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俺的バシリスク討伐計画提案
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昨夜は楽しくて随分酒を過ごしてしまった。毒耐性の影響で、ある程度の酩酊感は味わえるが結構呑んでもほろ酔い程度だ。
リリが寝そうになった時点で宴会はお開きになり、俺達はゴレロフさんの家に泊めてもらった。
エーラは自分の家があるらしいのだが親も兄弟も居ない為、寂しいと駄々を捏ねるので一緒に泊めてもらう事になった。
そして昨夜ココエラさんに鬼人族は歳を数えないのかと聞いたところ、
実はあったのだ。リリは誰にも聞かなかったから知らないだけで、ココエラさんはリリの歳をちゃんと知っていた。きちんとした暦がある訳ではないがこの島で
は雨期があり、雨期が来たタイミングで全員、歳をカウントしているらしい。
雨期の周期はほぼ360日前後らしいので概ね正しいのだろう。リリは次の雨期で8歳。そしてエーラは次の雨期で15歳になるらしい。
リリはいいとして、俺は中学生を姉ちゃんと呼んでいたのか....。
いずれ、この呼び名は改めよう。
昨夜、ダイアウルフの魔石を忘れずに吸収しておいたが、
起床後も特に身体に異変は感じていない。特に特徴が無いのかな?
俺が朝のラジオ体操をしていると村長宅の侍女が呼びに来た。
不審な目で見られたが朝食なので呼びに来たらしい。
「いや、村が困窮してるのにご馳走になるのは申し訳ないです。俺達は自前で食べますよ」
「いえ、最長老様が是非にとの事です。用意も出来ておりますので、
皆様、こちらへお越しを」
既に用意してしまっているなら仕方あるまい。俺達は当てがわれた高床式住居を出て、ココエラさんが住んでいる建物に案内された。
中に入るとゴレロフさんと、ココエラさんが既に座っていた。
「昨夜は盛大に祝って頂きましてありがとうございます。村が困窮している中、
心苦しいです」
「いえいえ、こちらこそ村の膿を出して頂いて感謝しておりますじゃ。
さあ朝餉を取りながら今日の予定を相談させてくださいじゃ。
さあエイエラもリリエラもそちらに座りなさい。ロップ様はレイ様の近くが良いかの?」
目の前の土器の皿に2本の黒芋が盛られ、昨日飲んだお茶様な椀が置かれている。
ロップには食べられないな。
「すみません。ロップは魚しか食べられないのです。コイツの分は自前で用意します。ロップの分はゴレロフさんどうぞ」
「えー、ならアタシが貰うぜ!いいだろ?ゴレロフのおっちゃん!」
なんという厚かましさ!さすがのポンコツ振りだ。
「俺はよい、エイエラは黒熊を獲ってきてくれたからな。
リリエラと二人で分けろ」
ロップに煮干しを与え、皆にもオヤツ程度に煮干しを配った。
食事をしながら、今日の予定を軽く話した。
「使徒様のおかげで前狩人頭のゲドルフ一党と前鍛冶頭のデゼロフは禁固中だ。
裁きは別途行う事になるでしょうな。使徒様の援助の件は直ぐにでも詳細を決めたかったのでな。昨夜の内に根回しして狩人衆の頭は正式ではないがアーロフに
頼む事にした。だが鍛冶衆の頭が揉めておってな。なかなか決まらんのです。
取り合えず今回は非公式会合という事で、ドルロフという鍛冶職人を呼んでおる。
変わり者だが腕は良い。使徒様も鍛冶職人の意見は必要じゃろう?」
リリがはしゃぎ出した。
「オラ、ドルロフおじちゃんに会いてえだ」
「俺もリリからドルロフと言う人の話は聞いています。願ってもないですよ」
「よし、昨夜の内に代表者には伝えてある。もうすぐ衆議堂に集まるだろう。
それと今回は非公式なので、エイエラとリリエラ、ロップ様も参加して貰おうと思う。大丈夫であろうか?」
エーラがギャーギャー喚きだした。
「ちょっと待ってくれよ。ゴレロフのおっちゃん!アタシは今日レイ兄ちゃんの
家に行くんだ。約束したよな?レイ兄ちゃん」
あれが約束なのか?コイツが自分の願望を捲し立てていただけだが。
「だから村で大事な話があるから海とかの話は一旦置いといてくれって言っただろ!まだ大事な話は終わってないの!」
「レイ兄ちゃんは嘘つきだ!アタシは約束したんだ!びえーん!」
また得意のギャン泣きを始めた。最初はびっくりしたがコイツもまだ14歳だからな。ん?14歳でも普通はギャン泣きはしねーよ。やはりコイツがポンコツだからだろう。
「コリャ、エイエラ!あんまり我儘言うて使徒様を困らせるとこの婆が許さんぞ!」
最強婆が一喝すると、エーラはビクッとして塩垂れた。
「....うん、ごめんなさい。レイ兄ちゃん、ココ婆ちゃん」
