えて行くのが役目なんじゃよ。ワシも定期的に衆議堂で村人を集めて伝えておりますよ。それに10年程前まではエルフの長老がたまに来て下さってな。ワシの知らないような話もしていただけたんですじゃ」
エルフ!エルフがいるの?
「ココエラさん!この島にエルフがいるんですか?何処に!」
「使徒様、落ち着いて下され!10年位前までは東から定期的にエルフの交易団がやって来てたんじゃ。エルフからは海の塩や変わった果実。ワシらからは肉や芋等を交換しておったんじゃが、10年位前からぷっつり来なくなってしもうたんじゃ。ワシらからもエルフの集落を訪れようと何度か人を派遣したんじゃが、
危険な沼地に阻まれて行けなんだ。多分エルフだけが知ってる道があると思うんじゃが」
だからココエラさんは海塩が一目で分かったのか!よし、バシリスク退治の次の目標が決まったぞ!
「ココエラさん!俺は毒トカゲを倒したら、エルフの集落を探してみます!」
「使徒様、ありがたい事ですじゃエルフとの交易が復活すれば、塩の問題は全く無くなるはずですじゃ」
お礼を言って、ココエラさんの家を辞すと何人かの頭衆が待っていた。
まずティエラさんが、大きなズタ袋を持って待っていた。
「使徒様、対価です。どうぞお納めくださいな」
いやいや多すぎるでしょ。と思ったが、海遠征分は辞退する旨を伝えて土嚢袋に詰め替えた。ティエラさんにズタ袋を返してお礼を言うと、今度はキーロフさん
が待っていた。
非常にニコニコした好々爺だ。物凄いギャップだ。
「使徒様、この位で足りますかな?」
ズタ袋2袋分の炭だ。これは貰いすぎだろう。土嚢袋に詰め替え様としたら汚れるので袋ごとくれるという。これは追加のお礼をしなければ。酒を好きかと聞くとニッコリ笑ったので、コノワタを進呈しよう。この人は食べてないからな。
ただこのガラス瓶はオーバーテクノロジーだ、瓶を提供する訳にはいかない。
思案していると茶碗を持ってニコニコしている。よしたっぷり召し上がれ。
コノワタを茶碗にたっぷり注ぐとニコニコしながら帰っていった。
そして最後はベルルフさんだ。
「使徒様、俺は悔しいです。漁師として生まれたのなら、一度は海に行って見たかったのです。なんとか行く方法は無いのでしょうか?」
実に悔しそうだ。俺が強くなれば多分可能だろうが、それでは俺が島を出た後、誰も海に行けなくなる。
俺は地面に地図を書いて説明する。
「考えている事が二つあります。この村の北に森があるのはご存じですよね?その森を越えると川があり、西へ向かって流れています。
その後、西北に流れを変えて海へ向かうのですが、この辺りが湿地帯で非常に危険だと聞いています」
「そうですね。以前そこへ向かった狩人は一人しか帰って来なかったらしいですな。なんでも毒蛇や毒虫の巣窟らしいですぞ」
えー、絶対降りるの止めよう。
「ですから、この村から直接西に向かって、その後北上するのはどうでしょうか?俺はその辺りの地理は良く分からないので何とも言えませんが、
途中で居留地に相応しい場所が見つかれば、其処に居留地を建設するのはどうでしょう?やはり徒歩だと何日か掛かるでしょう。途中に居留地が
あれば行き来が楽になるでしょう。ただこれは時間が非常に掛かる案ですね」
ベルルフはやや不満そうにしている。まあ時間が掛かるからな。
「ご不満そうですね。では本命の第二案です。これは不確定要素が多く、あまり期待しないで欲しいのですが、俺は毒トカゲを倒した後は、東のエルフの集落を探そうと思っています。エルフと接触出来て、東の沼地を安全に通る方法が分かれば、東側の海へ行く事も可能ではないかと....」
ベルルフが目を見開いている。
「使徒様!素晴らしいですぞ。第二案で行きましょう!」
「ただ、この案は沢山の不確定要素がありますので、あまり期待しないで頂きたい」
「いや!期待させて頂きますぞ!では漁師衆に今の話を伝えに行って参ります」
せっかちな人だな。よっぽど海に行きたいんだな。
さて、帰るか。ゴレロフさんとココエラさんに挨拶して戻るとリリとエーラがが待っていた。ゴルロフさんもアーロフさんも帰ったらしい。ちょっと話をしたかったんだが。ロップは事前に捕獲済みらしい。
「さて皆さん、家に帰りますがエーラ姉ちゃんにキツク言って置く事があります」
「なんだよ?レイ兄ちゃんそのしゃべり方は、兄ちゃん、姉ちゃんの仲だろ」
「だまらっしゃい!これが守れなければ飯抜きです。守るべきことはただ一つ、
許可なく俺の私物に触らない事!以上です。分かりましたか?」
「えーそんなの当たり前じゃんか。さあ行こうぜレイ兄ちゃん」
本当に分かっているのだろうか?
