Revolution Calling!俺と黒猫が異世界秩序改変に挑戦する話

猿型茄子

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ヒャッハーは実は別の何かであった件

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エーラが散々駄々を捏ねるのでかなりの時間試乗してもらった。
俺はバイクじゃねー!もう昼じゃねーか!エーラはロップを入れたズタ袋を振り回していたので、ロップは眼がバッテンになってひっくり返っている。
今日は鬼人族の村に向かうのは諦めよう。
だが、エーラを洞窟に連れていくのは嫌だ!絶対コウエイ様の遺品をほじくり返すに決まっている。仕方ない今日はここで野営だ。

それにエーラもケガをしていたしな。
「エーラさん、ちょっとケガを見せてもらっていいですか?」

エーラはギロッと睨むと
「レイ兄ちゃん、エーラさんじゃねーよ!エーラ姉ちゃんと呼べって言ったろ!」

何この面倒くさい人!姉ちゃんにどういうこだわりがあるんだ?
「あー、じゃあエーラ姉ちゃん、左手を見せて貰えますか?」

エーラは再びギロッと睨むと
「その口調も気に食わねえ!普通にしゃべれ、普通に!アタシらは兄ちゃん、
姉ちゃんの関係だろ!」

そんな関係はねーよ!何なんだこのアマゾネスは!
「分かったよ!エーラ姉ちゃん!取り合えず左手を見せろ。面倒くせーな!」

「そうだよ、最初からそういう風にしゃべれば...ん?面倒くせーってどういう事だ!」

あーっ、面倒くさい!面倒くさい!俺は怒鳴った!
「ちょっと黙れ!って言うか止まれ!俺の話を聞け!(5分だけでもいい)」

「....うん、分かった。レイ兄ちゃん」

急にしょぼんとして俺を上目で見つめる。エーラは身長は175cm位だろうな、
俺の前世の感覚では結構デカい女だ。
「とにかく左腕を見せろ。出来るだけ治療するから」

エーラは素直に左腕を差し出した。上腕部に布が巻いてある。俺が熊さんを倒した後に、自分で応急手当したんだろうが結構な出血量だ。
よくこの状態であれだけはしゃげたな!凄いよ鬼人族は。布を外すと10cm位
の結構な裂傷だ。熊さんの爪でやられたんだろう。

医療箱を持って来て良かった。俺が収納袋を展開すると案の定、バカアマゾネス
が食いついてきた。
「オッホー!レイ兄ちゃん、この道具は何だ?アレもソレも!」

「ちょっと止まれえ!後で説明するから!大人しくしていなさい!」

「....うん、分かった。レイ兄ちゃん」

なんだろう?怒鳴ると従順になるこの習性。エーラもリリと同じように何か葛藤
を抱えているのかもしれない。
医療グッズを調べてみる。消毒位しか出来ないかもな。おおっ簡易縫合セットが
あるぞ!これは針で縫わなくても貼るだけで傷口を塞げるやつだ!
よし、まずは消毒だ。
「エーラ姉ちゃん、しみるけど我慢しろよ」
「こんな傷、狩人にとっちゃ当たり前だ。放っておけば治るんだよ!」
「そんな威勢のいい事を言って、原因不明な病気で死んでいった仲間に心当たりはないのか?」
「....アタシの兄ちゃんと弟がそうだった」

エーラにとっては自分が兄ちゃんと呼ぶ存在と、自分を姉ちゃんと呼んでくれる
存在に執着があるのかもしれない。

「なら大人しくしていなさい」
「....うん、分かった。レイ兄ちゃん」

エーラの傷を消毒して簡易縫合セットで傷口をくっ付ける。念のためヒールを
出来るだけ掛けて置こう。暫く銀マットに寝かせて休ませようと思ったが、
「オイ!レイ兄ちゃん、早くアタシが狩った黒熊の解体しねーと!手伝ってくれるよな!」

ああ、分かったよ。でも横取りしたようだが熊さんを倒したのは俺じゃね?
まあいいか。俺は熊の解体なんかした事ないから勉強しよう。
ただ提案してみよう。
エーラ姉ちゃん面倒くせー、俺は血抜きは出来ると思う」
「そうか!アタシは今回は血抜きは諦めてたんだ。んでどうやってやるんだ?
近くの森にはコイツを吊るす程の木はないぞ」
「まあ、やってみるよ」