コイツの塩垂れ癖にはココエラさんが絡んでいるかもしれない。
すると、ゴレロフさんがアゴを撫でながら、俺を見詰めながら言った。
「ふむ海か。使徒様、俺も行ってみたいのう」
....ゴレロフさんアンタは無理だよ。なんで自分よりデカいヤツを肩車しなきゃならんのだ。俺が目を逸らしている内にバスンと音がして、
ゴレロフさんが悶えている。最強婆が何かしたのだろう。リリは大人しくお茶を飲んでいるので頭を撫でておいた。ロップも珍しく大人しくしている、見ると
ごろ寝をしていたのでデコピンをしておいた。うにゃうにゃ言っているが当然無視だ。
「さて、そろそろ衆議堂へ向かおうかの。そろそろ皆そろっておるじゃろう」
ココエラさんに促され、皆で衆議堂に向かった。ゴレロフさんは脇腹を押さえて呻いている。
衆議堂に入ると、一人だけ見知らぬ人がいるな。黒髪の総髪で口髭を生やしている。この人がドルロフさんだろう。
リリを見ると少しだけ目を見開いたが、すぐに目を逸らした。
ゴレロフさんが上座についた議長だからな。
「使徒様、この髭の男がドルロフだ。今回臨時で鍛冶衆としての意見を聞く為に呼んだ」
「そうですか。リリから少しお話を聞いています。俺はレイと申します。今日は色々ご意見を伺いたいと思います」
ドルロフさんはうっそりとした小声で挨拶をした。
「....どうもドルロフです」
え?それだけなの。人見知りなのかな。
「使徒様すまんな。コヤツはあまり人と交わらない性質でな。普段は山の小屋で独りで鉄を叩いておる。腕はいいんだがな」
まあ、職人の中にはそういう人って結構いるよね。
「さて、昨日に引く続き、皆に集まって貰ったのは、使徒様の援助に対する3つの条件をどのように実行するかだ。事前に説明してあるが、
一つ、村人への平等な分配方法。二つ、使徒様へ払う対価。三つ、毒トカゲ退治に対する鍛冶衆の援助。これを決めたいと思う」
「ちょっとよろしいですか?」
俺は早速挙手した。
「使徒様、どうぞ」
「まず、村人への分配方法は皆さんで決めて下さい。これは今、全ては決められないと思います。村人の不満が出てくればその都度変えて行けば良いでしょう。
いずれにせよ、毒トカゲが退治されれば問題は解決されます。俺には決定した
内容を後で教えて貰えれば良いです。疑問点があればその都度質問しますので」
「そして、俺への対価ですが、俺が海等へ遠出する際の食料を少し頂ければ結構です。基本的には自給自足は出来ますので。出来れば酒を少し分けて頂ければ嬉しいですね」
「そして最後が俺のお願いの中心です。これは鍛冶衆と木工衆にお願いする事になります」
ドルロフさんは無言で俺を見ているだけだが、ワイルフさんは胸をドンと叩いた。
「いいですぞ!使徒様。何でも作りますぞ!何を造ればいいんですかな?」
「銛を作って欲しいんです。俺が持てる範囲内ですけど、出来るだけ重く、
出来るだけ巨大で鋭い銛を。鍛冶衆には銛の頭の部分を。木工衆には頑丈な柄をお願い出来ないでしょうか?出来れば二本欲しい所です」
衆議堂がシーンとなったが、最初に口を開いたのはアーロフだった。
「使徒様、我々狩人も討伐隊を何度か送ってるんです。奴には弓も大して効きませんし、投げ槍は近づく前に毒を噴かれます。使徒様の膂力がどれほどか知りませんが、そのような巨大な銛を毒の範囲の外から投げられるのでしょうか?」
俺はニヤリと笑った。ふふふ。
「俺の方策は横からの投槍ではありません。上空からの投げ下ろしです。つまり
高空から急降下してヤツに気付かれない様に巨大な銛で貫くのです」
まだ上手くいくかは分からない。練習もしないとならないだろう。
最初、俺が漠然と考えていたのは生命魔法だったが、なんとなくバシリスクには
状態異常が効かない予感がしていた。それにエーラから話を聞き、生命魔法は
諦めた。毒ガスの噴出範囲が分からないし、ケルロフという狩人の死亡状況から察するに恐らくマスタードガスの様な、びらん性の毒ガスだろう。眼を瞑ったり、
息を止めれば良いという訳ではなく、触れるだけで危険なのだ。
だが熊さんを人力メテオで倒した時の事を思い出し、作戦を閃いたのだ。
つまり、急降下爆撃!巨大な銛の質量、引力、急降下スピード、
および俺の膂力があれば行けるような気がするのだ。
かつての大戦のドイツ空軍においてソ連戦車500両以上と800台以上の車両の撃破、戦艦一隻を含む諸々の戦果を挙げ、スターリンから名指しで「ソ連人民最大の敵」と批判された男がいる。そうハンス・ウルリッヒ・ルーデル閣下だ。
毒トカゲの上空後背から急降下して銛を投擲して即離脱する。行けそうじゃね?