ものすごく不安だが仕方がない約束とやらをしたらしいからな。
俺はしぶしぶエーラを肩車し、リリを抱えてフワリと浮かんだのだった。
「ココエラさん、少しお時間頂けませんか?」
「分かっております。リリエラとエイエラの件じゃろ?拙宅にお越し下され」
リリは嬉しそうにドルロフさんと話している。エーラもアーロフさんと話している。俺以外と話している時はごく普通に見えるのだが。
二人にココエラさんとちょっと話をしてくる事を伝え、ココエラさんの家にお邪魔した。ロップは放っておいていいだろう。
「ココエラさん、あの二人の過去をお聞かせ願えませんか?」
「そうですな。まずリリエラじゃが、この村はここだけじゃなく、東と西にも
小さな集落があるのですじゃ。ドルロフは東の集落に住んでおりますな。
数年前までは南にも集落があったのですじゃ。リリエラはそこの出身じゃった。
ここから一番遠い集落で孤立しておったのじゃ。リリエラの言葉使いが違うのは
そのせいですじゃ」
「今は南の集落は無いんですか?」
「左様、一年程前に魔物に襲われて、殆んどの住人が殺されてしもうたのじゃ。
リリエラは生き残った数少ない住人の一人なんじゃよ。生き残った者たちは、
この本村に逃げてきて、大半は仕事を割り当てられて馴染んでいったんじゃが、
リリエラだけは角が無いので蔑まれる様になっていったんじゃ。
皆と違う言葉使いや孤児である事も影響したんじゃろうな」
「リリはどうやって暮らしていたんですか?」
「最初はティエラの畑に割り当てられたんじゃ、あそこでは孤児達も働いておるからのう。ただ集団作業になるから、どうしてもリリエラはイジメられてしまうのじゃ。ティエラも他の子達がいる手前、リリエラだけを贔屓する訳にもいかなくての。当時はワシもティエラから随分相談を受けたもんじゃよ。ワシも出来るだけリリエラを気に掛けるようにしていたんじゃが、当時足を悪くしておって中々外を出歩けなかったんじゃ。するとリリエラが畑から失踪したとティエラから報告が来たのじゃ。リリエラの服がズタズタにされて、リリエラ本人はどこにもいなかったらしいのじゃ。皆で行方を捜したんじゃが、その時はギギロフの元で匿われていたようじゃ」
俺がゴゴゴゴと殺気を放ち始めると、
「使徒様!おやめくだされ、何卒何卒!」
「....それからどうなったのですか?」
「ギギロフから連絡を受けての、ワシが新しい服をリリエラに与えたんじゃが、
数日もするとズタ袋に穴を空けたような物を被ってギギロフの手伝いをしておった。ワシが理由を聞くとリリエラは悲しそうに笑って、こう答えましたのじゃ」
『オラがちゃんとした服を着ていると皆嫌みてえだ。オラにはこれで十分だ』
俺は思わず涙が零れた。両親を亡くし命からがら逃げて来た先で、これだけ虐げられても健気にギギロフさんの手伝いをしていたのか。
「ココエラさん、俺は村のクソガキ共が大嫌いになりました。見つけたら無条件に肥溜めに漬けていいですか?」
「おやめくだされ!昨日も肥漬けにされた子供の親から苦情があったんじゃ!