取り合えず俺はメテオを持ち上げた。ふんがー!
熊さんの頭はぺしゃんこだ、岩は投げ捨てた。
「....レイ兄ちゃんはどんな力を持ってるんだよ?考えられねーぞ」
「ははは!それはボクが星母神様の使徒だからさ!」

その後、俺は剣鉈で熊さんの頭を綺麗に切り落とした。エーラはダイアベアの角が欲しかったらしいが、俺のメテオで粉々になってしまった。
そして基本魔法の出番だ、黒猪の血抜きをした時と同じ要領で血を舐め、感覚を掴んでから熊さんの血の操作をする。図体がデカいから魔力が浸透するまで結構しんどい。
2分程して首の切り口から血が流れ始めた。これを維持しなければならない。
魔力大丈夫か?アマゾネスの暴走飛行で結構魔力を使っていたらしい。
うー!頑張れ俺!5分程して血が全て排出された様だ。疲れたよ。

「レイ兄ちゃんはスゲーな!これからはアタシの専属血抜き係にならねーか?」
「嫌だよ!そんな係!それでこれからどうすんだ?」
「勿論解体だ。リリも手伝えよ!明日の朝までには終わらせてーな!」

ちょ、待てーい!そんなに時間が掛かるのは嫌だ!
「この熊はこのまま村に持って行っては駄目なのか?」
「何言ってんだ?レイ兄ちゃん、このままこんなデカい獲物持って行ける訳
ねーだろ。毛皮と一番美味い部分だけ持って帰るんだよ」
「ふふふ、もし俺がこれをこのまま村に持って行く手段を持っているとしたら?」
「え!そんなこと出来るのか?村の皆は大喜びだぜ!」

そう、俺はコウエイ様が使っていた収納袋も持っているのだ!
ありがとうコウエイ様、最近評価が、だだ下がりでしたがここで復活ですよ。
多分ギリギリ入ると思う。まずダークフレイムスローでダニを焼く。そして河原に収納袋を展開した後にうんしょうんしょと熊さんの死体を転がして真ん中に配置した。
あとは下から包んで、えいっ!ふうっ、やっぱデカい獣は独りで狩ったとしたらしんどいな。食用には小型の獣を狩ろう。

エーラが俺に飛びついて来た!リリとロップも駆け寄って来た。
「スゲエ!レイ兄ちゃんスゲエよ!これからアタシの専属荷物持ちにならねーか?」
「だから嫌だって言ってるだろ!なんでオマエの部下みたいになってんだ!」

リリはニコニコして俺を見上げる。
「レイにいちゃんすごいだ!村の皆も大喜びだよ」

ロップは狂ったようにリコーダーを吹き鳴らしている。
「ぽひーっぽひっぽひーっ」

リリは良い子だね、なでなでしてあげよう。
だがロップ、オマエには今晩リコーダー破門を言い渡そう。
もう14時だ、魔力も結構使ったし野営の準備をしよう。
俺は手を叩いて宣言した。

「という訳で解体は村についてからという事で、今晩はここで野営にしま~す。皆さんにこれから夜までにやる事を説明しま~す」
「まず、エーラ姉ちゃん面倒くせーとリリ!」
「キミ達は身体をキレイキレイにしてもらいます。
リリ君は手順は分かっていますね?またお湯を沸かすのでエーラ姉ちゃん面倒くせーをキレイキレイにしてあげなさい」
「分かっただ!レイ兄ちゃん、オラ、エーラ姉ちゃんをキレイキレイにするだよ!せっけんとしゃんぷーも使っていいだか?」
「はい、許可します。エーラ姉ちゃん面倒くせーを徹底的にゴシゴシしてあげなさい」
「ちょっと待て。アタシに何をする気だ!角無しリリ!手を引っ張るな!」
「大丈夫だよエーラ姉ちゃん、オラも最初は嫌だったけんども、キレイキレイになるといい匂いがして気持ちいいだよ」

二人が会話している間に、ちょっと遠くで漬物樽に水を汲んで湯を熱めに沸かして道具を色々置いておいた。
「リリ!こっちに準備しておいた。後は頼んだぞ!」
「分かっただ。行こうエーラ姉ちゃん!気持ちいいだよ」
リリはエーラを引っ張って行った。

おっとロップへの指令を忘れていたな。ロップには何を頼もうか?
「ロップ君!君は良きに計らいなさい!」
「ヤー!レイ様。ボクは良きに計らうっす。取り合えずエーラちゃんと仲良くなってくるっす」
ロップはトテトテ走ってリリ達の方へ向かった。正直ロップの知識にはある程度期待しているが、労働力としては枯れ枝拾いくらいしか期待できない。