場はシーンとしているが以外な人物が挙手した。ドルロフだ、少し興奮気味に見える。
「使徒様、銛の重さはどの位でしょうか?現在、村では鉄も足りないのでその辺りの兼ね合いもあります」
俺どのくらい持ち上げられるんだろうか?あの熊を倒した岩って何百キロくらいあったんだろ?ただアレは重すぎだな。
エーラが勢い良く話だした。
「レイ兄ちゃんは凄いんだぜ!こんなデカい岩を持ち上げてたぜ!」
おおーっ、皆が声を上げた。ドルロフは考え込んでいる。
「いや、皆さん、あれは流石に重すぎです。出来れば両手に一本ずつ持って試したい所です。もし鉄が足りなければ、岩をオモリにした木の杭でも可能だとは思いますが、練習の度に壊れると思うんですよね」
ドルロフがまた発言した。
「練習とはどのような場所で行うのですか?仮に鉄で拵えてもすぐに壊れると思いますよ」
「俺は海に行けますので。海には砂浜という、柔らかい砂が大量にある場所があります。そこに砂山を作って的にしたいと思います」
ドルロフは考え込み、ゴレロフさんに確認した。
「今、村で集められる鉄はどれほどですか?ワシは他の鍛冶衆の状況は分からないので」
「分かった、すぐに伝令を走らせる」
ゴレロフさんは伝令を手配すると衆議堂に戻って来た。
「皆の衆、どうだろう?使徒様の案は?俺は有効だと思ったが」
ゴレロフさんが決を取ったが、皆賛成してくれた。八方塞がりの状況で取り合えず試す価値ありと考えたのだろう。
そうだ、もう一つ確認する事があった。毒トカゲがいる場所が森では急降下爆撃は難しい。開けた場所に誘き出さなければならない。
「アーロフさん、毒トカゲがいる場所はどんな場所ですか?近くに開けた場所はありますかね?」
「それなら問題ありません。ヤツの毒気のせいで、ヤツのいる場所の森は枯れてしまいました。貴重な狩場だったんですが」
よし、なんとかなりそうだ。後は餌か何かで誘き出せればより良いな。
前世の神話でのバシリスクが何を食べる設定になっていたかは知らないが、
この世界では、必ずしも同じ設定とは限らないだろうしな。
ロップに聞いてみよう。寝ているロップをデコピンで叩き起こした。
「ロップ!バシリスクは何を食べているんだ?」
「レイ様、酷いっすよ!確か、キリーネさんはバシリスクは毒のあるものが好物
だって言ってたっすよ」
俺はにんまりした。あるじゃないか毒のあるものが、そうワスプの実だ。
「皆さん、俺には毒のあるものに心当たりがあります。これで誘き出せれば勝率は上がります」
アーロフも声を上げた。
「我々も毒キノコなら集められますな」
ティエラさんも同様だ。
「畑守衆でもいくつか毒草を集められますわ」
キーロフさんは影の様に存在感がない。そういえばこの人とはまだ話していないな。
ゴレロフさんは興奮して来たのだろう。段々声が大きくなってきた。
「よし、後は鉄次第だが目途がたったら、取り合えず出来る所から作業分担するとしようか」
「では、皆さん。俺は一旦家に帰ろうと思います。明日、また村によって、鉄の状況を確認した後、場合によってはまた海に向かおうと思います」
ここでベルルフさんが勢いよく挙手した。
「使徒殿、海には俺も連れてって貰えまいか?俺は漁師だし漁には役に立ちますぞ!」
エーラが慌てて立ち上がった。
「何言ってんだ、ベルルフさん!海に行くのはアタシだ。もう約束済だもんね~」
約束というか言葉を濁して有耶無耶にしようとしたつもりなんだが、
直球ポンコツ女にはそんなものは効かないよな。
それにベルルフさんを連れていくのは体格的に微妙だ。身長は180cm位だが
エーラとは体重が違い過ぎるだろう。
「ベルルフさん申し訳ありませんが、ベルルフさんの体格では乗せるのは厳しいでしょう。かと言ってエーラを連れて行くとも言ってませんが」
「レイ兄ちゃんの嘘つき!家と海に連れて行ってくれるって約束したのに!