それにリリエラを虐げていたのは、むしろ一部の大人達ですじゃ」
「....誰だか教えてもらっても?」
「教えたらどうするおつもりかの?」
「もちろん肥溜めに....」
「使徒様!堪えてくだされ!」
まあいい、いずれ内定を進めよう。ふふふ。
ココエラさんがしんみり続ける。
「ただ、ワシは昨日、村の差別についてゴレロフに当たり散らしてしまったが、
ワシも同罪なんじゃよ。エイエラのような強い子はまだしも、リリエラのような子を守り切れなかったのはワシの責任でもあるんじゃ。同情しているだけでは
現状は全く変わらないんじゃ。村人の意識を変える努力を怠ってきたんじゃな」
う、それはその通りだ。俺も似たようなものではないか。
意識を変える為にやはり、リリをイジメたヤツには肥溜めの刑を執行しよう。
リリをイジメると肥溜め行きになるという認識が浸透すればイジメはなくなる
のだ。問題は、俺が手を下したという事が分からない様に実行する方法だ。
後でじっくり検討しようじゃないか。ふふふふふ。
「あのう使徒様、今なにを考えているのじゃ?」
「いや、何でもないです。それでリリが村を出た理由はギギロフさんやドルロフさんから食事を貰えなくなったのが理由だそうですが、大体15日位前ですよね。何があったのです?肉は無くても芋はあったでしょう?」
「肉が乏しいのは相変わらずだったんじゃが、農作物倉庫が荒らされて、
ごっそり芋類が消えておったのじゃ。それが20日位前じゃ、あの時はリリエラだけじゃなくて村の皆がひもじい思いをしたんじゃよ。畑守衆が収穫を急いでなんとか乗り切ったんじゃ。数日は僅かな食料で乗り切ったんじゃが、リリエラは
全然貰えなかったんじゃな。ワシらも畑守衆との話し合いに追われてリリエラを気にする暇がなかったんじゃ。ワシらの不徳じゃ」
そうか、そんな事があったのなら、ちょっと昨日はココエラさんとゴレロフさん
を責め過ぎたかも知れない。だが村の防犯体制に問題があるのは確かなので、
謝らないぞ。しかし怪しいな!ゲドルフ。
「村の誰かが犯人って事ですよね?ゲドルフ一党が怪しくないですか?」
「まあそれはこの後の吟味次第ですじゃ。まだ何とも言えませんな」
成程、リリの境遇は大体分かった。今日も美味いもん食わしてやるからな!
そうだ聞き忘れていた。
「ところで、リリの集落を襲った魔物は毒トカゲですか?」
「いいや、毒トカゲ以前から色々なところを徘徊している魔物ですじゃ。
我等の天敵ですな。一つ目巨人と呼んでおりますじゃよ」
サイクロプスだろうな。これは、ココエラさんよりアーロフさんやロップに聞いた方がいいだろう。
「どうもありがとうございました。リリの件は概ね把握出来ました。
次はエーラの件ですが....」
「エイエラはある狩人の家に生まれましたのじゃ。母親は早く亡くなってしもうたが、父親は有能な狩人での、厳しくとも明るい家庭じゃったよ。エーラには兄と弟がおっての、早いうちから父親に狩人として仕込まれていましたな。エーラは一本角じゃが角無しと比べれば、それ程は蔑まれてはおりませんじゃ。特にあの一家は大柄じゃったし、優れた狩人じゃったからの。家族でエイエラを守っておったんじゃ。たまにイジメられる事もあったようじゃが、親父と兄貴が乗り込んで行ったもんじゃ」
確かにエーラは14歳で175cmもあるからな。最初見たときは大人かと思ったよ。
「じゃが2年程前かの?あの一家に悲劇が起こったのじゃ。一家4人で北の森近くの藪に黒鼠を狩りに行ったのじゃ。黒鼠位なら数が少なければ4人でも何とかなるしの」
「2年前ってエーラはまだ12歳ですよね?そんなに幼い頃から狩りをするんですか?弟もいたんですよね?」