俺は砂地の場所にテントを設営した。また茶鱒でも釣るか、今日は昼飯抜きだったし、エーラの分もあるから気合を入れて釣ろう。
目標は茶鱒12匹だ。晩飯は1人3匹ですよ!そして追加で太目のぶっこみ仕掛けも投入して置いた。餌は昨日干したばかりの生乾きのアサリだ。
勿論スッポン様狙いの下心だ。明日の朝食は干物でいいだろう。結構あちこち移動して釣り歩いたので、1時間後には茶鱒12匹はゲット出来た。

そろそろリリ達も戻ってくるだろう。まあ都合良くは行かないだろうが、ちょっと期待してぶっこみ仕掛けを引き上げてみると魚とは違うずっしりした重さを感じる。
これはもしかすると、もしかするかも?ごぱあっと水面を割って出たのは前回よりもデカいスッポン様だった。星母神様、感謝いたします!

凄いぞ60cm位ある。今日は時間が押してるのですぐにスッポン鍋の支度をした。茶鱒はバケツに氷と塩を入れとけば明日までは持つだろう。
俺がホクホクとスッポン鍋の準備をしていると、ウキウキのリリと、
放心したエーラが戻ってきた。ロップはとぼとぼ後を着いてきている。
「お!キレイキレイ作戦は終わったか。そしてロップ以外の皆さんに朗報です!今夜はご馳走ですよ!」
俺は首チョンパされてお亡くなりになった大スッポン様を披露した!
リリは大喜びだ。
「うんわー!こんなに早くまた食べられるとは、オラ思わなかっただよ」

エーラはまじまじとスッポンを見ている。
「....レイ兄ちゃん、これは裸亀だよな?」
「ん?ああ君達はそう呼んでるみたいだね」
「この亀は非常に貴重な物で、村の指導者達や漁師衆の上の者しか、
食べれねーんだよ。リリ!オマエはこれを食ったのか?」

リリがおどおどしている。
「オラ、これ食べちゃだめだったんか?すごく美味しかっただよ」

エーラがちょっと考えてから答えた。
「いや、この辺りは狩人衆も漁師衆も滅多に来ない地域だ。だけど村では裸亀を食べた話はしねえ方がいいな」

角無しへの迫害といい、面倒臭え村だな。ちょっとエーラに意地悪をしよう。
「ではリリ君!エーラ姉ちゃんは食べないみたいだから俺達二人で食べよう!」

「ちょ!待てよレイ兄ちゃん、アタシにも食べさせてくれよ!」

ここでぶっちゃけてみよう。

「エーラ姉ちゃん、俺はリリにキミ達の村の話を聞いてから、村に行ってみたい気持ちが半分、行かない方がいい気持ちが半分だったんだ。
エーラ姉ちゃんもリリを"角無しリリ"って呼んでたよね?なんでリリを迫害するんだ?」

リリが割り込んで来た。
「ちょっと待って欲しいだ!レイ兄ちゃん!エーラ姉ちゃんは狩人で、殆ど村に居なかっただよ。村に帰ってくれば、オラに声を掛けてくれる人だ。
オラ、エーラ姉ちゃんにイジメられた事なんて無いだよ!」

そうか、あまり村に居なかったから皆が罵倒する"角無しリリ"を悪意無く使っていたって事か。エーラにもなかなか暗い過去がありそうだしな。
大体、狩人も滅多に来ない地域に独りでいるのも変だ。村での立ち位置はリリとあまり変わらないのかもしれない。
「分かった。エーラ姉ちゃん意地悪してごめんなさい!裸亀は3人で食べましょう!その代わり、夜は村の事をたっぷり聞かせてもらうよ。うふふ」

するとエーラの目からぼろぼろ涙が溢れだした。
「びえーん!レイ兄ちゃんにイジメられたよ~!」
ぎゃん泣きを始めた!子供か!
慌ててリリと二人でエーラを宥めた。
「ぐすっぐすっ、もうアタシをイジメない?」

なんかリリと同じような事を聞いてくるな。
「ちょっとエーラ姉ちゃんを試してみたんだ、ごめんね。
イジメはダメ、ゼッタイだよ」

「本当に?」

「本当だよ」

いきなりエーラがむしゃぶりついて来た!
「レイ兄ちゃん大好き!」

う~ん。エーラの心の闇はリリより深そうだ。
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