あとアタシの事はエーラ姉ちゃんと呼べって言っただろ!」
床に転がってギャーギャー大騒ぎしている。ここはココエラさんの一喝に
期待するしかないな。俺がココエラさんをチラチラ見ていると、
ココエラさんがため息をついて俺に頼んだ。
「使徒様、もしよろしければ、今回だけこの子の望みを叶えてやってはくれませぬか?この子も不幸な生い立ちでな。一時は誰ともしゃべらずに塞ぎこんでいた
時期もあるんじゃよ。これだけ駄々を捏ねるのは使徒様を慕っている証拠じゃ。
今回だけでいいですじゃ、なんとかなりませぬか?」
う~ん。まあ確かにエーラに釣りとか採集を教えて頼めば、俺は塩作りに専念できるから効率は良いんだが、こいつがポンコツなのが問題なのだ。
ベルルフさんがもっと小柄なら良かったのに。
俺が考え事をしていると、リリがくいくいと俺の腕を引っ張った。
「オラはどうなるだ?オラはレイ兄ちゃんと離れるの嫌んだ!」
リリが目に涙を浮かべている。しかし俺はリリに関しては決めている。
リリの今後を考えるのはバシリスクを倒した後だ。
「ココエラさん、ゴレロフさん、リリに関しては、毒トカゲを倒すまでは取り合えず、俺が預かって良いですか?リリはまだ栄養が足りない状態です。
俺が援助すると言っても、まだ食料が不足しているこの村ではリリが不安です」
ココエラさんがため息をついて答えた。
「情けない事じゃが、それが良いでしょうな。昨夜ゴレロフが布告を出しはしたが子供らは無邪気に残酷じゃ。まだまだリリはイジメられるじゃろう。
使徒様、リリをお願いしますだ」
ココエラさんに頭を下げられた。
「いえ、決してリリは飢えさせませんので、ご安心ください。
リリの今後は毒トカゲ討伐後に相談させて下さい」
するとポンコツが声を上げた。
「ならアタシもレイ兄ちゃんと暮らす!リリが一緒だったら、アタシも一緒でいいよな!レイにいちゃん」
今度はココエラさんの鉄槌が落ちた!
「コリャ、エイエラ!先程の我儘は目を瞑ってやったが、お主は狩人じゃろうが!
己の仕事を蔑ろにするヤツは、この婆が許さんぞ!」
また塩垂れると思ったが、なんとエーラが食い下がった!
「でもココ婆様!この辺はもう獲物もあまり獲れないだろ!だからアタシは北の森に行ったんだ!レイ兄ちゃんの家の近くなら獲物がいるかもしれないじゃないか!」
驚いたがポンコツのクセに一応理屈は通っている。
ココエラさんが目を閉じて考えている。アーロフさんも興味深そうな目でこちらを見て、口を開いた。
「使徒様の家はどの辺りなのですか?どんな獲物がいますか?」
「北の森を越えた所に川があるのはご存じですか?その川を遡って大きな滝を越えた所です。今まで出会った魔物は....」
俺は今まで出会った魔物を説明した。
アーロフが腕を組んで考え込んだ。
「う~ん?黒猪はともかく、他は見た事も聞いた事もないですね。食べられるのでしょうか?」
ムリムリムリムリ!あんな物を食べようとするのはコウエイ様かゲテ村くらいだ!
「....止めて置くことをお勧めします。それに今回はあまり時間がないので狩りをする時間はないですね。いずれ機会があったら小柄な狩人なら連れていけるかもしれませんね」
アーロフさんとベルルフさんが残念そうにしている、何故かゴレロフさんも。
アンタ村長だろ!
「さて、時間も押してますので。取り合えず家に戻ります。明日、また来ますので鉄の量の確認をお願いします。もしかしたら俺の方でもいくらか用意できるかもしれません」
「よし、では今回の非公式会合はお開きとしよう。皆ご苦労だった」
さて、家に戻るかと席を立つと、ティエラさんが声を上げた。
「使徒様、まだ対価を差し上げてませんわ。何が必要ですの?」
「え、でもまた明日来ますし、海に行く時でいいですよ」
「でも、今日お帰りになった後、食べる物が必要でしょう?なんでも仰ってくださいな」
おお!これは嬉しいぞ。
「それでは、申し訳ありませんが、量があっても困りますので、農作物を少しだけ、それに出来ればお酒も少しだけあれば嬉しいです」
「分かりましたわ。使徒様の為ならお安い御用ですわ」
俺は沈黙を守っているキーロフさんに声を掛けた。
「それとキーロフさん、宜しければ炭を少し頂けないでしょうか?」
キーロフさんは暫しの沈黙後に、ニッコリ笑ってこう続けた。
「使徒様、お好きなだけ持って行ってくだされ」
無口だけど凄くいい人だったみたいだ。これで念願の炭がゲット出来た。
これは良い物だ!
エーラが俺を催促している。
「レイ兄ちゃん!早く家に帰ろうぜ!」
....あれ?俺コイツを家に連れていかなきゃいけないんだっけ?
アーロフさんの質問で、結論を出すのを忘れてしまったが、コイツを連れて行くのはこれっきりにしたい!