「狩人の家庭では10歳位から狩りの実践を始める事もあるのじゃよ」
「でも北の森って危ないんじゃないですか?黒熊とか黒狼とか居るんですよね?」
「確かにそこは不審じゃの。あの慎重なガエロフが幼い子供達を連れて行くのは解せぬな」
ガエロフさんがエーラのお父さんの名前か、固有名詞がまた増えたよ。
ココエラさんが考え込んでいる。
「ベルザロフなら当時の事を何か知っているかも知れんの。ガエロフはベルザロフの兄貴分みたいなもんじゃったからの」
ベルザロフ?ああ狩猟キチガイの人か。
「それで家族はどうなったんですか?」
「突然現れた黒熊にガエロフは身を挺して立ち向かい、子供達に逃げるよう促したそうじゃ。ガエロフは引き裂かれ、長男は妹と弟を連れて逃げたが、長男と弟は手傷を負ったんじゃ」
「なんとか途中の池に飛び込んで、村に帰って来たが兄弟全員号泣しておったよ。
無理もない、あれほどの父親を失ったのじゃからな。兄は背中に、弟は右肩に手傷を負っておったが、気丈にも翌日から狩りを始めおったよ。父親の仇を一刻も早く取りたかったんじゃろうなあ。じゃが段々と二人とも衰弱して行ってな。
10日後には二人ともエビぞりになって死んでしもうた。エイエラは泣きながら必死で看病したんだがだめじゃったよ」
....破傷風だな。破傷風の恐ろしいのは末期には骨折するような激しいけいれんに見舞われるが、意識は明瞭である事だ。二人ともさぞ苦しんだだろう。
せめて死後は安らかに眠って欲しい。
「その後、エイエラは表情を消して、一切しゃべらなくなったんじゃ。食事も碌に取らんで一日中ぼ~っとしておった。ワシは見かねてしばらく引き取る事にしたんじゃよ。優しく話しかけて、飯を食わせて、下の世話までしておったな。
すると何日かして急に涙をポロポロ流し始めたんじゃ。そして、こう言ったのですじゃ」
『ココ婆様、ありがとう。アタシもう大丈夫だから。誰にも負けなくなるから、
黒熊にだって負けないから』
「健気な大人しい感じの娘じゃったんじゃが、それからは荒々しいちょっと変わった娘になってしもうたのう。ただワシにだけは相変わらず甘えてきおったよ。ただ、たまに叱ると首をすくめて素直に謝るんじゃ。可愛い娘じゃよ。じゃが守ってくれる家族がいなくなってからは、一本角を蔑む輩とのいざこざはそれなりにあったようじゃな、使徒様もご存じの通りじゃ。まあ、あの子は大体自分で解決してきたんじゃよ。アーロフ達とつるむようになってからは表立った嫌がらせは減ったんじゃが、狩人頭のゲドルフがアーロフ達とは遠征隊は絶対組ませなかったから、あの子は独りで狩りを始めたんじゃよ。流石にワシらでも狩人衆の人事には首を突っ込めないんじゃよ」
ココエラさんは、ちょっと思い出し笑いをしながら俺に質問した。
「じゃが、あんなに駄々を捏ねるエイエラは初めてみましたのじゃ。使徒様はどういう風にエイエラと出会ったのですかな?」
俺はエーラと初めて会った状況を詳しく説明した。
「やはりのう。皆、口で言わなかったんじゃが、黒熊というのは一流の狩人でも普通は独りでは狩らないもんですじゃ。あんな駆け出しが独りで倒せる訳がないんです。あれを狩ったのは使徒様じゃろ?」
「う~ん?まあそうなんですが、エーラが熊を引き付けてくれたおかげで倒せた部分もあるんです。攻撃を避ける動きはなかなかでしたよ」
「多分、エイエラにとっては黒熊を倒すのが目標で、それを成しえた使徒様に憧れているんじゃろうなあ」
「でも何故、自分の手柄にするんです?最初に槍を付けた人が討伐の栄光を得るのかと思いましたがそんな事はないんでしょう?」