お土産を貰ってホクホクしていたのに、途端に暗鬱な気分になるのだった。
リリが寝そうになった時点で宴会はお開きになり、俺達はゴレロフさんの家に泊めてもらった。
エーラは自分の家があるらしいのだが親も兄弟も居ない為、寂しいと駄々を捏ねるので一緒に泊めてもらう事になった。
そして昨夜ココエラさんに鬼人族は歳を数えないのかと聞いたところ、
実はあったのだ。リリは誰にも聞かなかったから知らないだけで、ココエラさんはリリの歳をちゃんと知っていた。きちんとした暦がある訳ではないがこの島で
は雨期があり、雨期が来たタイミングで全員、歳をカウントしているらしい。
雨期の周期はほぼ360日前後らしいので概ね正しいのだろう。リリは次の雨期で8歳。そしてエーラは次の雨期で15歳になるらしい。
リリはいいとして、俺は中学生を姉ちゃんと呼んでいたのか....。
いずれ、この呼び名は改めよう。
昨夜、ダイアウルフの魔石を忘れずに吸収しておいたが、
起床後も特に身体に異変は感じていない。特に特徴が無いのかな?
俺が朝のラジオ体操をしていると村長宅の侍女が呼びに来た。
不審な目で見られたが朝食なので呼びに来たらしい。
「いや、村が困窮してるのにご馳走になるのは申し訳ないです。俺達は自前で食べますよ」
「いえ、最長老様が是非にとの事です。用意も出来ておりますので、
皆様、こちらへお越しを」
既に用意してしまっているなら仕方あるまい。俺達は当てがわれた高床式住居を出て、ココエラさんが住んでいる建物に案内された。
中に入るとゴレロフさんと、ココエラさんが既に座っていた。
「昨夜は盛大に祝って頂きましてありがとうございます。村が困窮している中、
心苦しいです」
「いえいえ、こちらこそ村の膿を出して頂いて感謝しておりますじゃ。
さあ朝餉を取りながら今日の予定を相談させてくださいじゃ。
さあエイエラもリリエラもそちらに座りなさい。ロップ様はレイ様の近くが良いかの?」
目の前の土器の皿に2本の黒芋が盛られ、昨日飲んだお茶様な椀が置かれている。
ロップには食べられないな。
「すみません。ロップは魚しか食べられないのです。コイツの分は自前で用意します。ロップの分はゴレロフさんどうぞ」
「えー、ならアタシが貰うぜ!いいだろ?ゴレロフのおっちゃん!」
なんという厚かましさ!さすがのポンコツ振りだ。
「俺はよい、エイエラは黒熊を獲ってきてくれたからな。
リリエラと二人で分けろ」
ロップに煮干しを与え、皆にもオヤツ程度に煮干しを配った。
食事をしながら、今日の予定を軽く話した。
「使徒様のおかげで前狩人頭のゲドルフ一党と前鍛冶頭のデゼロフは禁固中だ。
裁きは別途行う事になるでしょうな。使徒様の援助の件は直ぐにでも詳細を決めたかったのでな。昨夜の内に根回しして狩人衆の頭は正式ではないがアーロフに
頼む事にした。だが鍛冶衆の頭が揉めておってな。なかなか決まらんのです。
取り合えず今回は非公式会合という事で、ドルロフという鍛冶職人を呼んでおる。
変わり者だが腕は良い。使徒様も鍛冶職人の意見は必要じゃろう?」
リリがはしゃぎ出した。
「オラ、ドルロフおじちゃんに会いてえだ」
「俺もリリからドルロフと言う人の話は聞いています。願ってもないですよ」
「よし、昨夜の内に代表者には伝えてある。もうすぐ衆議堂に集まるだろう。
それと今回は非公式なので、エイエラとリリエラ、ロップ様も参加して貰おうと思う。大丈夫であろうか?」
エーラがギャーギャー喚きだした。
「ちょっと待ってくれよ。ゴレロフのおっちゃん!アタシは今日レイ兄ちゃんの
家に行くんだ。約束したよな?レイ兄ちゃん」
あれが約束なのか?コイツが自分の願望を捲し立てていただけだが。
「だから村で大事な話があるから海とかの話は一旦置いといてくれって言っただろ!まだ大事な話は終わってないの!」
「レイ兄ちゃんは嘘つきだ!アタシは約束したんだ!びえーん!」
また得意のギャン泣きを始めた。最初はびっくりしたがコイツもまだ14歳だからな。ん?14歳でも普通はギャン泣きはしねーよ。やはりコイツがポンコツだからだろう。
「コリャ、エイエラ!あんまり我儘言うて使徒様を困らせるとこの婆が許さんぞ!」
最強婆が一喝すると、エーラはビクッとして塩垂れた。
「....うん、ごめんなさい。レイ兄ちゃん、ココ婆ちゃん」
コイツの塩垂れ癖にはココエラさんが絡んでいるかもしれない。
すると、ゴレロフさんがアゴを撫でながら、俺を見詰めながら言った。
「ふむ海か。使徒様、俺も行ってみたいのう」
....ゴレロフさんアンタは無理だよ。なんで自分よりデカいヤツを肩車しなきゃならんのだ。俺が目を逸らしている内にバスンと音がして、
ゴレロフさんが悶えている。最強婆が何かしたのだろう。リリは大人しくお茶を飲んでいるので頭を撫でておいた。ロップも珍しく大人しくしている、見ると
ごろ寝をしていたのでデコピンをしておいた。うにゃうにゃ言っているが当然無視だ。
「さて、そろそろ衆議堂へ向かおうかの。そろそろ皆そろっておるじゃろう」
ココエラさんに促され、皆で衆議堂に向かった。ゴレロフさんは脇腹を押さえて呻いている。
衆議堂に入ると、一人だけ見知らぬ人がいるな。黒髪の総髪で口髭を生やしている。この人がドルロフさんだろう。
リリを見ると少しだけ目を見開いたが、すぐに目を逸らした。
ゴレロフさんが上座についた議長だからな。
「使徒様、この髭の男がドルロフだ。今回臨時で鍛冶衆としての意見を聞く為に呼んだ」
「そうですか。リリから少しお話を聞いています。俺はレイと申します。今日は色々ご意見を伺いたいと思います」
ドルロフさんはうっそりとした小声で挨拶をした。
「....どうもドルロフです」
え?それだけなの。人見知りなのかな。
「使徒様すまんな。コヤツはあまり人と交わらない性質でな。普段は山の小屋で独りで鉄を叩いておる。腕はいいんだがな」
まあ、職人の中にはそういう人って結構いるよね。
「さて、昨日に引く続き、皆に集まって貰ったのは、使徒様の援助に対する3つの条件をどのように実行するかだ。事前に説明してあるが、
一つ、村人への平等な分配方法。二つ、使徒様へ払う対価。三つ、毒トカゲ退治に対する鍛冶衆の援助。これを決めたいと思う」
「ちょっとよろしいですか?」
俺は早速挙手した。
「使徒様、どうぞ」
「まず、村人への分配方法は皆さんで決めて下さい。これは今、全ては決められないと思います。村人の不満が出てくればその都度変えて行けば良いでしょう。
いずれにせよ、毒トカゲが退治されれば問題は解決されます。俺には決定した
内容を後で教えて貰えれば良いです。疑問点があればその都度質問しますので」
「そして、俺への対価ですが、俺が海等へ遠出する際の食料を少し頂ければ結構です。基本的には自給自足は出来ますので。出来れば酒を少し分けて頂ければ嬉しいですね」
「そして最後が俺のお願いの中心です。これは鍛冶衆と木工衆にお願いする事になります」
ドルロフさんは無言で俺を見ているだけだが、ワイルフさんは胸をドンと叩いた。
「いいですぞ!使徒様。何でも作りますぞ!何を造ればいいんですかな?」
「銛を作って欲しいんです。俺が持てる範囲内ですけど、出来るだけ重く、
出来るだけ巨大で鋭い銛を。鍛冶衆には銛の頭の部分を。木工衆には頑丈な柄をお願い出来ないでしょうか?出来れば二本欲しい所です」
衆議堂がシーンとなったが、最初に口を開いたのはアーロフだった。
「使徒様、我々狩人も討伐隊を何度か送ってるんです。奴には弓も大して効きませんし、投げ槍は近づく前に毒を噴かれます。使徒様の膂力がどれほどか知りませんが、そのような巨大な銛を毒の範囲の外から投げられるのでしょうか?」
俺はニヤリと笑った。ふふふ。
「俺の方策は横からの投槍ではありません。上空からの投げ下ろしです。つまり
高空から急降下してヤツに気付かれない様に巨大な銛で貫くのです」
まだ上手くいくかは分からない。練習もしないとならないだろう。
最初、俺が漠然と考えていたのは生命魔法だったが、なんとなくバシリスクには
状態異常が効かない予感がしていた。それにエーラから話を聞き、生命魔法は
諦めた。毒ガスの噴出範囲が分からないし、ケルロフという狩人の死亡状況から察するに恐らくマスタードガスの様な、びらん性の毒ガスだろう。眼を瞑ったり、
息を止めれば良いという訳ではなく、触れるだけで危険なのだ。
だが熊さんを人力メテオで倒した時の事を思い出し、作戦を閃いたのだ。
つまり、急降下爆撃!巨大な銛の質量、引力、急降下スピード、
および俺の膂力があれば行けるような気がするのだ。
かつての大戦のドイツ空軍においてソ連戦車500両以上と800台以上の車両の撃破、戦艦一隻を含む諸々の戦果を挙げ、スターリンから名指しで「ソ連人民最大の敵」と批判された男がいる。そうハンス・ウルリッヒ・ルーデル閣下だ。
毒トカゲの上空後背から急降下して銛を投擲して即離脱する。行けそうじゃね?