「それはワシにも分からんのう。もしかしたら本当に自分が倒したと思ってるかもしれんな。多分あの子なりの理由があるんじゃろ」
まあ俺的にはどうでも良い事だ。だがこれは確認しておこう。
「何故か自分の事を"姉ちゃん"と呼べと俺に強要するんですが」
「恐らくまだ、あの日の事から克服出来ていないんじゃろう。使徒様に駄々を捏ねるのも、自分を"姉ちゃん"と呼ばせるのも、兄弟への拘りを捨てられない証拠じゃろうな。使徒様、しばらくはこのままでいてくれませんかのう?」
う~ん?しかしこのままズルズル行ってもなあ。
「あのココエラさん、俺はいつかこの島から出て行きます。それが星母神様の使徒の使命だからです。その時、リリはともかく、エーラが俺に付いて来たいと言っても難しいんですよ」
「はて?何故リリエラなら良くて、エイエラは駄目なんですかな?」
俺はロップから得た知識を掻い摘んで説明した。人間中心の社会ではリリエラは目立たないが、エーラは逆に迫害されてしまう事等を。
以前はカッとなってエーラも連れて行こうと口走ってしまった事もあったが、
大陸の鬼人族の集落を探すなんて雲を掴むような話だ、到底現実的ではない。
ココエラさんは真剣に聞いた後にため息をついた。
「はあ、この島は本当に孤立していたのじゃなあ。大陸があるというのは伝承で知っておったんじゃが、人族という種族が支配しワシらや他の種族は迫害されておるのか。使徒様はそれを変える為に大陸に行かれるのか?」
「ええ、その通りです。使徒としての使命であり、ロップとの約束でもあります。
なのでエーラとは程々の関係にして置かないと、お互い別れが辛くなるでしょう」
「それはいつ頃になりそうですかな?」
「使徒は成長すると進化するらしいのです。そして2回進化すると人族の形態をとる事が出来る様になるらしいんです。俺としてもそれが出来ないと大陸では化物扱いですからね。ただ、それが一か月後か、1年後か、10年後か?さっぱり
見当付きませんね」
「ふうむ、なら今からそんなに備えても仕方ないのでは?エイエラの心も時が解決してくれるじゃろうし。それに狩人の仕事をこなしていれば気も晴れるじゃろ?」
その狩人の仕事をする為にウチに入り浸ろうとするのを止めたいのだが。まあ俺もアイツの扱いを誤った。アイツには変化球は全く通じない。直球で返せばいいのだ。そう、"嫌だ!断る!"だ。"ギャン泣き"、"駄々捏ね"、"我儘"には無視で対応しよう。強くなるのだ、俺!
そうだ、せっかくだから、前から気になっていた事を聞いてみよう。
「リリとエーラのお話、ありがとうございました。もうちょっと質問させて下さい。大分話は変わりますが、星母神様や伝承ってどうやって伝わって来たんですか?」
「代々の長老はそれを村人に伝えて行くのが役目なんじゃよ。ワシも定期的に衆議堂で村人を集めて伝えておりますよ。それに10年程前まではエルフの長老がたまに来て下さってな。ワシの知らないような話もしていただけたんですじゃ」
エルフ!エルフがいるの?
「ココエラさん!この島にエルフがいるんですか?何処に!」
「使徒様、落ち着いて下され!10年位前までは東から定期的にエルフの交易団がやって来てたんじゃ。エルフからは海の塩や変わった果実。ワシらからは肉や芋等を交換しておったんじゃが、10年位前からぷっつり来なくなってしもうたんじゃ。ワシらからもエルフの集落を訪れようと何度か人を派遣したんじゃが、
危険な沼地に阻まれて行けなんだ。多分エルフだけが知ってる道があると思うんじゃが」
だからココエラさんは海塩が一目で分かったのか!よし、バシリスク退治の次の目標が決まったぞ!
「ココエラさん!俺は毒トカゲを倒したら、エルフの集落を探してみます!」
「使徒様、ありがたい事ですじゃエルフとの交易が復活すれば、塩の問題は全く無くなるはずですじゃ」
お礼を言って、ココエラさんの家を辞すと何人かの頭衆が待っていた。
まずティエラさんが、大きなズタ袋を持って待っていた。
「使徒様、対価です。どうぞお納めくださいな」
いやいや多すぎるでしょ。と思ったが、海遠征分は辞退する旨を伝えて土嚢袋に詰め替えた。ティエラさんにズタ袋を返してお礼を言うと、今度はキーロフさん
が待っていた。
非常にニコニコした好々爺だ。物凄いギャップだ。
「使徒様、この位で足りますかな?」
ズタ袋2袋分の炭だ。これは貰いすぎだろう。土嚢袋に詰め替え様としたら汚れるので袋ごとくれるという。これは追加のお礼をしなければ。酒を好きかと聞くとニッコリ笑ったので、コノワタを進呈しよう。この人は食べてないからな。
ただこのガラス瓶はオーバーテクノロジーだ、瓶を提供する訳にはいかない。
思案していると茶碗を持ってニコニコしている。よしたっぷり召し上がれ。
コノワタを茶碗にたっぷり注ぐとニコニコしながら帰っていった。
そして最後はベルルフさんだ。
「使徒様、俺は悔しいです。漁師として生まれたのなら、一度は海に行って見たかったのです。なんとか行く方法は無いのでしょうか?」
実に悔しそうだ。俺が強くなれば多分可能だろうが、それでは俺が島を出た後、誰も海に行けなくなる。
俺は地面に地図を書いて説明する。
「考えている事が二つあります。この村の北に森があるのはご存じですよね?その森を越えると川があり、西へ向かって流れています。
その後、西北に流れを変えて海へ向かうのですが、この辺りが湿地帯で非常に危険だと聞いています」
「そうですね。以前そこへ向かった狩人は一人しか帰って来なかったらしいですな。なんでも毒蛇や毒虫の巣窟らしいですぞ」
えー、絶対降りるの止めよう。
「ですから、この村から直接西に向かって、その後北上するのはどうでしょうか?俺はその辺りの地理は良く分からないので何とも言えませんが、
途中で居留地に相応しい場所が見つかれば、其処に居留地を建設するのはどうでしょう?やはり徒歩だと何日か掛かるでしょう。途中に居留地が
あれば行き来が楽になるでしょう。ただこれは時間が非常に掛かる案ですね」
ベルルフはやや不満そうにしている。まあ時間が掛かるからな。
「ご不満そうですね。では本命の第二案です。これは不確定要素が多く、あまり期待しないで欲しいのですが、俺は毒トカゲを倒した後は、東のエルフの集落を探そうと思っています。エルフと接触出来て、東の沼地を安全に通る方法が分かれば、東側の海へ行く事も可能ではないかと....」
ベルルフが目を見開いている。
「使徒様!素晴らしいですぞ。第二案で行きましょう!」
「ただ、この案は沢山の不確定要素がありますので、あまり期待しないで頂きたい」
「いや!期待させて頂きますぞ!では漁師衆に今の話を伝えに行って参ります」
せっかちな人だな。よっぽど海に行きたいんだな。
さて、帰るか。ゴレロフさんとココエラさんに挨拶して戻るとリリとエーラがが待っていた。ゴルロフさんもアーロフさんも帰ったらしい。ちょっと話をしたかったんだが。ロップは事前に捕獲済みらしい。
「さて皆さん、家に帰りますがエーラ姉ちゃんにキツク言って置く事があります」
「なんだよ?レイ兄ちゃんそのしゃべり方は、兄ちゃん、姉ちゃんの仲だろ」
「だまらっしゃい!これが守れなければ飯抜きです。守るべきことはただ一つ、
許可なく俺の私物に触らない事!以上です。分かりましたか?」
「えーそんなの当たり前じゃんか。さあ行こうぜレイ兄ちゃん」
本当に分かっているのだろうか?
ものすごく不安だが仕方がない約束とやらをしたらしいからな。
俺はしぶしぶエーラを肩車し、リリを抱えてフワリと浮かんだのだった。
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