場はシーンとしているが以外な人物が挙手した。ドルロフだ、少し興奮気味に見える。
「使徒様、銛の重さはどの位でしょうか?現在、村では鉄も足りないのでその辺りの兼ね合いもあります」
俺どのくらい持ち上げられるんだろうか?あの熊を倒した岩って何百キロくらいあったんだろ?ただアレは重すぎだな。
エーラが勢い良く話だした。
「レイ兄ちゃんは凄いんだぜ!こんなデカい岩を持ち上げてたぜ!」
おおーっ、皆が声を上げた。ドルロフは考え込んでいる。
「いや、皆さん、あれは流石に重すぎです。出来れば両手に一本ずつ持って試したい所です。もし鉄が足りなければ、岩をオモリにした木の杭でも可能だとは思いますが、練習の度に壊れると思うんですよね」
ドルロフがまた発言した。
「練習とはどのような場所で行うのですか?仮に鉄で拵えてもすぐに壊れると思いますよ」
「俺は海に行けますので。海には砂浜という、柔らかい砂が大量にある場所があります。そこに砂山を作って的にしたいと思います」
ドルロフは考え込み、ゴレロフさんに確認した。
「今、村で集められる鉄はどれほどですか?ワシは他の鍛冶衆の状況は分からないので」
「分かった、すぐに伝令を走らせる」
ゴレロフさんは伝令を手配すると衆議堂に戻って来た。
「皆の衆、どうだろう?使徒様の案は?俺は有効だと思ったが」
ゴレロフさんが決を取ったが、皆賛成してくれた。八方塞がりの状況で取り合えず試す価値ありと考えたのだろう。
そうだ、もう一つ確認する事があった。毒トカゲがいる場所が森では急降下爆撃は難しい。開けた場所に誘き出さなければならない。
「アーロフさん、毒トカゲがいる場所はどんな場所ですか?近くに開けた場所はありますかね?」
「それなら問題ありません。ヤツの毒気のせいで、ヤツのいる場所の森は枯れてしまいました。貴重な狩場だったんですが」
よし、なんとかなりそうだ。後は餌か何かで誘き出せればより良いな。
前世の神話でのバシリスクが何を食べる設定になっていたかは知らないが、
この世界では、必ずしも同じ設定とは限らないだろうしな。
ロップに聞いてみよう。寝ているロップをデコピンで叩き起こした。
「ロップ!バシリスクは何を食べているんだ?」
「レイ様、酷いっすよ!確か、キリーネさんはバシリスクは毒のあるものが好物
だって言ってたっすよ」
俺はにんまりした。あるじゃないか毒のあるものが、そうワスプの実だ。
「皆さん、俺には毒のあるものに心当たりがあります。これで誘き出せれば勝率は上がります」
アーロフも声を上げた。
「我々も毒キノコなら集められますな」
ティエラさんも同様だ。
「畑守衆でもいくつか毒草を集められますわ」
キーロフさんは影の様に存在感がない。そういえばこの人とはまだ話していないな。
ゴレロフさんは興奮して来たのだろう。段々声が大きくなってきた。
「よし、後は鉄次第だが目途がたったら、取り合えず出来る所から作業分担するとしようか」
「では、皆さん。俺は一旦家に帰ろうと思います。明日、また村によって、鉄の状況を確認した後、場合によってはまた海に向かおうと思います」
ここでベルルフさんが勢いよく挙手した。
「使徒殿、海には俺も連れてって貰えまいか?俺は漁師だし漁には役に立ちますぞ!」
エーラが慌てて立ち上がった。
「何言ってんだ、ベルルフさん!海に行くのはアタシだ。もう約束済だもんね~」
約束というか言葉を濁して有耶無耶にしようとしたつもりなんだが、
直球ポンコツ女にはそんなものは効かないよな。
それにベルルフさんを連れていくのは体格的に微妙だ。身長は180cm位だが
エーラとは体重が違い過ぎるだろう。
「ベルルフさん申し訳ありませんが、ベルルフさんの体格では乗せるのは厳しいでしょう。かと言ってエーラを連れて行くとも言ってませんが」
「レイ兄ちゃんの嘘つき!家と海に連れて行ってくれるって約束したのに!
あとアタシの事はエーラ姉ちゃんと呼べって言っただろ!」
床に転がってギャーギャー大騒ぎしている。ここはココエラさんの一喝に
期待するしかないな。俺がココエラさんをチラチラ見ていると、
ココエラさんがため息をついて俺に頼んだ。
「使徒様、もしよろしければ、今回だけこの子の望みを叶えてやってはくれませぬか?この子も不幸な生い立ちでな。一時は誰ともしゃべらずに塞ぎこんでいた
時期もあるんじゃよ。これだけ駄々を捏ねるのは使徒様を慕っている証拠じゃ。
今回だけでいいですじゃ、なんとかなりませぬか?」
う~ん。まあ確かにエーラに釣りとか採集を教えて頼めば、俺は塩作りに専念できるから効率は良いんだが、こいつがポンコツなのが問題なのだ。
ベルルフさんがもっと小柄なら良かったのに。
俺が考え事をしていると、リリがくいくいと俺の腕を引っ張った。
「オラはどうなるだ?オラはレイ兄ちゃんと離れるの嫌んだ!」
リリが目に涙を浮かべている。しかし俺はリリに関しては決めている。
リリの今後を考えるのはバシリスクを倒した後だ。
「ココエラさん、ゴレロフさん、リリに関しては、毒トカゲを倒すまでは取り合えず、俺が預かって良いですか?リリはまだ栄養が足りない状態です。
俺が援助すると言っても、まだ食料が不足しているこの村ではリリが不安です」
ココエラさんがため息をついて答えた。
「情けない事じゃが、それが良いでしょうな。昨夜ゴレロフが布告を出しはしたが子供らは無邪気に残酷じゃ。まだまだリリはイジメられるじゃろう。
使徒様、リリをお願いしますだ」
ココエラさんに頭を下げられた。
「いえ、決してリリは飢えさせませんので、ご安心ください。
リリの今後は毒トカゲ討伐後に相談させて下さい」
するとポンコツが声を上げた。
「ならアタシもレイ兄ちゃんと暮らす!リリが一緒だったら、アタシも一緒でいいよな!レイにいちゃん」
今度はココエラさんの鉄槌が落ちた!
「コリャ、エイエラ!先程の我儘は目を瞑ってやったが、お主は狩人じゃろうが!
己の仕事を蔑ろにするヤツは、この婆が許さんぞ!」
また塩垂れると思ったが、なんとエーラが食い下がった!
「でもココ婆様!この辺はもう獲物もあまり獲れないだろ!だからアタシは北の森に行ったんだ!レイ兄ちゃんの家の近くなら獲物がいるかもしれないじゃないか!」
驚いたがポンコツのクセに一応理屈は通っている。
ココエラさんが目を閉じて考えている。アーロフさんも興味深そうな目でこちらを見て、口を開いた。
「使徒様の家はどの辺りなのですか?どんな獲物がいますか?」
「北の森を越えた所に川があるのはご存じですか?その川を遡って大きな滝を越えた所です。今まで出会った魔物は....」
俺は今まで出会った魔物を説明した。
アーロフが腕を組んで考え込んだ。
「う~ん?黒猪はともかく、他は見た事も聞いた事もないですね。食べられるのでしょうか?」
ムリムリムリムリ!あんな物を食べようとするのはコウエイ様かゲテ村くらいだ!
「....止めて置くことをお勧めします。それに今回はあまり時間がないので狩りをする時間はないですね。いずれ機会があったら小柄な狩人なら連れていけるかもしれませんね」
アーロフさんとベルルフさんが残念そうにしている、何故かゴレロフさんも。
アンタ村長だろ!
「さて、時間も押してますので。取り合えず家に戻ります。明日、また来ますので鉄の量の確認をお願いします。もしかしたら俺の方でもいくらか用意できるかもしれません」
「よし、では今回の非公式会合はお開きとしよう。皆ご苦労だった」
さて、家に戻るかと席を立つと、ティエラさんが声を上げた。
「使徒様、まだ対価を差し上げてませんわ。何が必要ですの?」
「え、でもまた明日来ますし、海に行く時でいいですよ」
「でも、今日お帰りになった後、食べる物が必要でしょう?なんでも仰ってくださいな」
おお!これは嬉しいぞ。
「それでは、申し訳ありませんが、量があっても困りますので、農作物を少しだけ、それに出来ればお酒も少しだけあれば嬉しいです」
「分かりましたわ。使徒様の為ならお安い御用ですわ」
俺は沈黙を守っているキーロフさんに声を掛けた。
「それとキーロフさん、宜しければ炭を少し頂けないでしょうか?」
キーロフさんは暫しの沈黙後に、ニッコリ笑ってこう続けた。
「使徒様、お好きなだけ持って行ってくだされ」
無口だけど凄くいい人だったみたいだ。これで念願の炭がゲット出来た。
これは良い物だ!
エーラが俺を催促している。
「レイ兄ちゃん!早く家に帰ろうぜ!」
....あれ?俺コイツを家に連れていかなきゃいけないんだっけ?
アーロフさんの質問で、結論を出すのを忘れてしまったが、コイツを連れて行くのはこれっきりにしたい!
お土産を貰ってホクホクしていたのに、途端に暗鬱な気分になるのだった。
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